決して、現実逃避がしたくて書いた訳じゃありません。
ではどうぞ〜。
「……着いた」
俺はクラインと別れて、始まりの街から少し離れたホルンカの村にやってきた。俺がここにやってきた理由は一つ。第一層で手に入る最高クラスの片手剣であるところの、《アニールブレード》を手に入れる為だ。運良く、モンスターにあまり会わずに辿り着いた。モンスターにも会わなかったが、人にも会わなかった。茅場のデスゲーム宣言からすぐに動けた者は少ないと思われる。村を見渡してみてもNPCは居るが、プレイヤーの姿はない。当たり前だ、現実の命が楽しく遊べる筈のゲームに掛かっているのだ。大概のものは始まりの街から出ずに、宿屋に固まったりするだろう。じゃあ、俺は何なのだろうか?何故、俺は視界の左上に表示されたHPバーが全損したら死んでしまうのに、外に出たのか。
それは簡単だ。いつまでも街の中に有るアンチクリミナルコードが機能してくれるとは思えないからだ。だから自分を生かすために俺は外に出て強くなることにした。効率よく経験値を稼ぐためには強い武器を手に入れた方が良い。そして、俺がその強い武器であるアニールブレードが貰えるクエストに向かおうとした時、後から声をかけられた。
「まって!」
「……!?」
俺は瞬時に振り返りながら飛び、距離を取った。
俺に声をかけた人物は紫色の髪をした女の子が居た。
「ボクの名前はユウキ!…ねぇ、こんなところに来てどうしたの…?」
…?
どういうことだ?
彼女は俺と同じベータテスターじゃないのか?
てっきり、ここに来たやつなんだからベータテスターだとおもったんだが…。
「…俺はキリトだ。こんなところに来た理由としては、生き残るためかな」
「生き残るため?どうして?外に出たら危ないじゃない」
「ああ、危ない。だけど、俺はどうしてもあの街に残ってても安全じゃないように思えてならない。だから、生き残るために自分の強化をしようと思ってここまで来たんだ」
「生きるために…強くなる…」
ユウキ端を向いて何かブツブツ言っている。
そして、何かを決心したように俺の方を見て言った。
「キリト!ボクも、連れてって!」
「は?」
「ボクも強くなりたいんだ!ボクも生き残りたいから。それに、会いたい人もいるし…」
「…そうか。……分かった。パーティを組もう。君が強くなれるように色々教えて上げれることは教えてあげるよ」
「ありがとう!キリト!」
右手を振ってメニューを出し、パーティ申請ボタンを押す。すると、ユウキは突然現れたウインドウに驚きながらも操作し、俺のところにパーティ申請承諾されましたというメッセージが出て、左上の俺のHPバーの下にYuukiと書かれた名前とユウキのHPバーが表示されるようになった。俺は、ユウキを連れて目的のアニールブレードを取りに行くことにした。俺はユウキにクエストの説明をし、ユウキに受けさせた。聞くよりも、ユウキは経験したほうが良さそうだからな。無事受け終えて、俺達は防具屋に向かった。
「ねぇ、キリト。なんで武器を買わないの?あっちの方が強そうだけど」
「ああ、それはな。今から倒しに行くモンスターである【リトル・ネペント】は腐食液を出すんだけど、その腐食液があの武器かかるとすぐに耐久値が無くなってしまって壊れてしまうんだ。素手では戦えないからな、まだ、スモールソードのままの方がいいんだ」
「へぇ〜。そうなんだ!キリト、よく知ってるね?」
「まあな、俺はこのソードアートオンラインのベータテスターに選ばれたからな。…今となっては、運が良かったのかわからないけどな」
そんなことを話しながら、俺とユウキは腰までのコートを買った。このゲームでは、重武装をしなくてもある程度の守備力がゲット出来るから良かったなと思った。流石に何処かの勇者のような顔をしていたアバターだったら金属防具に身を包むところだが、今の俺は現実の体と変わりない。自分が金属防具に身を包んでいる姿を想像したら、なんか猛烈な拒否反応が出てきた。防具を買い終えた俺達は次に道具屋に行って、ポーションと対毒ポーションを買えるだけ買った。遂に森に入り、モンスターを探した。するとすぐにデスゲーム宣言の後すぐに入れた索敵スキルに反応があった。ユウキとともにその場所に向かうと一体のリトル・ネペントがいた。
