智慧と王冠の大禁書   作:生野の猫梅酒

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第三十五話 獣の玉座 Ⅲ

 最後の特異点、冠位時間神殿ソロモンで藤丸立香たちが追い詰められている中で、彼らを観測しその帰還を祈り待っているはずのカルデア管制室もまた危機に瀕していた。

 カルデア本部に取りついた魔神柱の数、合計で八柱に及ぶ。ただの一つで尋常なサーヴァントなら消し飛ばして余りあるそれらを前に、カルデアは持ちこたえるだけで精一杯だ。

 飛び交う怒号と悲鳴、それに対する諸々の指示の数々は、あたかも鉄火場のような有様を呈している。それでもなお誰一人逃げることなく自分たちの職務を全うし続けているのは、まがりなりにもこれまで共に戦ってきた者たちの矜持が支える意志の力なのだろう。

 

 ここで管制室を放棄すれば、それはコフィンの停止に繋がる。そしてそれは、マシュ・キリエライトが命を懸けてまで守った存在を見捨てることにまで及ぶのだ。

 であれば、ここで管制室から逃げ出すことなどできようはずもなかった。

 

「よし、そっちのブロックは封鎖完了した!? よろしい、残りのリソースは全部守勢に回すんだ! ほんの少しでもいいからここを持ちこたえさせないと彼らの帰るところがなくなるぞ!」

 

 いつにない真面目な調子で職員たちを叱咤するのは万能の天才、どうにかカレのおかげで瀬戸際で留まっているものの、果たしてこの均衡もいつまで続くか分からない。

 

「ほらロマニ、君も考え込んでないでこっちを手伝ってくれ──」

 

 威勢よく飛んだ言葉であるが、尻すぼみで消えていく。

 さっきまで管制室で司令塔として行動していた彼は今、一つの大きな壁にぶつかったかのような面持ちであった。

 一つ、深呼吸。それから、覚悟を決めた。

 

「未来の価値か……それを言われたら仕方ないね。それに何より、彼女には言っておかなくちゃならないことがある。よくもこうまで隠し通してくれたものだよ。忘れていたボクにも非はあるとはいえね」

 

「……なんだ、やっぱりそうなるのかい? せっかく想い人がいるんだ、悪足掻きでも何でもして生き残ろうとするかと思ったのだけど」

 

「そうだね、ボクだって出来ることならそうしたかったさ。だけど、ここまで来たら仕方ない。ボクはボクとしてやれるだけのことをする。状況的にも今が最適だし、覚悟を決めるならこの時がベストだ」

 

 そして、彼は立ち上がる。そこにはもう、平時の情けなくて頼りない男の姿はなく、ただ自分のやるべきことを見据えた者の姿だけがあったのだ。

 

「カルデア司令官として全職員に最後の任務(オーダー)だ。必ず、立香君が戻ってくるまで管制室を死守しろ。特に君は万能の天才なんだ、それくらいやれるだろうレオナルド?」

 

「……ふっ、私を誰だと思ってるんだい。それくらいお安い御用さ。だから君も──果たすべきことを果たすといい。お土産、少しは期待したかったのだけどね」

 

「はは、それはちょっと厳しいかな。悪いけどそっちは立香君からもらってくれ」

 

 軽口と、それから微かな笑みと。それだけ残してロマンは管制室を出ようとする。

 その時であった。

 

「Dr.ロマニ!」

 

「おや、なんだい?」

 

 職員の一人だった。ロマンの出したオーダーをこなすべく必死になって管制室のコンソールと向き直っているから、どんな顔をしているのかも分からない。今この時だって指はせわしなくタッチパネルの上を踊っている。

 だけどこの一時だけは、先ほどまでの喧騒が消えていた。誰もが次の言葉に耳を傾けて待っている。

 

「吉報を──心待ちにしています!」

 

 その声がわずかに泣きそうに感じられたのは、きっと気のせいではないだろう。

 

