[番外編]テニスの王子様の世界にチート転生者が来たようです 作:型破 優位
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というか、来て下さい(´・ω・`)
「ほらほら!ストレートががら空きだぞ!」
「す!すみません中田さん!」
「口より先に体を動かせ!」
銀華中では現在、レギュラー陣が佑馬にしごかれており、その他の部員はそれぞれに課されたメニューをこなしている。
結局、青学との試合は負けた。
しかし、勝った後に青学の顔に喜びの表情はなく、むしろ重いものだった。
佑馬とリョーマのゲームカウントは6-0。
別次元の一球を見せてから、リョーマは徐々に崩れていった。
何処に打っても佑馬に返され、返されたボールは気がついたらコートに落ちている。
リョーマは正に、惨敗だった。
そして会場を変えての桃城対堂本だが、リョーマの様子をずっと気にして試合に集中することが出来ず、堂本が接戦の末、勝利。
S1は手塚対福士で、福士はなんとか手塚に食らい付いていくも、0-6で完敗した。
しかし、これは銀華中にとって過去最高の内容であり、今の銀華中テニス部はやる気に満ち溢れている。
「お前らの実力は青学にも劣っていない!関東大会、青学にリベンジするためにも、今は練習を頑張るぞ!」
「「おーー!」」
銀華中の青学にリベンジするための猛特訓は、さらにエキスパートしていくのだった。
◆◆◆
風の噂で、リョーマの調子がすこぶる悪いと聞いた佑馬は、練習の合間になんとなくでリョーマの家へと向かった。
すぐ行こうと思ってはいたのだが、何しろ住所が分からず、青学に行っても追い返されるため、青学と面識を持てる都大会が終わった今青学に行って、テニス部顧問、竜崎すみれに住所を聞いたのだ。
「んー、ここかな?やっぱり寺だなぁ」
パッと見はしっかりとした寺だった。
……テニスコートさえなければ。
「少年、そんな年で何か神頼みでもしたいことがあるのかい?」
その庭を見渡していると、いきなり後ろから声がかかる。
「えーっと……越前リョーマ君はいますか?」
「お、リョーマのダチか?残念だけど、リョーマは今部活だよ」
リョーマの父にして、世界を相手に三十七戦全勝をした『サムライ
「そうですか……ところで、南次郎さんですよね?」
「……イヤ?ワタシナンジロウチガウ」
しかし、南次郎とバレたくないのだろうか、何処からか取り出したサングラスをかけて口笛を吹きながら片言で否定した。
しかし、戦わずして作中最強の男と対戦するのを見逃すほど、佑馬も我慢強くはない。
というより、元々戦う予定で来ていたため、テニス用品一式を持ってきているのだ。
「それなら……自分とテニスやりませんか?南次郎さん」
「……なるほど。面白いな、少年」
そして、南次郎との試合が決定した。
◆◆◆
佑馬はコートに立ち、対面側にいる南次郎を見る。
ただ立っているだけ、なのに、佑馬をして『強い』と確信させるほどのオーラを纏っている。
「本当にワンセットでいいのかい?」
「勿論」
「りょーかい」
サーブ権は南次郎が譲ったため、佑馬が持っている。
(さて、作中最強キャラの強さはどんなものか、見させて貰うか)
ルーティンを済まし、まずは軽くサーブを打つ。
「ほらよっと」
それを軽々と返した南次郎の目は、閉じていた。
まずはラリーをする……が、南次郎は『サムライゾーン』を使っており、ベースラインの真ん中から一歩も動いておらず、佑馬は左右へと走っている。
「よっと。ところで、少年はリョーマよりも強いのか?」
ラリーしている途中、南次郎が佑馬に話しかけてきた。
「都大会では6-0でしたね」
「……なるほど。だから最近リョーマの様子が変だったのか」
その瞬間、南次郎が動いた。
「ならば少年。頑張れよ」
佑馬としては、普通の力で打ち返した球。
