Girls und Panzer ~Falling down Anchovy~   作:ROGOSS

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またまたお久しぶりです。
更新の時間です…


stare in wonder

 クアトロこと久遠知代の日課は、あの日をもって大きく変わった。

 朝5時には目を覚まし、ランニングを始める。マイペース、いや、ここではあえて呑気と言わせてもらおう。とにもかくにも、そんな気質の多いアンツィオ生が多い中で、彼女はこの日課を続けていた。

 明確な理由などない。隊長に期待するだけ無駄だとわかっている。それでもいつか、いつかアンチョビがかつての冷酷なまでの強さを目覚めさせる時が来たなら、自分が真っ先にその右腕になりたいと願い続けいるがゆえの行為だった。

 知人からは、そんな日は一生来ないなどと馬鹿にされているが関係ない。

 信じるもののためにひたすら走り続ける。不器用な生き方しかできない自分は、このやり方しか知らないのだから。

 そう、これまでは願いにしか過ぎなかった。

 1時間のランニング後、軽い朝食を取り登校する。教室よりも、まず戦車の眠る車庫に挨拶を。

 無人の車庫に一人孤独にいる時間に寂しさを感じなくはなかったが、今更と割り切っていた。

 そう、あの日、あのプラウダとの練習試合の日まで、私はこの場所に一人でいたのだ。

 だがしかし、今はどうだ。

 見渡せば、アンチョビに落第とされた生徒の2割と合格と言われた生徒全員がせっせと戦車の整備をしているではないか。

 アンツィオは大きく変わった。

 落第組と合格組を作り、互いに競争心をあおる。格差はできたが、アンツィオの雰囲気はこれまでとは段違いになった。

 真に勝利を求める者の貪欲な姿勢には素直に評価を下す。勝利を求めず、なあなあと毎日を送る者にはそれに値する罰を与える。

 独裁者の仕業と言うものは必ずいる。しかし、戦車に乗る者に必要な自覚が足りないだけではないか。

 

「今のアンツィオは好きだ」

 

 仁王立ちで整備の様子を眺めているアンチョビを見つけると、クアトロは走り出した。

 

「隊長、遅くなりました」

「気にすることはない。お前は副隊長なんだ。少しくらい、遅れたからといってかまうものか」

「しかし、隊長よりも早く来るべきか……」

「いいんだ。私が急いているだけだ。お前は私の後ろから、正しい道を進んでいるかしっかり吟味して教えてくれ」

「……はい」

 

 その言葉の重さは自覚している。

 この現状が正しいか間違っているか。万人に聞けば、半数以上は間違っていると非難するだろう。

 だが、黒森峰はどうだろうか? あの学校には、2軍3軍といういわゆる落ちこぼれがいる。1軍を日々目指している隠れた猛者には失礼だと思うが、一度落ちこぼれの烙印をおされた者がのし上がるには通常の数倍の努力が必要である。

 ここは実力に見合ったものを得ることができる場所。

 今のアンツィオは黒森峰と何ら変わりはない。

 ここから数年、仮にアンツィオが結果を残すことがあれば、アンチョビは正しかったという声が多方面より上がるだろう。

 つまりはそういうことだ。今のアンツィオに足りないものは結果。しかし、数週間後に控えている全国戦車道大会で結果さえ示せばいいのだ。

 間違いなく、今のアンチョビなら優勝へ導いてくれるだろう。

 確信にも似た、狂信。

 

「クアトロ。お前には期待している。私は、勝ちに行くぞ」

「はい!」

 

 あぁ、憧れの存在が手の届く場所にいる。

 心の充足感は大きい。これ以上求めることはない。

 憧憬のまなざしでアンチョビをクアトロは見つめ続けていた。

 そう、彼女は気づくことはなかった。薄暗い車庫隅で、怒りの視線を向けている存在がいることに……。

 

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