「ああ、任せてくれ。これでもボクは、勝てる戦いにだけ出陣する男だからね」

 

 きっぱりと告げてから、彼は最後の戦場へと足を進めた。

 

 ◇

 

 かくして、最後の舞台は整った。もはや風前の灯火というところまで追い詰められた立香、ならびにマーキダの前に現れたのは、本来ならばどうやっても現れることが出来ないであろうただの人間(ロマニ・アーキマン)であったのだ。

 そして彼は、どのような時もつけていた白い手袋を外していた。指に嵌まり鈍く輝くのは、ただ一つの指輪だ。

 

「貴様、ロマニ・アーキマンだと。馬鹿な、なぜこの場にいる。いや待て、その指輪は──」

 

「そうだゲーティア、これはソロモン王が持つ十の指輪の内の、最後の一つさ。遥かな昔に、遥かな未来へと気紛れに送ったのだけど……中々どうして、運命とは分からないものだね」

 

「ドクター……?」

 

「ごめんね立香君、だいたい察したとは思うけど、ここからしばらくはボクらに任せてほしい。だから君は、君の仕事を為す時を逃さないでくれ」

 

 訳が分からない、だけども急速に事情が呑み込めてきた立香であったが、ロマンの念押しに敢えて口をつぐむことを選んだ。言いたい想いをぐっと我慢して、彼を信じる。

 そしてもう一人は──

 

「嘘、駄目、どうして来たの……?」

 

 まるで熱に浮かされたかのような定まらない表情で、あまりにも悲痛な声を出していた。

 

「いやうん、確かに君には色々といったけど、やっぱり土壇場っていうのは何が起きるか分からないものさ。だから、ボクはこうしてここにいる。立香君やマシュが勇気をくれて、君はボクにたくさんの想いを注いでくれた。きっとそのおかげだろうね」

 

 そこで言葉を切ってから、彼はゲーティアへと向き直る。

 

「さて、生憎とお前に長々と語ってやるつもりもないからね。手短に済ませておこうか。マリスビリーの手によって十一年前の聖杯戦争に召喚された()は、勝った暁に聖杯に一つの願いをくべた。まあそれ自体は”人間になりたい”なんてよくあるものだったし、この際それは置いといてよい」

 

 滔々と語られるロマンの、否、ソロモンの言葉に激しい否定を示したのはゲーティアだ。先ほどまでの余裕をかなぐり捨てて、彼の口から放たれる言葉に驚愕を隠そうともしていない。

 

「馬鹿な──あり得ん! 節穴かフラウロス! 何もかも違う、貴様があの男であるはずがない! しかも願いを叶えただと!? それこそ絶対にありえないだろう! 外道! 冷酷! 残忍! 無情! この私のアーキタイプとなった男が、人並みの願望など──!」

 

「……お前にそこまで言われると流石に傷つくなぁ。というか、仮にもそこまで言われちゃう男がどうしてここまで好かれたのやら。今でもちょっと不思議で仕方ないよ」

 

 未だ呆然としているマーキダを一瞥してから、困ったように笑った。

 それと共に彼の周囲が光で包まれ始める。仄かに輝く光はあたかも祝福のようにも見えて──

 

「駄目、それだけはやっちゃいけません! せっかく貴方は人になれたんです! これから先の人生は重荷からも解放されて、楽しく過ごして、貴方の頑張りが報われなければ嘘じゃないですか! 貴方の人生は、ここで終わって良いものじゃありません!」

 

 マーキダからしてみれば、呪いの光に他ならなかった。

 口をついて出る言葉は彼女からしても勢いと衝動に任せたものだった。幸せになってください、報われてくださいと、心の底から願う故に必死になって思いとどまらせようと言葉を走らす。

 そんな彼女の想いを受け止めた彼は、涙が出そうになりながらも、ただただ笑みを浮かべた。これに頷いてしまえば、目を向けてしまえば、きっと今度こそ自分は意気地なしのまま終わってしまうと分かっていたから。

