・下手な日本語
・クソ文才
・ご都合主義
・紅魔族
・中二病等々
・ぼっちがボッチしてない
だらだら書いてたらこんなことに・・・三万字だそうです。
「・・・君。ショウタ君。起きてよ。」
目を開けると、
「うわっ!?眩しっ!?今何時だ?」
目にいきなり光が飛び込んできた。
「五時前だよ。ほら起きて。」
ロアに促されながら体を起こした。
「何かすごい長い夢見た気がする。日本?国王様?何でこんなのが頭の中に・・・」
頭がスッキリしない。
「『クリエイト・ウォーター』」
水を作り出し顔に掛けた。
「な、何してるの?」
「眠気覚まし。ロアもいる?」
顔を左右にブンブン振った。
それにしても何でこんなとこで・・・あ、喫茶店を出てロアが目覚めるまでこの丘で待ってたら、いつの間にか寝てたのか。
「んーっと。帰るか。」
伸びをして言った。
「え、うん。そうだね。」
立ち上がって城へ足を向けた。
「ご主人様!どこほっつき歩いてたんですか!?」
城に入るなり雪那が飛び付いてきた。
「っ!?いきなり飛び付くな。離れろ!」
「ダメです!もうちょっと成分を補ってから・・・」
こいつ・・・!
「おいおい、仲が良いのは分かるが場をわきまえろよ。」
「うっせい!フロット!好きでやってるんじゃないから!」
「ところでショウタ。お前さん今日はどうするんだ?またどこかの貴族のとこに張り込むのかい?」
「んー、正直言って手掛かりが少なすぎる。今回は見送りという形で・・・それで良いか、クレア?」
「・・・え!?あ、ああ、分かった。」
おい、今何処見てた?雪那を見てなかったか?
「そっかぁ、ショウタさんが帰るなら私もここに残る必要性は無いわね・・・」
「あんたは元々ここに残る必要性がなかったわ!迷惑だからとっとと帰れよ!」
自然とその場に溶け込んでいたセシリーに言った。
「ふふふ、ショウタ様はとても良い人たちに囲まれているのですね。羨ましいです。」
微笑ましく言うアイリス様。
「いや、この人に関しては何でここに居るか分からないですよ!?良いんですか?勝手に泊まってますけど!?」
セシリーを指差して言った。
「セシリーさんは私に色々な知識を教えてくれたので許可していますよ?」
にこやかに笑うアイリス様。
そっかぁ、それなら問題なしかぁ・・・・
「いや、待て!色々な知識って具体的に!?」
「アクシズ教の教えや生きていく上での大切な知識よ。生きていく上での大切な知識は特に性ちs・・・」
「この人を死刑にしてください!」
「な、お姉ちゃんは何も悪いことはしてないわ!?この知識は生きていく上での最も大切なものだと思うの!将来私とショウタさんにも起こることなのよ!?」
「勝手に話を進めんな!アイリス様にはまだ早いだろ!」
「そんなことないとないと思うわ!ショウタさん。あなたはいつからアレをし始めましたか?」
「っ!?」
「ほら見たことですか!別に早くはないんです!」
どうしよう、言い返せない。
「アイリス様。セシリーさんが言ったことは全部忘れてくださいね?」
ロアが内容を把握したのかアイリス様に言った。
「わ、私にはそんなに害があるような物には思えませんでしたが・・・」
そんなことを言う心優しいアイリス様。
「ほら見なさい!アイリスちゃんだってこう言ってるじゃない!」
「お前が教えたのはどう考えても有害物質だ。」
「ひ、人を汚染物質みたいに言わないでほしいわ!」
「似たようなもんだろ。」
「あの、その・・・ゴミを見るような目は止めてほしいわ・・・」
さっきまで威勢がよかったセシリーが縮こまって言った。
いけないいけない。つい癖で・・・
目を擦った。
「さて、帰るか。雪那。」
「分かりましたよ。」
ふてくされて俺から離れた。
「では、皆さん。お世話になりました。」
ノーツがパーティーを代表して礼を言った。
「セシリー、さっさと帰れよ。」
「わ、分かったわよ。」
「では、「『テレポート』」」
目を開けたら一日しか離れてなかったのに懐かしく感じるスプリットの街並みが広がっていた。
「帰ってきたな。」
フロットが感慨深そうに言った。
「明日からまたクエスト再開か?」
「当たり前だろ?僕達は冒険者なんだ。」
ゼリテスの問いに当然のことを言うようにノーツが答えた。
今の時期は冒険者は冬ごもりしてますけどね・・・
「じゃあ、今日は飯でも食って寝るか。で、ロアとショウタは何処まで進展したんだ?」
「え?」
思わず声をあげた。
「し、進展なんてしてないよ・・・」
「ご主人様、浮気はダメですよ。」
毎回思うのだが俺はこいつに浮気と呼ばれる筋合いは全くない。こうなりゃ俺にも考えがある。かなり前から一体こいつをどうやって大人しくするか考えてた。その結果、
「なぁ、ゼリテス。『スキルバインド』持ってるか?」
「え、ああ、持ってるけど・・・」
「え、ちょ、ご主人様・・・?」
「それちょっと教えてくれよ。」
「あ、謝ります!ご主人様の彼女気取りしたのは謝りますから!どうかそれだけは・・・」
この反応を見て分かった。どうやらこいつには『スキルバインド』が効らしい。
「や、止めろよ。泣きつくな!」
「そのスキルを習得するのは止めてくれますか?」
なんだその上目使い。可愛・・・いけないいけない。何時こいつに読まれてるか分からんからな。
「ご主人様!その続きを!」
やっぱり読まれてた・・・
「ほら、雪那と遊んでないで飯食いにいくぞ。」
「遊んでない!」
フロットにからかわれちょっと苛立ちながらもギルドに向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「もう一杯!」
フロットは一昨日のの一件で懲りてないのか今日もしこたま飲んでいる。
「ふ、フロット。そろそろ止めとけ。昨日みたいに起こられるぞ。」
ノーツが止めに入る。
「もう一杯、後一杯だけだから!」
酔っているせいかいつもの五割増しうるさい。
「ご主人様ぁ~抱っこしてくださぁい。」
雪那が頬を紅く染めて言い寄ってきた。
「お前が酔わないの知ってるからな?」
「ちっ」
今こいつ舌打ちしなかったか?
マジでゼリテスに『スキルバインド』を教えてもらおう。
「ショウタ君は一昨日みたいに飲まないんだね。」
「もう懲りたからな・・・ロアこそ飲まないのか?」
このパーティーに入ってからロアが飲んでいる姿は見たことがない。
「前に一回飲んだことあったんだけど、全然飲めなくて・・・」
苦笑いで答えた。
俺は普段は飲まれない筈なんだけど前の一件でちょっと酒が怖くなってしまった。
「もう一杯!」
またフロットが騒ぎだした。
「もういい加減にしてくれよ・・・」
ノーツが疲れ果てたような声をあげた。
ギルド内の冒険者たちは気の毒そうにノーツを見ていた。
どうやらここで一番酒癖が悪いのはフロットらしい。
「はぁ、『スリープ』」
ドサッ
睡眠魔法をフロットに掛けた。前に身内に魔法かけることをどうのこうの言った気がするが、今はそんなことはどうでも良い。今はこれが最善策と判断した。
フロットはクソでかいいびきをかいている。起きても寝てもうるさいのかこいつは・・・
「ホッ、ショウタ君、ありがとう。フロットは一旦酔うと酔いが覚めるまでずっとああなんだ。」
「因みに俺が酔ってたときは?」
「君は・・・酔ってたのかどうか分からなかったね。顔色も変わってなかったし、呂律もハッキリしてた。でもやることがね・・・」
『バーストモード』でセクハラとかマジすぎるだろ・・・
自分のした行いに今更後悔をしていた。
「そういえばノーツとゼリテスは酔わないんだな。」
さっきから結構飲んでるように見えるが全然酔ってる感じがしない。
「フロットとお前さんとは違って強いからな。」
小バカにしてくるゼリテスにいらっと来たが、実際飲まれてしまったことがあるから言い返せない。
「ゼリテス、いい加減その人を小バカにする態度をどうにかしたらどうだ?」
おや、いつもはまぁまぁとか言って宥めるノーツが若干ご立腹でございますね。
「わ、悪かったって。」
「そこに正座しろ。」
へ?
「ちょ、ちょっと待てってノーツ。」
「聞こえなかったのか?正座しろって言ったんだ。」
「は、はい。」
いつもとは違うノーツそこにいた。
「ろ、ロア。これは一体・・・?」
ノーツに聞こえないようにロアの耳元で聞いた。
「えっと、ノーツはお酒が入ると気が大きくなって性格が真逆になるんだよね・・・」
つまりいつもは優しいノーツだけど今は鬼のノーツなのか・・・
ある意味こいつも酒癖悪いな・・・
「ほんとに君は・・・」
怒られてるゼリテスを見て気の毒に思った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ハックシュン!」
「フロット風邪かい?」
「バカは風邪を引かないって聞いてたけど、アレは迷信だったのかな?」
ノーツとゼリテスは今日も平常運転だ。
「ばか野郎!お前らが朝まで俺をギルドに放置していたせいだろ!」
若干鼻声で訴えかけてきた。
「いや、自業自得だろ。」
そう言い放ってクエストを選びに行った。
「ろくなクエストがないね・・・」
『冬眠に目覚めたつがいの一撃熊』、『白狼討伐』、『雪精討伐』。
「それな。一撃熊二体とか考えたくもないし、白狼は犬好きな俺にとっちゃ酷な話だし、雪精に関しちゃもうこりごりだ。」
「思いきって一撃熊行こうぜ。」
何を言ってるんだ。あんなのとはもう戦いたくない。紅魔の里で一回やりあった以来もう戦いたいと思ったことがない。一匹でも大変なのに二匹同時とか無理。
「フロット、そんな無茶なクエストはまた今度にしようぜ。」
「でもよ、他に行けるクエストもないだろ。」
「雪精はこの間行ったもんね。」
「となると・・・」
「無理無理。犬を討伐するのは生理的に無理。アレは愛でる生き物だよ?」
「・・・お前、二ヶ月前に初心者殺しを殺ってたよな?アレはどういう目で見てたんだ?」
「・・・」
「ショウタ君。目を合わせようか?」
いや、アレは人に危害を・・・白狼も加えるじゃねぇかバカ野郎!
「世の中は理不尽だ・・・」
「諦めて討伐しに行こうぜ?」
そんな感じで押しきられて今森の中に入っていますはい。
「も、もうそんな顔しないの。ほら、シャキッとしなさいシャキッと。」
ロアにまで怒られる始末。
「おい!しっかりしろ!白狼のお出ましだぞ!」
ウオォォン!
