Girls und Panzer ~Falling down Anchovy~   作:ROGOSS

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更新が遅くなり、申し訳ありません。
諸事情により遅れてしまいました。
これからは週末更新をしていきたいと考えています。
他作品も随時、更新していきます。


A feeling of wrongness

 最初に違和感を感じたのは、思わずこぼれた笑みにカプレーゼが不審な視線を向けていることに気が付いた時だった。

 私はこんな笑い方をしていたか?

 普通ならば、到底思い浮かばないような疑問。何の問題もなく嚙み合っていた人生という名の歯車が、僅かに軋みをあげ止まろうとしている。しかし、私にはどうすることもできない。止まらぬよう祈るのがせいぜいだ。

 カプレーゼは既に視線を前に戻し、O地点である木々の多く生えている山の上へと向かっていた。雪の色が今なお濃く残る雪山の戦場。

 山岳部の多いイタリアでの運用を前提に作られた戦車だけあって、足回りに関しての心配はない。強いて言うならば、慣れない雪道を高速移動しなくてはいけないためスリップの心配くらいだが、カプレーゼの技量ならば何の問題もなく走行できるであろう。

 

統帥(ドゥーチェ)、通信が入っています」

「そうか、代わってくれ」

 

 通信機を受け取る。聞こえてきたのは、砲撃音の中必死に逃げ続けているであろうカルパッチョからだった。

 まだ逃げきれていないのか。

 思わず眉間に皺をアンチョビは寄せる。この行動一つですらそうだ。私はここまで、不快感や嫌悪感を表情に出すような人物だったか?

 疑問に答えることはできない。答えることができる者もいるとは思えない。

 

統帥(ドゥーチェ)、申し訳ありません』

「敵を連れてこられても、何もできないぞ」

『わかっています。ですが……予想以上に敵の追手が激しく……』

『ご安心を姐さん! 私が必ず!』

「ぺパロニ、なぜそこにいる?」

 

 握りこぶしを作る。

 どうしてそこにいる? どうしていつも私の指示に従わない? それは考えがあるわけじゃない。無計画に無鉄砲なだけだ。私の考えを一度くらい、しっかり聞くことはできないのか?

 沸々と湧き上がる怒りの感情。抑えろ、抑えるんだ。全体に通信が繋がっている。ここで怒鳴りでもすれば、全体の士気に関わる。無意味な感情の吐露など、愚かな指揮官がするだけであって……

 

「何をしているペパロニ!」

『……姐さん?』

 

 考えと行動が一致しない。咄嗟に、反射的に出てきた一言。

 本当に私が言ったのか? 私は言ってしまったのか? 今まで隠してきた感情を、こんな場面で言ってしまったのか?

 

「そんなに助けになりたいなら、CV33部隊を率いて囮になれ!」

統帥(ドゥーチェ)! T-34部隊にCV33で挑むなんて……!』

「命令を聞けない奴なんて、いても混乱を招くだけだ! 覚悟があるから、自分の考えがあるから私の指示を聞かないのだろう? だったら、やってみろ! 証明できたら考えてやる」

統帥(ドゥーチェ)……ですが……』

『了解です……! 姐さん、あんたは一体誰だ……?』

「……私は私だ」」

 

〇 〇 〇

 

「……カチューシャに通信を」

「はっ」

『ノンナ、どうしたの?』

「はい。どうも、普段のアンツィオらしからぬ行動をしているので」

『……そうね。私もそう思うわ。アンツィオは味方を囮なんかにしないわ』

 

 やはり……あなたもこの違和感に気が付いていたのですね。

 アンツィオを率いるアンチョビが、中学までの戦車道では見方を切り捨てるような合理性を求める作戦を立案していたことを多くが知っていた。しかし、アンツィオに入学して以来、それまでの冷酷さはどこかへ消えてしまい、どんな時でも味方を責めない見捨てない、ある意味では隊長の鑑のような存在となっていた。

 それが、ここで、たかが練習試合で今までのやり方を変えるというのか?

 目の前に広がるのは何もない森。この先に罠を仕掛けているとは考えづらい。雪の戦場はプラウダにとって自分の庭で戦っているようなものだ。下手な小細工など通用しない。

 では、何が考えられる? アンチョビと急遽、隊長が交代し、作戦の質そのものが大きく変化した。だが、試合中にアンチョビが行動不能になることなどそうそうないだろう。可能性は限りなく低い。

 次に考えられるのは、目の前のCV33部隊の暴走だ。これといった考えもなく、ひたすら逃げ続けているだけなのか? 確かに、距離は若干ながら開きつつあるが、T-34-85の射程を考えれば、このまま逃げるのはただのジリ貧でしかない。まさに無意味な行為だ。アンチョビならば既にそんなことに気が付いているだろうし、次の指示を出しているか救援部隊を送っているだろう。

 

「わかりません。はたして我々は……誰と戦っているのでしょうか?」

『ノンナ……?』

「ただ不気味なのです。数分前まで統率の取れていた部隊は突如、意味不明な行動をとる烏合の衆と化してしまった』

『問題ないわ。勝つのはカチューシャよ。さっさとその不気味な奴らを倒して、帰るわよ』

「そうですね。わかりました」

 

 通信を終える。心の隅へと心配事は追いやり、今は前だけを見る。照準にはCV33のケツを捉えている。あとは引き金を引くだけだ。

 

「考えていても仕方ありませんね。まずは……目の前の敵を撃破するまでです」

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