「は、は、はっくしょん!………うわ、寒」
鼻からはみ出た汁をズルズルと啜る。
時は朝、肌寒い気温が肌を撫でる。
ベットで眠れていたと言うことは、昨日の夜に襲撃はなかったわけか。
いや、それにしても、
「…俺って、寝相悪かったか?」
俺はベットの上を二転三転転がる過程で布団を端っこに置いてしまったらしい。
時刻を見れば朝の6時、うん、丁度いい時間か?二度寝するのもアレだしとりあえず起きよう。
グイグイ
布団を直そうと手をつけるがまるで縫い付けられたように布団は動かない。
パチン!
「……っ!?…??……???」
布団に殴られた。
な、何を言ってるか分かんねえと思うが…ry
え?なにこれ?ポルターガイスト?怖……。
怖いからもう執務室を出よう、幽霊だったら洒落にならんぞ。
「おー、おはよう」
「ふわぁ、おっはー」
食堂に行くと、MT娘のフリュークがいた。
彼女は糖分を得るためにチョコレートを貪っているようだ。
「あ、今日は昨日襲撃した拠点を偵察に行ってもらうから」
「うん、OK」
フリュークと話をしながら朝食を取り、他ののーまる娘鴉やアリーヤが来たので今回の任務を説明する。
「今回は周りの敵拠点を偵察する班と昨日襲撃した拠点を確認に行く班、最後に鎮守府を防衛する班に分けて任務を行う」
昨日転生したからまだ周囲が敵に囲まれてる以外にわかってることが少ないんだよね。
だから今のうちにマッピングとか調査して態勢を整えないといけない。
なので今回は偵察任務、それで班分けはこんな感じ。
周辺偵察班
アリーヤ Lv1
キルドーザー Lv1
拠点跡偵察班
ビルニーズ Lv10
サウスネイル Lv2
ピンチベック Lv1
フリューク Lv2
防衛班
00B-2 Lv1
048AC-Sサイレントアバランチ Lv6
ディギー Lv4
「あれ、ビルニーズって、なんでこんなにレベル高いの」
「ん?そんなの決まってるだろ。フレンドリーキルを含めた敵のキルのお陰だ」
いや、フレンドリーキルって……おいおい。
ディギーも4レベまで上がってるけど、多分物資輸送で経験値もらえた感じか?
「偵察に行ってる間、お前は何をしてるんだ?」
「建造が終わったのーまる娘鴉を見て来る」
その後はこの鎮守府に残ってる装備を確認しておきたい。
「それでは、出撃します」
「いいぃぃぃくぅぞぉおおおおおおおおおおおうううううう!!」
アリーヤとキルドーザーが鎮守府を出た。
あの2人は機動力を生かして敵の陽動を努めながら周辺を見て回ってもらう。
機動力が半端ないしプライマルアーマーもあるからそうそうやられはしないだろう。
「よし、ディセイブトリオ。偵察任務に就くぞ」
なんだあいつらチーム名でも決めたのか、それにしても酷い名前だ。
フリュークも肩を竦ませて3人組の後を追って行く。
サイレントアバランチは鎮守府で一番見晴らしのいい場所取りへ、00B-2は防衛待機ではなく護衛待機と俺の背後に着いた。
ディギーは元々土木系の作業用なので防衛戦力として数えていない、今は倉庫で資材の整理をしているだろう。
「さて、新しいのーまる娘鴉とのご対面だ」
工廠に着いてすぐに建造が終わったのーまる娘鴉に会いに行く。
ガレージの向こう側から眩しい光が発せられ、それが弱まると目の前に、
バケツを被った女がいましたとさ まる
「…………」
「…………」
気まずい沈黙が流れる。
目の前のバケツ女は頭部ヘッドパーツであるクリケットを磨いている。
どうやらヘッドパーツを整備している場面に出くわしたようだ。
ともかく、今一番の謎は、なぜ本来のヘッドパーツであるクリケットを磨いている途中で、素顔を晒さずにバケツを被っているのだろうか……だろうか。
まあ、クリケット、バケツの時点でこの不審女の名前は分かったんだけど。
「俺は……君の提督に当たる…風見 空だ」
「フム、丁度いい。私は重量二脚 フォックスアイだ」
やはりか。
ただ、フォックスアイはどうやらNX装備らしい、所々違いがある。
もしやこれに条件を満たして改造を行えはLRver.にモデルチェンジするのだろうか。
というかフォックスアイって弱王ダンスとか呼ばれてるから戦力になるのか?LRじゃ参謀ポジだったから艦これでいうところの大淀になるのか?
「フォックスアイ、お前は俺の補佐に就て貰う」
「良いだろう。この鎮守府のデータと戦力、敵対勢力の情報をくれ」
各種データはキャロリンがフォックスアイのクリケットに纏めて送ってくれた。
あと、暇とコジマと技術を持て余していた主任が00B-2の大出力コジマライフルにモードチェンジ機構を追加した。
これのお陰でチャージやオーバーキルに問題のあったコジマライフルがアサルトライフル同等のチャージング性能を手に入れた。
アサルトライフルと同じ速射性で2倍以上の威力………あれ?ネクスト最強じゃね?