目の前には六体ほどの群れを成した狼・・・あれ山犬並みの大きさじゃね?ほらジ○リのものの○姫に出てくるやつ。
「なぁ、この世界ってあんなのが普通なの?」
「はぁ?何ワケわかんないこと言ってんだよ。白狼はあれぐらいの大きさだ。」
そのうちモ○とか出てきそうだな。
はぁ、動物愛護団体に怒られそう。
『ほらご主人様!構えてください。』
カチャ
何が嬉しくて犬と戦わにゃならんのだ。
「来るぞ!」
先頭を率いてた一匹が俺達を軽々飛び越え背後に、次に二匹が左右に別れ、残った三匹が前方に・・・
つまり挟み撃ちという形に・・・
「運動神経良すぎやしないかあの犬?」
「はいはい、余計なとこに突っ込まない。それよりどうする。五体六じゃちょっと分が悪いぜ。」
「ショウタ君、良い案はないかい?」
いやいきなりそんなこと言われても・・・
「雪那を出しますか?」
「え、でもそんなことをしたら君の武器が・・・!?」
俺はズボンの裾から剣を出した。
「こいつがあるんで。やっと膝を曲げれる。」
俺はこんなこともあろうかと細めの剣を発注していた。
『えぇ!?ご主人様それはホントに浮気に入りますよ!私があるのに他の剣に走るとか・・・』
「大丈夫だって。どうせそんなに使う機会が無いんだ。これはお前が擬人化して戦ってるとき専用の武器だから安心しろ。」
この剣には特に特殊効果もない。本当にただの剣術だよりのものだ。
「はぁ、こうやって私の出番が無くなっていくんですね。」
何をしょげているんだか・・・愛刀はお前しか勤まらないのにな。
「ご、ご主人様ぁ。」
またこいつ・・・!
「ほ、ほら!二人ともイチャついてないでしっかりしてよ!」
何故か怒るロア。というか今一方的に雪那がしゃべっただけだよね?お前まで俺の心の中が読めるのか?
「仕方ないですね。」
そう言って詠唱を始めた・・・あれ?詠唱?
・・・あれ?
「どうした!」
「あ、いや。」
「ボーッとするなよ。いくぞ!」
その掛け声に合わせてロア以外が白狼に突っ込んでいった。
俺と雪那は三匹相手にすることになった。
「『ファイアーボール』!」
雪那が牽制として撃った。
流石にそれでやられるわけでもなく避けられたがその避けた先には、
「残念だったな!」
ザスッ
ギャウン!?
横一文字斬り、一匹の目を失明させることが出来た。斬りつけられた白狼は後ろに跳びはねた。
「斬った感覚ってこんな感じなんだな・・・」
小さく呟きながらその距離を軽く詰めて、
「ごめんな。オリャァァ!」
ザクッ
脳天に突き刺した。
ドサッ
倒れた瞬間、
ギャウ!
もう一匹が跳んできた。
キーン!
「クッ!この剣細すぎだろ・・・!」
間一髪防げたが完全に力負けしてる。魔法って言うてもありだが雪那がいなけりゃ威力半減、『バーストモード』を使っても良いがそれだとこの武器のせいで活動時間がぐっと減る。今さら雪那の恩恵を見に染みて分かった。限界の分からないことを実践ではやりたくない・・・
ピキッ
え?ヒビが入った?ヤバイこのままじゃ・・・
「『ライトニング』!」
バチュン!
横から雪那が助けてくれた。
「もう、ご主人様は私がいないとダメですね?」
ニヤニヤしながら言ってきた。
「お前の方はどうした?」
「片付けました。いや、すばしっこくてなかなか照準が定まりませんでしたよ。」
「雪那。」
「了解です。」
俺は『雪那』を手にし、立ち直った白狼に向かって走り出した。
ウオォォン!
白狼は一度遠吠えをし、突っ込んできた。
瞬間すれ違い・・・
「クッ・・・足が・・・」
片膝を地面に着けた。
ドサッ
背後で何かが倒れる音がした。振り返らなくてもわかる。白狼が口から尻尾にめがけて上下に真っ二つに斬られている。
なんで俺が膝を着けたかと言うと。
「おい、ショウタ。大丈夫か?」
「やられたのかい?ロア、こっちに来てくれ。」
「あ、違うから。その・・・足が吊った・・・」
「「「「はぁ!?」」」」
各々笑うのを堪えてるのか肩を上下に震わせている。
あんな力に対抗してたら吊っても可笑しくはなかった。
「も、もう笑うな!」
「わ、悪かったって。そ、そう言えばお前さん。戦う前少し固まっていたがどうしたんだ?」
「え、ああ。俺さ、雪那が詠唱しているのを見て思ったんだけど・・・俺普段詠唱どうしてる?」
雪那を見てすごい疑問になった。普段のテレポート以外詠唱している記憶がない。
「して・・・ないな。すぐに発動してるな。」
「嘘・・・無意識でやってたわ・・・」
「ホントに・・・?それじゃあ暴走してもおかしくなかったの?」
青ざめた顔でロアが言った。
暴走。そんなものあったな・・・学校で習ったことを思い出して気分が悪くなっていった。下手してたら死んでた。
「あ、その点は大丈夫だと思いますよ。」
また勝手に出てきた雪那が言った。
「ど、どう言うことなんだい?」
「えっと・・・どう説明したら良いんでしょうか・・・?ご主人様が居た国には魔法は存在しないんですが、ご主人様のお父さんはベルゼルグ出身だったんですよ。どうやってあっちの国に行ったかは知りませんが・・・それでその人は遺伝で詠唱破棄が出来たんです。おそらくそれがご主人様にもあるのではないかと・・・」
おとんそんなチーターだったんですか?
「そこまで来ると紅魔族を越えてくるね・・・」
紅魔族なんですよ。実は・・・
「はぁ、それにしても・・・新しいの買わないとな。」
ヒビが入った剣を見て言った。
「流石にそれは細すぎやしないかい・・・」
「急ぎだったからな・・・今度はオーダーメイドにしよっかな。」
「でも、ショウタ君の腕だったらスプリットの鍛冶屋で作る剣はちょっと役不足なんじゃないかな?」
「でもロア。他にあるとしたら王都だけど昨日の今日で行く気にはなれない。」
何と言うか気が乗らない。
「それだったら『コーレス』の鍛冶屋はどうかな?」
「おいノーツ。あそこは頑固な店主だったじゃねぇか。結局お前の剣は作ってれず仕舞い。しかも、貴族の仕事でさえ受けない。あそこに行ったって無駄足だぜ。」
「フロット。その話詳しく。」
「冒険者になってそれなりに経験積んだくらいだったかな。ちょうどこの街に結構有名な冒険者が来てたんだ。その人が使ってる剣がそのコーレスって言う町の鍛冶屋が作ったって聞いて、ノーツが作って貰うためにそこに行ったんだよ。」
「俺達はその時ちょうどレベリングしてたんだっけか。」
確かに前衛のノーツとフロットだけがレベルが上がりやすいしな。
「それでコーレスに着いたのは良いんだけど、そこの鍛冶屋の人が僕には作るほどの価値がないって門前払いを受けたんだよ・・・」
その人がお客を何だと思っているんですかね?価値ってふざけるなって言いたくなりますね。
「その後も何度も頼みに行ったんだけど首を縦に振ることは無かったぜ。」
「で、君の実力なら作ってくれるんじゃないかなって。」
「そんなに頑固ならサブの剣を作るって言ったら帰れって言われそう。」
正直その人が『雪那』以上の剣を作れる何て考えられない。一応こいつも神器だし。『雪那』をぶら下げてるのを見た瞬間それこそ門前払いだ。
「い、行ってみるだけでもどうかな?」
どうしてノーツはそこまで固執するんだ。
「そうだなぁ・・・」
チラリと雪那を見た。
「私は私がメインで使われるなら問題ないです。」
そう言いながらも少しふてくされている。
行ってみるか・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「コーレスまでどのくらいかかるんだ?」
スプリットからコーレスまで馬車で行けるらしい。
「隣町だから三時間位でつくよ。」
この世界の隣町の規模はでかすぎる。馬車の時速が20kmとかなり飛ばす。それでも三時間ていうことは軽く60kmは離れている。
ロアはあまり外に出ないせいか身を乗り出して外の景色を眺めている。
そんな珍しい物なんだろうか?
そんな微笑ましい光景を目にしながら意識を飛ばした。
ガタッ
ゴツッ
「いって!?」
どうやら頭をぶつけたようだ。何て乱暴な運転何だ・・・
「も、モンスターが現れたぞ!護衛の冒険者さんお願いします!」
金のない冒険者が移動ついでの護衛をするのは珍しくない。護衛料だって貰えるし目的地まで運んでくれる。一石二鳥ってとこだ。
「何をもたもたしてるんだ君たちは!?」
ノーツが蒼白の顔で言ってきた。
俺達は護衛でこの馬車に乗ってる訳ではない。客としてお金を払っているんだ。
「おいおいノーツ。お前さんは少し落ち着け。いいか?俺達は客としてこの馬車にに乗っているんだ。護衛じゃない。」
ゼリテス若干憤っているノーツをなだめている。
「人の仕事を取ることはしたくない。それにめんどい。」
「多分君は後半が大体の理由なんだね・・・」
ノーツが俺を呆れた目で見ている。
良いじゃねぇか。払ってるものは払ってるんだから。
のんびり馬車でゆっくりしていたら、外からジャイアント・アースウォームがどうのこうのや走り鷹鳶が・・・など聞こえたが、走り鷹鳶って何なんだ?
そんな疑問を抱きつつも馬車は確実にコーレスへと向かっていた。
「「「「「ありがとうございました。」」」」」
馬車がコーレスに着き、御者の人にお礼を言った。
「いえいえ、良い旅を。」
馬車は次の街を目指して走り去った。
「で、鍛冶屋はどっちだ?」
「あっちの方にあった筈・・・いや、こっちだったかな?」
おいおい、無事にたどり着けるんだろうな?にしても町というより村・・・だよな?
「しっかりしろよ。あっちの方だ。」
フロットはしっかり覚えてたみたいだ。もしかするとノーツは方向音痴なのかもしれないな。
新たな一面を見れたことに満足し頷くと、
「そうか、早く行って門前払いされに行こうぜ。」
「まだ門前払いを食らうって決まったわけじゃ・・・あ、待ってくれよ!」
ボソボソ言ってるノーツを置いてフロットが言った方向に歩いた。
「しかし、その鍛冶屋はどうしてこんなところでやってるんだろうな・・・王都でやれば儲かると思うんだけどな。」
「あ、ここだ。着いたよ。」
ここか・・・!?この鍛冶屋の看板、『漢字』じゃん!?
