Girls und Panzer ~Falling down Anchovy~   作:ROGOSS

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あれ…1ヶ月前に更新…?(現実逃避)


Hate Get

 砲撃音が試合会場に響き渡る。次いで、火薬の臭いが鼻孔の奥へと入り込み、耳をつんざくような激しい爆発音が追いかけてくる。

 

『フラッグ車撃破! 勝者、アンツィオ高校!』

 

 会場の至る所に配置されているスピーカーからアンツィオ高校が勝利した旨の放送が流れる。

 

「これで3連勝目だ……」

 

 隣にいる誰かが小さくつぶやいた。

 思わず舌打ちをしたくなる気持ちをこらえ、両の手を握りこぶしへと変える。

 勝利することがそんなに嬉しいか? 人間の心を捨ててまで勝つことが、どれだけ大切なことだというんだ? そんなもの、まがい物じゃないか。

 自分でも驚くほど、難しい単語がスラスラと脳内を駆け巡る。もっとも、他の生徒からすれば大して難解な単語は使っていないのかもしれないが、頭が空っぽだと思われている彼女の口から聞いたとすれば驚いた顔をするのは間違いないだろう。

 一人の生徒がアンツィオ高校の控え席へと大股で歩み寄ってくると、「片付けをしろ」と言い残し去って行った。

 今のアンツィオには試合後にお互いの健闘をたたえる食事会など存在しない。もちろん、巨大なパスタ鍋や移動式石窯など今では学校の隅にある倉庫で埃を被っているだろう。

 

「……やるぞ」

 

 悔しさをにじませた声を絞り出す。

 伝統を重んじるような性格ではない。だが、あの一時は本当に楽しかった。そこで出来た新たな友情や信頼が、アンツィオを支えていく大きな柱になるのだと信じていた。

 霞のような夢がキレイに晴れた時、ペパロニは歩き始めた。

 試合に出ていた一軍が笑顔でバスへと乗り込んでいく。

 二軍である自分たちは、一軍の残していったゴミや戦車の積み込み、忘れ物のチェックなど雑用をしなければならない。

 特徴的なツインテールを持つ統帥ことアンチョビと一瞬だけ目が合う。先に目を逸らしたのはペパロニの方だった。

 勝つ方が楽しいのはわかる。勝つ方がもっと楽しめるのはわかる。だが、勝つことのみを目指す戦車道をやりたいというのならば黒森峰にでも行けばいい。それが叶わないなら、強豪と呼ばれる聖グロやプラウダ、サンダースだってかまわない。

 どれだけ弱かろうとも、万年一回戦敗退であろうとも、アンツィオにはアンツィオにしかない良さがある。

 それをわかっていたはずだ。それを理解して、その良さを深く愛していたではないか。

 変化は突然おとずれた。

 プラウダとの練習試合の最中、敬愛していたアンチョビの性格は180度変わってしまった。

 合理主義、勝利のためならばいかなる犠牲もいとわない、冷酷で冷徹な策戦指揮官。

 噂でしか聞いたことはないが、中学時代までのアンチョビがまさにそれだったらしい。魔神アンチョビの復活ということだろうか?

 アンチョビが変化した後、真っ先にかけられた言葉は「他人を蹴落とせるか?」だった。意味など考えるまでもない。今まで仲良くしていた、戦車道に不向きな者を蹴落として、より強みを目指す気はあるか? というものだ。

 一軍へのスカウトであり、この誘いを断るということは二度と一軍へと上がることは出来ない二軍という奈落へ突き落とされるということだ。

 不思議と迷いはなかった。迷いよりも怒りのほうが強くあった。

 

「そんな姐さんとは、一緒に戦車には乗れないッス」

 

 アンチョビは僅かながらに悲しそうな顔をすると何も言わずに去って行った。

 だがペパロニはわかっていた。アンチョビは決して、ペパロニに言われた言葉に傷ついたり、一緒に戦車道を出来ないことに対して悲しんだわけではない。即戦力を確保できなかったことに対して落胆したことに。

 二軍の雑用というのも、決して楽なものではない。ある時は一軍のストレスの捌け口として利用されることもある。アンチョビもその事実を知っていながらも黙認していることから、行為はエスカレートする一方だ。

 二軍など必要ないのだろう。人間としてすら見ていないのだろう。

 ペパロニの代わりに副隊長の座に就いたクアトロはかねてより魔神アンチョビに憧れていたらしく、今の現状に満足しているようだ。

 認めるわけにはいかない。私達は、かつてのアンツィオ高校を必ず取り戻す。そのためならばなんだってする。ただ今は、我慢するんだ。虎視眈々と、反逆の時を待ち続けるんだ。

 ペパロニは静かにその意思を、改めて強く誓うのだった。

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