DW 作:委員長※永琳は俺の嫁
その日は朝告げ鳥が鳴く前に目を覚ました。時刻はまだまだ日が昇るには早い、今頃寝返りをうってる頃合だろうね。私の住む町は大都会とまではいかないけど、そこそこに発展していると思う、昼間の喧騒は心を浮かせそれは深夜まで収まることはない、この町が静かになるのはこの時だけ、私はこの街が不眠症にならないか些か心配である。そんな神秘的な空間で、心が落ち着く静けさで、疑問の顔を浮かべている自分がいた。私はこの静けさとは一生会えない空間の記憶を持ち帰っていた。
今は私がここにいることが不思議で不思議で仕方がない。そのためか自分の体が自分でないような気がして先程から手を握ったり開いたりとしている、腰をひねったり、肩を回してみたりと軽く動かしてみたが体におかしなところはない。健康だ。むしろ元気が良すぎて少し困るくらいだ。
私はベットから起き上がり、フラフラとリビングへ行く。リビングは少し広めに作られているけど家具を置いたら一転して少し狭くなってしまった。でも、二人にはちょうどいいスペースだ。母は綺麗好きで、潔癖症とは言わないまでも掃除には一種の凝りがある。こうやって「つつつ」っと細いレールをなぞっでも塵一つ見当たらないのが証明と言えるかな? 中央には茶色いシンプルなテーブルに透明のフィルターのようなものがかけられて、それを挟むように上品なクロスが挟まれている。これでシンプルなテーブルも少しオシャレに見える、そのテーブルには見栄えがいいからと、母がいつもフルーツをバスケットに積んでいる。バナナ、りんご、オレンジ、ぶどうと色鮮やかだ。もちろん本物で食べられる、流石に夏は控えるけど、この街は基本的に冷涼なので、まだ冬の名残がありフルーツも冷たい。試しにぶどうをひとつ摘んで口に含む。程よい酸味のあとに甘味が顔を出し、プチッという歓喜の音が口内でこだます。冷たさも冷蔵庫に入れていたのかと思うほどひんやりとして、喉元を通る頃にはその冷たさが名残惜しく感じた。私の目的はこのぶどうを摘むことではない、本命はこの赤と黄緑で構成され艶やかな肌をみせ、フレグランスのような甘い香りを身につけるりんご。…ごめんちょっとかっこつけて言いたかっただけ、ただの市販のりんご、青森産のりんご。それを手のひらに収める、りんごはすっぽりと包み込んだその手に私はぐっと力を込める。大体の人がわかると思うけど、りんごの実(正確には実ではないけど、みんながいつも食べてる部分)は皮の下にぎっしりと詰まっていて、質量も然ることながら密度もある。たまに見かける筋肉モリモリのお兄さんがりんごを握りつぶすシーンがあるけど、あれって握力80kgくらいないとできないんだって……そう前どこかの誰かが言ってた気がする。だから、私は驚いている。冷たく滴る果汁は紛れもなく本物で、私の半分のパーはグーになっていて、隙間からでかい破片がごろりとテーブルに落ち、見渡せばなかなかの惨事だ。私はそのりんごをいとも簡単に握りつぶしたのであった。驚きを隠せない私だったがそれよりもこの状況を見た母が怖く、私は急いでその破片を片つける作業に取り掛かるのであった。そのとき、朝告げ鳥が鳴き始めた、街があくびをしたのかもしれない。
やっと案がまとまってきたので更新を再開出来たら嬉しいです。