DW   作:委員長※永琳は俺の嫁

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四月十日(木)


現実、その1

 何とかギリギリ朝礼には間に合った。五分前というギリギリの到着で久しぶりの全力疾走に髪と服がかなり乱れ、呼吸も荒い。みかけたクラスメイトに「大丈夫?」「なんか、不審者に追いかけられたのか?」と心配してくれた。近寄ってきてくれたのは昨日カラオケに行った名も知らぬクラスメイトである、私はいつのまにか愛想笑いで「大丈夫、遅刻しそうになっただけだよ」と言っていた。「副委員長、なんかあったら俺らに言えよ」と帰っていったよく見ると男子しか集まってきていない、私は悪寒を感じ周りを見ると他の知らないクラスメイトの数人がこちらを見て睨んでいた。何か嫌なことが起こると頭でなにかが叫びながら直ぐに目線を下げ自分の机にいく。すると、自分より大きな手が伸びてきて私の両頬を指で押さえつけ無理矢理上げる、目の前にはラヴ彦が立っていた。

 

「はいはーい、下を向いてたら幸せが逃げちゃうよ。笑顔、笑顔、英語で言うとスマイルか?」

 

 というとニカって笑いながら私の両頬を軽くつまみ引っ張る、ちょっと目尻涙がたまる。本当にうれしい、こんな私を気にかけてくれるなんて……でも私は「ごめん」といってその手を押しのけ自分の席に戻った。ラヴ彦が私に絡んでいる横からまたあの睨んだ視線を感じたからである、また嫌な予感が脳裏を過ぎる。その予感は的中した、お昼になり急いで出てきたため弁当を用意してなく食堂に行こうとしたときのことだ、三人の女子が私の前にニコニコとした笑顔で立ちふさがった。その顔はニコニコと笑っている、でも私は知っている。この笑顔は偽者の仮面だ、漫画でよく使われる古典的な制裁、それは本当に起こるものであった。私は三人に囲まれながら校舎の一番端にある女子トイレに連れて行かれた、女子トイレの前までくると急に背中を押されタイル張りの床に倒れる。この後の展開は容易に想像がついた。三人のリーダ的存在の女子が私を見下ろしながら言った。

 

「あんた、調子に乗ってんじゃないわよ」

「えっ?」

「えっ? じゃねーよ。入学二日目でもう男子に色目使うとか本当に淫乱だな」

「本当最低、今日も馬鹿みたいに走ってきただけなのに男子にちやほやされて……まさか狙ってたのー?」

「ちょっとかわいいからって調子に乗ってんじゃないよ、愛彦にまで色目使うなんて……あんた愛彦のなんなの?」

 

 突然、言葉で責められる。わからない、私には彼女達の言っていることがわからない。色目を使うって何? 普通に男子と接しているのが色目を使うなのだろうか、とそのとき私は一つの考えに至った。私のような人間が楽しそうに暮らしてはいけないんだ……彼女達はそう教えにきてくれたんだ、彼女達は間違ってはいない、私が間違っているんだ……と。

 これは私の心の底にある劣等感が引き起こす考え方だ、×歳までの記憶がないという、たった数十年ですら記憶できないという不完全な自分と普通の人間との格差、不完全な人間は普通の人間と等しく接してはならない。と、いう歪んだ考え方自分でもわかっている、でもこの考えた方になると自分なんて考えられなくなる……あのときからだこの考え方に至るようになったのは。

 しかし、私の過去回想など入らない。何も言わずに暴言を聞いている私にイライラが最高潮に達したのかリーダ的存在の女子が私に向かって手を振り上げた。ああ、数秒後に頬を叩かれるんだろうなと考えていた。目は虚ろでもう何をされても気にしないそんな状態だった、でもいつまでたってもそんな衝撃波来なかった。それどころか「痛い痛い!!」という声が聞こえる、顔を上げると振り上げた手を内側に捻っている燐子がいた。すこし、ドスの聞いた声で燐子は言った。

 

「いじめ、ダメ絶対」

 

 あくまで顔はにっこりと笑っていた。

 

「ッ痛! 放せって痛い!!」

「ごめんなさいねー、私の友達を叩こうとしているように見えたから……つい♪」

 

 顔は笑顔だが明らかに手の力は強まっていた。減らず口を叩けていたリーダー的女性も「放せって」「痛い」としか言えていない。ついには周りの二人が燐子に謝り渋々ながら手を離した。リーダー的女性は捨て台詞を吐くとばつの悪そうな顔で手首を押さえながら二人をつれてトイレの前から去っていった。

 とりあえず、私はなにかお礼をしなければと思い燐子に向かっていった、が、燐子も同時にいったようで被せるようになってしまう。

 

「あの」

「えっと」

「あ、先どうぞ」

「いや、そっちのほうから」

「じゃあ、私が」

「なら、私が」

「「どうぞどうぞ」」

 

 なにか言わなければいけないという考えと相手のほうも気になるという葛藤に陥り、つい某芸能人のネタを披露していた。燐子もどうやら知っていたのか私にあわせてのってくれた。一瞬の間をおいて笑いが込み上げてくる、心地がいい。はたから見ればトイレの前で笑っている二人はさぞ奇妙な光景に見えただろう、でも、私は幸せを感じていた。

 その日の放課後、私と燐子はミセスドーナッツというドーナッツ屋さんで談笑した。この日の私はいつもより随分と他者にコミュニケーションをした。不思議と怖くはなかった、私は燐子に対して心を開いていたのかもしれない。私は思った、この幸せを大事にしたい。

 私たちは幸せを得たい、現実(リアル)を守りたい、だからこの日から戦いを続ける。今思えばこの日は異形の神々が私たちに与えてくれた慈悲なのかもしれない…と。




これで半分移転完了かなw
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