カードファイト!!ヴァンガード 熱血の先導者と努力の先導者 作:先導
さて、今回はリン姉さんとスバル君のファイトの回です。勝負の行方は果たして!
それでは、どうぞ!
ヴァンガードチャンピオンシップ、関東第3地区予選の中堅戦、チームQ4からは櫂が出場し、チーム男前からはカオルが迎え撃つ。カオルは櫂に全国大会出場者の力を思い知らせようとしたが、逆に櫂の圧倒的実力を思い知らされるかのように、ダブルクリティカルによるオーバーキルによって、カオルは敗北し、チームQ4に1点が入り、これでイーブンとなった。次は第3試合の副将戦だ。
「さあ、先ほどのファイトの興奮も冷めみゃせんが、どんどん次のファイトにうぃってみよう!!ここから逆転劇が見せられるか⁉チームクアドリフォリオ、略してQ4から・・・日下部リン!」
自身の名を呼ばれたリンはすっと立ち上がり、コンソールの前まで進んでいく。
「全力で挑んで来いよ、日下部!!」
「本当に頼むぞ・・・俺とエミさんの運命がかかってるんだからさぁ・・・」
「負けるつもりはありません。言われるまでもないです」
リンは紫のVFグローブをはめながら、アイチに視線を向ける。
(リンちゃん・・・おかげで僕のやるべきことがわかったよ・・・ありがとう)
アイチはリンに微笑みを見せ、それを確認したリンはすぐに前に向き直る。
「来たぁ!!ずっと待ってたんだよ、リンリンのファイト!うち、全力で応援するからね!がんばれー!リンリーン!!」
「て、テンションたけぇ・・・」
リンの登場にシズクは歓喜で満ちており、全力でリンを応援する。その様子に井崎は少し引いている。
「はは、シズクらしいっていえばらしいけどな」
「そうなのか?よくわからんが・・・まぁいいや。言われた通り日下部を応援しようぜ」
「断る!!」
「拒否はえぇよ!!」
呆れながらもリンを応援しようと提案するソウジだったが、森川はそれを拒否する。
「委員長も俺様を最強のヴァンガードファイターと認めるまでは、決して応援などせん・・・委員長!!さっさとその場所を俺様に変われぃ!!」
「無理だってば・・・これ3回目だよ・・・」
似たような発言を3回も行っている森川に対し、メグミは非常に呆れている。
「日下部リンを迎え撃つチーム男前からは副船長、天城スバルの登場です!!」
「行ってきます!」
「がんばってスバル君!」
「お前なら楽勝だぜ!」
「俺の仇を・・・ジャパーン・・・」
チーム男前メンバーからの声援を受け取りながら、コンソールの前まで移動するスバル。
「スバル」
「!ゴウキさん」
「・・・漢、見せろよ」
「はい!!」
ゴウキの期待のこもった一言にスバルは気合を入れ直し、堂々と前に進む。だが、リンは女性である故か、スバルは少し緊張した感情も抱いている。
(女の人が相手か・・・緊張するな・・・)
「よろしくお願いします」
「こ、こちらこそ!」
スバルが白いVFグローブをはめ、互いのデッキをファイト台に設置し、ファイトの準備を行う。引き直しの段階も終え、副将戦が始まろうとしていた。
RIDE28「負けられない理由」
「副将戦、始め!!」
「「スタンドアップ・(ザ・)ヴァンガード!!」」
「リザードソルジャーコンロー」
「案内するゾンビ!」
リザードソルジャーコンロー PW5000
案内するゾンビ PW5000
「ジャンケンの結果、先鋒はチーム男前、天城君!」
「僕からターンをもらいます!ドロー!イービル・シェイドにライド!」
イービル・シェイド PW6000
「案内するゾンビはヴァンガードサークルにグランブルーユニットが登場した時、リアガードサークルに移動!
