結月ゆかりがISの世界で仮面ライダーになるようです。 作:海棠
1組に突如入ってきたドイツとフランスの代表候補生。二人とも何かわけありのようだった。
そして1,2組の合同授業でラウラにケンカを吹っ掛けられたが、見事にバカにした上で難を逃れたのであった。
「何してるんです?」
声が響いた。しかしその声はあまりにも冷たく、背筋に寒気が走るどころか底冷えするような感覚に陥った。
ラウラ以外の全員が頭の中で危険信号が鳴り響いていた。
しかし当のラウラは声のしたほうを向くとニヤリと笑って言った。
「何をしているか、だと? 見てわからないか? 今はふぬけているこいつらに心構えの違いを教えてやっていたところだ」
彼女はそれを聞くと無言でベルトを腰に巻き付けた。そしてどっからともなく跳んできたゼクターを掴むとつぶやいた。
「変身」
そしてベルトのふたを開けると差し込んだ。それと同時に音声が鳴り響く。
【HENSHIN】
するとベルトから体にかけて装甲が展開されていった。そして展開し終わるとまた音声が鳴り響く。
【CHANGE! HAZE!】
すると彼女はベルトの左についているボタンに手を伸ばすとつぶやいた。
『…クロックアップ』
そしてボタンを押した。
次の瞬間、ラウラは壁にたたきつけられていた。
ラウラは何が起こったのか理解できなかった。ただ叫んだ。
「な、なんなんだ貴様は!」
困惑と焦燥が同時に頭の中に混在していた。彼女は自分と同じ代表候補生を二人同時に相手して叩きのめしたところだった。そして
彼女は軍人だった。よって誰よりもISに特別な思い入れがあった。自分は誇り高きドイツ軍人だ。そう思っていたし、自負もしていた。
しかし、その思いは、プライドは見事に打ち砕かれた。
たった
『・・・』
彼女は表情が変わることのない仮面の下からじっと彼女を見つめていた。ただ雰囲気は怒っているように感じられた。
なぜこんなに結月ゆかりは
時間さかのぼり。&視点変更。
放課後、教科書を整理して廊下を出るとゆかりさんが壁にもたれて待っていた。
「お疲れ様です、簪ちゃん」
「うん、お疲れ様」
「というわけでアリーナで実践的なことをしましょう。ホログラムの敵を倒すだけじゃわからないこともありますからね。そのために友達に協力を取り付けました」
「うん、いつもありがとね」
「いえいえ、いいんですよ。だって"友達"じゃないですか」
そう言うゆかりさんの顔には笑顔があった。皆から「怖い」とかなんとかかんとか言われてるゆかりさんだけど根っこはすごく優しくて気の回る人だと思う。
「で、その友達ってどんな人なの?」
「すごくいい人ですよ。それn「結月ちゃん!結月ちゃん!」どうしたんですか? 月影さん」
すると向こうから黒くて長い髪に黄色のメッシュが入った人がやってきた。・・・なんだ、あの胸は。
というよりあの人がゆかりさんが言っていた"友達"なのかな?
「大変なの! 第3アリーナでボーデヴィッヒちゃんと凰ちゃんがケンカしててそれをオルコットちゃんが止めに入ってもう大騒動なの!」
「なんですって?」
「それでもう収拾がつかなくなっちゃってるの! どうすればいいと思う?!」
「・・・なんでこうも面倒ごとが舞い込んでくるんでしょうね、私たちは」
そう言いながらゆかりさんはため息をつきながら頭に手を置いた。
「・・・で、どこなんですか? 第3アリーナは」
「あら、止めに行くの?」
「そのまま放っておくわけにもいかないでしょう? 本当は首を突っ込みたくないですが周りに被害が出るのであれば話は別ですから」
「わかったわ! ついてきて!」
「行きますよ、簪ちゃん」
「う、うん」
この時、私は予想だにしていなかった。まさかあんなことになるなんて。
しばらくして。
「ここよ!」
「そうですか」
そう言いながら二人はアリーナへ入って行く。私も後ろについて行った。
そこには・・・
「ぐっ・・・!」
「この程度、か・・・」
生身のオルコットさんを掴んでいるISをまとった・・・誰だあの人?