 

 それだけは、絶対に認めるわけにはいかなった。

 

「ありがとう。こんなボクの身をそこまで案じてくれるのも、きっと君くらいだろうねマーキダ。だけど、もう決めたんだ。きっと辛い思いをさせるだろう。身勝手な願いだけど、どうか理解してほしい」

 

 そして、ほんの一瞬だけ、光が溢れた。一秒にも満たないその刹那に、

 

「魔術王の名はいらない、と言ったな。では改めて名乗らせてもらおうか。我が名は魔術王ソロモン。ゲ―ティア、お前に引導を渡す者だ」

 

 本物の魔術王ソロモンが、この場に降誕した。

 

 ◇

 

 ソロモン王には、三つの宝具が存在すると言われる。

 そのうちの二つはゲーティアも理解し、使用しているもの。

 第二宝具『戴冠の時きたれり、其は全てを始めるもの(アルス・パウリナ)』。

 並びに、第三宝具『誕生の時きたれり、其は全てを修めるもの(アルス・アルマデル・サロモニス)』だ。どちらも魔術王ソロモンを象徴するに相応しい宝具と言えよう。

 しかし最後の第一、こればかりはゲーティアには分からない。何故なら、彼から()()()()()()こそがこの宝具の真の効果だから。故にこその仮想第一宝具、どのようなものかは自らの推測のみが頼りとなる。

 

 だがこの時、魔術王ソロモンその人が現れた。であれば最後の宝具、ゲーティアが仮想と定めた第一を操れるのは至極当然のことであり──それを為すことはどこまでも希望に満ち溢れた残酷な結末を呼び起こすのだ。

 

 ◇

 

「それじゃあ二人とも、ちょっと行ってくるね。なに、用件はすぐに終わるさ。そのあとは君たちにバトンタッチだよ」

 

 まるで買い物にでも出かけるかのような気安さで、彼はゲーティアへと向かっていく。その後ろ姿を立香は止めることなく見送ったが──

 

「待って! お願い、行かないで……!」

 

 その背に追い縋る影があった。マーキダはほとんど抱き着くように後ろから引き留めるが、しかしソロモンは止まらない。止まるつもりもなかった。回された腕を優しく振りほどいて、後ろを振り返らずに一歩進んだ。

 

「離してくれないか。これ以上は未練ができるからね」

 

「でも……貴方の最期は……!」

 

「そうそう、最後ついでに君にも一つ言っておかないとね。自殺なんて終わりは良くないよ。頼むからもうそんなことはしないで、ボクの分までできるだけこの世界を楽しんでおいて欲しいかな」

 

「そんなこと言われても……貴方が居なければ生きていく意味なんて……私だけ置いてかないでよ、ねぇ……」

 

 ほとんど泣き崩れそうになっているのに、それでもどうにか両の足で立っているのは最後の矜持なのだろう。代わりに消え入りそうな声音で呼び止められてしまい、心が揺れ動く。

 今まで散々助けられたり慰められたりしたのだ、すぐにでも戻ってあげたい気持ちは山々だった。それでも、決意を翻さない。振り返ることだけは決してしない。

 

「私の最期は、そうだ、幸いにも最期だけは人間らしい逸話となったからね。お前の持つ九つの指輪と、私の持つ一つの指輪。これがあれば、あの時を再現できる」

 

「──まさか、貴様! 止めろ、止めろ止めろ止めろ止めろ! なぜそのようなことができる! 全能を手放すなどと、そのような真似できるはずが──」

 

「できるのさ、今の私にならね。全能のくせに、案外と認めたくないことから目を背けてしまうのはお前の悪い癖だ。さあ、ゲーティア。お前に最後の魔術を教えよう」

 

 ──伝承に曰く。ソロモン王は指輪を用いたことは一度しかなく、またその最期は神に指輪を返却することにより遂げられたという。それはつまり自身に与えられた恩寵を完全に放棄する事と同義であり、死を意味する事となる。

