今回の予告‼女神死す!
デュ○ルスタンバイ‼
まぁ嘘だけどさぁ…
「そんじゃあ改めて、水泳部二年の多摩袋雄だ。あだ名はジョニー、好きに呼んでくれ」
私の前に立つさっきまで裸だった銀髪屈強な男性。
「新田美波です。よろしくお願いします」
「おいおい、あいさつはちゃんと人の顔を見て行うものだぞ?」
無茶を言わないでください!あっ…あんなものを見せられたら恥ずかしくてまともに顔を見れるわけないじゃないですか‼
「うふふ…あまりにもみすぼらしすぎてみるに堪えないんじゃないですか?」
「おい部長。俺の○んこディスりすぎじゃありませんこと?膜ぶち抜くぞこの野郎」
「残念ながらバージンではありませんので」
「そうだった…‼」
この人たちはなぜこんな話を恥ずかしげもなくできるのでしょうか?
「それより新田さんが顔を真っ赤にして大変そうですよ?今すぐ消毒されたらどうですか?」
「俺は病原菌か?病原菌だとしても消毒ごときで死ぬと思うなよ!オートクレーブくらい持ってきて見せろ!」
オートクレーブは高温高圧によって殺菌を行う器具です。
温度、気圧がそれぞれ操作でき、高温に耐性のあるもの以外はほぼほぼ殺菌できる優れものです。
「そんでみなみんよ、なぜひたすら私から目をそらし、顔が真っ赤なんだい?」
「えっと…そのぁ」
「やっぱりあなたが見るに堪えない存在だからじゃないですか?」
「お前はいつまで俺を貶せば気が済むんだ非処女め」
「それは悪口なんですか?」
「これで処女厨からは嫌われ者だな」
「その程度のこと受け止められないほど器の狭い男性に興味はありません」
だからなんで平然とそんな会話できるんですかぁ!
「おいおい、みなみんが泣き出しそうだぞ…やべぇそそる」
「えぇ、かわいい子が悶えてる姿はそそるものがありますね」
「部長って両刀?」
「いえ、私はノーマルですよ。知っての通り」
「…うっへぇ」
さらに私に視線が集中して恥ずかしくなります。
もうぅ…何なんですかぁ
「それより早くオリエンテーションを行ってくれるかしら?」
「あいよ、俺の好きにしていいんだよな?」
「ええ、卑猥なことではなければ」
「お前は人を何だと思ってやがる」
「「変態」」
あ、思わず私も答えてしまいました。
「男は変態をデフォで装備しているんだ。追加オプションとして紳士がある」
「ならオプションをつけたらいかがですか?」
「悪いな、変態を変態で装飾してて空きがないんだ」
「救いようがありませんね」
「ま、それじゃオリエンテーションするか。みなみん」
「あ、はい!」
「着替えてきて」
「え?」
それから水着の上に制服を身に付け、先輩に言われたように校門に向かいます。
そこにはバイクに乗り、見るからに準備万端ではない先輩がいました。
下水着、上にはカッターシャツを羽織っただけです。絶対バイクに乗る格好ではないです。
「えっと…お待たせしました?」
「ようやく来たかみなみん、そんじゃヘルメット着けて後ろ乗ってくれ」
「そのぉ…その服装でいいんですか?」
「ん?大丈夫だ、この程度まで来ていればサツに捕まえられても職質だけで済む」
「それは大丈夫とは言わないと思うんですが」
「そんなことより時間ないから早くしろよ、ほら」
「あ」
渡されて手に持ったままだったヘルメットを先輩にとられ、あっという間に私の頭に装着させます。
「下水着なら下着も気にする必要ないだろ?さっさと乗ってくれ」
「は、はい、わかりました。あと、どこに向かうんですか?」
先輩の後ろのまたがりながら行先について問うと、
「しっかりと捕まっとけよ?いいか?絶対だぞ?それじゃあ、ついてからのお楽しみだぁ‼」
「キャッ!?」
急発進したバイクから振り落とされないよう、先輩に思わず抱き着いてしまいます。
思った以上に広く、たくましい背中でドキッとしないこともないですがそんなことを考えている余裕がありません!