「えっと・・・月影、さん?」
「何かしら?」
「あれ、誰ですか?」
「あれがさっき言ってたラウラ・ボーデヴィッヒよ。あれでもドイツの代表候補生らしいわ」
「そう、なんだ・・・」
なんかイメージしてたのと全然違うなー。
そして私たちはふとさっきから全然言葉を発しないゆかりさんを見た。
私たちは絶句した。なぜなら
「・・・」
ゆかりさんの顔から表情が抜け落ちていたからだ。
「何してるんです?」
その声を聴いた瞬間、私たちは凍えるような感覚に襲われた。そして理解した。
ゆかりさんは今怒っている、と。
そんなことも多分理解できてないであろうボーデヴィッヒはこちらをくるりと向くとなぜかにやりと笑って言った。
「何をしているか、だと? 見てわからないか? 今はふぬけているこいつらに心構えの違いを教えてやっていたところだ」
するとゆかりさんは無言でベルトを腰に巻き付けた。そしてハーゼちゃんを呼び出してつかむとつぶやいた。
「変身」
そしてベルトに差し込んだ。ただその声は怒りを抑え込んでいるように感じた。
【HENSHIN】
ベルトから体にかけて装甲が展開されていく。そして装甲が展開し終わるとおなじみの音声が流れた。
【CHANGE! HAZE!】
するとゆかりさんは左側についているボタンに手を伸ばすとつぶやいた。
『…クロックアップ』
そしてボタンを押した。
次の瞬間、ボーデヴィッヒは壁にたたきつけられていた。そしてボーデヴィッヒのいたところにゆかりさんがたっていた。
ボーデヴィッヒは起き上がった。しかし、何が起こったのか理解できていないような表情で叫んだ。私たちも理解できていないけど。
「な、なんなんだ貴様は!」
『・・・』
ゆかりさんはそれに答えない。ただじっと彼女を見つめていた。
するとゆかりさんは彼女に向かってゆっくりと歩き始めた。まるで今からどうやって相手を殺そうか、算段を立てているようだった。その姿はさながら"死神"のようだった。
「クッ・・・!」
恐怖心からなのだろう。彼女は大砲をゆかりさんに向けた。
【Rider_Kick!】
すると音声が鳴り響き、ゆかりさんの左足が赤紫色の電流を帯び始めた。
「くたばれぇ!」
そう叫びながら彼女は砲弾を発射した。するとゆかりさんは少し構えると砲弾を回し蹴りではじき返した。赤紫色の電流を帯びた砲弾はそのまま彼女に向かっていき、直撃した。そして彼女は爆発に巻き込まれた。
横に吹っ飛ばされた彼女は地面に這いつくばる。そして強制的に待機状態になった彼女のISはゆかりさんの足元に転がった。ゆかりさんはそれを拾うと憎々しげにつぶやいた。
『・・・お前みたいなやつがISを使うから』
そう言って待機状態のISを握る手に力が入ったように見えた。
『お前みたいなやつがISを使うから・・・!』
さっきより少し大きな声で言うとISの握る手が少し震え始めた。
・・・もしや。
「やめて、ゆかりさん! 壊そうとしないで!」
ゆかりさんはもしかしたら彼女のISを破壊しようとしているのかもしれない。だが、それをしてはいけない。それをしたらゆかりさんはIS学園をやめさせられるかもしれない。せっかくの友達をここで失うのは嫌だ!