「アレがリトル・ネペントだ。アイツのアタマと足を繋いでいる茎の部分に攻撃を当てると、大きなダメージを与えれる。行くぞ!」
「うん!」
俺達のこの世界での本当の戦いが始まった。俺はユウキにどの方向から攻撃が来るか伝え、ユウキがそれを聞いて避ける。そして、攻撃する。戦闘を終えてもすぐに、近くのネペント達を倒しに行く。そうして、60体近いネペントたちを倒すと俺のレベルが2にあがった。
「キリト!レベルアップおめでとう!」
「ああ、ありがとう」
ユウキは俺のレベルアップを満面の笑顔で祝ってくれた。すると、そこへ拍手の音がした。俺は、ユウキの手を引いて後ろに下がらせ右手を背中の剣の柄にかけた。
「…誰だ!」
「…ああ。ごめん。僕の名前はコペル。驚かせちゃったかな」
みるとそこには、穏やかな顔をした少年が立っていた。
「あ…いや。俺もすまない。過剰に反応しちゃって」
「いや、いいんだ。ボクも拍手する前に話しかければ良かったね」
「ところで、お兄さん。ボクたちになにか用があるの?」
「ああ、どうだろうか?僕もパーティに加えてくれないか?きみたちもやってるんだろ?《森の秘薬》のクエスト」
「ああ。やっぱり、お前もベータテスターだったんだな。いいぜ。二人より3人のほうが効率いいだろうしな」
「うん♪ボクもいいよ!」
「ありがとう。仲間に加えさせてもらうよ」
こうして、コペルとパーティを組んだが1時間程経っても花付きが出てこなかった。
「出ないね…」
「ああ…」
俺達三人の武器であるスモールソードは各々ところどころ刃こぼれしていた。そろそろ、村に戻らないとヤバそうだと思いつつ、索敵スキルでスキャンをかけると反応があった。そっちの方を見て確認すると、俺は驚いた。
「…?どうしたのキリト」
「花付き見つけた」
「え?…あ。ホントだ花が付いてる」
ユウキも確認できたようだ。コペルも連れ立ってそこに向かうと花付きとそこには出会いたくなかった実付きもいた。
「…キリト。僕が実付きのタゲを取るから、ユウキと一緒に花つきを倒してくれ」
「ああ、分かった」
コペルがまず、実付きの方に走る。花つきがそれに気づき、俺達に後ろを向ける。そこで、俺達が後ろから茎の部分へと同時に片手剣ソードスキル〘ホリゾンタル〙を放つ。花つきのHPバーが9割減った。
一応、花つきは普通のネペントたちよりは強いように設定されているようだ。技後硬直が終わった瞬間に、通常の攻撃を当てる。きっかりHPが無くなった花つきがガラスの破砕音とともにポリゴン片となって消えた。そして、拳ぐらいの大きさの胚珠がドロップし、ユウキとともに実付きの相手をしているコペルを手伝いに行こうと走り出そうとしたとき、俺は足を止めユウキを左手で抑えて止めた。ユウキは俺になぜ止めるのかと顔に表していた。
「キリト!コペルを助けなくちゃ!」
「…ユウキ。もう、無理だ。早く逃げるぞ」
「どうして!?」
「コペルが実付きの実を壊した。あの実は、破壊されるとネペントたちを呼び寄せるんだ。早く逃げないと集まってきたネペントたちに殺される」
「そんな…!?どうして、コペルはそんなことを…?」
「MPKか…。モンスターたちに俺たちを襲わせて胚珠を手に入れるつもりなんだ。…ユウキ。生き残りたいか?」
「え?うん。ボクは生きたいよ。こんなとこで死にたくない」
「そうか。じゃあ、やることは一つだ。俺たちはもう囲まれている。逃げる為には倒さなくちゃいけない。だけど、俺達の武器はボロボロだ。この意味がわかるか?」
「…必要最小限の動きで行動して、武器が壊れないように少ない回数で倒すってこと…?」
「ああ、それが出来ないと死んじまうかもしれない。でも、生き残るためにやるしかない。ユウキ!行くぞ!」
「うん!」
