________原初の記憶というものがある__________
俺にとっての原初の記憶とは、母が弟を抱いているときの光景だ。母は木の椅子に座ったまま弟を抱き、そして、弟は何が楽しいのか、母の顔を見て笑っている。そんな光景が俺は少なくとも俺が騎士として、戦場に出るまではつづくと考えていた。
________だが、そんな風景は、ウーサー王が崩御なされた年の秋に崩れ去った。________
ウーサー王が崩御なされたために、騎士の一族である我が家は彼の王の御葬式に参加しなければならなかった。そのために、俺と弟と母と父の部下の騎士たちとともに馬車で首都に向かった。その途中のことだ。急に馬車が止まり、周りが騒がしくなった。そこで、俺は何が起きているか周りの騎士に聞こうと馬車の扉を開けた。目前の騎士は険しい顔をして、馬車の進路方向を見ていた。そして、騎士は燃え始めた。俺は何が起きたかわからずに騎士が燃えているのをただ見ていた。魔術師のローブを被った若い女性が、生きながら焼かれている騎士の隣を通り、俺の前に来て、俺の目をみてこういった。
「坊や、ごめんなさいね。少し馬車から降りて少しの間、そこで座っていてくれないかしら。」
そこから記憶は少し跳び、気が付くと弟の鳴き声がした。急いで馬車に戻ると、左側だけ赤い旅支度の服を着て笑っているように見える母と「母様、起きて」と何度も叫びながら泣いている弟がいた。あたりを見渡してみると、人間のような形をした炭とくそみたいな匂いがしていた。そして、母が死んでいるという事実に目を向けて、ただ、声を上げた。
そして、泣き続けること何刻か経った後に、偶然通りかかった騎士団が現れ、俺と弟の姿を見て、そして、周りに倒れている人たちの姿と母の姿を見て、一瞬、ある騎士が泣きそうな顔をしたが、すぐに感情を殺したかのように状況を少しでも把握していそうにみえたのか、俺に何が起こったかを聞いた。
「聞こう、小僧。お主は此処で何があったか、今、しゃべれるか。」
俺は涙を流していたのか、何度もしゃっくりのようなものをしながら応えた。俺の話を聞いた後、騎士は弟に話しかけ、そして、俺と弟が泣き止むまで、ずっと抱きしめてくれた。泣き止むころには弟は眠っており、いまだに眠ってないおれに騎士は言った。
「小僧、名は何という」
俺はその質問に対して、
「俺の名は『ベイリン』といいます」
と答えた
_____その後、俺と弟はその騎士に連いていき、王都についた。______
お読みいただきありがとうございます。