 

「神よ、あなたからの天恵をお返しします。……全能は人には遠すぎる。私の仕事は、私の心は、私の幸せは……人の範囲に収まるもので十分すぎたんだ」

 

 そのようなことを、一度死んだ身であるサーヴァントが宝具として用いればどうなるのか。

 指輪を返して天命を果たした逸話の再現、それはつまり──

 

「第一宝具、再演。──『訣別の時きたれり、其は世界を手放すもの(アルス・ノヴァ)』」

 

 自身の存在全ての放棄。魔神柱も、時間神殿ソロモンも、そして己すら巻き込んだ消滅に他ならない。

 瞬間、崩れ始めるゲーティアの肉体。あれだけ凶悪な強さを誇った獣の肉体はいとも簡単に綻びを産み始める。それは一秒毎に増えて、増えて、増えて──

 

「馬鹿な、認められん! 認められるはずがない! 英霊としての放棄だと! 命だけでなく、全ての存在の放棄だと! 貴様、何をしたの分かっているのか!?」

 

「もちろん分かっているとも。これでボクはもう終わり、英霊の座からも消えて完全消滅と相成るわけさ。まあうん、その道連れにお前にも消えてもらうんだから、やるだけの価値はあったとボクは思うよ」

 

 まるで気にしていないとばかりに、あっけからんと告げるソロモン。いや、その姿はいつの間にか見慣れたロマニ・アーキマンのものに戻っているのだが、

 

「ドクター、身体が……」

 

 彼の身体は消えかけていた。これまでの旅路で何度となく見てきたサーヴァントの消滅間際のそれはしかし、此度ばかりはあまりにその意味が違う。違いすぎる。

 

「残念だけど、今言った通りさ。直にボクは完全に、英霊の座からすら消え去る。正直に言えば君たちと一緒に二〇一七年を迎えられないのは悲しいし辛いところだけど……これでいいんだ。この選択を、君たちがボクに教えてくれた。だからほら、そんなに悲痛な顔をしないでくれマーキダ。せっかく珍しいボクの見せ場なんだから、せめて笑ってくれると嬉しいな」

 

 振り向いた先には、ひたすら涙を流し続けているシバの女王の姿があった。

 

「誰が……笑えるものですか……。貴方は……本当に、ずるいですよ。私の気持ちはどこに行けばいいというのですか!? 永遠に叶わぬ恋を抱えていろと!?」

 

「残酷なことを言っているのは百も承知さ。だけどひとまず、君も思い詰めすぎて自殺してしまったって事であいこにしないかい? ()だって、かつてそれを知ったときは衝撃でしばらく何も手につかなかったのだから……なんていうのは、ちょっと意地悪過ぎたかな」

 

「っつ、ドクター!」

 

 マーキダが駆け寄る。もはや彼以外は何も見えない聞こえないとばかりに、わき目も振らずにその身体を抱き留め繋ごうとして……触れることなくすり抜けた。

 咄嗟にバランスを取れず、無様に地面に転がる。その姿はまるで、恋に破れた手弱女のように。ほんの微か手に握りしめた光の粒子を見つめて、こらえ切れず嗚咽を漏らす。

 

「……参ったね、これじゃ最後に握手で終わるなんてこともできないみたいだ。中々もどかしいものがあるけど、でもボクはたくさん君と触れ合えた。昔できなかったことをたくさん出来た。なら、それで十分だろう」

 

「十分なんかじゃ、ない……! 貴方は幸せにならなきゃ駄目なのに……だって、こんなの酷すぎます! 貴方の人生の中には幸せも救いも、自由すら欠片たりともなかったのに!!」

 

 夢を叶え、人間になれた。それはいい。けれどそのあとは? いつ起こるかも分からない事象に向けてひたすら備え続ける日々、気を休められる時なんてどこにもない。それは自由の名を冠した牢獄だ。実質的には、彼の在り方はソロモン王と何一つ変わっていないのだから。