「変な文字の看板してるから間違いないよ。」
「何て読むんだろ?」
ここの店主日本人なのか?
「すみません。」
「うん?お前は・・・去年辺りに来た若造じゃねぇか。また来たのか。一年たったからって作ってやらねぇぞ。」
出てきたのは三十代そこらの男の人だった。
「今回は僕じゃないですよ。彼です。」
ノーツは俺を指して言った。
「ど、どうもです。」
「・・・名前はなんというんだ?」
何かを察したような顔で聞いてきた。
「山中祥太と言います。字は示偏に羊と書いて祥。太は太いと書きます。」
これでこの人が日本人かどうかがわかる。もし違うかったら、
「ショウタ君、君は何を言ってるんだ?」
こんな反応になる。
「そうか、お前も俺と同じって言うわけか。ふーん、それがお前が貰った特典か・・・わざわざそれ貰ったのに何の用だ。」
「剣を打ちに貰いに来ました。」
沈黙が流れる。少しして、
「ふぅ、まぁ日本のよしみだ。中に入って話だけでも聞いてやるよ。」
そう言って茶の間の方に引っ込んでいった。
「ちょっと悪いがお前達はここで待ってて貰えないか?」
多分特典や日本の話になるだろう。それを一々聞かれそうなのでそう提案した。
「別に良いけど・・・それじゃあ、あそこの茶屋に座ってるな。」
フロットがみんなを連れていった。
「お邪魔します。」
「とりあえず座りな。他の連中はどうした?」
「まぁ、説明し難い話もするかなぁと思って外で待ってもらってます。」
ちゃぶ台のを囲んでいる座布団の一つに座りながら言った。
「この世界の住人に特典の話をしても説明するにが難しいからなぁ。で、お前は何故そんな神器を貰ってながらも俺に剣を打って貰いたいんだ?」
そう言ってお茶をくれた。
「実は・・・」
あらかたの説明をし、反応をみた。
「そんなことが出来るのか・・・要は切り札が欲しいのか。ちょっとステータスを少し見せてもらって良いか?」
冒険者カードを差し出した。
「ふーん、お前、変わり者だな。」
否定はしない。
「成る程・・・まぁ、良いだろ。打ってやるよ。」
マジで!?貴族の仕事でさえ受けないって話なのに?
「良いんですか?噂では仕事を中々受けない頑固店主って・・・」
「巷ではそんな風に言われてるのか・・・」
笑いながら茶を飲んだ。
「あの三つほど質問があるんですけど・・・」
「何だ?」
「一つは何でこんなところで鍛冶屋を開いてるんですか?王都の方が儲かると思うんですが。」
「そんなことか。理由は簡単だ。日本のRPGとかでこう言う辺鄙なところに凄腕鍛冶屋があるのは基本だろ。」
何言ってるんだろ、この人・・・
「それにこう言うところだとわざわざ来てくれる客はRPGだと勇者候補って言うのが相場みたいなもんだ。」
マジで何言ってるんだろ・・・
「そ、そうですか。じゃあ、二つ目。あなたは何を特典にして貰ったんですか?普通は日本からの転生者って神器を貰って前衛を張ってるイメージを持っているんですが・・・」
ミツラギのような・・・
「俺は運動神経が疎くてね。唯一の取り柄が器用さだったんだよな。そんな俺が日本で夢見てことがあったんだ。剣を打ってみたいという夢を。だから、剣を打つ技術を貰ったんだ。ただそんだけよ。」
剣を打つチートって・・・本気出せばひでりうさんのように神器級の剣を作れるんじゃねぇの?
「もしかしてえーっと、そう言えば名前を聞いてませんでしたね。なんと言うんですか?」
「俺は松井って言うんだ。ま、気軽にまっさんとでも呼んでくれ。あと敬語もやめてくれ。俺はそんな玉じゃないからな・・・」
「じゃあ、まっさん。まっさんに剣を作って貰うのって高い?」
「そうだなぁ、今お前に作ろうと考えてたのは150って所だな。」
かなり高い。でもまあ、払えない額じゃない。今貯金で二百万ちょっとだ。これをはたけば・・・
「そうか、それならなんとか。それで、最後の質問なんだけど、どうして俺の仕事を受けようと?」
「理由は単純だ。直感だ。お前には何かビビってくるものがあった。受けるだけの価値があると思った。ただそれだけよ。」
そんなもんか。凄い人の考えることは分からんな。
「作るのは日本刀で良いのか?」
「あ、西洋剣でお願いしたいんだけど・・・」
「え、でもお前は・・・」
刀使いだろと言われる前に、
「西洋剣も使いたいんだ。」
「そうか・・・分かった。ところで一つ気になってたことがあるんだが・・・」
「どうぞ。」
「お前は何で上級魔法を使えるんだ?普通、上級魔法を教えて貰える人なんて中々居ないだろ。」
まぁ、アークウィザードくらいしか取得できないしな。
「言ってなかったっけ?俺は紅魔の里に住んでいたんだ。」
物理的に目を輝かせていった。
「その目・・・お前日本人なんだよな?」
目を見開いて聞いてくる。
「この目は生まれつき。俺はちゃんとした日本人だ。」
半分紅魔族らしいけど・・・
「そうか。剣は三日後に出来る。その時に取りに来い。」
「了解。じゃあまた。お茶ご馳走さまでした。」
鍛冶屋を出て、皆のいる茶屋に向かうと、
「ちょっと兄ちゃん。今そこの鍛冶屋から出てきたよな?」
これはまた柄の悪そうなお人たちで・・・
「そうですが、何か?」
「ここの鍛冶屋は全く仕事を受けないで有名なのは知ってるよな?兄ちゃんのその様子だとどうやら仕事を受けて貰えたんだろ?そこで頼みがあるんだよなぁ・・・」
ふーん、こいつらが言いたいことは大体分かった。
「その剣をこっちに回してくれねぇかな?」
下卑た笑みを浮かべて言った。
「それは無理な話だ。」
「兄ちゃん、譲った方が身のためだぜ?」
「身のためって・・・笑わせんな。それは俺の台詞だ。今身を引いた方が身のためだぜ。」
「このガキ・・・!」
沸点低すぎるだろ・・・
「まぁまぁ、落ち着けって。なぁ坊主。俺達は王都でちと名の売れてるパーティーなんだ。しっかり相手を見定めろよ。」
「見定めろか・・・そう言えば王都では俺も名が売れてるな。『紅目の死神』として。」
「あ、紅目の死神ってあの・・・」
「魔王軍を蹂躙していたっていう・・・」
「そう言えばそいつ対人戦が得意って聞いたことがある。や、ヤバいって。」
え、なにそれ、身に覚えはあるけど聞いたことない。
「お、俺も聞いたことある。目的のためなら何でもやりかねないって。」
もはや身に覚えのないことが・・・
「おい、ずらかれ!」
一目散に絡んできた人達が逃げていった。
一体俺は王都でどんな風に思われてるんだろう。不安に思ってきた・・・
「おーい、ショウタ!」
振り返ると慌てて走ってきたのかフロットがはぁはぁ言いながら近付いてきた。
「だ、大丈夫だったのか?絡まれたみたいだったけど。」
わざわざ心配して走ってきてくれたのか?涙でそう。
「まぁなんとか。なんか通り名を言ったら血相変えて逃げていった。」
「お前どれだけ怖がられてるんだよ。」
悪いことなにもしてないのに・・・
「それで、そうだったんだ?剣の方は。」
「三日後に取りに来いって。」
そう言うとフロットが目を見開いて、
「やったじゃねぇか!あの頑固店主がこうもあっさりと受けてくれるとは思ってもみなかった!」
自分のことのように喜ぶフロット。
こいつにこんな一面もあったんだな。
「ほら、早くしろよ。みんなに報告するぞ。」
「お、おい待てって。剣ごときでそんなに喜ぶなよ。」
いつもよりはしゃぐフロットを追いかけて茶屋に入った。
~三日後~
「まっさん。話が違う。」
「違わねぇだろ。しっかり剣は作っただろ。」
今俺はまっさんのとこに頼んだ剣を取りに来てたのだが、
「いや、そこじゃねぇ。これのことだよ。」
手に持ってる紙切れを見せた。
「四百万って言ってた額と違うじゃねぇか!」
一気に目をそらすまっさん。
「い、良いじゃねぇか。性能は折り紙つきだぜ。」
そこじゃない。別にぼったくりと疑ってる訳じゃない。
「百五十万という話は何処行った?」
「いや、久し振りに剣を打てると思ったら気合いが入ってな。素材をふんだんに使ってしまったんだ。」
そんなことが起こるんだったらもっと仕事とれよ。
「というより今久し振りって言ったよな?普段どうやって生活してるんだよ?」
「作ってはいないが修理とかはしてるからやっていけてるよ。」
なんだろう、感覚がずれてるのかな?日本人ってこんなんだっけ?
「はぁ、もういいよ。分割で良い?利子とかとるなよ?」
「それでいい。いや、悪かったな。その分性能は良いから。」
「で、問題の剣は?」
「これだ。」
渡されたのは黒い鞘に収まっている剣だ。
おいおい、こいつ見た目に反してかなりの重さだな。
鞘から剣を抜いた。
「うわっ、まっさんガチで作ったな・・・」
刀身は黒と赤の二色で刀身の中心に黒が来て両端に赤という配色だ。
「お前の目を見て構図を変えたんだ。どうだ?ピッタリだろ。」
全く余計なことしやがって・・・
「素材は何で作ったんだ?」
「ベースはアダマンタイトでそれに紅輝石ってのを使ってる。刀身にはマナタイトも使っているから魔力が伝わるぞ。」
チョロっと流してみた。
うーん、『雪那』の方が通りが良いな。まぁあれはチートだし・・・でもこれはこれで魔剣クラスだな。
「と言うかそんな良い素材使ってんのにその値段で良いのか?」
予想ではあと二百は上乗せしないと元がとれない筈だ・・・
「ん?ああ、大丈夫だ。素材とかは値切って仕入れてるから問題ない。」
この人もか・・・
「まぁ、凄い良い剣だと思う。これ取り敢えず。」
そう言って余分に用意していた二百万エリスを渡した。
「あと半分はコツコツ払ってくれれば良いよ。こっちが悪いんだし。」
「いや、魔剣クラス作って貰ったし、文句はない。」
最初は鋼の剣程度だったのが魔剣クラスに変貌。どうしてこうなった状態。
「そいつの名前なんだがこちらが勝手に付けさせて貰った。」
「別に良いけど。何て言うの、こいつ。」
一拍おいて、
「『レッド・エンジェル・オブ・デス』」
俺の通り名じゃん。
直訳でいくと紅い死神。
「一つ質問良いですか?」
「どうした?」
「これどういう経緯でこの名が?」
「いや、最近王都の方で有名になってる冒険者の通り名を拝借させてもらった。お前の雰囲気にぴったしだったからな。」
そりゃそうでしょう。俺の通り名なんだから。
「そう言うことだったのか。」
よし、こいつを『死神』って呼ぶことにしよう。
そう思いながらその剣を背中に背負った。
持った感じ3kgちょっと位か・・・
「じゃあお金が入り次第支払いに来るから。」
「おう、待てるぜ。」
店を出てスプリットに帰った。
『良かったですね。魔剣クラスの剣が手に入って。』
何こいついじけてるんだ?