「私のレーゲン、返してくれよ!」
そう叫びながらゆかりさんに縋りつくボーデヴィッヒ。さっきまでの威勢はなく、今はただただ懇願する女の子と化していた。ゆかりさんはそんな彼女をじっと見つめる。
『・・・自分のISがなくなったら惜しげもなく敵に対して懇願か。軍人もここまで来たらおしまいだな』
そうつぶやいたゆかりさんの言葉には皮肉は含まれていなかった。ただ、失望したような感じの声だった。そしてあまりにも冷たかった。
「おい、やめてやれよ!」
そこに織斑一夏が入ってきた。そして後ろには・・・誰だあの人?
「月影さん」
「ええ、わかってるわ。織斑君の後ろに入る子は誰?って聞きたいんでしょう」
「はい」
「あの子はシャルル・デュノア。最近1組に入ってきた二人目の男性操縦者兼フランス代表候補生とはあの子のことよ」
「へぇ」
私はそう返事しながらじろじろとデュノアさんを見る。
「・・・男には見えませんね」
「あなたもそう思う? 実をいうと私もなのよ」
「なんでそう思うんです?」
「だって、男性操縦者と言ったら織斑君の例もあるからもっと騒がしくなるはずでしょう?」
「・・・ああ、確かにあまり騒がれませんでしたね」
「そしてもう一つはあの態度と動きよ。見なさい、あれを」
「?」
「男性にしてはあまりにもくねくねしすぎでしょう?」
「・・・オカマじゃないんですか?」
「私もその線は考えたわ。だけどそれにしては股間の盛り上がりがあまりないのよ」
「どこ見てんですか?!」
私は思わず突っ込んだ。
「男装してるんじゃないかしら?」
「じゃあなんで男装してるんですか?」
「性同一性障害でもなさそうだし、何か家族の方で事情があるんじゃないかしら?」
「ああ、あまり深入りしないほうがいい奴ですか・・・」
「ええ」
そんなことを話してる間にも私たちの周りのことは進んでいた。
『・・・なんだ貴様』
「そいつ泣いてるだろ?! なんでそんなことすんだよ!」
『・・・こいつが間違った使い方をしていたからだ。それで生身の人間に詰め寄った。そんな人間に同情の余地なんてないだろう』
そう言いながらゆかりさんは織斑一夏を仮面の下から見た。二人の間に嫌な空気が漂う。
「とにかく! 人を泣かすのはだめだ!」
『こいつも人を泣かしたんだぞ。それ相応の報いを受けるのが筋合いというものだろう』
「それでもだめだ! それでもそいつのISを離さねぇのなら…」
そう言いながら織斑一夏はISを展開した。
「俺がお前を止める!」
『その実力でか?』
「ああ!」
『やれるもんならやってみろ』
「うぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
そう叫びながら突っ込んでいく織斑一夏。するとゆかりさんはボーデヴィッヒを突き放してハーゼちゃんをいじる。
【Rider_Jump!】
するとゆかりさんは思い切り跳びあがって一閃をよけると足を思いきり上下に開脚する。・・・関節柔らかいね、ゆかりさん。
そしてそのまま右足のかかとが織斑一夏の肩に直撃する。
「えっ?!」
びっくりしている織斑一夏をよそにさらにハーゼちゃんをいじるゆかりさん。するとさらに音声が流れた。
【Rider_Kick!】
『オラァ!』
するともう片方の足で思い切り蹴り飛ばす。そして織斑一夏は壁にたたきつけられた。
「がはっ・・・!」
『邪魔をするな』
ゆかりさんは痛みで悶絶している織斑一夏に対して吐き捨てるように言った。
「何をしている」
するとそこに天下の織斑先生がやってきた。どうやら誰かが呼びに行ったらしい。というより来るのが遅いですよ、先生。
「何をしている」
『・・・』
するとゆかりさんは持っていた待機状態のISを織斑一夏に投げつける。そして言った。
『だったらあんたが返せ。この優柔不断野郎』
そう言いながら彼女はこっちに向かって歩いてきた。仮面のせいで表情は全く分からなかったけれど、私にはゆかりさんが
「おい、結月。一体何があった? お前達とラウラとの間に何が・・・」
『・・・』
ゆかりさんは織斑先生にも目をくれず通り過ぎた。
『・・・」
「「・・・」」
ゆかりさんは途中で変身を解除したけど、フードをかぶっていたせいで表情は全く読み取ることはできなかった。
「・・・あの、ゆかりさん」
「結月ちゃん・・・」
「ごめんなさい、二人とも。言いたいことがあるのはわかるんですけど、今は一人にしてくれませんか?」
そう言ってゆかりさんはとぼとぼと歩いて行った。私たちはその哀愁漂う背中を見つめることしかできなかった。
しばらくして。&視点変更。
私はクロックアップを使ってしまったという自責の念に駆られながら歩いていました。すると角から何やら大きな声が聞こえてきたのですぐに壁際によってじりじりと近づきます。そしてそっと覗くとそこには何か言い争いをしているボーデヴィッヒさんと織斑先生がいました。・・・保健室に行かなかったんでしょうか?
