一時は、心肺停止にもなり、意識も戻らなかった。
絶望的な展開を迎えていた学園。
病院だと、外部の人間も出入りするため、転校生は学園の保健室で寝たきりになってしまう。
…ここは…?
「転校生!転校生!!」
この声は…
そうかここは…
「転校生っ!!」
「怜…」
「転校生っ、。、!」
まだ傷の痛みが残る身体を無理して少し起こすと、怜が物凄い勢いで抱きついてくる。
「!?」
「目を開けてくれてよかった…死んだかと思った…」
「う、…うん、、うん?」
「お前が死んだら…いや…お前がいなくなったら…困る…」
「う…ん…」
「お前が生きててよかった…。」
「はっ…!!!」
怜が正気に戻ると、今度はいっきに突き離し
そして顔を真っ赤にする。
「いっ…いや…す、すまない…!!そ、その…あっ…あの…っ…」
「痛っ…ちょ…怜…っ」
「あっ…すまない…っ…つい…そのっ…//あぁっ…!」
周りには、智花、夏海、そして保健委員長のゆかりがいた。
「怜ちゃん…、転校生さんが起きるまでずっとここに居たんですよ」
「と、、智花、っ!」
「ほんと、アンタ怜に好かれてるわね。まぁ、そういう智花もすごぉおい心配してたみたいだけどね。」
「なっ、夏海ちゃんっ!!」
「とにかく、意識が戻ってよかったわ。」
そういえば…怜がさっきから赤くなったまま震えてるのはなんなんだろう…
「怜…?」
「ひゃぅっ!?…っ?!な、なんだ!どうした…」
「な…でそんな真っ赤?」
「だ…って…そっ…あっ…」
「ははーん、さては転校生に抱きついたの私に撮られてたからね」
「いっ、今すぐ消せ!」
「嫌よ!明日の記事は決まったんだから!怜、気づいてないでしょうけどね、アンタの事気になってる男子は多いのよ!だから、怜に好かれたいからどんな男子が好きなのか特集しろ!っていう男子が増えて大変なんだからぁ!」
「はぁっ!?…き、気になる!?気になるってなんだ!私がなにか問題でも起こしてるのか!?」
「ったく、どこまで鈍感なのよ!!」
「鈍感?!」
「怜の事が好きな男子が多いのよ!すきなの!すーき!」
「ひ、ひやかすな!!そんな…ことは…知らない!」
怜はやはり真っ赤な顔で焦り口調で話していた。
………………。
その夜。
寝れなかった。と言うよりは、眠れなかった。
目が冴えてしまって、ずっと心がモヤモヤとした気分になっていたのだ。
(「アンタの事気になってる男子は多いのよ!」)
この、夏海の一言。これがずっと頭から離れない。
怜は、確かに綺麗だ。才色兼備、それでいてあの性格…
確かに気になる男子は多いだろう。
でも、、なんでそれがこんなにモヤモヤさせるんだ?
気になる…は、好きになるかもしれない…
もしかしたら…それが…
いや、怜は恋なんて興味が無いはず…それなら…いや…
結論は出なかった。空が明るくなり始めてようやく我に返ると既に時計の針は5時をさしていた。
そして、ぼーっとしていると怜のお父さんの顔が浮かんできた。そして、怜のお母さん…弟…
そして、怜の顔…。
眠っていた時、夢に出てきた怜はおかえり、と笑っていた。
あれは…なんだったのだろうか。
夢だったけど、すごい温かくて幸せとはこういうものか、という夢だった。
でも思い出せない、夢だからか途中で途切れてしまっていて、笑顔で言われたおかえり、その言葉だけが残っていた。
「…おはよう…」
「怜…!」
「な、なんだ…!いきなり…。。そ、その体調はどうだ…」
「昨日に比べたら全然…(寝れていないんだから大丈夫な訳が無い)」
「そうか…私は…眠れなくて…な。」
「ん?」
「お前がいなくなったら…と考えたら…ねれなくなってしまった…遠くに行ってしまったらと思うと…今まで体験したことのない感覚に襲われた…」
「怜…」
「それと同時に…お前が本当にいなくなってしまったような気がして…気がついたら保健室のドアの前だったんだ。」
「実は…僕も寝れてないんだ。夏海が昨日、怜が男子から好かれてるって話をしてたのが、ずっと残ってて…」
「好かれてるからと言ってもその好意が恋愛とは関係ないだろう…!」
「でも…。あっ、あと…それから怜の家族も出てきたんだ…なんでかはわからないけど…」
「私の家族が…?」
「うん…それで…よくわからないけど…一層モヤモヤが強くなって…それで…」
「そうか…私も…モヤモヤした気分に襲われていたという点で、、お前と同じ感情を持ち合わせてるのかもしれんな…」
「うん…」
………
「っ!!か、神凪さん!?」
紗妃の声で、目が覚める。
「…!、!?」
「て、転校生さん…貴女っ!」
「ちっ、ちがうこれはっ…」
怜の手が、僕の手をギュッと握っていて…
「ふーん、、まぁ、神凪も疲れてたんですねえ、ココ最近アンタさんの心配ばっかりして、ろくに睡眠もとってないような状態でしたし。」
「で、ですが、委員長!」
「起こすのも可哀想なんで、このまま寝かせておいてくだせー。。」
「ですが…!過度な接触は…!」
「不純異性交遊、、これは範囲がわかりずれーですねえ。」
「手を繋ぐ、も不純異性交遊では!」
「うーん…。まぁ、いいんじゃないですか。神凪は今まで愛だの恋だの言わなかったですし。どうなるか見てみたいっていう点で、見なかったことにします」
「委員長!」
「ですが、、転校生。」
「はい!」
「通常のデート、と呼ばれるものを超えるようなことをしたら、、速攻懲罰房ですからね?覚悟してくだせー。」
「は。はい!」
「あと、魔物退治に支障が出るなら、、、」
「わかってます!」
「…。では、行きますよ氷川。」
「.....」
よし…あとは…僕の勇気だけ…だ
まさかの風紀委員長登場&公認という原作ではありえない展開に…。
これで、2人を縛るものは無くなった訳で…
あとは、転校生の勇気だけ。!
頑張れ転校生…。