「発展途上の青い果実‼YeaaaH‼」
「きゃぁあああ!?」
先輩が何を叫んでいるか私には届きませんでした。
「はい、それじゃあやってきました、目的地!」
「先輩…くらくらします」
「そのうち慣れる」
いえ、きついです…
「ここはプールと水族館が合わさっててな、いろいろと遊べるところだ!」
「そうなんですか…東京ってすごいですね」
広島にはこんなに大きな施設は球場くらいしかないので新鮮です。
「ここで何するんですか?」
「泳ぐ」
「…まさか屋外プールじゃないですよね?」
現在は4月下旬。…凍えますよ?
「HAHAHAHAHA、死なない死なない」
「それ回答になってませんよ!」
いえ、なってますけど!
「それじゃあLet's GO!」
そう言って関係者入り口を通って館内に私を連れて入っていく先輩。
しかもすれ違う日とすれ違う人が頭を下げてあいさつをしています。
…いったい何者なんですか?
「…先輩、寒いです」
「そうか?」
私の嫌な予想通り、屋外のアミューズメントプールに私たちは来ています。
水着一枚じゃ寒いです。…というのに余裕そうな先輩。
「それじゃ、オリエンテーション始めるか」
「こんな場所でオリエンテーションって…何をするんですか?」
「こんなこと」
その先輩の声と一緒に先輩に投げられる私。
「…え?」
急なことに漏らせた言葉はその一言だけ。
少しの浮遊感ののち、耳をつんざく泡の音。冷たい水の感触。
少し沈んだ後、すぐに水面を目指し浮上します。
ですが、ようやく水面に出て空気を吸えると思ったとたん
「ぷh…っがぽ!?」
足を引かれた感触とともに沈み込む私の体。
空気の代わりに入って来たのは水。
気管に水の入った私は思わずせき込み、パニックになりながらも水面に出てあえぐように空気を求めます。
ですが水面はあれており、空気とともに流れ込んでくる水。
そしてまた呼吸が咳によって荒れてしまいます。
もう、何が何だか分からなくなったとき、誰かに持ち上げられ水中から引き上げられます。
引き上げられてからもせき込んでいる私の背中を誰かが優しくさすってくれますが、そんなことを気にしている余裕がありません。
そして、ようやく呼吸が落ち着いてきたころ
「もう大丈夫か、みなみん?」
「…何を…何をするんですか!先輩!」
「おいおい、そんな泣くなよ」
「泣いてません!」
「悪かったって」
そう言いながらその大きな手で私の頭を撫です先輩。
ふんっ!そんなことで人の気が鎮まると思ったらおお間違えです‼
「歩ける?」
「…腰が抜けました」
「あいよ」
そうすると用意していたのであろう大きなタオルで私をくるんだ後、その大きな背中に背負う先輩。
「なんでこんなことをしたか、だったな?」
そのまま館内に歩きながら私に話し出す先輩。
「俺に泳ぎを教えてくれたのはばあちゃんだったんだけどよ、まず何されたと思う?
