狭いベッドの上で身を寄せあって眠った新人家来ダーバーとキティは窓から差し込む太陽の光で目を覚ました。
まだ登りきっていない太陽は以前と変わらぬ輝きを放っており、昨夜の出来事はただの夢だったのではないかと錯覚させようとする。
しかし、新人家来ダーバーの体には確かに疲労がたまり、目も赤く腫れている。
キティもいつも通りとはいかないらしく、どことなく覇気がないように見える。自身の体の節々が昨日のことは現実だと執拗に訴えてくるのだ。
そんな中、新人家来ダーバーは見た夢を思い出していた。
アンダーバーが優しい笑顔を浮かべて、自分の名前を呼んでくれる夢だった。
何の変哲もない筈の、つまらない夢に、もう1度身を投げてしまいたいと新人家来ダーバーは切に願ってしまう。
「新人家来ダーバー、おはよう。」
キティはどこまでも希望を抱いている。
どうにかなると、どうにかすると、本気で思っている。
新人家来ダーバーはそんなキティが頼もしいながらも眩しくて仕方が無かった。
自分の中に生まれそうな暗い感情に無理やり蓋をして、急かすキティに答えるように大げさにベッドから飛び起きた。
「おはよう、キティちゃん。」
無理矢理浮かべた新人家来ダーバーの笑顔に対し、キティの笑顔は至極柔らかかった。
「早く支度をしましょう!アンダーバー城へ行かないと!」
「……うん!そうだね!」
新人家来ダーバーの貼り付けた笑顔に、出会って間もないキティは安堵した。
2人は洗面台やキッチンなどを借りて朝の支度を手早く済ませ、借りた鍵でしっかりと戸締まりをしてから、気持ちが急くままに早足でアンダーバー城へと向かった。
辿りついたアンダーバー城の門前には昨晩と同じ門番が目の下に隈を作りながら立っている。
門番たちの元に小走りで向かうと、疲れきった様子の門番たちが力のない声で律儀に朝の挨拶をした。
「おはよう、ところで、パンダバは見つかった?」
キティは挨拶を返すのもそこそこに一番の懸念事項を聞き出そうと身を乗り出したのに対し、門番は一つ頷いた。
「元気だった?怪我とかしてなかった?」
「うん、元気そうだったぞ。」
「良かった…!」
「どこにいたの?閉じ込められたり…」
「いや、そのことなんだが……」
門番はどこか躊躇うように頭を掻きながら、新人家来ダーバーたちから目をそらした。
「王様と一緒にいたよ。あれは……仕えてるって感じに、見えたが……」
言葉を選びながらも門番は自身の目で見た光景をありのままに伝えた。
「そうなの…!?ああ、でも、無事で良かった!ね、新人家来ダーバー?」
「えっ……う、うん、良かった、無事で…」
キティは驚きながらもパンダバの無事を心の底から喜んだ。
その様子を近くでありありと感じながら、新人家来ダーバーは心の奥底で蓋をしていた暗い感情が矛先を変えてドロリと顔を出したがっているのを息苦しい程に感じていた。