灼眼のシャナ Ⅳ(リターン) 作:無明星
影獣との決戦がとうとう始まった。姿を表した影獣はそれぞれなんとも言いがたい威圧感を持っていた。
「来やがったな。ずいぶんと強者揃いで出てきたな」
カトラスは体をこわばらせ、言った。
彼らの中には、以前フランスでエスターと対峙したあとに現れたアルヴァトロとニーザ・リリスの姿もあった。そして、ルギーと激闘を繰り広げたイルフィスもいた。
「会いたかったぞ、ルギー」
「それはこちとら一緒さ、イルフィス。再開早々やるか?」
「いいぞ。また我を楽しませてくれ」
そういうと、2人は飛び去っていった。
「全く、あの方は勝手すぎるのだから」
聞き覚えのある声がした。イルフィスとルギーの対決を止め、一時撤退を促したものだ。そいつはメガネをかけ直すように、鼻と眉間の間に中指を当てた。
「さて、このままおとなしく引き下がる気は……無さそうですね」
落ち着きのある可憐な声が重みを増した。
「あなた方をこのまま帰すわけにもいきませんし、ここで始末するとしましょう」
そういうと、奴は指をならし合図した。すると一瞬にして、奴の周りに影獣が9体集まった。そのどれもが、並外れた迫力を放っていた。
そのうちの、背中を丸めた大男の影がシャナたちを見下ろした。
「おうおう。呼ばれてきてみれば、なんだよただのガキどもじゃねぇか」
「そういうなよサリファ。案外手のかかる奴かもしれないだろ。だからこそ、呼ばれたんだろうし」
意気がった口調を宥めたのは、これまた長身の男の影だった。奴は味方に警戒させると同時に、シャナたちに恐怖に似た感情を植え付けた。
「そういうバサロも、戦いたくてウズウズしてんだろ?」
それに彼、バサロは答えなかった。
「なぁ、参謀官。あいつら、まとめて喰っていいんだよなぁ?」
「えぇ、好きになさい。しかし、油断はなりません。サリファ殿とて、軽んじてよい相手ではありませんから」
「んなもん、わぁてるよ。要は勝ちゃいいわけだ!」
サリファは聞く耳を持たない。バサロも呆れた声で彼女に声をかける。
「参謀官よ、もう彼に何をいっても無駄だよ」
それに同感したかのように、彼女は何も言うことなく顔を伏せた。
「さて、この〈暴者〉リ・サリファに喰われたい奴から相手してやるぜ。言っておくが、束になってこようとも、『ケルベロス』の俺にはハンデにもならねぇからな」
そして、サリファはケルベロスの姿へと変化した。
「ケルベロス……」
悠二は息を飲んだ。ケルベロスという生物は、相当有名な幻想種だ。3つ首の狂犬で、伝説上では冥界の番犬であったとされている。それこそ、狂ったような強さと気性を持った猟犬だ。そんな称号を持っているだけあって、サリファの存在の力は一際高い。
すぐさま戦闘体勢をとる悠二。そんな彼の前にカトラスが出た。
「ここは俺が行く。久々に燃えてきた」
そういうと、彼の存在の力が桁外れに跳ね上がった。これには、敵兵も驚きを隠せなかった。
「さあ、地獄のイヌヤロウ、覚悟しろよ。こっからさきは、俺の