海に投げ捨てられたんだよね~さっきみたいに。確か4歳の頃だったかな」
話されたのは先輩の昔話。
「その後当然溺れるよなぁ…うん、あの時初めて死にかけたな。その後ばあちゃんが助けてくれて、泣きわめく俺の頭をずっと撫でててくれたんだ。その後今みたいに俺を背負ってくれて、その後とっておきの景色を見せてくれたんだ」
「とっておきの…景色ですか?」
「そうそう、それはもうとびっきりのやつ」
そう言ってこちらを振り返り、悪戯っぽい笑みを浮かべる先輩。
その後、スタッフの待機室のような部屋に連れていかれベンチに座らせられます。
「今からそれの代わりを見せてやるよ」
そう言って部屋を出ていく先輩。
その後しばらくタオルにくるまり暖をとっていると器具を抱えた先輩が入ってきます。
「ほらよ、温まるぞ」
「あ、ありがとうございます」
ついっでに自販機で買ってきたと思われるホットココアを投げて渡してくる先輩。
「あとこれその上から着といてくれ。サイズはあってると思うが」
そう言って渡されるのはダイバーが身に付けているようなスーツとマスク。
先輩も同様のものを身に付けていき、酸素ボンベにいろいろと器具を取り付けていく先輩。
「何に使うんですか?」
「潜るんだよ、水槽の中」
「水槽って…水族館のですか?」
「That's right。その通り」
「そんなことして大丈夫なんですか?」
「あぁ、ショーってことにしてもらったんだ」
それが通るってすごいことだと思うんですが…。
「これ咥えて息吸ってみ」
そういって差し出されたマウスピースのようなもの
「こうやって噛んで…スーハースーハー」
どうしたものかと悩んでいると実演してみせる先輩。
実演してもらった通りやってみると、少し息を吸うのに力がいりますが新鮮な空気を吸えます。
「そんじゃ、用意できたらやってみますか」
「そんじゃ、潜りますか」
「あのぉ…先輩」
「ん?」
「私はボンベとか背負わないでいいんですか?」
「まぁ、姿勢制御とかいろいろ難しいからな。俺にしがみついとけ」
「わかりました」
まず先輩が水槽に飛び込み、先輩の指示に従って飛び込み、先輩の腕に捕まります。
「それじゃ、口呼吸を意識して、落ち着いてやれよ。そして何か違和感あったらすぐ言ってくれよ。耳抜きできないとか」
「はい、わかりました」
そうして潜水を開始しますが、さっきのことが少しトラウマになっているのか、水中で呼吸するのを戸惑ってしまいます。
そうすると先輩が、安心させるように背中を優しく叩き深呼吸するようにジェスチャーをしてきます。
そして、私の呼吸が安定したのを確認した後先輩は私を引いて潜水を再開します。
そうして私の視界に広がったのは水の中の世界です。
上からさす光が幻想的に揺れ、それを魚がキラキラと反射します。
自由自在上下左右と泳ぎ回る魚、そして水に揺れている海藻…どれもこれも初めて見る景色。水族館で水槽の外とから眺めるものとは全然違います。
その景色に呆然としながら泳いでいると寄ってくる魚たち。なぜかと思うと、腰の荷物から餌を取り出し水中にばらまく先輩。
それを眺めていると私にも餌を渡してくる先輩。
それをばらまくと私の周りにも集まってくる魚たち。
生きた魚をこんな間近で見る初めての経験に心躍ります。
すごいです…うまく言葉にできませんけど…すごいですね。
「さて、どうでしたかお嬢さん?水の中の景色は」
「お嬢さんはやめてください。…すごかったです、とても」
「そりゃよかった。俺もばあちゃんにその後ダイビングにつれていてもらってな、そこで今まで見てなかったもんいろいろ見せてもらったんだよ。そんでばあちゃんに最後聞かれたんだ、『経験したとおり、海は怖くも美しくもある。さぁ、お前さんはどうしたい?』ってな」
「それで先輩はなんて答えたんですか?」
「もっといろいろ見たい!ってな。みなみんはこうして水の二面性を味わってどう思ったかい?」
溺れてみて水の怖さを知りました。そして、水の中の美しい一面を知りました。
「さて、水と関わることが楽しく感じるなら水泳部に入るといい。うちの水泳部は手広いからな。ダイビングにシンクロ、高飛び込みまで何でもやれる。怖いって感情が大きかったなら…ま、うちの水泳部はお勧めできないかな」
その先輩の言葉に私は…
加蓮ちゃんの時より過激な歓待でしたとさ。
これからもちらほらジョニーの血縁者、おばあちゃんが出てきます。
ちなみにまだ生きてるぜ、このおばあちゃん