 

「いいや、それは違うさ。ボクは確かに自由だった」

 

 だけどロマンは、自分の幸せを願ってくれる叫びを毅然として否定した。

 立ち上がろうとするマーキダに手を差し伸べかけて、自分の身体を思い出してゆっくりとひっこめた。けれど彼女の手は伸びてきたから、それに合わせてエスコートでもするかのように手を重ねる。

 

「ボクは自分の意志でこれを為した。昔とは違う、だから不満なんてなかったさ。何でもないようなことで笑って、怒って、悲しんで、そんな当たり前のことをたくさん知ることができた。立香君にマシュ、カルデア職員の皆やレオナルドには助けられない日はなかったほどだよ。そして極め付けに、君が傍に居てくれた。それだけで、ボクには十分な人生だった。胸を張ってそう言える」

 

 その言葉に込められた想いには、本当に微塵たりとも後悔なんて存在しない。彼は本当に、心の底から善き人生だったと感じているのだ。

 そして、段々とロマンの声が小さくなり始める。消滅へのカウントダウンはもはや一刻の猶予も残されていなかった。

 

「さて立香君、これが本当に最後の命令だ。魔術王はこれで消え去るが、獣にはまだ僅かの猶予がある。だからこそ、ゲ―ティアを完膚なきまでに倒してこい。人間の生と死の愛おしさを、愛と希望の物語を君の手で見せつけてくるんだ」

 

「ドクター……わかりました。貴方に最大の敬意を……!」

 

「ははは、君にそう言われるのは恥ずかしいなぁ。でも、嬉しいよ」

 

 気恥ずかし気に後頭部を掻く、ような仕草をしてから、今度はマーキダに向き直る。

 正面から、視線が交わった。その赤い瞳を見つめていると走馬灯のように想い出が蘇ってきて──だけど振り返る暇はない。最後に一つ、伝えるべき想いがあるのだから。

 

「いつか君は言ったね。”千里眼だけじゃ見えないものが見えた時こそ、今の気持ちを思い出せ”と。そうだ、ボクは本当に楽しかった。あの頃にはまだ理解できなかったことを理解できた。だから最後に、恥ずかしいけど──今度はボクから言わせてくれ」

 

 それはいつかの、大切な記憶。魔術王と幻想女王が再会を誓った最後の日に交わした約束。もうその約束は再会の時に果たされたけど、新たにもう一つ約束ができたのだ。

 自分の言葉で想いを伝えてくれる時を待つと、彼女は言ってくれた。だから今度こそ、自分から伝えておきたかったのだ。それさえできれば、後はもう満足して消えていけるから。

 

 彼女は泣きながら、目元を拭った。それから、精一杯に笑う。涙でぐしゃぐしゃの笑みは不格好かもしれないけど、なにより綺麗に思えた。

 

「さようなら、マーキダ、愛しき幻想の女王よ。君と出会えたことが、この生涯で何よりの宝だよ」

 

「私も──貴方を愛しています。どれだけ時が経とうと、決してこの想いを絶やしはしません。だから、ありがとう。貴方と出会えたことが、私の誇りです」

 

 納得なんて出来ていないだろう。こんな終わりは認めたくないと魂は吼えているだろう。その気持ちはとても抑えがたいほどだけど、それでも彼女は耐えた。彼の言う通り、せめて最後は笑顔で見送ろうと鋼の意志で抑えてみせた。それこそが、彼の人生に報いる一番の方法だと理解したから。

 

 彼は、満足げに笑ってくれた。それでもう、マーキダにとっては十分だった。

 

 そうして、ソロモン王は、ロマニ・アーキマンは、人としての生涯を終えた。光の粒子は解れ、そこには既に何もない。ほんの十年ほどの人生を、彼は最大限に活用して、楽しんで、愛し愛されて──この世界から去っていったのだった。

 


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