案内するゾンビのスキルを発動!自身をソウルに送ることによって、山札の上から3枚をドロップゾーンへ!『モンスター・フランク』『お化けのりっく(治)』『不死竜スカルドラゴン』さらに、荒海のバンシーをコール!」
荒海のバンシー(☆) PW4000
「バンシーのスキル発動!自身をソウルに移動させて、1枚ドロー!ダンシング・カットラスをコール!」
ダンシング・カットラス PW5000
「カットラスのスキル。ソウルブラスト『案内するゾンビ』『荒海のバンシー』1枚ドロー!これでターンエンドです」
R イービル R
R R カットラス スバルの手札5枚 山札41枚
「私のターンです。ドロー。ドラゴンモンクゴジョーにライド」
ドラゴンモンクゴジョー PW7000
「コンローのスキル発動。ヴァンガードサークルにかげろうユニットが登場した時、リアガードサークルに移動。忍竜ドレッドマスターを2体コール」
忍竜ドレッドマスター PW7000
ドレッドマスター ゴジョー ドレッドマスター
R コンロー R
「いきますよ。右のドレッドマスターでイービル・シェイドを攻撃」
「お化けのちゃっぴーでガード!
ちゃっぴーのスキル。山札の中から1枚を選んでドロップゾーンに置きます。対象は・・・キャプテン・ナイトミスト」
「ちっ、やっぱそれを選んだか!」
「コンローのブースト、ゴジョーでイービル・シェイドを攻撃」
「ノーガード!」
「チェック・ザ・ドライブトリガー『ガトリングクロー・ドラゴン(引)』ゲット、ドロートリガー。左のドレッドマスターにパワープラス5000し、1枚ドロー」
「ダメージチェック『伊達男ロマリオ』」
「左のドレッドマスターでイービル・シェイドを攻撃」
「ノーガード!ダメージチェック『突風のジン』」
「ターンエンド」
PW7000➡PW6000+SH10000=16000
PW12000➡PW6000
PW12000➡PW6000 リンの手札5枚 山札41枚 スバルのダメージ2枚
「天城君はグランブルーデッキ、日下部さんはかげろう、ぬばたまデッキ!どんな戦いを見せてくれるのか、胸がたかってまいりまーす!」
「やりますね。でも・・・僕だってチーム男前を背負ってるんです!負ける気はありませんよ!」
「それは立派な決意です。ですが・・・私の前ではそれは無意味です」
「それはやってみないとわからない!僕の力を、ここに示してみせる!ドロー!・・・光さえ届かぬ深き海の底に、不死の海賊は居る・・・」
「!この感じ・・・スバル君も・・・!」
「例えこの身滅びようと海賊の魂は船と共に!ライド!キャプテン・ナイトミスト!!」
キャプテン・ナイトミスト PW8000
「ナイトミストのスキル発動!ドロップゾーンに他のナイトミストがいればパワープラス3000!大幹部ブルーブラッド、ルイン・シェイドをコール!」
大幹部ブルーブラッド PW10000
ルイン・シェイド PW9000
ブルーブラッド ナイトミスト ルイン
R R カットラス
「ブルーブラッドでゴジョーを攻撃!」
「ガトリングクロー・ドラゴンでガード」
「まだまだ!キャプテン・ナイトミストでゴジョーを攻撃!」
「ノーガード」
「ドライブチェック『深淵の呪術師ネグロマール』」
「ダメージトリガーチェック『忍竜ドレッドマスター』」
「カットラスのブースト、ルイン・シェイドでゴジョーを攻撃!