「何故です教官!? なんでこんなところにいるのですか!」
・・・何か知れるいい機会かもしれませんね。
「何度も言わせるな。私には私の役目がある。それだけだ…」
「こんな極東の地で何の役目があると言うのですか!? お願いです教官! 我がドイツで再びご指導を!!」
・・・なるほど、そういうことか。つまり、織斑先生はドイツで彼女の教官をしていた時期があったと・・・。おそらく第2回モント・ブロッソの後のことでしょう。
「大体ッ!この学園の生徒など、教官が教えるに足る人間ではありません!! 危機感に疎く、ISをファッションか何かと勘違いしている! その様な者達に教官が時間を割かれるなどッ!!」
なんだと貴様。貴様こそISを本当に理解してないではないか。ISは戦争の道具じゃないんだぞわかってんのか。
「そこまでにしとけよ小娘」
「ッ?!」
「少し見ない間に偉くなったな。十五歳でもう選ばれた人間気取りとは、恐れ入る」
「そ、それは」
「確かにお前から見れば、この学園の生徒は下に見えるだろうな。だがな、お前はなめすぎだ。ここでは最低でも何人か、お前以上に教える価値のある奴らが存在する。結月ゆかりがいい例だ」
・・・ん?
「なっ! あんな奴のどこに強さがあるのですか! 人をバカにするような奴が!」
「あの時のことか。その時の話は聞いている。お前はバカにされる前に勝負を振ったそうではないか」
「うっ・・・!」
「それに、ここではある意味でドイツ以上に力を出せるからな。気楽でいいものだ」
「なっ・・・! 我々のどこに不満があったのですか?! 教えていただければすぐに・・・!」
「何もお前らに不満があったわけではない。・・・気に入ったのだ、ここの生徒をな」
「・・・!」
「もう寮に戻れ。私は忙しい」
「・・・失礼しました」
そう言って一礼するとボーデヴィッヒさんはこちらに走ってきた。そして私と鉢合わせした。
「貴様!」
「やぁ、どうも。奇遇ですねぇ」
「聞いていたのか」
「・・・」
「聞いていたのかと聞いている!」
「・・・その質問に素直に答えるとでも?」
「なっ・・・!」
「で、もうそろそろ帰ったらどうですか? 織斑先生の言うことは絶対なんですよね?」
そう言いながら私は口元を手で隠しながらクククと笑う。
「くっ・・・! 覚えていろ!」
「いやですよめんどくさい」
「その減らず口をいつか叩き潰してやる!」
「やれるもんならやってみろ。"誇り高き"ドイツ軍人」
「・・・!」
彼女はきっと睨みつけながらそのまま走って帰って行った。
「・・・さて、と」
「そこの女子生徒、盗み聞きとは感心せんな」
「やっぱりばれてますよね。あんなに大きな声であの人騒ぐんですもん」
「なんのつもりだ」
「いや、特に何も。あなた方二人の関係を知りたかっただけですよ」
「・・・そうか。早く帰れ。もうすぐ時間だぞ」
「その前に一つ言っておきましょう」
「?」
「ボーデヴィッヒさんはあなたにある意味とらわれてますね」
「・・・なんだと?」
「あなたにあこがれているあまり、彼女の中であなたが足枷になっている可能性が非常に高いと私は見ました」
「・・・もしそうだとすれば、私はどうすればいい?」
「知りませんよそんなこと。自分で考えてください」
「・・・」
「自分で考えてこそ前に進めるんです。人に教えられてばっかりだと脳みそ腐りますからね」
「・・・そうか、そうだな」
「じゃあ私はこれで」
私は織斑先生に背中を向けて去って行った。
