DW 作:委員長※永琳は俺の嫁
二人は私が転ばないように細心の注意をはらいながら歩いてくれた。そのせいもあってか、儀式が行われる部屋と思わしきところにつくと、見張りのような役割をしている人が、急げと催促をした。
扉が開けられまっすぐ進むように促される。どうやら、もう二人はついてこれないらしい。二人とも「絶対、目隠しをとるんじゃないぞ」と念を押すと、「がんばって」といいながら燐子は私を抱擁した。ラブ彦は頭をくしゃくしゃと撫でてくれた。私は「ありがとう」と一言言うと、その扉と部屋を隔離する境界線を越えた。
すぐに私を襲ったのは今まで体験したことのない恐怖と底知れない不安感。気持ち悪い、吐き気が込み上げてくる。だけど、私は足を止めなかった。進むたびに精神が汚染されても、進む先に絶望が待っていたとしても、私の背中は暖かい。二人の思いがこもっているからだ。
そんな希望を根こそぎ奪い、無に帰すものがいた。邪神ハスター。アルデバラン星のハリ湖に封印されているもの、だが、ラブ彦らの話からするとすでに封印は解けているのか、あるいは完全には解けてはいないが動くことならできるというものなのか、私には見当がつかない。
そのとき、上から言葉が降ってきた。その声に私は聞き覚えがある。その声は燐子が呪文のようなものを詠唱しているときに聞こえる、心がざわつく、不快感の極みと言えるような声。その声の主は間違いなくハスター自身だ。そんな声を聞いた私は布をとりたくなる衝動にかられるが、何とか堪えることができた。
「うぎゃああああ!」
「ひいええええええええええ」
すぐ隣で二人の男女の叫び声が聞こえたかと思うと、なにか鈍器のようなものが振るわれる音がし、グチャっという音と共に叫び声が消えた。代わりに鉄臭い臭いが当たりに広がった。これは推測だろうが間違ってはいないだろう、視界がなくてわからないが、私と同じように儀式を受けるものが何人かいて、その中の二人は衝動に負けて布をとってしまっのだ。結果、発狂してしまい殺されてしまった。
そんなことなど些細なことだと言わんばかりに、再び上から声が降ってきた。今度は人間の声だった、野太く、男性特有の低さをもっていた。その人は私たちに問いかける。
「衝動に勝ちし者よ、貴様らはハスター様の信者になる事を誓うか?」
バラバラだが私も含めて全員「誓います」といった。では、と質問は続く。
「では、衝動に勝ちし者よ。その布を取りハスター様を見るのだ。本当に信者になりたいのなら発狂はしないだろう、だが、信者になるきのないものがみれば忽ち死の鉄槌が下されるだろう」
私はその男口調からなにか違和感を感じる、彼はなにかを隠している、いや、この場合は嘘をついているといった方が正しいのだろうか……私は考えこんでいて布をとるのを忘れていた。
失踪はしないから大丈夫だと思われます。