そして、ルインのスキル発動!山札の上から2枚をドロップゾーンへ!『ナイトスピリット(☆)』『伊達男ロマリオ』バトル終了までパワープラス2000!」
「ノーガード。ダメージトリガーチェック『アイアンテイル・ドラゴン』」
「ターンエンドです」
PW10000➡PW7000+SH5000=12000
PW11000➡PW7000
PW16000➡PW7000 スバルの手札3枚 山札35枚 リンのダメージ2枚
「先ほどの猛攻のお返しと言わんばかりの猛攻だぁ!ダメージはお互いに2対2、初出場の日下部リンさん、どんな巻き返しを見せてくれるのかぁ⁉」
「私のスタンド&ドロー。先ほどの方よりかは、はるかにやるようですが・・・私の敵じゃありません」
「委員長、余裕たっぷりだなぁ・・・」
「これはリンリンのウォーミングアップ終了のお知らせかなー?」
「ライド!ドラゴンナイトネハーレン!」
ドラゴンナイトネハーレン PW10000
「リザードソルジャーコンローのカウンターブラスト。かげろうのヴァンガードがいる時、山札の中から、かげろうのグレード1以下のユニットを手札に加えられます。魔竜導師キンナラを手札に。このスキルでコンローは退却。左のドレッドマスターを移動。忍獣チガスミ、魔竜導師キンナラ、ワイバーンガードバリィをコール」
忍獣チガスミ PW8000
魔竜導師キンナラ PW6000
ワイバーンガードバリィ PW6000
チガスミ ネハーレン ドレッドマスター
ドレッドマスター バリィ キンナラ
「ドレッドマスターのブーストの下、チガスミでキャプテン・ナイトミストを攻撃」
「サムライスピリットでガード!さらに、ブルーブラッドでインターセプト!」
「バリィのブーストをつけ、ネハーレンでキャプテン・ナイトミストを攻撃」
「ノーガード!」
「チェック・ザ・ドライブトリガー『バーサーク・ドラゴン』」
「ダメージトリガーチェック『キャプテン・ナイトミスト』」
「キンナラのブーストをつけて、キャプテン・ナイトミストに攻撃」
「ノーガード!ダメージチェック『ダンシング・カットラス』」
「ターンエンド」
PW15000➡PW8000+SH10000=18000
PW16000➡PW8000
PW13000➡PW8000 リンの手札3枚 山札36枚 スバルのダメージ4枚
「こちらも最速猛攻の連続だぁ!!日下部さん、あの天城君に一気に4ダメージを与えましたぁ!」
「さっすがリンリン!昔っから変わらずに強い!尊敬しちゃうなぁ・・・」
「いやぁ・・・あっそこま強いと、先輩の立場がなくなっちまうなぁ・・・」
リンの高い実力にシズクは尊敬のまなざしをするが、三和は若干ながら苦笑いを浮かべている。
「いやぁ、さすが日下部さん。櫂君に負け劣らない強さですねぇ」
「けっ、櫂といいあいつといい、気に入らねぇなぁ・・・」
「カムイ、運命預けてんだろ?」
「・・・いやぁ、尊敬しちゃうなぁー(棒)」
カムイは前回の櫂と同じように、不服に思いながら棒読みで応援する。
(リンちゃんもやっぱりすごい・・・僕も、2人に負けないように、ファイトをイメージしていろいろ学ばなきゃ!)