私が寮に帰る途中、顔にガーゼを貼っているオルコットさんと凰さんを見つけました。
「どうも、お二人方。調子はどうですか?」
「最悪よ! あいつったら急に吹っ掛けてきたと思ったら私たちのISボコボコにしたのよ?! マジ信じらんない! ・・・後、助けてくれてありがと」
「あまりよろしくはないですわね。あの時結月さんが来てくれなかったら更にまずい状況になっていたと思いますわ。ここでお礼を言わさせてもらいますわ」
「代表候補生に礼を言われるとは光栄ですね。めったにない機会じゃないですかこれ?」
「「・・・そう(かしら)?」」」
「そうですよ。あなた方はもうちょっと自分が代表候補生であることに誇りを持つべきですよ」
私はそう言いながら二人の背中をさする。
「ところで質問はよろしくて?」
「? 答えれる範囲なら」
「なら聞きますわ。あの時ボーデヴィッヒ嬢を懲らしめたときのあれはいったいなんですの?」
「それ私も聞きたかった!」
「・・・それに関しては今は答えれません」
「そうですの・・・」
「でもいつかは答えますよ。・・・その時が来たら、ですが」
「ではその時が来るまで待ちますわ」
「ハハハ、できれば忘れてくれればうれしいですね。じゃあまた明日」
「「バイバイ(ごきげんよう)」」
私は二人と別れました。そしてまたしばらく歩いているとデュノアさんと鉢合わせしました。
「あれ? デュノアさん何してるんですか?」
「ウェ?! い、いや、ちょっと飲み物を買いに行ってたとこだよ」
「ふーん・・・」
私はデュノアさんの耳元に口を寄せてボソッとつぶやきました。
「・・・ばれないといいですねぇ、特に織斑一夏に」
「?!」
「じゃあ私はこれで」
そう言って私はそそくさとその場を離れました。
そして私は部屋にたどり着きました。
「お帰り、ゆかりさん」
「・・・ただいま、簪ちゃん」
私はようやく簪ちゃんと目線を合わせることができました。
「アリーナ、大会まで使えなくなったって」
「そう、ですか・・・」
私は簪ちゃんの横に座りながらぼやきます。
「じゃあどうやって訓練するんですか」
「さあ・・・。もう祈るしかないんじゃないかな?」
「う~ん、困りましたね」
私たちはハァとため息をつきました。その次の瞬間、
「話は聞かせてもらったぞぉおおおお!!!」
「「ウワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア?!!!!!!!」」
「ゲブゥ?!」
あ、びっくりして思わずふんじゃった。で、何がベッドの下から出てきたんだろう。・・・って。
「「篠ノ之博士(束さん)?!」」
「何ちゃっかり束さんって言ってるの結月ちゃん。まあ、別にいいけどさ・・・」
そう言いながらよいしょとベッドの下から下半身を出してきた。
しばらくして。
「うん、私が悪かったよ。さすがにお茶目が過ぎちゃったかなーって反省してるよ。だけどね?」
「・・・(ツーン」
「けがに対する処置がすごく雑じゃない? 私これ全然見えないんだけど。ねぇ、そこの水色の子」
「簪です」
「じゃあかんちゃん。私今どうなってる?」
「みかんみたいです」
「それ絶対ぐるぐる巻きって意味だよね? 絶対オブラートに包んで言ってるよね」
「・・・プフッ」
「笑ってんじゃねぇぞコラ」
「で、なんで篠ノ之博士が来たんですか?」
「ああ、そのことね。じゃあ教えて進ぜよう」
「お願いします」
「訓練したいんだよね?」
「ええ」
「その場所、私が確保してあげてもいいよ~」
