まあ、疲れが溜まりまくってヤバイですけど……。
何がって色々と……。
とりあえず、続きをどうぞ。
サーゼクス様の最後通告を拒絶したカテレアを殺そうと何度も光の剣を豪雨のように投げ放したり、音を越える速さで剣を振るうが、未だに決定打が決まらない。
「無駄に固い防御障壁だな。いい加減、解いたらどうだ?すぐ楽になるぞ」
カテレアが攻撃の手を止め、見下した視線でこちらを見ると--
「無駄口の多い人間ですね。そう言うあなたの方こそ避けるのをやめれば、楽になりますよ」
「いやだね。そいつに当たったら痛いですまないだろうからなっ!」
不意打ちで光の剣を投擲するが、瞬時に防御障壁を張り巡らされた。うざいな、あれ。やり方を変えるか。
光の剣をさっきまでとは違い、本気で投擲する。
「たかが一本の剣でこの障壁を破れると思っているのか!!」
思うからやり方を変えたのさ。
光の剣が障壁に触れる。すると障壁は硝子が割れたかのように砕け、カテレアの頬を掠めた。
「っ!?バカな、私の障壁が破られたですって!!」
「さっきまでは量で攻めていたが、やり方を変えて質で攻めたのさ。そうすればご覧の通り、あんたの障壁を破壊するだけの威力が出せるんだよ」
人間を舐めんなよ、悪魔。こちとら毎日お前のような奴等と戦ってきたんだ。舐めるのも大概にしとけよ。
カテレアが頬の傷から流れる血を拭い、顔に傷が付いたことに気付くと徐々に憤怒の表情に変わっていく。
「人間風情が、レヴィアタンの血を引く私の顔に傷をつけることが、いかに許されざることか知っての狼藉か!!」
「そんなこと人間の俺が知るわけないだろ。第一、油断していたお前が悪いだろうが」
顔に傷をつけられたくなかったら最初から本気で来いって話なんだよ。そんなんで怒りを俺にぶつけるな。油断してた自分を恨みやがれ。
「ええ、そうでしょう。その事は認めます。私はあなたがただの人間だと油断していました。ですが、先程の攻撃で私を倒せていなかったのは失態でしたね」
慢心を捨てるか。それもよし。だったら俺も全力をもって祓わせてもらう。
「私の顔に傷をつけた代償に、この力で、あなたを消してあげましょう!!」
そう言うと懐から小瓶を取りだし、なかに入っていた小さな黒い蛇のようなのを呑み込んだ。その瞬間、爆発的に魔力が増大し、空気を揺り動かした。
っは。とんでもない隠し玉を持っていやがって。
さすがにヤバイと思ったときにはすでに残り少ない光の剣の残量を気にすることなく投擲していた。
それをカテレアは右腕を横になぐだけで吹き飛ばし、お返しと言わんばかりに魔力弾を放ってきた。
さっきまでより速い!いや、それだけじゃない。威力も数までもが比べ物にならない程に高まってやがる。
小瓶に入っていたものを呑み込んだだけでここまで強くなるのか!?俺が優位だったのに、一瞬で形勢が逆転しやがった!
光の剣があと一本だけのいま、遠中距離での戦闘は完全にあっちに軍配が挙がっている。なら、近接戦闘に持ち込めばまだ勝機はある。
距離を縮めるため一気に走りだす。威力と弾幕が増した魔力弾を掻い潜り、懐に潜り込んだ刹那、最後の光の剣を抜刀した。
「人間にしては頑張ったわね。けど、それももう終わり」
「………くそが」
こいつ、剣の軌道を予想してピンポイントに防御障壁を張って防ぎやがった。障壁も強化されてるのか、刀身が砕けちまった。
「さようなら、人間」
あ、ヤバイ。
カテレアが放った魔力弾が俺の腹を貫いた。
「ごふっ!」
口から大量の血を吹き出し、地球の引力に引かれて落下し、地面に衝突した。
ああ、神経もやられたのか痛みをまったく感じない。ここで俺の人生は終了か。こんなデカイ穴を空けられたんじゃ、助かりっこないな。
それがただの人間だったらの話だが。
「リュウガ、いつまで倒れたふりをしているつもりですか?はやく起きなさい」
人使いが荒いな、ミカエル様。こっちは腹に穴を空けられていたんだ。もう少し心配してくれてもいいじゃないですか。
まあ、腹の穴は
「な、なぜ立てる!?それに腹の穴が治っているのはどういうことですか!?」
その質問はごもっともだ。誰だって、その事は気になるだろ。
「それは、俺が『再生者』だからだ」
「『再生者』?」
まさか知らないのか?だとしたら人間のことを侮りすぎだ。
「『再生者』っての読んで字のごとくだ」
「なるほど、だから体の傷が治ったのですか」
「その通りだ。こいつは俺たち人類が化け物どもを殺すために作り出した技術だ」
「ふん、だとしてもたかが人間の作り出したもの。私にかかればそんなもの無いも同然です」
無いも同然……か。その言葉、後で忘れたとは言わせないようにしてやるよ。
「化け物どもからしたらそうなのかもしれないな。だが、忘れたのか?こいつがお前ら用に作り出した技術だということを。そして、とっておきを残していたのはお前だけとは限らないんだぜ」
「なに?」
着ているだけで邪魔になる穴の空いた服を強引に破り捨て、天を仰ぎ見る。
さて、久しぶりにあれを使うか。この状況下で、手持ちの武器が尽きた今ならミカエル様も開帳を許してくれるだろう。
ミカエル様なら俺が何をしたいのか分かる筈だ。言ってくれ。ただ許すと。敵を殲滅しろと。それだけでこいつを使える。言ってくれ。さあ、さあ、さあ!