アイチはリンを尊敬の眼差しで見つめながらファイトで学べるものを学ぶ。
「もう何やってるのスバル君⁉負けたらカオルと同じくウニ1000個だからね!」
「ジャパン⁉」
「な、ナギサちゃん、せめて殻は取ろうよ。ね?」
ナギサの発言にカオルは顔を青ざめ、スバルは苦笑いを浮かべている。
(大丈夫・・・まだ逆転のチャンスはある。好機を見逃さないようにしなきゃ・・・)
スバルは心の中でそう呟き、自分のターンに入る。
「死の境界線を越え、生を彷徨う竜の恐るべき力を見よ!ライド!不死竜スカルドラゴン!!」
不死竜スカルドラゴン PW10000
「深淵の呪術師ネグロマールをコール!」
深淵の呪術師ネグロマール PW8000
「ネグロマールのカウンターブラスト(2)!ヴァンガードにグランブルーユニットがいれば、ドロップゾーンから伊達男ロマリオを復活!」
伊達男ロマリオ PW8000
「リアガードを失わせず、ドロップゾーンから蘇った⁉」
「これがゴウキさん直伝の無限復活地獄!」
ネグロマール スカルドラゴン ルイン
ロマリオ R カットラス
「ロマリオのブーストをつけて、ネグロマールでネハーレンを攻撃!」
「ノーガード。ダメージトリガーチェック『ブレイジングフレア・ドラゴン』」
「スカルドラゴンでネハーレンを攻撃!」
「ノーガード」
「ツインドライブ!1枚目『お化けのちゃっぴー』2枚目『突風のジン』トリガーなし・・・でもこれで4ダメージ目だ!」
スカルドラゴンは息を大きく吸い上げ、ネハーレン(リン)に向けて、闇のブレスを放つ。ブレスをまともに喰らったネハーレン(リン)はダメージを追いながらもブレスを薙ぎ払った。
「ダメージトリガーチェック『封竜ブロケード』」
「カットラスのブースト、ルイン・シェイドでネハーレンを攻撃!
ルインのスキル!山札の上2枚をドロップゾーンへ『お化けのりっく(治)』『スケルトンの見張り番(醒)』パワープラス2000!」
「ノーガード。ダメージトリガーチェック『ワイバーンガードバリィ』」
「ターンエンド」
PW16000➡PW10000
PW10000➡PW10000
PW16000➡PW10000 スバルの手札3枚 山札28枚 リンのダメージ5枚(裏1枚)
「日下部さんのダメージが5点に到達!さすが前回優勝チーム男前の副船長、天城スバル君!」
「ま、あいつなら当然だな」
「恐れ入ったか、ジャパーン!」
「・・・・・・」
ヒロシとカオルはスバルがダメージ5に追い込ませたことにより、浮かれているが、ゴウキはリンの実力を見定めている。
「ダメージ5か・・・そろそろやべぇな・・・」
「あいつ追い込まれやがって・・・このまま負けたら承知しねぇかんな!」
「黙って見ていろ。ここで終わるならあいつもそれまでだ。だが・・・」
(リンちゃん・・・)
ピンチに追い込まれたリンに焦りを隠せないカズヤとカムイだが、櫂の言葉で黙らせる。アイチはしっかりとファイトを見届ける。
「・・・スタンド&ドロー。ライドは行わず、代わりに、魔竜導師キンナラのカウンターブラスト。ヴァンガードがかげろうユニットである場合、相手のグレード1のユニットを選んで1体退却させます。ロマリオを退却」
「くっ・・・」
「ライドさせない代わりにリアガードの退却だって⁉」
「あれも1つの手段だろう。だがそれをやるにはかなりの危険性がある。相当自信があるのか、それとも・・・」
「右のドレッドマスターを移動。バーサーク・ドラゴンをコール」
バーサーク・ドラゴン PW9000
「バーサークのカウンターブラスト(2)。ヴァンガードがかげろうユニットであるならば、相手のグレード2以下のユニットを退却させる。ルイン・シェイドを退却」
「くっ・・・」
チガスミ ネハーレン バーサーク
ドレッドマスター バリィ ドレッドマスター
「ドレッドマスターのブーストをつけて、バーサークでスカルドラゴンを攻撃」
「ノーガード!ダメージチェック『スケルトンの見張り番(醒)』スタンドトリガー発動!スカルドラゴンにパワープラス5000!カットラスをスタンド!」
「バリィのブースト、ネハーレンでスカルドラゴンを攻撃」
「ちゃっぴーでガード!」
ネハーレン(リン)は槍を構え、スカルドラゴンを貫こうとしたが、ちゃっぴーが前に現れ、ちゃっぴーがその槍を喰らう。
「ちゃっぴーのスキル!山札から1枚を選んで、そのカードをドロップゾーンへ送る!対象はスカルドラゴン!」
「チェック・ザ・ドライブトリガー『槍の化身ター(☆)』ゲット、クリティカルトリガー。チガスミにパワープラス5000し、クリティカルプラス1!」
「ここでトリガーだって⁉」
「ドレッドマスターのブースト、チガスミでスカルドラゴンを攻撃!