『ご主人様。私と手合わせお願いできますか?』
今日の晩御飯はシチューかな・・・ちょうどカエルあるし。
『・・・話聞いてます?』
いや、やっぱ鶏肉かな?
やっぱりシチューは鶏肉のイメージがあるし・・・
だったら今日は普通に照り焼きでいっか・・・
『あの・・・無視しないで欲しいです。』
「・・・どうしてそんなことをしなきゃいけないんだよ。」
『その剣がどんなものか知りたいです。』
変な対抗心燃やしてるなぁ・・・
「手合わせってどうやるんだよ。」
そもそも相手がいない。
「こうやるんです。」
また勝手に擬人化して正面に立った。『スキルバインド』の必要性を十分に感じた。
雪那から魔力が溢れ出して気が付いたら手に『雪那』らしきものを持っていた。
「これは私の魔力が具現化したものです。威力は十分ですが、長い時間は持ちません。フルでは一分半が限度です。その時間まで持ちこたえるか、時間以内に私を押し倒すかでご主人様の勝ちが決まります。」
ぶれないなぁ・・・
「はぁ、一回だけだ。行くぞ。」
『死神』を引き抜き構えた。
「え、あ、ちょ、ちょっと待ってください。」
いきなり焦る雪那。まさかハッタリだったってことはないよな?
「そのぉ、こちらから申し込んだんですけど・・・私、剣握ったこと無いんですよね・・・」
・・・はぁ。
「仕方ないなぁ、また今度勝負してやるよ。」
「普通この流れだと『俺が教えてやるよ。』とか言うもんじゃ・・・」
お前基準に話すの止めてくれますかね?
「嫌だよ。めんどくさいし。」
「出ましたね、ご主人様口癖のめんどくさいが。というより教えてもらえなきゃ今度なって言われても勝負できませんよ。」
「お前、いつも一番近い所で見てるくせに教えて貰えないと出来ない子なのか?それでもお前『雪那』か?」
「言ってくれますね。いいでしょう。私の力を見せてあげますよ!」
それが合図だったかのようにお互いに飛び出していた。
くっいつもより思いからスピードが乗りにくい。でも、
カーンッ
乗ったらこっちのもんだ!
雪那が横一文字に斬りかかってきた刀をすり上げた。
「あっ!?」
雪那が声を上げた。
その勢いで上がった刀を弾き飛ばそうとしたが、雪那はすり上げた刀に身を任せてそのままジャンプしていた。
「ちっ。ギリリーチが足りない。」
雪那が思ったより高い位置にいたので掠りもしなかった。
そのまま俺を越えて後方に跳んでいった。
何でいつも俺は背後をとられるんだよ。
『死神』の遠心力を使って方向転換をし、振り向いた瞬間、すぐ目の前に雪那が迫っていた。
こいつこんなに早かったのか・・・
キーンッ
音が高い、つまり今の攻撃は軽いもの。となると次の攻撃は連撃か・・・
この重い剣であの連撃全てには対応が出来ない。だとしたら、六撃目と七撃目の間にある微妙なタイミングの変化を突くしかない。
予想した通り、次々斬りかかってきた。
よし、次で・・・っ!?
六撃目に備えたら一瞬雪那が笑い、
ギーンッ
鈍く重い音がした。
連撃なら軽く流して受け止めれたが、重い一撃だったからバランスが崩れた。
「嘘・・・だろ?」
軽くショックだった。確固たる自信の読みが外れたからだ。でも逆に言えば軽いショックですんだということだ。これが雪那以外の相手だったら立ち直れないだろう。
バランスを崩しながらも距離をある程度とった。
「全く、何度言ったら分かるんだよ。勝手に読むなって言ってるだろ?」
こいつは多分俺の考えを読んでの行動だったのだろう。こんなのチートだぜ・・・
「バレましたか・・・」
苦笑いで言ってくる。
はぁ、攻撃しても読まれるんじゃ意味ないな・・・作戦は戦いながら考えるしかないか。
と思ってると、雪那が突っ込んできた。
その数コンマの内に考えを立てていく。今あいつには読む余裕がないはずだ。いくら考えが読めるからと言ってそれ全てに対応出来るわけないよな。つまり、『バーストモード』でギリギリ防げるスピードで殴ればいいのか。
今回は斬るのが目的じゃない。雪那をこかせばいいんだよな。
ガンッ
雪那の刀を止め鍔迫り合いの形に持ち込んだ。そして一旦手元を引いた。するとまるでお手本のように食いついてきた。それに合わせるように引いた手元を出した。
「ひゃっ!?」
雪那は後ろに軽く飛ばされた。
「『バーストモード』!」
するとそれに反応するかのように『死神』の紅輝石の部分が光だした。
この剣、急に軽くなりやがった。
離した距離を詰めて、連撃をした。
徐々に雪那の体勢がキツくなり、
ドサッ
とうとう押し倒した。あ、そういう意味ではないですはい。
「はぁ、負けちゃいました・・・」
「ふぅ、なんとか勝てたわ。中々強かった。」
「何ぼさっとしてるんですか?早くこの続きを!」
何言ってんだこいつ?
「女の子を押し倒したらあんなことやこんなことをするまでが鉄則でしょう!?」
うちの神器はいつだってぶれない。
「これはあくまで予想だけど、ホントにそんなことしたら慌てふためいて、やっぱりなしってなりそうなんだけど。」
いつもこいつは必ず安全なマージンをとっている。ホントにヤりたいんだったら俺が寝ている間に襲っとけばいい話だ。
「そ、そんなことありませんよ!今からでもご主人様を襲いたいくらいです。」
「ほう、やってみろよ。」
「え!?で、でもここは街中ですし・・・」
結局慌てふためいてる雪那。こういう一面は可愛いよな。
「冗談だよ。本気にすんな。」
雪那の頭叩きながらいった。
「うぅ、一瞬ドキドキしたのを返してください!」
おい、どこにトキメク瞬間があったんだ?っと、さっきの『バーストモード』の代償が今来たか。
「雪那、悪いけど肩貸してくれるか?いつもより重いのを振ったから結構体に来てるんだわ。」
「だ、大丈夫ですか?いつもならあんな程度じゃ息も乱れないのに・・・」
「そりゃあ、雪那と俺の体の相性がピッタシだからだろ。」
女神が俺専用の神器を作ったんだから当たり前か。
「ご、ご主人様の体と相性がいい・・・」
こいつ、またなんか違うことを・・・
「ほら、しっかり支えてくれよ。」
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「今お前なんて言った・・・?」
『死神』が出来て四ヶ月がたった。もうすっかり手に馴染んで使い方が分かってきた。
「今日限りでこのパーティーを抜けたいと思ってる。」
それはゴブリン狩りのクエストが終わって昼御飯を食べてるときだった。
「一体どう言うことだい、パーティーを抜けるだなんて。」
「俺は冒険者の活動に期限を決めていたんだ。長くても半年って。」
沈黙が流れる。
この半年は楽しかった。ダンジョンに潜ったり、避け飲んでバカ騒ぎをしたり、張り込みやらと色々したな・・・
「だからってパーティーを抜けることはないだろ。」
「悪い、フロット。多分もうこの街に戻ってこれないと思う。」
俺だって抜けたくない。でも・・・
「何処の街に行くの?」
「一旦里に戻ると思うけど、次は多分アクセルかな・・・」
「「「「あ、アクセル!?」」」」
何でこいつらそんなに驚いてるの?
「アクセルって言ったら駆け出し冒険者の街だぞ。お前さんのレベルじゃ除け者扱いされるぜ。」
そうだったのか。でも今回は冒険者として行くんじゃない。それにめぐみんにとってもいいところだろう。
「そっか、私達が付いていくのは無理そうだね。」
何かを我慢しているようにロアが笑って言った。
「お前らはこれからどうするんだ?この街に残るのか?」
今となればこのパーティーの平均レベルは30後半。この街の平均レベルは20前後。それなのに一撃熊のクエストとか出すなよ。
「お前らなら王都でも活躍出来ると思うんだ。」
「・・・僕達はここから離れることは考えてないんだ。」
「そうか・・・」
王都に居たら会える機会があるかなと思ったんだが。
「また会いに来たかったら『テレポート』で来いよ。」
「ああ。」
「さて、話はまとまったみたいだし、クエストに行こうか。」
「今日が最後ならこのクエストを楽しく過ごそうじゃねぇか。」
何やらノーツとゼリテスが盛り上がっている。
おい待て、お前らが手にしてるクエストって・・・
「次は一撃熊二頭討伐クエストをするよ。」
あのクエストまだ残っていやがったのか。一撃熊二体なんて無理だ・・・
泣いていいですか?
ああ、生きた心地がしない。
「ほら、最後のクエストになるんだからもっと元気をだそうよ。」
ノーツが元気に言ってきた。
人生の最後ってか?ふざけるな。何明るく言ってんだよ。
「おい、ショウタ。作戦考えとけよ。」
いつから俺は作戦係になったんだよ。考えるけどさ。
「このパーティーで頭いいのお前さんしかいないしな。」
そう、意外にもこのパーティー脳筋である。ロアはあまり前衛に出ないが他三名がガンガン攻めていく。ゼリテス関しては盗賊なのにだ。これでよく生き残ってこれたものだ。そこはロアの実力のお陰か・・・ロアの回復魔法はアークプリーストにも劣らないものだ。そろそろアークプリーストに転職出来るのではと思っている。
「ここら辺が目撃された場所らしい。いくつかのパーティーがやられてるから、気を付けていこう。」
ノーツはこんなこと言ってるけどほんとの所はなぁ・・・まぁゼリテスが敵感知スキルを使ってるから奇襲はないだろうけど・・・
ガサッ
「!?」
グオォォッ!
