「ねえアイ、シャムニールって知ってる?」
「いいエ。知らなイわ」
金色の髪と、銀色の髪をした二つの人形があった。人形は、人の様にしゃべり、歩いている。
「そこにはいろんな人の記憶が集まるらしいの。あなたの記憶を探しに行ってみない?」
「ありがトう。アイ」
二人は互いに、相手のことをアイと呼んでいた。二人は美しいモノを求めて旅をしている。
「でモ……いいのかシら。私だけ……」
「大丈夫よ。……私も、そこに興味があるの」
「わかっタ。アイがそういうなラ、行ってみましょウ」
二人は、手をつなぎ歩いていく。記憶の巫女が管理し始めた都市、シャムニールへと――――
「……はぁ、はぁ……」
シャムニールに一人残されたメモリアは、空から降る泡をシャボンヌを使い集めていた。あれからまだ2日ほどしか経っていないが、メモリアは明らかに疲れがたまっていた。
「メモリア~。こっちに来てから一回も休んでないじゃん。ちょっとは休もう?」
「いいえ。そんな時間はないわ。……早く回収を終わらせましょう。行きますよ。シャボンヌちゃん」
「は~い」
シャボンヌ達を連れ歩き出すメモリア。メモリアは、早く回収を終わらせればまたアーデ達といられると信じていた。しかし、回収は永遠に終わらない。誰かが助けに来るまで、メモリアはここに捕らわれたままである。
「……デ。おい、アーデ!」
誰かに呼ばれ、アーデは目を覚ます。そこにはゼドーとティシカが立っていた。
「いつまで寝てるんだよ。早く調査に行こうぜ」
「ごめんよ……あれ、調査って今回の任務は何だっけ?」
アーデの言葉に顔を見合わせる二人。二人とも、調査ということ以外の任務の内容を忘れてしまっているようだ。まったく仕方ない先輩たちだと指令書のようなものがないか鞄を漁る。すると、見たことのない本が出てきた。古ぼけていて、買った覚えも貰った覚えもない。
「ねえゼドー、ティシカ、この本見たことある?」
二人とも「ない」と首を横に振る。本をめくってもわからなかったため。別の手がかりを探すと、付箋のしてある本を見つける。そこに書かれてあったのは、古代都市シャムニールについて。
「そうだ……思い出した。僕たちはシャムニールに調査に行くんじゃなったっけ?」
「あー……そうだったか?いや、そんな気がしてきたな」
「あんまり思い出せないわね……」
三人とも、記憶がなぜかあいまいになっている。しかし、手がかりを求め、シャムニールへと向かうことに決めた三人は、準備を整えた。
「ん?おいアーデ。腕どうしたんだ?」
「え?……あれ、なんだこの怪我」
腕を見ると、確かに血が出ていた。いつ怪我したかは覚えていない。少し傷口に触ってみると、頭が少し痛む。まるで、傷口が何かを訴えてくるようだ。
「何ともないよ。行こうか。メ……」
後ろに手を差し出し、誰かの名前を呼ぶ。しかし、ここには三人しかおらず、後ろには誰もいない。
「あらアーデ、まだ寝ぼけてるのかしら」
ティシカのからかうような声は、アーデには聞こえない。アーデは、確かにもう一人いた、という引っ掛かりを感じていた。先ほどの古い本を取り出し、なにか手がかりがないか探す。そして、気になるページを見つけ、手を止める。そこには、魔法陣のようなものが書かれていた。
「アーデ?一体どうしたんだよ」
いよいよ心配になったゼドーが問いかける。アーデは、必死に問いかけた。
「思い出してよ。二人とも。僕は……僕たちは、確かに三人だったはずだ……!」
魔法陣のようなものに触れ願うアーデ。すると、陣から光が溢れてくる。余りの輝きに、目を開けていられない。
「おい!?アーデ!!大丈夫か……うわっ!?」
ゼドーもティシカも光に包まれ、意識を失う。光が収まったあと、そこには倒れ伏した三人と、本の代わりに新しく出てきた影がある。
「うーん……ん?キミ、キミ!起きるにゃ!」
そこにいたのは、黒猫とローブを着た人影。一人と一匹は、三人を起こすために動き出した。