キティのもとへ戻るための道中、ジャングルの中にしては拓けている道で新人家来ダーバーはまたしても盛大にこけてしまったらしく、右足を引きずりながらひょこひょこと歩いていた。
「新人家来ダーバー…!良かった…!」
不意に聞こえてきた新人家来ダーバーを呼ぶ声は今にも泣きそうで、震えていた。
顔を上げるとキティが肩で息をしながら新人家来ダーバーの方に走り寄ってくる。
その姿を見た新人家来ダーバーは後ろめたさを抱きながらも、キティに小さく笑いかけた。
キティはその笑顔に突進するかのごとく突っ込み、新人家来ダーバーを強く抱き締めた。
それは新人家来ダーバーにとって痛いほどの熱があり、心臓の凍っていた部分が無理矢理溶かされていく感覚を覚えた。
「キティちゃん、痛いよ。」
「あっ!ごめんなさい!」
新人家来ダーバーの言葉に慌てて離れていこうとするキティを新人家来ダーバーの方から追いかけた。
その背中に腕を回してその温もりに縋るようにキティの体をきつく抱き締める。
キティは戸惑いながらも身を預けてくる新人家来ダーバーをしっかりと受け止め、頭を撫でる。
新人家来ダーバーも静かにその優しさを受け入れた。数分にも満たない短い間ではあったが、2人は温もりを共有し、体を離してからも自分のものではないぬくもりが体に残っているようでむず痒かった。
照れ笑いをする新人家来ダーバーにキティは優しく微笑みかけ、何も言わずに手を差し出す。
しっかりと手を重ね合わせ、足を引きずる新人家来ダーバーをキティが支えながらアンダーバー城へと向かった。
アンダーバー城へと近付くにつれ、不特定多数の声が聞こえてくる。
新人家来ダーバーとキティは顔を見合わせ、少しだけペースを上げて歩みを進めると、チラホラと人影が見え、城の前には既に大衆が出来上がっていた。
今朝の国民がキティのお願いを叶えるために全力を尽くしたことが伺える集まり方だった。
続々と集まってくる人々の数が増えていき、その中に今朝の国民の顔を見つけた頃には城下は人で溢れかえっていた。
その様子に思わず感嘆の声をあげるキティと、まだ少しだけ眩しそうに見つめる新人家来ダーバーに国民たちが気付き、2人の周囲を取り囲んだ。
口々に戸惑いや疑問の声を上げる国民たちに耳を塞ぎそうになる新人家来ダーバーを庇うようにキティが身を乗り出した。
新人家来ダーバーは素直に甘え、半歩下がってキティの服の裾を掴んだ。
「みんな落ち着いて!
今ね、アンダーバーはとても苦しんでいるの。
だから……お願い!みんなの力を貸して!」
よく通る透明感のあるキティの声は国民たちの心に響き、その声に応えようとした国民の声を打ち消すように城門が重苦しい音を立てながら開いた。