一撃熊は仁王立ちで腹に響くような低く重い方向が響き渡った。
「おい、ゼリテス!敵感知は!?」
「あ・・・忘れてた。」
まじかこいつ。
最悪の場合は二匹同時遭遇、次に戦闘中にもう一体と遭遇。まぁ、まずこれはあり得ないと思う。そしてもっとも好ましいのは片一方が巣に籠ってることだ。こいつらはつがいだからそろそろってこともなくはない。
「ゼリテス!周りにまだいるか!?」
『雪那』を抜いて構えて一撃熊とにらめっこしながら聞いた。
「い、居ない!こいつ一匹だ。」
そうか、なら、
「それならいつも通り俺が囮役をやらせてもらう!ロアは後ろで援護、ゼリテスはロアの近くで敵感知を、ノーツとフロットはその隙に叩け!」
走り出して言った。
「「「「了解。」」」」
一撃熊はまだこちらの様子を見ている。これなら・・・
そう思って斬りかかった。
「おい、ショウタ!敵感知あり!すごいスピードでお前さんの真横に!」
何!?
真横を見るとそこには突っ込んでくるもう一匹の一撃熊が・・・
ヤベッ!
思わず『雪那』を遠くに投げた。
『ご主人様!?』
バキバキッ
周りの木が折れていく音がした。
「「「「ショウタ」」君!」」
土埃が舞い辺りが見えなったが、すぐに視界は開けた。
俺は咄嗟に『死神』を引き抜いて持ちこたえていた。
「くっそ、早くにこいつを引き抜くことになるとは・・・」
『死神』はさほど太くはないが『雪那』に比べたら二倍ほど太い。だから、防御にはいつもこいつを使っている。盾を買えば?とよく言われるが『雪那』と『死神』は一応両手剣の部類に入っている。いくら片手で振り回せるからって盾は重すぎる。
「この熊っころがぁ!」
『死神』と目が光り、一撃熊を押し返した。
さっきの熊はこれを狙ってたのか・・・頭のいい奴だ、囮作戦なんて人間か初心者殺ししかしないと思ってたぜ。
「雪那!魔法でノーツ達を援護!」
「分かりました!」
俺hその指示を飛ばしてもう一匹の熊を皆から離した。
「お前とはさしでやらしてもらう!」
くそっ、さっき一瞬リミットを外したから少し疲れてるな・・・
まるであの時のようだな、違うのは『雪那』じゃなくて『死神』ということだ。『バーストモード』にも限界があるし、『見切り』も使えない。
一撃熊が突進してきた。
「ちっ、『カースド・クリスタルプリズン』!」
それは一撃熊の四肢を固まらせただけだった。それと同時に脱力感を感じる。
くそ、『雪那』が居ないと威力も出ない。魔力の底が浅すぎる。
マナタイトを消費して魔力を回復させた。
「動くんじゃねぇぞ。一瞬で終わらせてやるからな・・・」
ジリジリ近づいて行き、一撃熊の目の前にたった。
氷を割ろうと必死でもがいてる。
パキッ
嘘だろ?こいつ自力で割りやがった。
「『バーストモード』!」
この熊、甘く見てたらやられる
グオォ!
大きく腕を振り下ろしてきた。
早い!?
ガリッ
爪と刃が当たった音が鳴った。
現状俺は熊と互角に張り合えてるが、持って後40秒。これ以上長引かせると、また気を失うことになる。この状態を早くなんとかしないとな・・・
しかし、この状態で出来ることがない。どう考えても魔法は魔力が足りない。マナマイトの残量はあるが取り出せない。これが絶対絶命って奴か・・・
ガツッ
何かが当たる音がした。
グルルル・・・
一撃熊が顔を後ろに向けた。
後ろに何か居るのか?
すると、すぐに振り返り前足を振りかぶった。
その刹那に見えたのは黒髪と藍目だった。
「ロア!」
次の瞬間、一撃熊が滅多斬りにされて悲鳴を上げていた。
俺の手からは皮膚が裂けて血が流れてた。『雪那』でもここまで振り回したことがない。
一撃熊からは血が噴き出していた。
ザクッ
最後は脳天に『死神』を突き刺して留めをさした。
ドサッ
一撃熊が倒れた訳ではない。俺が倒れたんだ。
「ショウタ君!」
「怪我は無いか?」
「それはこっちのセリフだよ。」
まさかロアに助けられるとはな・・・
「俺は大丈夫だ。少し体が動かなくなっただけだ。」
改めて『雪那』の凄さを実感した。
「ロアありがとな。」
ロアを無意識で撫でようとしてた。
「あ、ごめん。血が付いてたな・・・」
ふと自分の手を見て気付いた。先の戦いで血を流してたのを忘れてた。
「!?ロア?」
ロアは引っ込めようとした手を掴んで自分の顔の所まで持っていった。
「おい、汚いぞ・・・せめて血を拭いてから。」
「ううん、大丈夫。私の為に流してくれた血が汚いわけないよ。少なくとも私にとっては。」
だからと言って顔に手を持っていくことはないだろ。
手の感覚が麻痺してきたのか触られてる感覚がなかった。しかし、一つだけ感じるものがあった。それは染みる痛みだ。傷口にロアの涙が触れている。いつもなら泣いてるのかとからかうんだが、今はそんな気分じゃない。
「そろそろ傷の手当てしなくちゃね。」
思い立ったかのように言い、救急セットを取り出した。
嫌だなぁ、消毒とか絶対染みるじゃん。ロアの涙の時は我慢してたけど今回は我慢出来ない。
「とりあえず血を拭くね。」
ロアが自分のハンカチを取り出そうとした。
「え、ちょっと待て。俺の使えよ。わざわざお前のを使う必要もないだろ。ローブの右ポケットに入ってるから。」
流石に俺の血で人のものを一生汚すわけにはいかない。血とかって確か塩基性の液体に浸けて洗わないといけないから手間がかかったはず・・・
「え、でも・・・うん、分かった。」
一瞬何かを考えて納得した。
「いてて・・・もうちょっと優しく触ってくれ。」
触れられただけでも痛い。さっきロアに触れられてもあまり痛くなかったのにな・・・
「うーん、この傷の深さは私のヒールじゃちょっと治らないね・・・」
血を拭いて傷口を見たら皮膚どころか肉まで裂けていた。
「ここまで酷いとはな・・・」
「一応ヒール掛けとくけど気休めだから、包帯巻いとくね。」
「全治半年って所か。しばらく剣が握りづらくなるな。それに、少し魔力が通りづらいな・・・」
巻かれながら魔力を流してみていった。
「うーん、後で魔力の通りやすい包帯買おっか。」
「そう言えば他のやつらは?」
「向こうで休憩してるよ。みんなへばっちゃってるよ。」
雪那までへばってるのか。どんだけ強かったんだよ、そっちは。
「ふぅ、じゃあ戻るか。」
ヒールのお陰で手は治らなかったが、体は動かせるようになった。
「しかし、自分がやったというものの、惨いことをしたな。」
一撃熊の亡骸に手を組んでいった。
いつもは一刀両断だが、今回はそうはいかなかった。肉は削ぎ落とされて骨が見えている。
「おーい、お前らが大丈夫か?」
遭遇した場所に戻り、安否を確認した。
「おお、ショウタか。無事だったんだな。」
「怪我はしちまったけどな。」
木にもたれかかってるフロットに包帯を巻いた手を見せていった。
「大丈夫なんですか、その傷?」
地面に伸びてる雪那が顔だけこっちを向けて言った。
「お前が伸びてるとこって珍しいよな。」
「今ならイタズラできますよ?します?」
こいつ以下略。
「この四人をこんなにヘトヘトにさせるってどんだけ強いんだよ。」
そこら辺にぶっ倒れてる一撃熊を見ていった。
「私は最初、ご主人様の指示通り魔法で援護射撃してたんですが、埒が空かなくて・・・」
「僕とフロットは前衛で戦ってたんだけど・・・」
力負けしたんだな・・・
「俺は潜伏スキルとか使用して背後から攻撃してたんだ。でも・・・」
そもそも盗賊は攻撃専門職じゃないからな・・・
「それで、私が奥の手を・・・」
だからぶっ倒れてんのか。
「いや、雪那ちゃんがあんなにすごい戦い方するなんて思わなかったよ。」
感心するように言うノーツ。
あんなのはただの猿真似・・・あれ、雪那って猿並みの知能あったのか。
「ご主人様。魔力が切れてても読めることは読めるんですからね。」
何でこいつは聞かれたくないことを考えてるときに読むんだよ。タイミング良すぎだろ。
「さて、そろそろ街に帰ろうか。」
「なぁ、ショウタ。疲れたからテレポートしようぜ。」
「無理だ。雪那がこんなんじゃ定員オーバー。我慢して歩け。」
「たまにお前さんが鬼に見えてくるよ。」
「そりゃどーも。ほら雪那捕まれ。」
もう刀に戻る魔力もないのかずっとだらけてる。
「いや、嬉しいお誘いなんですけど、もう手も足も動かせません。だからお姫様だっこをしていただけるとあり・・・」
「よし、雪那は一人で帰れるらしいからテレポートしようぜ。」
「ああ!ま、待ってください!俵抱えでいいですから置いてかないでください!」
涙目で訴えてきてるであろう雪那を見た。今何故仮定形なのかと言うと、すでに雪那は顔をあげる力もなく伏せているからだ。
「うそうそ。お姫様だっことはいかないが・・・よっと、これならいいだろ。」
そう言って雪那を背負った。
「へ・・・?あ、あの、こう急に優しくされたら恥ずかしいんですが・・・」
全くこいつの羞恥のポイントはどこにあるんだろうか・・・
「ま、まぁ、これはこれでご主人様の鼓動が感じれるから安心できるのでいいんですが・・・」
何でこいつはこう俺のピンポイントを突いてくるんだろ・・・こういう台詞には弱いんだよな・・・
「それより、さっきからロアさんの方から強いご主人様の匂いがするんですが・・・」
俺の匂いってなんだよ。俺はさっきから血の臭いしかしないぞ。
「え?・・・あ、これのことかな?」
ロアのポーチから綺麗に折り畳まれてたハンカチが出てきた。もちろん血がべっとり付いてる俺のハンカチだった。
「あ、そう言えば返してもらってなかったな。そのハンカチもう使い物にならんな。新しいの買うか・・・」
「それじゃあ・・・このハンカチの後始末は私がしていい?」
言葉を慎重に選ぶようにロアが言った。
「ん、別にいいけど・・・」
「ロアさんってたまに私よりスゴいこと言いますよね・・・」
「それどういう意味だ?」
ハンカチの後始末をしたいって言っただけだろ?
「いえ、ご主人様は気にしないでいいですよ。」
ワケわからん。
「おーい、そこだけで盛り上がってんなよ。」
前の方を歩いてたフロット達が振り替えって文句らしきものをいってきた。
「盛り上がってない。それよりは今回の報酬はどんなもんなんだ?」
「確か色んな冒険者が挑んでも無理だったから上乗せされて六百万だったかな?」
・・・は?六百万?そんなの受けたの?こいつバカなの?