多分どんな敵でも数秒で溶けるな。
2時間後、3騙トリオとフリュークが帰って来た。
深海棲艦達は配下の陸上棲兵に命じて拠点の立て直しを行なっているようだ。
倉庫に注ぎ込まれる資源から、フリュークの見立てでは一週間程で元の資源状況まで戻るらしい。
それならまた強奪しに行かなければ相手にとっても失礼に当たるだろう。
昼になると、周囲を見て回っていたアリーヤとキルドーザーが帰投した。
2人とも結構満身創痍だが、アリーヤはそれを顔に出さずに笑顔で報告する。
「周辺のマッピングと敵の編成・種類の確認が八割型完了です」
アリーヤが頭に被っている?乗せている?頭部ヘッドパーツが観測した地形や建物を読み込んで3Dマップを作製してくれたようだ。
近場から姫級4体が居座る本拠点までの距離や各地の高低差が細かく映し出された。
深海棲艦の種類は分かってるけど、陸上棲兵とやらの種類は全然知らなかったので助かった。
それで、あと2割は姫級を守る近衛兵ポジションのため、図鑑コンプはまだまだ遠い。
「? この海域近くの島はなんだ?」
示したのは鎮守府から離れたポツンとした無人島。
「あ、実はそこへ行くまでに進路方向の姫級の軍勢から熾烈な迎撃を受けて……すみません」
なるほど、純粋な練度不足と戦力不足でここら周辺を抜ける事は出来ないというわけだ、さしものネクストの機動とプライマルアーマーを持ってしても耐え切れない砲迎撃を喰らったのかもしれない。
「ぬあぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!レベルがあぁぁぁ上ぁぁぁってもおおおおおお!!手数がぁぁぁ足りぃぃぃーーーーーーん!!」
キルドーザーが両手に装備するドーザーが結構損傷が酷くなっていた。
前面部のブレード部分に欠けている場所が幾つかあったのだ。
話を聞くと、レベルが1の状態で硬い素材で覆われた敵拠点の壁や重装甲の敵を散々にぶん殴っていたという。
簡単に言って、レベル不足、ステータス不足、これは時間が解決するだろう。
そしてそれは、キルドーザーのレベルが上がってステータスが上昇すればもっと簡単に殴殺出来るようになる筈だ。
もっとも、愛用のドーザーが壊れる寸前まで殴りに殴ってきたキルドーザーのレベルは既に20を超えて、30手前に迫っている。
建物倒壊ボーナスとレベルの高い敵を2、3体殴り殺したお陰らしい、と彼女は凄く喜んでいた。
というかもう、ドーザー外してとっつきでも装備すれば良いのに……なんて思ったがそれを言うと俺が殴り殺されそうなので止めといた。
「それじゃ、風呂の準備は済んでるから急いで入ってきな。あ、ドーザーは修理するから置いてけよ」
「イエェェェェェェス!!」
「はい。失礼しますね」
ひとまずアリーヤとキルドーザーは入渠。
執務室には護衛役の00B-2と参謀役のフォックスアイだけ。
「よく分かった。先ずは鎮守府から東南に数キロ離れたこの拠点を襲撃させよう」
作戦を立案したフォックスアイによると、ここの編成が輸送兵種が多く占められているのに資材の匂いがする、と言う事だ。
実際今資源に余裕は無いし、あるならあるで鎮守府の補強や戦力強化に注ぎ込んでしまいたいのでフォックスアイの作戦を了承する。
「編成は……新兵装の試験も兼ねて00B-2とフリューク、ディギーに……」
これに加えて3騙トリオを出すと防衛戦力が無い、かと言って3人だけにするのも………。
「何を迷う必要がある。今ある資材を回せば良いだけの事だろう」
あ、なるほど、それもそうだ。
高速建造材もかなり余っているらしかったし、ねくすと娘空3回にのーまる娘鴉を6回回そう。
投入資材と結果は以下の通りに。
のーまる娘鴉
1回目 コジマ無し 配分高め
リーパーバード Lv1
2回目 コジマ無し 鋼材多め
フレンチ75 Lv1
3回目 コジマ無し 最低値
ドラグーン Lv1
4回目 コジマ無し 配分高め
デュアルフェイス Lv1
5回目 コジマ無し 弾薬少なめ
グリーンウィッチ Lv1
6回目 コジマ無し 配分高め
ワンダーレイド Lv1
ねくすと娘空
1回目 コジマほどほど 配分高め
マイブリス Lv1
2回目 コジマほどほど 鋼材・弾薬多め
バガモール Lv1
3回目 コジマほどほど 燃料多め
シューマッハ Lv1
「また部隊のACをやれって事か。誰が何を企んでるのか知らんが、これから厄介になるぞ」
「着任、提督を補足。指示を願います」
………ガチタンなのに火力が足りなry
「お前の私兵になれと。……ただの傭兵、そう言う風には、もう生きられぬ時代か」
「似てる……私に」
似てねえぞ、少したりっとも。
「わぁ、緑も何もない所ですね。魔女の家庭菜園って名前で野菜作りしても良いですか?」
「………」