チガスミのスキルにより、こちらの手札が多いので、チガスミにパワープラス3000」
「突風のジンでガード!
ジンのスキル!手札を1枚捨てることで、グランブルーユニットにその攻撃が当たることはない!」
コスト『スピリットイクシード』
「ターンエンド」
PW16000➡PW10000(+5000)
PW16000➡PW15000+SH10000=25000
PW18000➡PW15000 リンの手札4枚 山札31枚 スバルのダメージ5枚(裏2枚)
「ダメージ5対5!日下部さん、グレード2ながら、天城君の手札を0枚まで追い込ませたぁ!!これはすごい!」
「負けない・・・負けられない・・・このデッキを託してくれたゴウキさんの期待に応えるために!!」
スバルの脳裏に浮かび上がったのは、自分がヴァンガードを始めた頃の出来事だった。
☆
恐怖心から克服できたスバルはカードショップ男前のメンバーの影響からか、ヴァンガードに興味を持ち始め、自身も思わずカードを買って、いろいろな人からアドバイスを受けながらデッキを構築して、ヴァンガードを始めるようになった。しかし、デッキがあまりうまく回っていないのか、運が悪いのか、スバルの戦績は始めた頃から一向に上がらなかった。
「う~ん・・・デッキの内容は悪くないのになぁ・・・」
「このままじゃスバルがかわいそうジャパン・・・」
「いっそのこと手加減するってのはどうだ?」
「バカ野郎!それじゃあスバルのためにならねぇだろうが!!」
ショップのメンバーが会議を始めている中、スバルはただ1人、勝率が一向に上がらないことに対し、ため息をつく。
その出来事の2週間後、スバルは勝率を上げるためにカードショップ男前のメンバーのファイトを観察しながらデッキの改善点を見直そうとしている。その際にずっと目移りしているのが、ゴウキたちが使っているグランブルーデッキだ自分のデッキとは関係ないと思いながらも、目はやっぱりグランブルーデッキを意識している。それに気づいたのかゴウキは自分のグランブルーデッキをスバルに見せる。
「使ってみるか?」
ずっと興味を持っていたのか、スバルは何も言わずにこくんと頷いた。このデッキを借りて、スバルはカードショップ男前のメンバーにファイトを挑んだ。このファイトの結果は、今まで惨敗が続いたスバルが初めて勝利した。
「か・・・勝った・・・。初めてファイトで勝った!!」
スバルが初めてファイトで勝ったこと姿を見てか、他のメンバーも次々とスバルにファイトを挑んだ。このクランを変えてからはスバルは絶好調だった。今まで不調だったスバルが借り物とはいえ、今のデッキで次々と勝利を収めていった。メンバーは信じられないといった表情をしている。
「そのデッキが気に入ったのか、スバル?」
「はい!グランブルーデッキ・・・使いやすかったのはもちろんですが・・・何より、使ってて楽しいです!他のクランと比べて、ダントツに!」
その問いを聞いて、ゴウキは思う。グランブルーデッキを持ったスバルを鍛えていけば、いずれ誰にも負けない最強のヴァンガードファイターになるのではと。
「・・・そう言えばもうすぐお前の誕生日だったな?」
「え?あ、そういえばそうですね」
「・・・よし!前祝だ!そのデッキはお前にくれてやる!」
ゴウキのデッキをスバルに与えることにスバルは驚愕しながらそれを拒む。
「え、ええ⁉だ、ダメですよ!だってこれ、ゴウキさんのデッキですし・・・僕なんかには悪いですよ!」
「俺がいいって言ってんだ。男なら素直に受け取れ」
「で、でも・・・」
「その代わり、1つ約束しろ」
「?」
「前に俺が言った真の男前になれるって話・・・あれを現実のものにしてみせろ」
「真の・・・男前・・・」
「心配するな。この俺がみっちりと鍛え上げてやる!」
自分をここまで思ってくれる人に期待を応えないわけにはいかないスバルは首を縦に頷き、デッキを握りしめる。
「必ず期待に応えてみせます。僕とこのデッキで、必ず!」
この日を境に、スバルは正式にグランブルー使いとなったのだった。
☆
「僕は勝つ・・・勝って、全国大会への道のりを切り開く!!」
スバルはこの思いを力に変え、勝利のイメージを貫き通そうとする。
「スタンド&ドロー!ダンシング・カットラスをコール!