「なんか最初は四百万だったらしいよ。でもつがいだからなのか、連携が凄くてね。さっきショウタ君がやられたようにやられたんじゃないかな?」
囮作戦のことだな。あんなに狡猾だとは思わなかったな。一瞬判断が遅かったらミンチにされてただろう。
「そのせいで特殊個体として扱われたんだ。」
一撃熊は元々群れない習性だ。例えつがいであろうとも一緒戦闘すること事態珍しいのに連携で戦うなんて考えられもしない。
「成る程、それなら報酬が高いわけだ。これでこの剣の支払いは終わるわけだ。」
この四ヶ月の間にこまめに貯金して現在百二十万は貯まってる。今回の報酬を足すと二百四十万。残りの二百万を支払える。
「・・・今回で最後なんだな。」
フロットがしんみりと言った。
「・・・うん。」
「ショウタ君。今までありがとう。楽しかったよ。またいつでも会いに来てくれ。」
「うん。」
ヤバい、目を合わせられない。
「おい、泣くなって。お前さんの泣き顔なんて見たくねぇよ。」
髪がぐしゃぐしゃになるほどゼリテスが撫でながら言った。
「な、泣いてなんか・・・」
「無理するなよ・・・グスッ・・・」
「おいおいフロット。もらい泣きか?」
「う、うるせい!ゼリテス!お前も涙目じゃねぇか!」
「な、何を言ってるんだよ。これはその・・・あ、汗だ。」
そんな意味わからん言い訳すんなよ・・・
「ショウタ君・・・また会えるよね?」
ロアが俺の体に身を寄せて言った。
「いつかはな。」
「こほん、二人ともくっつきすぎですよ。」
背中にいる雪那が言った。
「お前が言えた立場か。」
「私はしょうがないですもん。でも、今回は見逃してあげます。」
じゃあ、最初から言わなければいいじゃないか。
「グスッエッグ・・・」
異様な嗚咽が聞こえた。そっちの方を見ると、
「「「「「ノーツ(さん)、号泣じゃん・・・」」」」」
一斉に言った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「そうか、あのパーティーを抜けるのか。」
俺はまっさんのとこに来ていた。
「まぁな、それで今日はお別れ会だとよ。」
昨日号泣してるノーツを皆で宥めた後、何もしないのは嫌だからお別れ会をしようとロアが。
「愛されてるねぇ。」
「人望は厚い方だからな。あちっ!『フリーズ』」
お茶を飲もうとしたが思いの外冷めてなくてビックリした。
「おいおい、折角の熱いお茶が勿体ないじゃないか。」
「俺猫舌なんだよ。」
「でも、お前この間・・・ああ、飲んだの大分後だったな。」
お茶を飲んで寝転がった。
「・・・くつろぎやしないか?」
「まだ疲れが残ってるんだよ。それよりさ、こいつのことなんだけど。」
ガタ
俺はちゃぶ台に『死神』を置いた。
「『レッド・エンジェル・オブ・デス』がどうした?」
そう言えばそんな名前でしたね・・・長ったらしい。
「こいつに特殊能力とかあるのか?」
「いや、なかったはずだが。どうしてだ?」
「いやな、俺がリミッター解除・・・目を紅くさせたときにこいつもこの紅輝石のところが輝いて、こいつが軽くなったんだよ。」
「ふーん。そうだなぁ、まず紅輝石について説明しようか。紅輝石はいわゆる魔石と言う奴だ。それはマナタイトとはちょっと違うくてな。波長って言うのがあるんだ。多分その波長がお前の言うリミッター解除との波長があったんじゃねぇかな?だから輝いたんだと思うぜ。まぁ、あくまで推測だがな。そいつは世間一般的に色んな鉱石と相性がいいから、装飾品や配色に使われる鉱石として使われる。魔石と言われてる理由は多量の魔力があるからだ。でもその魔力をマナタイトのように取り出せないし燃料としても使えない。あまり解明されてない鉱石なんだ。もしかしたらお前が初めて魔石の魔力を使える人間じゃないか?」
そうなのか・・・
となるとリミッター解除時の魔力がとんでもないことになってたのか・・・
じゃあ、あのとき普通にこいつ通して魔法を撃っとけば良かったじゃないか・・・
魔力が通りにくかったのは魔力を通りやすいマナタイトと通りにくいアダマンタイトと紅輝石の比が通りにくい方をが大きかったからだ。それに反して波長があった場合、紅輝石が通りやすいものに変わり比が逆転する。ちょっと違うけどコイルみたいだな・・・コイルは最初は自己起電力というもののせいで電流が流れないが、それが0に近づくにつれて電流が流れ始めるといった性質を持っている。
「つまりあれか、リミッター解除してる時は魔力が桁違いになってるということか。」
「まぁ、感覚的にはそうなんじゃないですか?ご主人様が『バーストモード』を発動してる時は、私に魔力を流してるときよりも膨大な魔力を感じましたからね。」
「「うわっ!?」」
いつのまに出てきたのか、いきなり喋りだした雪那を見てまっさんと俺は驚いた。
「祥太。この子が前に言ってた・・・」
「雪那といいます。」
「いきなり出てくんなよ。でも、多分全開にして魔法を使ったら20秒も持たないだろうな。」
今では雪那なら全開でも3分は戦える。この数値は俺が動けなくなる寸前の数値だ。気絶覚悟で戦うなら10分が限度だ。時間が伸びてるだけじゃない。全開という言葉を使ったように幾つか段階を切り替えれるようになっていた。前までは全開垂れ流しだったが、微調整が効くようになった。
「そうですね。剣術だけなら1分が良いとこですね。」
「ケースバイケースだな。お前を使うかこいつを使うかは・・・」
「上級魔法か爆裂魔法って感じですね・・・」
上手い例えじゃないか。
「何にせよ、これで支払いが終わった。また用があったらいつでも来いよ。」
「はーい。じゃあ、帰るな。雪那いくぞ。『テレポート』」
「ご主人様、そろそろ起きてください。時間ですよ。」
「ん、もうそんな時間か。」
この部屋にはもう自分で用意した家具などない。デフォルトのテーブルと椅子、そしてベットだけだった。
「今日がこの宿が最後だな。」
「なんか寂しいですね。」
椅子から立ち、背伸びをした。
「さ、ギルドに行きましょ。」
「ああ。」
『死神』を背負い部屋を出た。
ギギギィ
変わり映えしない重いドアの音。開けた瞬間に吹き付けてくる暖かい空気と御飯と酒の香り。いつも当たり前だったことが今は特別なものに感じた。
「ショウタが来たぞ!」
ワァァァ!
・・・・・へ?
「さぁショウタ君、こっちに。」
「待て、状況把握が先だ。」
ギルド全体が俺のお別れ会みたいな雰囲気になっている。想像してたのはもうちょっといや、大分こじんまりしたものだったのだが・・・
「何って、君のお別れ会だよ。」
「うん、それは分かってる。いやしかしな、この人数はなんだ?」
俺の目の前にはこの街の全冒険者が集まってるように見えるんだが・・・
「いやぁ、ギルドの人にちょっと頼んだらこんなことになっちゃって・・・」
何を頼むんだ?いつもドンチャン騒ぎしてるギルドに一体何を頼む必要があるんだ?
「えっと、パーティー料理を作ってくれるように頼んでたら、近くにいた仲がいい人に聞かれて目的を言ったらこんなに人数が・・・」
まぁ、多少は面識のある人も居るが・・・七割方知らない。
「早く席につけよ!主役が席につかねぇと始まんないぜ!」
いつになく喚くフロット。
「はぁ、分かったよ。」
全く昨日まで泣いてたのが嘘みたいだな。
「ご主人様も泣いてましたよね?」
「お前も泣いてたのは知ってるからな。」
ビックっとした雪那。気づかないとでも思ってたのか。後ろで肩を震わせてたのをしっかりと感じ取っていた。
俺は皆に急かされながら席についた。それを確認したノーツが、
『では皆さん。今宵はお集まり頂きましてありがとうございます。』
こいつらはただバカ騒ぎがしたいだけだろうがな。
『今回は知っての通り、我がパーティーの一員であるショウタ君との別れを惜しむ会です。この機会に最後の挨拶や、今まで言えなかったことを伝えてください。では、乾杯をショウタ君に。』
またか、またこういうのを振られるのか。前もこんな無茶ぶりをさせられた。流石に今回は仕方がないけどさ。
『えー、代わりましてショウタです。今回は俺なんかの為に集まっ・・・いや、あんた達は騒ぎたいだけなんだよな。つーことで今日は騒ぎ立てようぜ!かんぱーい!!』
ワァァァ!!
こうしていつもより大きめのドンチャン騒ぎの火蓋が切って落とされた。
それからは大変だった。ノーツがいきなり号泣したり、フロットが暴れたりしていた。俺はといえば、
「あんたには一度助けられたことがあるんだぜ。あんたは自覚してないだろうがな。」
一人の男に絡まれてた。
「へぇ、どんなことしたんですか?」
「あれは俺たちのパーティーがクエストを終えてこの街に帰ってるときだったかな。街の近くまで来たときに背後から初心者殺しが迫ってきてな。戦闘で消耗してたからヤバいと思って皆で駆け出したんだ。でも人間が初心者殺しに足で勝てるわけねぇ。もうそこまで来たと思ったらドカァーンってでけぇ音がしたんだよ。その音に反応して初心者殺しがそっちの方に向かったんだよ。その時の音の主があんただったんだ。あの時はありがとう。」
あぁ、魔力を何とかして上がらないかと魔法を無駄撃ちしたやつかな?確かあの後初心者殺しが向かってきたな。
「いえ、あの魔法が無駄撃ちじゃなくて良かったです。」
そう言って頭を下げた。
「それじゃ、向こうでも元気でやれよ。」
男の人は席を立ち手を振って去った。
ふぅ、こんなに人と話すなんてクレアの誕生日以来だ・・・
シュワシュワを一口飲んだ。レモン酎ハイが欲しい。レモンジュースでもいい。いっそのことポッ○レモンでも・・・
「あ、あの・・・!」
「ん?どうした?」
そこには俺より二つぐらい年下の白髪碧眼の男の子がいた。
「そ、その、ぼ、僕ショウタさんみたいな剣の使い手になりたくて・・・!それで、その・・・」
「んー、ま、いいだろ。俺もそろそろ夜風に当たりたいと思ってたからな。その剣を持ってついてこい。」
「え、いいんですか!?」
目を輝かせて言ってきた。
「早く外にいくぞ。」
俺達は少し開けた場所に来た。
「先に言っとくが俺の技術は特殊だぞ。」
この世界は異世界。日本の剣道の剣術なんてものはない。
「は、はい!」
妙に威勢のいい返事をした。
「取り敢えず俺にかかってこいよ。」
今雪那はギルド内で食べ物にがっついてるので『死神』を引き抜き構えた。
「そ、そんな。僕なんて・・・」
「別に勝てなんて無茶いってないだろ。俺は攻撃ないし全力で斬りかかってきたらいいんだよ。」
「う、うん。じゃ、じゃあいきます。」
キーンッ
うん、ちょっと待って。この子何?いきますって言った瞬間にもう斬りかかかってたよ。予備動作見えんかったわ・・・
間髪入れずに連撃を放ってくる。
この子アイリス様より強くね?