俺とユウキはそこからリトル・ネペントたちの攻撃を避け続け、壊れない様に武器を茎にソードスキルを当てていく。戦っているネペントの中には花つきも居た。つまりは、コペルも普通に頑張ればすぐに取れたのかもしれないなと思ったが、すぐにその余分な思考を捨て、動きから無駄を省く。アバターと剣が一体化したような感覚を得た俺は思った。これが、ソードアートオンラインなのだと。この感覚こそがソードアートオンラインなのだと。俺はもっと先が見たくなった。剣と一体化したような感覚のその先へ行ってみたくなった。俺は、もっともっと無駄を省き剣と一体化したような感覚を味わった。そうして、いつの間にかネペントたちは消えていた。
「キリト!生き残れたね!」
「ああ、なんとかな…。つかれたな」
「うん。はやく村に帰ろうよ!ボク、お腹ペコペコだよ!」
疲れを感じさせない笑顔で言ったユウキは周りを見渡した。
「どうしたんだ?ユウキ」
「コペルさんいないかなって。あの人も一緒に帰らないと、死んじゃうからね」
「MPKをしてきたとは言え、コペルこっちに謝ってきたからな。あいつも仕方なくしたんだろうな。生き残りたいからやったんだ。コペルが一番このゲームに適応するのが早かったんだな」
「そうかもね。キリトも探して」
俺もあたりを見渡す。鬱蒼としげる森のなか、第一層の外周から見える月から届く光に反射して何が光った。俺はそこに向かってみると、ボロボロになったスモールソードとコペルが持っていたような、バックラーが落ちていた。ユウキがキリトの近くにやってきて、キリトが見ているものを見た。
「…そんな!?そんなことって…!」
「ああ…。コペルが死んでしまった…」
ユウキが泣き崩れる。
「なんで…!なんで死んじゃったの…?」
「多分だけど、コペルは実付きの実を壊した後に隠蔽スキルで姿を隠したんだ。ネペントたちに襲われないようにな。だけど、隠蔽スキルは視覚を持っている奴には有効だけど、視覚を持ってないネペント達には効果が無いんだ。だから、コペルのところにも沢山のネペント達が押し寄せたんだ。戦ったけど数が多すぎた。だから、しんでしまったんだ」
「そうなんだ…。…ねぇキリト。お墓作らない?」「お墓?コペルのか?お墓って言ったってどうするんだよ」
「剣を地面に刺して作るの。せめて、弔ってあげよ」
「そうだな…」
俺は剣を地面に突き刺し、バックラーを立て掛けた。俺達はそこに向かって祈りを捧げた。
コペルが安らかに眠れるようにと。
「…行こう。ユウキ」
「…うん。帰ろう」
俺とユウキは村に向かって歩いた。あれだけの数を相手したからか、戻る道中ネペント達には合わなかった。森の秘薬のクエストを終えて新しい武器を手に入れた俺たちは、宿屋に向かった。部屋はもちろん2つ取る。俺が自分の部屋で寝る準備をしていると、ドアがノックされた。返事をして、入ってきたのはユウキだった。
「キリト…。あのさ…?一緒に寝てもらっても良い…?」
…………………。
「ユウキさん…。あなた今言ってることの意味分かってます…?」
「…へ?……あ、いや違うよ!?キリト!ただ、一人じゃ怖くて…」
「ああ…そういうことか…。…お、俺で良ければいいですよ?」
「…あ、ありがとう」
…………………。二人して、ベッドに入ったいいが恥ずかしくて顔を合わせられない。ユウキ、今どんな顔してるんだろう?
「ねぇ、キリト」
「ひ、ひゃい!」
変な返事しちゃった。
「ボクもいつか、コペルのように死んじゃうのかな…?ボクまだ死にたくないよ。生きたい…」
「……。ユウキ、君は俺が守るよ。きみを現実世界に返すまで俺が君を守る」
そこで、ユウキの顔をやっと見た俺はユウキの顔が赤くなっていくのを見た。
「…あ、ありがとう。じゃあ、ボクもキリトを守るよ!」
「あ、ありがとうな。ユウキ…寝るか。そろそろ」
「あ、うん。おやすみ〜。キリト」
「ああ、おやすみ」
寝ることにしたのだが、寝れなかった。そもそも、女の子が横で寝ているのだ。こんな経験は妹でしかない。しかし、となりでもうすっかり寝てしまって、寝息を立てている少女は、妹ですらないし、家族ですらない。心臓がドキドキしている中で俺が寝れたのは時計の針が3時を回ったあとだった。
ユウキちゃん登場しましたね。
次はユウキちゃんの親友さんの登場ですね。
なんか、ユウキちゃんがちゃんとユウキちゃんになってるか自信がないです。