「……仕方ありませんね。状況が状況です。リュウガ、聖剣の開帳を許します。その聖なる輝きにて敵を殲滅しなさい」
その瞬間、体に刻み込まれた赤い聖痕が鈍く光だした。
キタキタキタキターッ!!この感覚、この聖なる力、この溢れだす力、枷をはずしてくれたか。
ようやくだ。ようやくこいつらを実戦で使うことができる。感謝します、ミカエル様。
深呼吸をして、気持ちを落ち着かせる。そこからは余計なことは一切考えず言霊を発する。
「湖の乙女、ヴィヴィアンよ。我が魂の鼓動に応えてくれ。この剣に秘められし騎士達の誇りにおいて、我は解き放つ」
目の前で二つの空間が歪みだす。そこに手を入れて聖剣をつかみ、それをゆっくりと抜き出す。
そして聖剣が輝く姿を晒したいま、たからかにその名を叫ぼう。その名は--。
「アロンダイト、ガラティーン!」
伝説の聖剣を天に掲げる。エクスカリバーの兄弟剣。円卓の騎士、ランスロットとガウェインが全貌の信頼を寄せていた聖剣。その聖剣がいま、現世にふたたび甦った。
「ばかな!?アロンダイトにガラティーン!?なぜその剣を持っている!!ましてや、それをふたつもだと!!」
「驚いたか。それもそうだろうな、伝説の聖剣をふたつも担っているんだ。だから言っただろ?とっておきを残しているのはお前だけとは限らないと」
カテレアが悔しそうに、いや、さっき以上に憤怒の顔になっていた。
「貴様ァ、レヴィアタンの血を引く私に対して手を抜いていたというのか!!許さない、貴様のような人間は断じて許さない!!」
魔力弾が再び雪崩の如く襲いかかってきた。こいつらを使っていなかったときは避け続ける必要があったが、この聖剣とリミッターを解放した時点でその必要が無くなった。
「我が身を魔から守護せよ。アロンダイト」
アロンダイトの腹を魔力弾に翳すと、俺の身を守る障壁が出現し、魔力弾を消していく。
「そんなっ!?」
聖剣アロンダイト、それは聖剣の中でも最も硬い剣と言われている。それはなぜか。どんなことが起きても決して刃こぼれをしないから?