カーン
「ああ!?」
毎度のごとくお得意のすり上げをした。剣はそのまま上空へ飛んでいき、やがて遠くの地面に落ちた。
「はぁ、はぁ、酒が入ってたとはいえ、こうも追い詰められるとは・・・」
軽く見るつもりが本気で教えたくなった。もしかしたら俺の代わりに・・・
「やっぱりショウタさんは強いんですね・・・僕なんてまだまだだ。」
「いや、お前は強いよ。正直追い詰められてたしな。ちょっとこっち来てくれ。」
「な、何ですか?」
「これ振ってみろ。」
「!?お、重い・・・」
俺は少年に『死神』を貸した。
「それをさっきのスピードの六割で振れたら上出来だ。剣の持ち方を教えてやる。」
「も、持ち方ですか・・・?」
「ああ、それで大抵は何とかなる。」
それから十分後に俺は口が開いていた。
六割だと思ってたのが七割五分で振れているのだ。
まさにここまでやるとはな・・・
「オーケー、まず左手だけで持て。」
「左手?こうですか?」
「ん、もうちょいこう、縦に持つ感じだ。」
「そ、そろそろ腕が限界です・・・」
まぁ、重いしな。
「よし、右手を添えろ。」
「そ、添えるだけなんですか?」
「メインは左手だからな。そっちの方が右半身をうまく動かせる。」
「うーん、他の人は右手お中心にしてたような。」
「だから特殊って言ったろ。次は体さばきだな。」
それから三十分が経過した。
何でだろう。もう少し時間がかかると思ったのにもう習得してやがる。
「ふぅ、ここまで飲み込みが早いとは思わなかった。じゃあ、最終レッスンだ。一分間俺の攻撃に耐えろ。」
俺はその子が最初に使ってたロングソードを拾い構えた。
「む、無理ですよぉ。」
「死ぬ気で頑張れ。大丈夫。危なかったら寸止めしてやるから。行くぞ!」
「ひ、ひぃぃ!」
「ううう・・・」
「二分ちょっとか良いタイムだな。」
「一分間って言ったじゃないですか!?」
「悪い悪い。んー・・・」
こいつ『死神』を本気で使ってるとき少しだが魔力上がったよな・・・波長が少しだけ合ったということか・・・
「あの、この剣ってどこで手に入れたんですか?」
「コーレスの鍛冶屋で打って貰った。でもあそこ高いし止めといたほうがいいぞ。」
俺なんて日本人だから作って貰ったようなもんだし。
「そっか・・・」
「お前はこんなに重いもん使うんじゃなくてちゃんとしたやつ使えよ。」
「なんだ、人が打ったもんにケチつけてんのか?」
聞き覚えがある声が・・・つーか今日も聞いたわ。
「まっさん。何でこんなとこに居るんだよ。」
そこにはまっさんがしかめっ面で立っていた。
「俺もこの会に招待されててよ。さっき着いたばっかだ。それでギルドの方に歩いてったら、珍しくお前が人と話してるんでな。」
「人に友達いないような口を叩くなよ。」
「ろくにパーティーメンバー以外の人と話せないやつがよく言うぜ。」
んにゃろー・・・
「ショウタさんって人見知り何ですか?さっきはあんな明るい乾杯をしてたのに。」
「元々俺は根暗人間だ。表があれでも裏ではこんなもん。それよかまっさん。」
「ああ、さっきから見てたから分かるぜ。魔石関連だろ?」
「魔石?」
「話はその時になったらまっさんから聞いてくれ。で、どう思う。」
「多分さっきの感じだと紅輝石と波長は合わないらしいな。」
「パターンは同じだと思う。じゃなきゃ反応がない。」
「でも、魔石って呼ばれてんの紅輝石ぐらいしか今のところないぜ。同じようなものがあるって推測されてるだけだ。」
「片方があるならもう片方があるはずだろ。パズルみたいにさ。」
「確かにな。・・・!そう言えば来月大発掘を行うって情報があったな・・・」
「そんときに見つかるかもしれないってか。仕入れ額が大変なことになるな。」
「それに参加すれば発掘報酬で貰えんだけどな。」
「じゃあまっさん参加しろよ。俺は当分用事だし。」
「えー、ふざけんなよ。もう年だつーの。」
「まだ三十代だろうが。まだ現役だろ!」
「最近腰が痛くてな・・・」
運動不足だろ・・・
「あ、あの。その話、僕も関係がありそうなので発掘、僕がやりましょうか?」
若いもんはすげぇなぁ・・・
「まっさん。こいつがこんなこと言ってるんだ。あんた動けよ。」
「そうだなぁ、それじゃあ君。名前は?」
「僕レイと言います。」
「レイ君か・・・いい名だな。」
「おい、まっさん。何でレイの時だけ君付けんだよ。俺の時はいきなりお前って言ったじゃないか。」
「歳が違うだろ、歳が。」
「そんな変わんねぇだろ。レイ、お前何歳だ?」
「え、13です。」
「二つしか変わんねぇじゃん!」
「「え?」」
「じゃあ、お前15なのか?」
「逆に何歳だと思ってたんだよ。」
「「17、8・・・」」
「俺そんなにふけてるかな・・・?」
合法ショタっ子の名が泣くぜ・・・あ、別に自負してる訳じゃないですよ?
「いや、ふけてるとかじゃなくて、雰囲気が子供じゃないと言うか大人びてるというか・・・」
「目が据わってる感じがするんですよ。」
目が死んでるってか?
「そうそう。だから子供扱いには出来ないって感じだ。」
成る程。分からん。
「で、まっさん。動くのかよ?」
「動くさ。レイ君は手伝ってくれると嬉しい。」
「も、もちろんです。」
「くれぐれの怪我させんなよ。」
「分かっとるわ。そう言えばレイ君はパーティーを組んでるかい?発掘自体が一、二ヶ月掛かるから、パーティーに入ってたら迷惑掛ける可能性があるし、そう言うのは話をつけとく必要があるぜ。」
「あ、いえ、今はソロでやってます。」
こんな凄腕が放置されてんのかよ。珍しいな。
「そうか、それなら問題ないな。でも、いつまでもパーティーを組まなかったらどこかのボッチ剣士になりかねないぞ。」
「おい、そのボッチ剣士が誰か教えてもらおうか。俺はちゃんとパーティーを組んでたぞ。誰だそんな昔話を流したのは・・・」
「じ、実話だったんですね・・・」
「そ、そんなことより、レイは何の職業に就いてるんだ?ソロ活動してるからには使い勝手のいい職業だろうけど。」
「アークプリーストをやってます。」
「「あ、アークプリースト?」」
この歳でアークプリースト?ロアでもちょっと無茶なレベリングでようやく就ける役職だぞ・・・
「回復も出来て、剣術も腕が立つ。普通ほっとかないだろ。」
「子供だからですかね?ショウタさんは何の職業に?」
「・・・それ聞く?」
冒険者だなんて言いたくない。
「え、聞いちゃダメなんですか?」
「ハハハ、こいつ変わり者だからな。就いた理由もしょうもなかったし。」
「しょうもないとか言うなよ・・・こっちはその事実を突きつけられたときは軽くショックだったんだから。」
「うーん、上級魔法を使えるからアークウィザードかなって思ってたんですけど、その反応じゃ違うみたいですね。となると・・・ぼ、冒険者!?」
何でそれに気付いたときに皆信じられないものを見る目をするんだろ・・・
「そんな目で俺を見るなよ・・・」
「あ、すいません・・・」
「でも、祥太は冒険者でも王都で活躍できる位の実力の保持者だから気にすることはねぇぜ。『紅目の死神』何て目じゃねぇ。」
本人目の前でそれ言うかね?
「僕もその人のこと聞いたことあります。何でも紅魔族なのに冒険者に就いててそれで・・・それで剣術も・・・凄いって噂が・・・」
レイが俺の方を見ながら言った。
「何で俺の方を見てるんだよ。」
「いや、ショウタさんと似てるなぁって。」
「そう言えばお前も紅魔の里に居たんだっけ。でもこいつは紅魔族じゃねぇな。」
「でも、前になんちゃって紅魔族って聞いたことが・・・」
なんちゃって紅魔族・・・もうすでになんちゃってじゃない件について。
「はいはい、変な詮索はしない。と言うわけでまっさん。こいつの事よろしくな。」
「お前は保護者か。」
「ツッコミありがと。じゃ、戻るわ。魔石の説明しとけよ。」
ギルドに向かって歩き出すと、
「ショ、ショウタさん。ありがとうございました!」
「おう。あ、そうそう、もし、お前がパーティーに加わりたいなら・・・俺の代わりにノーツ達の所に入ってくれ。もうすでにプリーストはいるがあいつらは脳筋だ。お前が俺の代わりにあいつらを守ってくれ。」
背を向けたまま頼んだ。
「なんだ?パーティーのリーダー気取りか?」
「いいや、保護者気取りだ。」
振り返って笑いながら答えた。
「ただいまぁ。って誰もいないよな。」
一応、会は終わったが二次会だ!とか言い出すバカがいた。同じとこでやるんだから二次会もくそもないだろ。俺は疲れたと言って帰ってきた。全く誰のためのものだったのか。雪那はまだ飲み足りないと意味不明なことを口走っていたので置いてきた。あいつ酔わないだろ。
ドサッ
レイ、受け入れてもらえるかな・・・?