客観的に見ればとても速いが、それでもこの世界の中学生なら打ち返せるレベルの早さ。
しかし、精度は甘いと言えるものではない。
その球を、南次郎は決めてきた。
スピードは普通に見れば、とてつもなく速い。
しかし、佑馬にとっては、それなりに速いぐらいの球。
それくらいの球なのに、何故か
その球は佑馬の足元を通り抜け、ベースラインへと落ちる。
「今のが見えるったぁ、本当にリョーマに勝ってるんだな」
カッカッカと笑う南次郎だが、その本質は……なるほど、間違いなく作中最強だろう。
あれだけの球を打って、まだ余裕を見せているのだから。
「……なるほど。それでは少し本気でやらせていただきます」
「またまたそんなこと言っちゃってぇ。本気出してもいいんだぜ?」
ルーティンを済まし、サーブの構えに入り、南次郎を見る。
その瞬間、南次郎の目つきが鋭くなった。
佑馬から発せられるオーラを感じ取ったかのように、そして、その顔は、笑っていた。
そして、身体能力のみの力で五十ほどの力で打った。
「やるねぇ……よっと」
そのサーブは三百キロは出ていたはず。
なのに、南次郎は軽々と打ち返してきた。
だが、佑馬も返されるという前提でそのサーブを打っている。
コート端から抜けようとするボールは、佑馬のもとへと戻るように予め回転をかけて……いた……のだ?
「回転が、消えてる?」
返ってきた球には、回転が全くかかっていなかった。
それを瞬時に理解した佑馬は、そのボールの元へと全力で向かう。
大地が抉れて、そのままの力で振り抜いた。
凄まじい音とともに、南次郎のコートへと球は向かっていく……が。
「うお、これはさすがに、重いかな!!」
加減が出来ずに身体能力の全力を使って振り抜いたその球を、南次郎は多少ラケットが持ってかれそうになったが、普通に返してきた。
(……これは予想外。本当に人間か?)
その動体視力、身体能力に、佑馬も本気で人間か疑いたくなったが、今はボールの方に集中する。
カウンターのため、スピードはそのままで返ってくる。
その球のベクトルを操作し、文字通りの、全力の一撃を打ち込んだ。
「マジかッ!」
「……マジか」
その二人から、同じ言葉が違う意味で溢れた。
南次郎側のコートは抉れており、砂が舞い上がっているが、ボールはネットにかかっていたのだ。
つまり、音速を軽々と越える速さの球を、木を何本も倒したあの球を、ネットにかかっているとはいえ打ち返したのだ。
「いやー、今のはさすがにキツいなぁ」
「まさか当ててくるとは思っても見ませんでした」
しかも、その球を取ったラケットはまだ存命していた。
「だけど、試合は出来なくなっちまったかな」
南次郎は笑いながら抉れたコートとラケットを指しながら言った。
「ラケットも壊れちまったしな」
ラケットはラケットで、確かに存命はしていたのだが、それはもう原型をなんとか留めているだけで、実際はボロボロ。
一回振っただけでも崩れてしまうほどダメージを受けていた。
「すみません。大事なラケットを壊してしまって」
「いやいや、良いってことよ。初めて自分より強いと思える相手に出会えたしな」
「リョーマも来ないし……申し訳ないんですけど、今日は帰ってもいいでしょうか」
コートを抉って、ラケットを壊したまま帰るのは罪悪感が沸いてくるが、それをどうこう出来ないので邪魔にならないように早く帰ることを選んだ佑馬は、そう言った。
「おう、いつでも再戦待ってるぜ。ただ、今度の試合はラリーだけで終わってしまうかもな!」
またもやカッカッカと笑いながら言う南次郎。
その言葉に苦笑しながら、家を後にする佑馬。
「……あの少年と今度はしっかりとした場所でやりたいな」
南次郎は佑馬の後ろ姿を見ながら、そう呟いたのだった。
次もう関東大会入ります。
作中最強が負けるわけないじゃないですかー(棒