「「ホントですか?!!」」
「ただし」
「「?」」
「あの時の瞬間移動、説明してくれたらね~」
「・・・その技術、盗用したりしませんよね?」
「できると思う?」
「ええ、思いますよ」
「残念ながらできないんだな~これが」
「何故です? あなたぐらいの技術者だったらできるでしょうに」
「そもそも土台が違うからね~、できないよ」
「・・・今回はその言葉を信じますよ。もしも盗用したらどんな手を使ってでもあなたを殺しに行きますからね、覚悟してくださいよ」
「君の場合本気で殺しに来そうだから少し怖いんだけど」
「そうですか。じゃあ説明させてもらいます。あの時のあなた方にとっては瞬間移動に見えたあの現象」
「「ゴクリ」」
「・・・クロックアップです」
「「くろっくあっぷ?」」
「・・・説明すればすごく長くなりますし面倒なんですが、それでも聞きたいですか?」
「「うん」」
「・・・タキオン粒子ってご存知ですか?」
「うん、知ってるよ。光以上の速さで動く粒子のことでしょ?」
「ええ。すごく簡略化して尚且つわかりやすく言うとするならクロックアップはそれをまとって10秒間高速移動するギミックなんです。使用している間は周りの者が何もかもすごく遅く動いているように見えるんです」
「じゃあものすごい高速移動ってこと?」
「いや、違いますよ」
「「え」」
「それだったらものすごく頑張れば見えるじゃないですか」
「確かに、カメラの映像をハッキングしてスローモーションで再生しても見えなかった・・・」
「・・・その言葉は聞かなかったことにしておきますよ。で、高速移動とはまた違うんです」
「じゃあ、どういうことなの?」
「私が考えるに"周りとは違う時間軸に移動する"と言った方が正しいと思うんです」
「じゃあ、時間軸を移動するってどういうことなの?」
「・・・すみません」
「「え?」」
「実をいうと私もよくわからないんです。このギミック」
そういうと二人ともずっこけた。
そしていち早く起き上がった束さんは言った。
「と、とにかく、それを使えば目にもとまらぬ速さで動けるわけだ」
「はい、そういうことになりますね」
「反則じゃん、それ・・・」
「だからあの時、ボーデヴィッヒさんが急に吹っ飛ばされたわけだ・・・」
「だったらなんでいつも使わないのさ」
「・・・ダメなんですよ」
「「え?」」
頭の中でここ3年間の思い出がよみがえる。私は震えだす手を必死に抑えながら言う。
「それをやたらむやみに使えば、聞かなければいけない声も聞き逃してしまう・・・! 全てを置き去りにしてしまうんですよ・・・!」
「お、落ち着いて」
「ご、ごめんね。なんか嫌な思い出を思い出させちゃったみたいで・・・」
「い、いえ、大丈夫です・・・」
私は荒くなった息を落ち着けるために息を深く吸い込みました。その間、簪ちゃんは私の背中をさすり、いつの間にか頭にぐるぐる巻きにしておいた包帯をほどいた束さんは頭をなでていました。
続く
まさかの8000字オーバー。
そして小説内で初クロックアップ使用。
今回は詰め込みすぎてすごく疲れました。
ですが同時にすごく楽しかったです。
次回の『結月ゆかりはISの世界で仮面ライダーになるようです。』は!
「ついに来ましたね。タッグトーナメント」
「あら、珍しいコンビね」
「見ててくださいよ。あれ絶対連携できませんから」
「これで終わりだぁあああああ!!」
「う、うわぁああああああ!!!!!」
次回、『大会』