否、断じて否。アロンダイトが最硬と言われる由縁はただひとつ。デタラメ過ぎる守護能力にある。それはありとあらゆるものから剣の主を守護する究極の守りだからだ。
主が願えば太陽の炎に焼かれそうになってもその身を守り、ヒュドラの猛毒に身を侵されても瞬時に治癒することができる。
ゆえに最硬。アロンダイトが主の元を離れるまで剣は全力で主を守り続ける。それが、それこそがこのアロンダイトを最硬足らしめる能力だ。
「くっ、おのれーッ!!」
カテレアはドンドン魔力弾の威力を上げて俺を殺そうと攻め続ける。その威力は魔王と呼ばれても良いものだ。
それでもアロンダイトの障壁を貫き、俺に当たることは決してない。
無駄に魔力弾を撃っている。やるなら、俺の様にひとつに纏めて放てばいいのに、奴は怒りのままがむしゃらに放つだけで魔力の無駄だ。
いまに魔力切れで撃てなくなるぞ。
そう思ったのも束の間だった。魔力弾はまるで嵐が過ぎ去ったかのように収まった。
「はぁはぁはぁ、なぜ、あれだけ、撃ち込んだ、のに、壊せない」
肩で息をして、額には大量の汗をかいている。
一時の感情に身を委ねた結果がこれだ。あんな状態ではもう戦えないな。魔力で空に浮かんでいるだけで精一杯の筈だ。
「それはお前がバカだからだ。怒りのまま後のことなんか考えず、ひたすら俺を殺すことに執着し、自分で自分の首を絞めた結果だ」
悪魔なんて、人間の蔑むようなやつらだ。そんなやつらが人間にバカにされればプライドが傷つき、怒りに身をまかせて隙だらけになる。
そこを狙えば悪魔なんて簡単に殺せる。俺は今までそうやって悪魔を殺してきた。
「さあ、こんなつまらん茶番は終わりにしよう。これは魔王と呼ばれても良い貴様に送るせめてもの情けだ」
ドーピングをしてるが、戦いに卑怯も畜生も関係ない。だから偽りとはいえ、その実力が一時的に魔王と同格になった今は、それに応えられるだけのことをしよう。
アロンダイトを地面に突き立て、ガラティーンを両手で握り、上段に構えた。
「ガラティーンよ、忠義の騎士に支えた剣よ、我が声に応え、真の刃を見せよ!」
刹那、ガラティーンが煌めくと両刃より極大の炎が結界に直撃し、太陽と同じ温度の炎が周りを包み立ち込める。
結界に当たったか、これだと満足に振れないな。なら、炎を圧縮、さらに圧縮、まだ圧縮、もっと圧縮。
そしてガラティーンから出た炎はこの中で振るうことのできるまでに縮小した。炎は両刃の刃となり、あまりにも巨大な焔の大剣になった。
「このひと振りは太陽の一撃。触れるだけでもその身を蒸発させるぞ。避けられるものなら、避けてみろ」
ガラティーンに聖力を注ぎ込む。それだけで温度が急激に上昇し、校内の木が灰になり、校舎が一気に溶け始める。土は水分が蒸発して干からびていく。
「あ、ああ、アアァァァァァァァァッ!!!」
カテレアは慌てて転移の魔方陣を開こうとしているが、恐怖に囚われているせいで魔方陣を開くことができていない。
「逃げるのか、逃げるのか?魔王の血を引く者ともあろうものが、蔑んできた人間に背中を向けて逃げるか!!」
敵に背を向ける臆病者に、ましてや魔王の血を引く者ならなおさら容赦はしない。この一撃でこの世から消してやる。
「この剣は太陽の映し身。あらゆる穢れを祓う極限の聖火なり!今まで犯してきた罪、いまここで数えて悔い改めろ!!」
--ガラティーン。
カテレアに向かって聖剣を振り下ろす。
カテレアは障壁を展開したがそんなものが意味を成すはずがなく、カテレアを蒸発させた。
その余波で辺りに炎が立ち込み、紅蓮の炎の海を作り出した。結界がなければこの町だけでなく日本そのものが地図から消えていたかもしれない。それほどの破壊力だ。
炎の海が俺を中心に燃え盛る。あらゆるものを燃やす炎を見ていると、あの日のことを思い出す。忘れられない、あの日を。悪魔祓いとなって、あの影を殺すと誓ったあの日を。
そう黄昏ているとガラティーンの炎が消えていき、それと同時にようやく炎の海が納まってきた。のは良かったが、校舎の状態を見てから気が付いた。
これはさすがにやり過ぎた。ミカエル様は、他のやつらは大丈夫か?
ミカエル様達がいたところに振り向くと結界を幾重も張っていた三大勢力のトップ達とグレモリー眷属たちがいた。
よかった、みんな無事か。最悪の場合を一瞬だけ考えてしまったが、無事でなによりだ。
無事でなによりなんだけど、後でミカエル様になんて言われるやら。はは、参ったな。今回は俺が自重しなかったのが悪かったし、素直に謝るか。
ミカエル様は怒ると怖いんだよな。ミカエル様の元に行きたくないな。
しかしまあ、ここで渋々していても仕方ない……か。
地面に突き立ててたアロンダイトを抜き取り、ミカエル様の元に歩いていった。
やったね、伝説の聖剣だ(白目)。これで怖いものはなくなったぞ。
どこかのヤバイ神父と型月の人が来そうで怖い。(ガクブルガクブル)
なお、主人公はこれでもまだ全力ではないという鬼畜っぷり。誰がこいつとまともに戦えるんだろう……。
まあ、どうにかなるか。うん、そうだ、大丈夫の筈。