cry arts〈暗鬱〉   作:ぶろむへきしん

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序章・ある研究者による日記〈始まりの一週間〉

「東条先輩、こんなものが発見されました!」

「ふむ、なんだそれは?」

「この研究棟の研究者である御神の日記のようです!後半部分が損失していますが…」

「…ほう?」

 

 

 

 一日目

 

 今日から研究棟を任された。

 どうやら国家機密の病気を研究するらしい。

 名は「cry-arts」和名は「暗鬱」。

 15ぐらいの親元がいない青年の誘拐事件で居なくなった人間はこの施設に収容、被験体となる。

 発病させる方法はたしか「暗闇に閉じ込め出血させる」だったか。

 まあいい。とにかく今日から一回ずつ被験体から血を出させるんだ。

 正直なところ出血は苦手なのだがな…

 収容所には3人の被験体がいる。それぞれα、β、γと名づけ区別をする。

 この中で一人でも発病すれば研究ができるが、発病の確率はとても低いらしい。

 まあ、気長に待つとするか。

 

 二日目

 

 早くも被験体の一人、αが発病した。

 見た目でわかること、それは片目だ。

 血液の変質によるものだろうか、すごく紅い。いわゆるオッドアイだ。

 私はよく小説でオッドアイのキャラクターを好きになる。しかし、今回は被験体だ。

 

 慈悲は、いらない。

 

 血液検査をしたところ、その血は「個体になった」。

 どうやら光に当たると個体になるらしい。面白い病気だ。

 しかし、分析すると毎回毎回機械にエラーがでてしまう。なぜだろうか。

 食欲、水分の摂取も問題ない。しかし、どうやら光を嫌がっているようでこの頃妙に暗い。

 時々泣いたりもしているようで、これが「cry-arts」の由来か。

 これからの実験に期待する。

 

 三日目

 

 被験体は光の抵抗がないようで、光がとても眩しく見えるらしい。

 しかし、暗闇の中でも自由に動ける上に

「え…?影…?普通に見えるけど…」

 という本人の言葉もでている。

 どうやら我々人類は今まで光の中で生きて光に依存して生きているとすれば、彼らもまた闇の中に生きて闇に依存して生きているらしい。

 彼はこの状況をひどく嫌がっている。あの三人の中で一人だけ発病したのだ。無理はない。

 他の被験体によるケンカやいじめが起きるかどうかが心配だ。まあ三人だし大したことはないと思うが。

 

 四日目

 

 今朝研究棟に行ったら、発病した被験体が「消えていた」

 他の被験体は「脱獄はしてねーよ…あんたらがどっかやったんだろ?」と答えた。勿論牢には鍵がかかっていたし、逃げ出すのは不可能に近い。謎は深まるばかりだ。

 我らの推測では「脱獄」との考えだがこれはもしや闇に関係があるのでは…?

 例えばだ、もしも被験体が闇の中に消えたならば

 (四日目は破れていてここから先が読めない)

 

 五日目

 

 なぜか運が良く二人とも今日には発病していた。

 稀に発病する病気と聞いたのだがこれでは嘘みたいだ。

 やはり血液検査は無駄のようだった。個体なのは変わらず、機械がエラーになってしまう。

 しかし、被験体γの血液だけ妙に黒い。それも、綺麗に磨いた黒曜石のような、見入ってしまうような美しい色だった。

 このγが特異体質なのか、そうでないのかは今後の研究で明らかになるだろう。

 

 六日目

 

 新たな事実が発覚した。この病気が国家機密な理由が私にはこの件で手に取るようにわかった。

 なんと、被験体は××××××××

 この事実が現世界に知れたら一部の人達はなろうと努力するだろう。

 全力で隠蔽せねばならない。

 (一部が乾いた血で見えなくなっている)

 

 七日目

 

 逃げなければ。私の本能がそう感じている。

 逃げろ…あいつはとんでもない化物だ。

 こうなったのはほとんど私の責任だ…管理をもっと厳重にするべきだったか

 過去を悔やんでももう遅

 (ここから先は破れていて読めない)

 

 

 

「ふむ…一応参考にとっておこう。この事件になにか関わりがあるかもしれん。鑑識に回してくれ。」

「はっ!」

「『cry-arts』か…」

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