カットラスのスキル!ソウルブラスト『キャプテン・ナイトミスト』『イービル・シェイド』1枚ドロー!ネグロマールをコール!
ネグロマールのカウンターブラスト(2)!ドロップゾーンからロマリオを復活!
ドロップゾーンのスカルドラゴンのカウンターブラスト!カウンターブラスト!グレード2以上である左のネグロマールを退却し、スカルドラゴンを復活!」
「スキルを駆使して、盤面を全て埋めてきた⁉」
スカルドラゴン スカルドラゴン ネグロマール
ロマリオ カットラス カットラス
「カットラスのブースト、ネグロマールでネハーレンを攻撃!」
「バーサークでインターセプト」
「カットラスのブースト、スカルドラゴンでネハーレンを攻撃!」
「ガード『槍の化身ター(☆)』『槍の化身ター(☆)』」
スカルドラゴンはネハーレン(リン)に向けて大剣を構え、縦に一刀両断しようと振るう。だがその大剣はターの槍とハガクレの刀によって凌がれる。
「ツインドライブ1枚目『荒海のバンシー(☆)』クリティカルトリガー!パワー、クリティカルを共にリアガードのスカルドラゴンに!2枚目『荒海のバンシー(☆)』クリティカルトリガー!パワー、クリティカルを共にリアガードのスカルドラゴンに!」
「ダブルクリティカル!!」
「これで奴もおしまいジャパーン!」
ダブルクリティカルを引かれても、リンはいたって冷静だ。
「僕は、勝つ!!ゴウキさんの期待に応えるために!!ロマリオのブースト、スカルドラゴンでネハーレンを攻撃!
スカルドラゴンのスキル!グランブルーのヴァンガードがいる時、このターン中パワープラス3000!」
「ガード『忍獣ハガクレ』『忍獣ハガクレ』さらに、インターセプト」
「そ、そんな・・・!凌がれた・・・!」
PW13000➡PW10000+SH5000=15000
PW15000➡PW10000+SH20000=30000
PW31000➡PW10000+SH25000=35000 スバルの手札2枚 山札24枚 リンのダメージ5枚(裏4枚)
「そんな・・・まさか・・・!」
「け、けど!相手もダメージ5!ここさえ凌げば・・・!」
「日下部リン・・・カードキャピタルにあれほどのファイターが他にもいたとはな・・・」
スバルの攻撃が凌がれたことにヒロシとカオルは動揺を隠せない。ゴウキはリンの実力に非常に感服している。
「このターンで、終わりです・・・ファイナルターン!!」
「ふぁ・・・ファイナルターン⁉」
リンのファイナルターン宣言にスバルは動揺し、警戒を強めて身構える。
「で、でも・・・手札にはシールド10000のカードが2枚!絶対に守り切れる!」
「スタンド&ドロー。闇に身を潜め、息を殺し、速やかに目標を鎮圧せよ。ライド!忍竜ボイドマスター!!」
忍竜ボイドマスター PW9000
「右後列にいるドレッドマスターを前列に移動!」
R ボイドマスター ドレッドマスター
ドレッドマスター バリィ R
「バリィのブースト、ボイドマスターでスカルドラゴンを攻撃」
(ガードを2枚出せば、この攻撃は守れる・・・でも、もし1枚でもトリガーが出れば、ドレッドマスターにやられる・・・それでも・・・やることは1つ!)
