ダークランド(仮)   作:ぱそだ

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5.闇の住人

 キティたちに背を向けアンダーバー城に帰ってきたアンダーバーは、自室には向かわず、客を迎える間で、玉座に腰掛けていた。

 傍らには新人家来ダーバーから奪った宝石が飾られているが、すでにアンダーバーの興味の内ではないようだ。

 足を組んで頬杖をつきながら、入口をじっと見つめる。

 すると間もなく、家来ダーバー1号2号に引きずられる形でパンダバが姿を現した。

 

 「離すだば!何でそんなに…!」

 

 パンダーバーは必死で逃れようとするが、2人はびくともしない。能力10倍の催眠術をかけた時でさえ、こんな力は無かった筈だと気付いたパンダーバーの背中に嫌な汗が伝った。

 アンダーバーは足を組み替えながら高い位置からパンダーバーと家来ダーバー1号2号を見下した。

 

 「お前たちは作業に戻れ。」

 「アン!」

 

 揃った返事をしてから2人は小走りでまた地下へと戻って行く。

 怯えを隠しきれないパンダーバーを見つめ、アンダーバーは綺麗な笑顔を見せた。

 その笑顔は普段の笑顔と遜色ないほど優しさに満ちているようで、瞳の奥にはやはり闇が潜んでいる。

 

 「待っていたよ、パンダーバー。」

 「待っていた…だば?」

 

 パンダーバーは酷い拷問を受けるかもしれない、もしかしたら殺されるかもしれない、という不安を捨てきれずに警戒しながらその眼差しをアンダーバーに向けた。

 

 「君は闇の住人でしょ。」

 

 アンダーバーはパンダーバーからの視線など意に介さず、綺麗な笑顔のまま、それしか言わなかった。

 しかし、パンダバはその一言だけで全てを見透かされていたことを察した。

 パンダーバーは闇に染まっていく世界を見ながら、畏怖と共に高揚感を心の底で抱いていたのだ。

 光に溢れるキティと、それに触発されて希望を持ち始めた新人家来ダーバー。

 2人の眩しさのすぐ傍にいることは、闇の住人であるパンダーバーには酷だった。

 だからこそ、パンダーバーは二人から離れて自らの足でここまで来たのだ。

 城門の前で待ち構えていた家来ダーバーたちに引きずられなくとも、ここまで来るつもりだった。

 

 「……アンダーバー様。」

 

 パンダーバーはその場で跪き、アンダーバーを敬った。

 

 「うん、よろしくね、パンダーバー。」

 

 それを見届けたアンダーバーは綺麗な笑顔を消し去り、元の無表情に戻ってしまった。

 

 「一つ、聞いてもよろしいでしょうか、だば」

 「一つね。何?」

 

 パンダーバーはアンダーバーを未だに直視することが出来ないまま、改めて口を開いた。

 

 「家来ダーバー1号2号は、その……どうやったんだば?」

 「また漠然とした質問だね。言いたいことは分かるけど。」

 

 アンダーバーはわざとらしく大きな溜息をつき、呆れていることを示すような声音でパンダーバーに答えた。

 

 「君がかけた催眠術、能力を強くするものだろ?」

 「はい、だば。」

 「家来ダーバーに備わっていた能力って何だと思う?」

 「え、えっと…」

 

 「支配者への忠誠心だよ。」

 

 アンダーバーはパンダーバーが答えるのを待たずに解答を出してしまった。シンプルなその解答にパンダーバーの背筋が震えた。

 

 「分かる?この星の支配者である僕への忠誠心だ。

 体のリミットを超えても、10倍になった今では、きっと死ぬまで働いてくれるよ。」

 

 パンダーバーを押さえ付けた二人の体は確かにボロボロであった。

 それでもアンダーバーからの命令を遂行するために全力以上の力で働いてみせたのだ。

 そして、今も地下で持てるはずもない鉄骨を運びながら作業をしている。

 

 「素晴らしい催眠術だよ、パンダバ。そうだ、何かご褒美をあげないとね。」

 「……ありがとうございます、だば。」

 

 なんて恐ろしい人だとパンダーバーはアンダーバーに完全に降伏し、心の内で改めて服従を誓った。

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