静まり返る国民から視線を外し、倒れこむパンダバを大股で跨いでアンダーバーは城内へと戻って行った。
気が遠くなるほどの螺旋階段を来た時よりもゆっくりと、微かな脚の震えを無理やり押し込めながら降り終えると、そのまま地下への扉へと向かった。
螺旋階段よりもさらに光を拒む地下への階段を蝋燭の灯りだけを頼りにさらに階段を降っていく。
度重なる昇り降りの負担が脚に来ていることを自覚しながらも一定の速度で階段を踏み、作成中の地下牢へと辿りついた。
ダニエルが入っていたはずの牢屋は開け放たれており、中には勿論ダニエルの姿はなかった。
地下牢には呻き声を上げる家来ダーバーの2人しかおらず、その2人は床に転がって、痛みによる生理的な涙を流していた。
アンダーバーはその様子を冷めた瞳で見渡し、目を伏せた。
「……あーあ、残念。」
言葉の通り、至極残念そうな声音でアンダーバーはそう呟いて、家来ダーバーたちのそばに胡座をかいた。
「答え合わせをしようか。」
家来ダーバーたちが痛みに悶えながら顔を上げてアンダーバーの瞳を覗くと、怯えた表情の自分と目が合った。
目を細めて怯えた様子の2人の顔を覗きこみ返すアンダーバーは、用意された原稿を読むように語り出した。
「催眠術によって闇に支配された君たちは、ダニエルの腕時計から鳴った僕の声によって闇から解放された。闇から解放され、王への忠誠心のみが残った君たちはアンダーバーを救おうと策を練った。国民を集めたのはキティたちだけど、僕を表に出したのは君だったね。1号が僕を呼んで表に出る間に、2号がダニエルを逃がした。そして、改めて命じられた君たちは、外で必死に努力する国民たちを閉じ込めるための牢屋を無心で作っていた。国民の声でパンダバも闇から解放され、それと共に君たちに残っていた催眠術も解けた。そして、今まで気付かなかった痛みが君たちの身体を一気に襲っている。
……わかったかな?」
家来ダーバーたちは微笑むアンダーバーが恐ろしくて仕方がなかった。
自分たちが闇から解放されていることに気が付かれていたこと、10倍にされた能力を利用するためだけに傍に置かれていたこと、ダニエルを逃がしたことも知られていること、そして、なにより、アンダーバーは闇に支配されたままであることが、恐ろしかった。
能力を無くした自分たちがどんな処分を受けるのか、アンダーバーの瞳の奥にある底知れぬ闇を目の当たりにして、家来ダーバーたちの体は小刻みに震えた。
「まだ、役に立ってくれるよね?」
忠誠心も元に戻っているはずの家来ダーバーたちは、大人しくその首を縦に振った。
闇から解放された家来ダーバーたちを、次に支配しようとしたのは痛みと恐怖だった。