キティと新人家来ダーバーはピューロランドへの扉をくぐることなく、パンダバを探して城の近くまで来ていた。
考えたくもない惨たらしいことがパンダバの身に起きているのではないかと、2人は言葉にしないながらも考えてしまっていた。
厳重に閉ざされた城門の前で、緊張した面持ちの門番2人が立っていた。
顔に付けられた白い仮面に描かれている笑顔が妙に不自然に見える。
門番2人は新人家来ダーバーとキティに気付くと、どこか怯えた様子で門から離れずにじっと品定めをするような視線を向けた。
「あの、門番さん…?」
新人家来ダーバーの震える声を聞いた門番たちは入れていた肩の力をふっと抜いた。
「あぁ…良かった、君たちは無事だったんだね。」
門番の言葉に頷きながら、新人家来ダーバーはどうにも城内が気になって仕方なかった。
門を見上げる新人家来ダーバーの肩に門番の1人が手を置き、首を横に数回振った。
「今は、中に入らないほうがいい…王様が、何だかおかしいんだ。」
夜だとしても異様に暗いアンダーバーランドの闇が城から広がっているかのように錯覚させるほどの静寂に、耳鳴りがする。
暗い表情で俯く新人家来ダーバーと心配そうに寄り添うキティの様子を見て、門番の2人は顔を見合わせた。
「もしかして、何か知ってるのか?」
王様が豹変した原因を知らない門番たちに新人家来ダーバーとキティは事の顛末を話して聞かせた。
何度か言葉を詰まらせながら掻い摘んで話し終えると、門番たちの表情も曇ってしまった。
「それで、今ははぐれたパンダバを探しているの。
パンダの女の子で…今は黒いマントを付けているんだけど…」
「そ、その子なら家来ダーバーたちに中に連れて行かれたよ…!」
キティの言葉に、門番の1人が慌てたように声を上げた。
「そんな…!早く助けに行かなきゃ…!」
「門を開けてください!」
2人の言葉に門番たちは門を開けようと装置に手をかけたが、装置を作動させるには至らなかった。
門番が2人して動作を止めた様子に新人家来ダーバーたちは行動を催促しようとするが、門番は手を震わせながらくるりと反転したことによって言葉を止めた。
「今日は、もう遅いから、やめておいた方がいいんじゃないかな…」
「な、なに言ってるんですか…!?そんなこと言ってる間にパンダバにもしものことがあったら…!」
「いいから…!寝る場所がないなら俺の家を貸す!ほら、連れて行ってあげる!!」
門番の1人がキティと新人家来ダーバーの手首を痛いほど握った。
城門の前に残る門番は門の中央に移動し、やはりどこか怯えた様子だった。
明らかな態度の変化に戸惑い、新人家来ダーバーとキティは大した抵抗も出来ない。
「中は俺たちが責任を持って確認するから……今日は帰ってくれ。」
そう言って城門から離れていく門番も、門の前で見送る門番も、手の震えが止まらない。
門番たちの頭の中では、アンダーバーが自分たちに向けた、冷たく命令する声が反響していた。