育成のための心臓が...
俺とベイランは大通りに出た。大通りは活気にあふれていた。大通りにて商人は声を張り上げ、商品の利点を叫んでいた。店内では所せましに商品が並べられており、自店の品質はこの水準ですと誇っているようだった。その活気を王都にきて以来ずっと引きこもっていたベイランはその活気にあてられていて、唖然としていた。
「どうした、ベイラン?王都の人の多さにあてられたか?」
「はい、そうですね。私は初めて王都の大通りを見ましたが、このように物と人がたくさんあるとは少し予想外でした」
と元気のない表情でベイランはいった。元気のない表情だが、部屋のこもっているときの精気のない表情より幾分か俺にはましに見えて、続けて
「そうだな、俺も初めて見た時はお前のように唖然とした。その時にな、俺は少しはしゃいで、何もないところでこけてバーロンから小言を授かった」
「兄さまでも何かにはしゃいでこけるのですね」
と自嘲気味に言う俺に対して、ベイランは少し笑顔を見せて言った。その久しぶりの笑顔を見て、母が動かなくなる前のベイランに戻ってきているように思った。母が動かなる前のベイランはよく笑顔をみせる優しい弟だった。母が料理に失敗したときは、苦笑いしながら俺と一緒にその失敗した料理を食べたりした。ベイランが少しでも元の様に戻ってくれればと思っていた俺とバーロンからすれば、この少しのベイランの変化はとても喜ばしいものだった。
「あ、兄さま。本屋です、少しよってみてもよろしいでしょうか?」
「そうか、では少しよって行こうか」
という風に少しでもベイランの興味のある店やベイランが部屋にこもっている間にバーロンに教えてもらったおすすめの食べ物の露店を巡ったりしていた。ベイランともにいくつかの店を巡った後にとある全身真っ白な胡散臭い詐欺師のような魔術師のような男が現れ、俺たちに
「やぁ、私はここで少し占いをしている魔術師だ。できれば君たちの名前を教えてほしいな」
と何とも機械的な、まるですでに知っているかのような目で笑いながら話しかけてみた。
「私の名前はベイランと言います」
俺が魔術師の男の魅せられながらも恐怖していた間に弟は答えた。弟は俺の感じたような恐怖を全く感じることなくただ男に魅了されているようだった。弟が先にこたえて数瞬のち、自分も名乗り忘れていることに気づき、遅れながらも
「俺の名はベイリンと言います」
と魔術師の要望に応えた。すると魔術師は、表情を少し変えながら誇らしげに
「あ、私の名前を名乗っていなかったね。私の名前はマーリンというんだ。花の魔術師の『マーリン』だ。よろしくね、ベイラン、ベイリン」
と自身の名をかたるのであった。その名を聞いて、まずは最初に出てきたのが驚きだった。花の魔術師マーリン。その名はこの国においては知らぬ者はいない魔術師の名だ。ウーサー王が最も信用し、頼っていた存在だからだ。マーリンはその知恵とその魔術をもってウーサー王の統治をより完ぺきに近いものにしていた。そして、次に浮かんだのがなぜ、話しかけてきたのかという疑問だった。それについて問おうとした瞬間、
「あぁ、そんなに身構えなくても大丈夫だよ。私はとある人物のために君たちに知り合いになってほしい人がいるから、ここで占いを始めたんだ」
「つまり、俺たちにあってほしい人がいると?」
「そういうことだね、今からでもできればついてきてもらいたいけどいいかな?」
とマーリンから言われたことに目の前の男が本物の花の魔術師か、どうかを疑わなかったがこのような小細工をする理由をうたがった。マーリンほどの権威のある人物であれば、こんな小細工など使わずに俺を目的の人物に合わせることができるからだ。だが、その思考はひとまず突然耳が拾った弟の言葉にさえぎられた。
「兄さま、私はマーリン様の紹介にいってみたいです」
その一言で俺はとりあえずマーリンから紹介したい人がどのような人物か聞いてから決めようと思った。
「マーリン様、あなたが紹介したい人物はどのような方なのですか?」
「彼はかなりひねくれた人物になるだろうけど基本いい人だよ。あ、身分で言うなら君と同じ騎士家の嫡男だ。それと人物について聞いてくれるということはとりあえずついてきてくれるということでいいのかな?」
「えぇ、あなた様ほどの方が俺たちなんぞに紹介したい方がおられると聞いていかないわけいかないでしょう」
「そうかい、それではついてきてくれるんだね。それでは早速行ってみよう」
マーリンについていき、たどり着いたのは自分と同い年くらいの少年の前だった。
「ケイ、先日君に紹介したい人がいるといったね。それが今目の前に彼らだよ。そじて、ベイリンとベイラン。君らに紹介したい人とは君らの前にいるエクター卿の御子息のケイだ」
というような対面をケイとした。
復刻イベントの素材がいい感じですね