「ははっ、マイブリスだ、宜しくな。所で…酒とか置いて無いか?なぁに、何事も美人の涙が最優先……だろ?」
「我輩!ハラショーーー!なのであーーーry」
のーまる娘鴉がVD系が3人にNXと3と2AAから1人ずつ。
んで、ねくすと娘空がACfA、4、そして……、
「やぁ、随分と久し振りだね。空」
なんとなんと、ACfAのORCAルートで使用していた俺の愛機が出て来た。
「ストレイドとあと1人はいない…そうか。今なら僕だけが空を独り占め出来るわけだ」
企業ルート、ORCAルート、人類種の天敵ルートで共通するフルアリーヤフレーム。
右手にはインテリオル・ユニオンの最新式レーザーライフルを、左手にはまたまたインテリオルのレーザーブレードを装備し、背中にはオーメル・サイエンスの追加ブースターを装備した少女。
髪の色は紺色、水兵が着るネイビーブルーの、肩の部分がないオフショルダータイプのセーラー服の下に、両手から首までを覆う黒のハイネック。
腰部分に鎖の付いたネイビーブルーのスカートと、下に黒いタイツを履きこなしている。
オーメルと繋がりのあるORCA旅団が改修を施したネクストという密かな設定に準ずるように、大きくくりっとした瞳やあどけない輪郭にしては澄ました顔のためか、どこか大人びて見える。
ゲームではアリーヤのEN効率とEN兵装しか用いない関係から地上メインでブレードを振りまくって遊んでいたが、建造で出てくるとは……中々に感動的だな。
「ま、僕の計算だとあの2人がやって来るまで時間はたっぷりある。焦らずゆっくり……2人っきりで楽しもうよ」
(ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!なんだ、そのセリフ!手つき!表情!そして背中の感触うう!!まさか……これら全て計算通りだとでもいうのか!?狙ったか!こやつめ!)
ぴょんっと跳ねて俺の背中に着地したシューマッハが首に両腕を絡みつけて耳元にふぅっ、と息を吹きかけながら、にいっと笑う。
彼女の指が俺の鎖骨のラインをなぞり、少女のお胸がすりすりと背中を擦る。
理性パラメータがマッハで振り切る2秒前だったが、言葉通りに焦らずじっくりヤル気のようで、パッと背中から降りた。
「……と、とりあえず着任早々だが、編成を組んで敵拠点に襲撃をかけてもらう」
命令を出すと、特に歯向かうこともなく、9人はフォックスアイの誘導で編成を組んだ。
襲撃班
・00B-2
・ディギー
・リーパーバード
・ドラグーン
・デュアルフェイス
・ワンダーレイド
備考
・敵拠点の襲撃と資源の強奪。
防衛班
・フレンチ75
・グリーンウィッチ
・ビルニーズ
・サウスネイル
・ピンチベック
・サイレントアバランチ
備考
・敵は全て殺せ。
探索班
・シューマッハ
・マイブリス
・バガモール
・フリューク
備考
鎮守府から通じる下水道から島外への脱出経路を確認・探索。
「この鎮守府にそんなものがあるのか?」
「ああ、結構大きい。海辺近くの母港には敵に占拠された艦娘用のカタパルトがあるが、こちらは排水だとか、別の用途で使われる物だろう」
大きいといっても密室の、それも足場の悪い空間を探索させるので、万全を期すためにねくすと娘空と光学迷彩が使えるフリュークを編成に組み込んだようだ。
その割にバガモールを隊に組み込んでる所に首を傾げたくなるが、何故ロケットバカのこいつを狭い空間に放り込んでしまうのか、右手以外ロケットの時点で明らかに人選ミス過ぎるだろう……。
「まあ、こんな所か。それじゃ、期待してるぞ。頑張ってくれ」
「00B-2自律システム起動。出撃しマス」
「よし、乗り込め!」
「GO!GO!GO!GO!GO!」
00B-2の腰部分ハンガーと繋がった、車輪の付いた戦車?へと、ディギーやリーパーバード達が次々に乗り込んでいく。
しかし、00B-2はさして気にすることもなくその戦車を引きながら飛んでいった。
……まあ、普通にのーまる娘鴉が飛んでいくより速いから別に良いけどさ。
「うっ、ぐぐっ!乗り心地が悪過ぎる」
「サスペンション機能してるのか?……これは」
「もっと乗り心地を快適にしようぜ。そうだな……座り心地のいいモッフモフした贅沢なソファーでも積み込むとかさ!」
「………」
「今この瞬間は……車酔いにならないことが全て!酔いを超えてみろ!!」
「凄ク、うるサい」
仲が良いようでなにより。
「うおっ、臭えな……こんなんじゃ鼻がひん曲がっちまうぞ」
「よし、ここは我輩のロケット弾の爆風で全て吹き飛ばして」
「下水道自体使い物になるから……」
「僕はオーメル製のガスマスクがあるから気にならないとして。さて、行こっか」
探索班も下水道の中へと順次入っていく。
フレンチ75他防衛班も適当にその辺をぶらつき始める。
俺も、フォックスアイからやる事はいっぱいあるぞ、言われて執務室へと連行された。