欲望に素直だし
左門が転校してきてから早くも数週間。
てっしーが泣きながら左門に抱き付くという謎の行動(なんか魂が云々言ってた)が起きてから約数日。
「天気のいい放課後は昼寝するに限るな」
様々な昼寝スポットで放課後を過ごしている俺は今日は屋上で放課後の惰眠タイムを貪っていた。
ZZZZZZzzzzzz
「おい転校生!!お前やっぱり悪魔を召喚できるんだな!?」
というバカでかい声で強制的に起こされた。
「うっさい」
「あだ!?」
イライラしてたので枕にしていたカバンを
「脇谷くん!?帰ったんじゃなかったの!?」
「てっしーに起こされたくなかったから
「それどういう意味!?」
「そのまんまの意味だが?」
そう言ったらてっしーがやかましくなったので適当にあしらうことにする。かったるいし。
☆ ★ ☆ ★
てっしーがようやく落ち着いたので、ようやく本題に入ることになった。
「・・・で?誰なの彼?」
そういえば左門の奴は速攻でクラスから孤立したから
とりあえず自己紹介からかな?覚える気なさそうけど。
「同じクラスの九頭竜くんだよ
覚えなよクラスメイト」
「クラスメイト全員覚えてる奴も珍しい気がするが?
俺も6割ぐらいしか覚えてねえし」
覚えるとしたら目立つ奴と仲のいい奴くらいだ。
「脇谷くんは覚える気がないだけでしょ!?」
「そうとも言うな」
俺の適当な態度にムッとしたらしいてっしーだったが話が進まないと判断したのか、スルーすることにしたらしい。ずっと俺のことスルーしてくれればいいのに。
「ま まあ話したことねえしな
九頭竜だ
よろしくな」
「んー
よろしく」
そこでてっしーが何かに気づいたのか妙に小声で左門に話しかける。
「っていうかいいの!?」ヒソヒソ
「ん?なにが?」
「何って・・・
左門くんの正体がバレてるじゃん
ちょっとこれマズいんじゃ・・・」ヒソヒソ
普通に聞こえてるんだけど隠す気あるんだろうか?
「バレるも何も転校初日の自己紹介で言ってるし僕」
「あ」
記憶が確かなら初っ端の自己紹介で趣味が悪魔召喚とか言ってたな。
どうでもいいけど。
「隠す気まったくなかったよなあれ」
「俺もそん時は信じちゃいなかったよ」
あー、見えないとそう思うわな。俺も悪魔が見えなかったら信じなかっただろうし、たまに話す左門も召喚する所を見るか偶然波長が合わない限り見えないらしいし。
ちなみに俺は後者だ。召喚される所に立ち合わせたわけでもないのでぼんやりとしか見えないし、見たいとも思わない。ちなみに一番よく見えるのは「二度寝するでヤンス」の悪魔だ。なぜかあいつだけははっきり見える。
「でもこの前偶然見ちまったんだ・・・
屋上まで悪魔を呼びだす
一目でわかったぜ・・・
なにかとんでもないものを見ちまったって事を・・・」
九頭竜はそんなこと言ってるが絶対大したことじゃねえと思うぞ?
「それ多分サルガタナスに屋上の鍵を開けて貰ってた時だね」
・・・・・・サルガタナスって結構偉い方の悪魔だったと思うけど召喚してやることピッキングかよ。
なんか可哀想だな。
つーか、俺は雨樋登って屋上侵入したのにそんな楽な方法で侵入してたのかこいつ。
「それで?
結局何の用なの?」
「そりゃもちろん悪魔の力を借りてえんだ!」
また破滅しそうなお願いを言うなあ。悪魔って基本危険なのに。
「なんか悪魔の力って凄そうじゃねえか
ちょっとした小遣い稼ぎなんか簡単だろ!?
なあ!?」
すっごい邪悪な顔して喜んでる左門を見ると九頭竜の事を気に入ったらしい。こいつ欲望に素直なタイプとか好きそうだしな。
「や
やめなよ九頭竜くん
左門くんは役に立つ悪魔出さないから」
「え?」
「いや、サルがなんちゃらとか普通に便利じゃん」
「脇谷くんはちょっと黙ってて!」
・・・・・・俺はそんなにおかしなことを言ったのだろうか?言ってない気がするが。
「例えばほら!この大食いにさせられる悪魔!
こんなのばかりだよ!?
役に立たないでしょ!?」
まだ嫌がらせされてるのか。てっしーも修行に余念がないな。
「大食い大会とかでは便利そうだな」
「そ、そうかもしれないけど!?」
それを聞いて九頭竜は何か閃いたのか何かを検索し始めた。
この周辺で大食い大会とかなかった気がするけど。なに調べてんだ?
「・・・・・・見ろ!
今日の夕方静岡でホットドッグ大食い大会で優勝賞金30万!
その悪魔がいれば楽勝だぜー!!」
なんて言うかまあ。見たまんまの人間である。
交友関係は結構広いがこういう性格なので友人はあまりいないらしい。
ちなみに家庭科の成績のみ5だったらしい。
「逸材・・・・・・」
左門は楽しそうだなー。俺帰っていいかな?なんか話に付き合ってるけど俺いる意味なくね?
「だ、大体静岡にどうやって行くの?
