はたらく魔王さま!
激しい戦火により崩れかけた魔王の城、元は玉座があったと思われる場所は天井が吹き飛び漆黒に包まれた空がこちらを覗き込んでいた。そんな場所に1匹の悪魔と1人の勇者が立っていた。
「魔王、もう諦めなさい。私達は貴方がこれ以上エンテ・イスラを攻撃しないのならもう何もしない。私は貴方と戦いたくない。お願いよ。大人しく魔界に帰って。」
「言ってくれるじゃないか。勇者エミリア。ここまでしたんだ。もう止まるわけにはいかないだろう。死んでいったアイツらの為ににもここでお前を倒しエンテ・イスラを我が物とする。」
「っ!勇者なんて好きでなった訳じゃないのに…」
「今更だ。お前は勇者で俺は魔王。互いに背負うものの為にここで雌雄を決しようではないか。さあ、来い!エミリア・ユスティーナ!」
「なんで、こうなるのよ…なんで、なんで、」
魔王と呼ばれた悪魔は勇者の名を叫ぶと自らに漆黒の翼を生成し魔力を身体に纏い始める。一方、勇者と呼ばれた少女は魔王の言葉に涙を流し掌に力を集める。すると段々と光の粒子が彼女の手に集まり剣の形を象っていく。
「それでいい。勇者エミリア。」
「…さよなら。魔王サタン。」
2人は構えを取り目を閉じる。すると2人の決闘を祝福するかのように雷鳴が轟き、風が強くなる。2人が同時に目を開いた瞬間、遠くに雷が落ちる。それが合図だった。2人は同時に走り出す。だが、勇者が剣を魔王が拳を交えようとした瞬間、2人の間にワームホールの様な物が出現する。
「っ!? ゲート!?」
「魔王!?貴方何をしたの?」
「俺じゃない!くっ!引きずり込まれる!」
魔王は自らの翼で飛ぼうとするも「ゲート」の吸引力に負け身体の半身をゲートの中に吸い込まれていく。
「魔王!手を!」
「バカか!お前も引きずり込まれるぞ!」
「早く!」
勇者は剣を地面に突き刺しゲートに吸い込まれそうになっている魔王に向かって手を伸ばす。
「っ! なっ!?エミリア、後ろだ!」
「え?」
「全く、手こずらせおって。」
突然、勇者の背後に現れた影が勇者をゲートに向かって突き飛ばす。吸い込まれそうになるのをやっとの事で耐えていた勇者は後ろから押された事でバランスを崩し一直線にゲートに向かって飛んでいく。
「エミリア!」
「ふん。魔王もろとも異世界に行き死ぬがいいわ。」
「キャーーーーーー!」
「っち!エミリア!」
勇者は身体の支えを無くしゲートに吸い込まれていく。魔王は自分に向かって飛んできた勇者をキャッチする。しかしその反動で魔王自身もゲートに吸い込まれてしまった。
「魔王!?どうして…」
「いいから掴まってろ!絶対離すな!」
2人がゲートに吸い込まれた後、勇者の仲間がやって来た。
「エミリアー!」
「ぬ、エメラダとアルバートか。」
「オルバ!エミリアは?」
「それが…」
オルバと呼ばれた神官らしき人物は未だに残っているゲートを指さす。吸引力はかなり落ちており、まだ完全には閉じきっていないようだ。
「まさか…」
「エミリアは魔王が開いたゲートに吸い込まれてしまった。残念だが、もう…」
その時、3人の近くに禍々しいオーラが近づいてくる。
「誰だ!」
「貴様らは…魔王様は何処だ。」
「コイツ、悪魔大元帥のアルシエルか?」
「くっ、まだ生きておったのか。2人ともや、れ、」
「!?」
「黙れ、誰が関係ない事を話せと言った?」
悪魔は瞬間的に姿を消すと老人に向かって切りかかる。老人は肩にそれを受け後ろへと倒れる。
「これはゲートか。魔王様の魔力で作られたものではないな。貴様らのいずれかが生成したものだろう?」
「なにを根拠に!」
「黙れ、老害!この私が魔王様の魔力を間違えると思うか?それは明らかに聖法気で作られたものだ。」
「くっ、」
「もう一度問う。魔王様は何処だ!」
「・・・魔王ならエミリアと一緒にそのゲートに吸い込まれたらしいです。」
「な!?エメラダ!貴様、魔の者に情報を与えるなど…」
「・・・ ”らしいです”か。そうか。礼を言おう。さらばだ。」
そう言うと悪魔はゲートに近づいていく。小さくなりつつあるゲートに足を突っ込むとそのままゲートの中に吸い込まれいった。
「魔王様…どうかご無事で…」
主人を思うその一言だけを残して。
「行っちゃましたね~」
「あぁ。ところでだ、オルバ!」
「な、なんだ!?」
「テメェか!エミリアを魔王ごとあん中に吸い込ませたのは!」
「なっ!アルバート、貴様、魔の者の言った戯言を信用するのか!」
「えぇ、アルシエルの言ったとおりこれは聖法気で作られたものです。詳しく解析しないと断定はできませんが、恐らくオルバの物ですね。」
老人を見るエメラダ、
「よしっ。とりあえず引っ捕えるか。」
「くっ!わ、私はこんな所で諦めはせんぞ!」
老人を捕らえようと動いた瞬間老人は意味のわからないことを叫びゲートに向かって走っていく。
「っち!逃げるつもりか!エメラダ!」
「はい!」
逃げる老人を捕らえるために少女は魔法を発動させる。しかし魔法の届きそうなギリギリの所で老人はゲートに飛びこみ消えてしまう。さらに老人が消えたと同時にゲートは閉じてしまった。残された2人は悔しさからか溜息を吐き勇者を助ける方法を見つけるためにその場を去っていった。
…to be continued?
他小説を再開するにあたってリハビリで書いた短編ものです。まぁ、普通ならプロローグになりますかね() サタンとエミリアが戦う前からに顔見知りでそれなりにお互いに好意を抱いていたら?って感じの構想だったかな?もう昔に考えてたやつなのであまりよくは覚えていないとです。続くかはわかりません。ゴメンなさい。月神でした。