この状況下でも諦めないスバルは最善の手段をで守りを徹底する。
「荒海のバンシーで2体でガード!」
ボイドマスターはスカルドラゴンに向かって強力な蹴りを放とうとすると、2体の荒海のバンシーが絶叫を叫びながら前に出た。あまりの絶叫にボイドマスターは耳をふさぎ、勢いを弱らせた。
「ツインドライブ『魔竜戦鬼ラクシャ(☆)』2枚目『魔竜戦鬼ラクシャ(☆)』ゲット、クリティカルトリガーダブル!!」
「なっ・・・!!」
「委員長は悪魔か!!?」
「いやー、マジ激強すぎ☆スバルんご愁傷様☆」
リンのダブルクリティカルに森川は驚愕し、シズクは若干ながら苦笑い。
「2つの効果は全て、右のドレッドマスターに!
ボイドマスターのスキルによって、こちらの手札が多いので、パワープラス3000」
「だ、ダメだ・・・防げない・・・!」
「ドレッドマスターでスカルドラゴンを攻撃」
ドレッドマスターはボイドマスターに続くかのように空を飛び、忍術によって鎖をスカルドラゴンを巻き付ける。苦し気なスカルドラゴンに容赦なく鎖を巻き付けるドレッドマスター。耐え切れなくなったスカルドラゴンの骨の体はバラバラにされる。深海にボイドマスターとドレッドマスターの咆哮が鳴り響く。
PW15000(+3000)➡PW10000+SH20000=30000
PW17000➡PW10000
ダメージチェック『キャプテン・ナイトミスト』
リンのダメージ5枚 スバルのダメージ6枚 勝者リン
「勝者、日下部リン!」
「おおおおお!!」
「決まったーーー!!あの大激戦を見事勝ち抜いたのは、チームQ4!!鮮やかな勝利です!」
リンの実力に観客は大声を大にして興奮している。敗北したスバルは申し訳なさそうにしながらチーム男前に戻っていく。
「すみません・・・負けちゃいました・・・」
少し落ち込んでいるスバルにゴウキはスバルの肩をポンと叩く。
「よくやったスバル。お前、立派な漢だったぜ」
「ゴウキさん・・・」
「後は俺に任せろ」
「頼みます、ゴウキさん」
スバルは後をゴウキに託し、待機場に戻る。ゴウキは堂々とコンソールの前に立つ。
(やっぱすげぇな・・・俺がてこずった相手を、ああも冷静に払いのけやがった・・・。俺も・・・あいつみたいに強くなりてぇ・・・)
黙々と戻っていくリンを見て、カズヤは拳を握りしめながらそう心で呟いた。
(やっぱり、リンちゃんもすごい・・・全部見通していたんだ・・・相手の力量を・・・だからあそこまでの動きができた・・・)
アイチはそう思いながら、頭に思い浮かべたのは、メンバーたちの前で放った自分の言葉だ。
『僕は・・・櫂君みたいに強くなって、同じ立場で戦ってみたい・・・こんなことではだめだって、気づかされた。だから・・・もう1度、ゴウキさんと戦ってみるよ』
アイチが自分の言葉を振り返っていると、カズヤがアイチの背中をたたく。
「俺が変わってやったんだ。俺の分まで、びしっとやれよ!」
「カズヤさん・・・」
黙々と戻っていたリンは櫂とミサキの座っているベンチに座る。そこに三和が話しかける。
「あのさー、お前もお前でやりすぎ。アイチの奴、またビビっちまったんじゃねーか?」
「あれを見ても同じことを言えますか?」
「?・・・へぇ」
リンが視線を向けた先を三和が確認すると、口元に笑みを浮かべる。視線の先では、アイチが青いVFグローブをはめ、ゴウキに挑もうとする姿があったのであった。
to be continued…
RIDE29「決勝での再戦!」