今から行っても間に合わないでしょ」
「あ・・・・・・
そうだな確かにそこは問題だ・・・・・・」
てっしーも必死だなあ。大会開始まであと30分だし、どう考えても間に合わねえな普通の方法じゃ。
「けど静岡までワープできる悪魔とかいるんだろー!?
なあ左門出してくれよ友達だろー!?」
「話すの今日が初めてじゃなかったのか?」
「友人になるのに時間は問題じゃないんだよ!
なあ左門お願いだ!この通り!」
清々しいくらい迷いのない土下座だな。プライド無いんかこいつ。
☆ ★ ☆ ★
~静岡県某所~
「んー
着いたねー」
「え・・・・・・?
もう静岡に着いてんの?」
「ワープとか初体験だな」
「なんで私まで連れてくの・・・・・・」
そういや、なんで俺まで一緒に飛ばされたんだろうか?
「ちょうどガープが呼べる時間帯でよかった」
「呼ぶのに条件がある奴とかいるんだなー」
見た所、どっかの公園らしい。
ホットドッグの美味そうな匂いもするから本当に会場近くまでワープしたみたいだ。・・・・・・GPSで確認してみたが本当に静岡だ。
悪魔便利すぎるだろ。
「あっちに受付があるな!
よし行こうぜ!」
「迷いなしか。俺も行く」
「あ、九頭竜くんに脇谷くん!?」
てっしーの呼び止める声が聞こえるが無視して、腹が減ってたので先に受付していた九頭竜の後に俺も登録する。親には食べて帰ると言っといたから思う存分食えるな。
☆ ★ ☆ ★
『・・・・・・さあさあやってまいりました!
毎年恒例ホットドッグ大食い選手権!
今年も名だたるフードファイターが優勝賞金30万円を求めてやってきました!』
おー。よく見たら有名所のフードファイターばっかりじゃねーか。真面目に優勝は難しそうだな。
そうなるとTV中継されてなかったのはよかったな。変に有名になりたくねえし。
『そんな中に勇気ある飛び入りの二人が参加!
高校生の九頭竜くんと脇谷くんです!
応援の同級生も一緒です!』
「(なんで脇谷くんも参加してるのー!?)」
てっしーは俺も参加してた事に驚いているようだが。俺が受付してたの見てなかったのだろうか?
なんか左門と話してたしそっちに気を取られてたのかもしれない。
「へ、負けないぜ!(ぐぅぅぅぅ)」
「こっちこそ?」
九頭竜は左門に頼んでべヒモスとやらの食欲ブーストを頼んだらしい。腹の音五月蠅い。
『それではスタート!』
合図とともにホットドッグを全員が食べ始める。
九頭竜は
ちなみに俺は普通に食べたいので断った。腹いっぱいホットドッグが食いたいだけで元々優勝する気はないし。
『おーっと!?
九頭竜選手苦しそうだ!
ペース配分失敗か!?』
なんで
もしかして空腹だと思わせるだけで
つーか、左門知ってたなこれ。高笑いしてるし。
『おーっと!?
九頭竜くんを同級生が止めに入る!』
なんかてっしーが死ぬ気か!っと全力で止めているが、九頭竜は食うのを辞めない。
あ、てっしーがぶん殴って九頭竜が倒れた。
リタイアはえーなおい。
『同級生に止められた九頭竜選手!
しかしどういう事だー!?
倒れた九頭竜選手の口にホットドッグが吸い込まれていくー!?』
・・・・・・は?
思わず食べる手を止めてそっちを見ると
あれ殺す気だな。てっしーが欲に呑まれないから鬱憤を晴らしているのだろうか?
あ、てっしーが九頭竜を抱えて逃げて行った。
『ここで九頭竜選手リタイアー!
同級生が慌てて医務室の方へ連れていきます!』
いや、あれ
☆ ★ ☆ ★
大会も無事終了し、準優勝を果たした俺は副賞の10万円を受け取って(先輩に追い回されて大変だったらしく準優勝したことには誰にも気づかれてなかった。それはそれで悔しい)、左門が召喚した謎の生物(透明化して乗ってる俺らも見えないらしい)の背中に乗って空を飛んで帰っていた。
「あーひどい目に遭った」
「自業自得じゃねーか」
「本当に危なかったんだからね!?」
「あっはっはっはっは!」
左門はさっきから笑ってるし、本当に楽しかったんだろうなー。
「ワープで帰れないのか?」
「ガマンガマン」
九頭竜のアホが吐きそうなのでさりげなくてっしーが盾になるように場所を変える。てっしーも心配してるし押し付けるのは比較的楽だった。
「吐くなよ?」
「我慢できそうにねえ・・・・・・
・・・・・・なあてっしー」
「なに?」
「ゲロを手で受け止めてくれるんだろ?」
「それを期待しないで!?」
なんだかんだでそこそこ楽しんだ日だったと思う。
次の日、九頭竜が俺がネットニュースに準優勝した事が載ってたらしく、賞金の事がバレてなし崩し的に左門とてっしーを含めて奢る破目になった。
・・・・・・いや、別にいいんだけどね?
悪魔に恨まれるというデメリットを除けば召喚術便利すぎると思う。
俺がやっても下手したら死ぬし下手しなくても死ぬ未来しか見えないけど。
あと一旦更新は終了
要望があれば再開するかも