「第一次攻撃隊、帰艦!」
航空母艦蒼龍、飛龍では、既に第ニ次攻撃隊は発艦済みで、帰還した第一次攻撃隊の再出撃、第三次攻撃の準備が進められていた。
「戦闘機14、艦上爆撃機26、艦上攻撃機2、第一次攻撃隊の損害は軽微です!」
第二航空戦隊司令山口多聞少将はウムと小さく頷き、双眼鏡で帰艦機を一つ一つ確認していたが…
「ウィッチがいない、金丸中尉はどうした?」
「それが、僚機を逃す為に囮になったと…」
ほんの一瞬、山口少将の目付きが鋭くなったがすぐに戻り、そうかと小さく一言だけ呟いた。
「第三次攻撃の準備は…」
「無い」
「えっ」
「もう無意味だ」
相変わらず口調は冷静だったが誰にも有無を言わさない圧力があり、反論出来なかった。
爆撃も艦砲射撃も、通常兵器による攻撃では艦艇型ネウロイに決定打を与えることが不可能なのである。
唯一、致命打を与え撃破する手段はウィッチの魔法力を爆弾に充填した魔導弾のみ。
第二航空戦隊の中にあって魔導爆撃が出来るウィッチは金丸昇子しかいなかった。
その彼女を失なってしまったら後は消耗戦しかなく、甚大な犠牲を払わざるを得ないのは目に見えていたのだ。
実は山口少将は怒っていた。
…怒り狂っていた。
「損害軽微だと!
これ以上の大損害があるか!
何故男供が彼女の盾にならなかったのか?
たわけがっ!」
と、本音をブチまけたかったがそれを言ってしまったら全軍の士気がガタ落ちになるので表面上は冷静を装ったのだった。
しかし、山口少将は知らない。
昇子以外にも艦艇型ネウロイに対抗できる戦力がまだあることを。
敷設艦沖島艦長能美実大佐が熱弁を振るってその戦術的有用性を主張した特殊部隊、
《WHITECAP WITCHES》
駆逐級と互角に戦うことが出来る水上歩兵森美幸こと、睦月型駆逐艦菊月。
そして魔導爆弾を装備した新型攻撃ストライカーユニット《瑞雲》で出撃したウィッチ、森夕月。
大出力の新型魔導エンジンを搭載した新鋭戦闘ストライカーユニット《強風》で出撃したウィッチ、保田ひとみ。
白波の魔女小隊は戦場に降臨する。
「作戦は?」
ひとみが菊月に尋ねる。
いちおう白波小隊の隊長は戦時特別辞令で准尉に昇進した菊月。(もちろん駆逐級を一隻撃破したことも評価され)
「夕月、魔導爆撃はできるか?」
「昇子さん程上手くはないかもだけど、この瑞雲なら出来るよ。九九式爆弾も装備してきてる!」
「ひとみ、敵艦載機から夕月を守ってくれ」
「了解、まかされた!」
「昇子が命を懸けて敵を一隻倒してくれた。
後二隻、私たち三人でやるぞ!」
夕月、ひとみ、二人同時に頷く。
「駆逐イ級の相手は私がする。夕月は空母ヌ級に魔導爆撃。ひとみは夕月の護衛と援護だ」
「夕月がヌ級に一発かましちゃうんだから!」
「艦載機共はオレが蹴散らしてやる!」
赤い光弾が飛び交っている。
ちょうど第二次攻撃の真っ最中のようだった。
「今、敵の注意は攻撃隊に向いている。私が横合いから突撃、強襲して更に注意を引く。ひとみと夕月は敵の背後へ回り込め」
「了解!」
菊月は二人と別れ、対空迎撃に専念中の駆逐イ級を見据えた。
船速一杯、魚雷装填、
急速接近しながら12cm砲構え、
距離1500、まだ遠いが今は敵の注意をこちらに惹きつけなくてはならない。
「行けっ!」
砲身が轟き、砲口から青白い閃光と共に、光弾が勢いよく飛び出していった。