2016年秋季限定海域プレイバック ~祈りを越えて   作:黒鋼提督

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Ep.1-3 長門の大音声

パチッ。

第二作戦指令室の電灯に光が灯った。

 

急の光に目をパチクリさせ、3人は入り口を見ると

 

陸奥「フフッ。ぜーんぶ提督さんの仰っていられた通りなのね♪」

長門「陸奥?!なんでここに!?」

陸奥「まぁまぁ長門、落ち着いて。」

 

突然の登場に驚く3名を陸奥は笑顔であしらいながら

 

陸奥「酒匂ちゃん、窓を開けてごらんなさい。」

酒匂「ぴ、ぴゃん?」

 

酒匂が窓際に近づくと外から少しだけ歓声が聞こえた。

今は祝賀会の真っ最中なのでそれは不思議ではなかったが、

防空窓を開けるとその歓声がこちらに向けられている事が即座にわかった。

 

「長門さーん!俺も戦うぜー!」

「特型駆逐艦も総員、頑張ります!」

「吾輩も頑張るのだ!」

「はい、姉さん!」

「姉さん!俺達も頑張ろうぜ!」

「くまー!」

「にゃー!」

「もう一本いいですかー?」

「だーめ。」

 

時折、意味不明の歓声も混じっていたが、鎮守府広間の全員がこちらを見ていた。

 

長門「む、陸奥。これはどういう事なんだ?」

 

陸奥は揶揄う様な顔のまま指を差した。

もはや旧式となって出番のない、伝声管を。

 

長門「な、何故口が開いて…って外と直結していたのか?!」

 

驚きが隠せない長門に陸奥は笑顔で答える。

 

陸奥「えぇ?ぜーんぶ提督さんの御指示の通りよ。」

陸奥「祝賀会の最中にEugenちゃんに酒匂ちゃんを呼び出してここに来ること。」

陸奥「そして、2人を説得して次作戦を開始する事も…ね?」

長門「次作戦を…開始?まさか?!」

陸奥「もちろんその通りよ、長門。」

陸奥「何故ここ数日、提督さんに大淀が居ないか御理解頂けたかしら?」

陸奥「さぁ長門、その司令官席の上にある封書、皆に読んであげて。」

 

月明かりの中では気が付かなったが、確かに「令」の書かれた封書が1枚あった。

 

長門「あの方は…どれだけ…どれだけ私達の事を…。」

 

涙が零れそうだったが、それを拭い、長門は大きな声でそれを読み上げた。

 

ここ数日提督・大淀が鎮守府に不在だったのは次作戦への作戦立案を行っていたからであった。

残存艦隊にsaratogaを発見した瞬間にここまでの展開を読み、

現鎮守府の戦力で実現可能な戦術を積み上げる。

ギリギリで策はなったと提督と大淀は陥落。現在、爆睡中である。

三昼夜共に過ごした陸奥だけがピンピンとしているのを疑問に感じながらも、

後の仕上げを託して眠った。

 

指令書を読み上げ、その最後に長門は笑いを堪えながら言った。

 

長門「現時刻より12時間後を持って次作戦『シャングリラ掃討戦』並びに『渚を越えて』を発動する。」

長門「よって、今晩は祝賀会を全力で楽しみ、英気を養う事。」

長門「最後に、Commandant Teste、旗艦の着任を当鎮守府は心より歓迎する。」

長門「以上!」

 

鎮守府広場は大きな歓声に占められた。

 

 

 

長門「Eugen、酒匂。早く広場に戻ってやれ。Bismarckと阿賀野が凄い顔してるぞ。」

Prinz Eugen「わわ?!御姉様?!そんな真っ赤な目をしてどうなされたんですかー!?」

酒匂「ぴゃー!?阿賀野姉ぇも凄い事に?!何そのティッシュの山!?」

 

2人は広間へ走っていき、部屋には長門と陸奥の2人だけ。

陸奥が伝声管の蓋を占める。

 

陸奥「なぁーがぁーとぉー?私…怒ってるのよ?」

長門「む?な、何故だ?」

 

陸奥の細い指が長門の顎下から登り、やさしく頬をつねった。

 

陸奥「ねぇ…長門?なんで私に最初に相談してくれなかったの?」

長門「あ…。」

陸奥「私はね、誰かを守れなかった事より、貴方と最後までいられなかった事が悔しいの。」

陸奥「今でも悔しくて悔しくて眠れない時だってあるわ。」

長門「…すまない。」

陸奥「よろしい。次からはぜーったい私に相談する事!って提督さんは察しちゃうかしら…。」

長門「ふふ…あの方には敵わないなぁ。」

陸奥「んー!言いたい事言ったら私も…そろそろ眠…く…。」

 

ソファに腰を掛けたかと思う矢先に陸奥は眠りについた。

そんな陸奥を横目に長門は指令書の最後の一文を見返す。

 

以下は読み上げない事。長門のみに伝える。

まもなく陸奥も限界を迎えると思われる。

姉妹艦としてしっかり謝罪と感謝をする事。

あと寝具一式はソファの中にある。ゆっくり休め。

 

長門「ふふ…全てあの方の手の上とい言う事か…だが…悪くないな。」

 

その日、長門と陸奥は同じ夢を見た。

何時までも一緒にいられる夢を。

 

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