流石にあの提案は勝手すぎた。でも、あいつらをほっといたらいつか潰れるかもしれない。
コンコンコン
誰だ、こんな時間に・・・
「どちら様でしょうか?」
「ロアだけど。ちょっといいかな?」
「開いてるから勝手に入って。」
ガチャ
「どうした?」
「えっと、さっき別れ際ゼリテスに『スキルバインド』教えてもらってたよね。」
そう、俺はお土産にゼリテスからこれから必須スキルである『スキルバインド』を教えてもらってた。もちろん用途は『雪那』に使うためだ。『マジックキャンセラー』という魔法もあるのだが、スキルポイントが少しばかり高いのでこっちにした。
「それがどうした?」
「そ、それだったらこれもいるかなぁって。」
ロアが冒険者カードのスキル欄を見せてきた。そこには、
「『セイクリッド・ブレイクスペル』・・・お前・・・ついにアークプリーストになれたのか。良かったな!」
思わず抱きついた。
「え、ショ、ショウタ君!?」
「あ、悪い。酒臭いよな。」
「そ、そこ!?今そこ気にする!?」
よくわからないが何か喚いてるロア。
「で、俺が自分で『スキルバインド』掛かればいいのか?」
「この状況なのにあっさりそっちに持っていくんだね。」
何に不満なのか分からないがふてくされてるロアが言った。
「何言ってるか分からんが『スキルバインド』!」
自分にスキルバインドを使うやつなんて俺が初めてなんじゃないだろうか。
「ちょっと待ってな。『クリエイト・ウォーター』」
コップに手をかざして唱えたが発動しなかった。
「よし、掛かってるな。どうぞ。」
「うん。『セイクリッド・ブレイクスペル』!」
何処からか光が差し、俺の体を包み込んだ。
パリンッ
何かが割れる音がした。
「これで『スキルバインド』は解除されたのか・・・おっ、ちゃんとスキル欄にある。ありがとう、ロア。」
冒険者カードを取りだし見て、再度懐に直した。
「今習得しないの?」
「したいけど、ポイントが10程足らん。また今度だな。」
先はなげぇなぁ・・・
「大変だねぇ・・・・・あ、あの、ショウタ君!」
「!?いきなり声をあげるなよ。ビックリするじゃねぇか。」
「あ、ごめん。」
「まぁいいけど。で、何?」
モジモジしてるロアに聞いた。
「そ、その・・・こ、今晩一緒に寝ませんか!?」
どうしよ、開いた口が塞がらない。今日何度口が塞がらなければ気が済むんだろ?
ロアは顔を真っ赤のして答えを待ってる。
「・・・ね、寝るだけなら・・・いいかな?」
何だろう、この世界に来てドキドキする展開が多すぎる気がする。
「ほ、ホントに?ど、ドッキリとかそう言うのじゃないよね!?」
こっちがドッキリ食らってる気分だわ・・・
「違うから。そもそも誘ってきたのそっちだろ?」
「そ、それじゃあ失礼して。」
先にベットに潜るロア。
「ふぅ、寝れるかなぁ・・・」
ロアが一瞬動いた。
「そ、それは今晩は寝かせねぇよ的な奴ですか?」
こいつの中で今何が起こってるか分からんが普段使わない敬語を使ってる所を見る限り、こいつも緊張してるんだろうか?その前にどういうわけかとんだ勘違いをしてる。
「ち、違うから。そういった意味ではなくて・・・」
もちろん俺も緊張してる。今までもこんなことはあったが、全員が色物枠と言ってもいい。それに比べてロアは常識人。常識人と言うだけでこんなドキドキするものなんだろうか・・・
「来ないの?」
掛け布団から目だけを覗かせ言ってきた。
「失礼します。」
一応ベットには入ったが、恥ずかしさのあまり背を向けた。一方ロアも背を向けていた。
でも、背中合わせて互いの呼吸を感じるのがなんか心地がいい。
「ショウタ君がパーティー抜けちゃったら戦力が下がっちゃうね。いつも状況を把握して、皆の安全を確保してくれる、無謀だけど頼りになる人が。」
「その事なんだけど、俺の代わりと言っちゃなんだけど、新しい子を入れてみたらどうだ?俺に劣らないくらいの剣使いをさ。」
「私にとってのショウタ君の代わりなんていないよ・・・」
パーティーのことを言ってたんだけどな・・・
「でも、やっぱり入れなきゃお前らの事が心配だ。」
「・・・その事は後でノーツ達と話し合うよ。それよりこっちを向いて。」
ゴソゴソ音がなった。どうやらロアがこっちを向いたらしい。
「どうした?」
「その・・・私・・・」
「ロア?」
途中で言葉が詰まったのかロアが喋らなくなった。
「ねぇ、フロットとかがまた来いって言ってたけど、また来る可能性はあるの?」
「・・・正直かなりの低いと思う。来たとしても十年後、いや、もうちょっと先かもしれない。」
魔王を倒すまで・・・俺に退廃的な夢を叶えるまでここには帰ってこないかもしれない。用がない限りな。
「そっか・・・じゃあ、これが最後かもしれないんだね。」
そう言って深呼吸した。
「ショウタ君。私はあなたの事が好きです。」
・・・・・・・は!?突然すぎて意識が飛んでしまった。今ロア、俺の事好きって言った?
「それはどういう意味で捉えたらいいんだ?」
「この状況でそれ言う?異性として好きって事・・・」
どう答えたらいいんでしょう・・・?
「俺の事をそんな風に思ってくれてありがとうな。でも、それの答えを出すのは後でいいか?俺には抱えてる問題が多すぎる。それが解決できたら、その時期が来たら返事をしていいか?」
「・・・断るならはっきり断ってほしいよ。」
「断りたい訳じゃない。ロアは可愛いし性格もいい。前も口にしたようにロアと結婚しても苦はない。でも、俺には今ほっとけない人達が居るんだ。そいつらの事がしっかり出来たら答えを出しに来てもいいか?」
「そう言えばショウタ君は天然たらしだったんだね。それなら仕方ないか・・・」
たらし・・・
「天然って誰から・・・あいつしか居ないか・・・」
雪那の野郎。余計なこと言いやがって。
「雪那ちゃんもその内の一人に入ってるの?」
「・・・うん。」
「やっぱりショウタ君を好きになって良かった。」
わけわからん。
「じゃあ、さっきの答えなくていいから、一つだけお願い聞いてくれる?」
吸い込まれるような藍色の目を覗かせていった。
「ああ。」
「わ、私を抱き締めて。」
「う、うん。」
俺はぎこちない動きでロアの肩に手を回して、引き寄せた。ロアの顔が俺の胸に当たった。
「心臓の音が強くてゆっくりしてる。この状況でもこんな脈拍がゆっくりなんだね。」
これでも速い方だと思うけどな。
「落ち着く・・・ショウタ君。」
「うん?」
「あのハンカチ大事にするね?」
・・・・ハンカチってあの血まみれのハンカチか?なるほど、雪那が言ってた意味が今わかったわ。あれを大事にするのか?これは喜んでいいのか?
「まぁ、後始末を頼んだし、好きにしろよ。」
複雑な心境で言った。
「ありがとう・・・」
それを最後に俺は意識を落とした。
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「わざわざ見送りになんか来なくても良いのに・・・」
朝飯を済まし、『テレポート』をしようとしたところに皆が集まってきてた。
「何言ってるんだい。僕達はパーティーメンバーだろ?」
抜けるって言ったのに。
「お前の泣き姿を見に来てやったんだよ。」
いや、フロット。泣きながら言われても逆に泣き顔を見せに来たの間違いになるぞ?
「泣きすぎなんだよフロット。お前さんの顔強面の癖に涙脆すぎるだろ。」
うん、お前も言えないよな?
「ショウタ君、元気でね。答え待ってるから。」
「ああ。」
手をロアの頭に持っていった。
『はぁ、ご主人様。またですか?あなたは何人落とせば気が済むんですか?』
無意識だから仕方がないと思う。
「ショウタさーん!」
「レイじゃないか。お前も見送りに来たのか?」
「はい、例え一夜だけでもショウタさんは僕の剣の先生でしたから。マツイさんも・・・あれ?」
レイが振り返った所には誰も居なかった。
「あれじゃないか?あそこでへばってるおっさん。」
俺が指を指した先には、ゼェゼェ言ってるまっさんの姿があった。
「れ、レイ君足が速すぎるんだよ。」
「運動不足だろ・・・」
「ショウタ君。この子は?」
ノーツが興味津々に聞いてきた。
「こいつはレイ。アークプリーストにして、俺同等の技術を持つ者!」
「・・・ショウタさん。それ完全に紅魔族風ですよね・・・」
たまにはやらせろ!
「ショウタ君と同等の技術を・・・!」
「でも、アークプリーストだぜ?うちにはもう居るじゃねぇか。」
「誰が入れる話をしてるんだ。お前さんは先走りすぎる所があるんだよ。でも、ショウタが居なくなることを考えたらこの子を入れたいな・・・」
「いいんじゃないかな?私も一人じゃ皆を支援できるか不安だし・・・」
何故かロアは俺を見ながら言った。こいつ気付いてるのかな?
「ロアがいいんだったら良いけどよ。」
「じゃあ、決まりだね。レイ君と言ったかな。君、うちのパーティーに入らないかい?」
何だろう、我が子が旅立っていく瞬間を見てる気がする。
「え、でも・・・いいんですか?」
「レイ。遠慮することは無いぜ。こいつらはお前を欲しがってる。俺もそれを願っていた。その為にお前を教えたようなもんだ。」
「えっと、じゃあ、よろしくお願いします。」
「レイ君よろしく。」
「やっぱりショウタ君が一枚噛んでた。」
「ロアにはヒントやってたもんな。」
「おい、さっきから理解しがたい言葉が飛んでるんだけど。答えやらヒントだとか、お前らのいつそんな話をしたんだ?」
「秘密♪」
ロアが口元に人差し指を立てて言った。
「はぁはぁ、ヤバイな。ホントに年を感じ始めやがった。」
ようやくまっさんの到着。
「だらだら自堕落な生活を送ってるからだ。ちょっとは外に出ろ。そんなんじゃ発掘調査が持たねぇぞ。」
「はぁ、体力作りしなくちゃな・・・祥太、困ったことがあったらいつでも来いよ。」
「ショウタさん。いつか僕、ショウタさんとパーティーを組めるように強くなります。だからそのときはよろしくお願いします。」
うん、泣きそう。
「そうだな、もし俺とパーティーを組めるくらい強くなったら王都に来い。もしかしたら会えるかもしれない。」
「ショウタが『紅目の死神』ならレイは『蒼目の天使』な。」
「なんかレイの方がかっこよくないか?」
なんか少し嫉妬するわ・・・
「え、ちょっと待ってくれ。王都で有名な『紅目の死神』って祥太だったのか!?でもこいつ紅魔族じゃないよな?」
「なんちゃって紅魔族ですよ。形式上そうなってるらしいです。」
「ショウタさんがあの有名な・・・」
なんかむず痒い・・・
「さて帰るわ。皆、今までありがとう。」
「ああ、僕達の方こそパーティーを組んでくれてありがとう。」
「俺らが居ないからって泣くんじゃねぇぞ。」
「泣くのはお前さんの方だろ。ショウタ、『スキルバインド』有効に使えよ。」
「ショウタ君。あまり雪那ちゃんをいじめないであげてね。」
「ショウタさん、僕に色々くれてありがとうございます。」
「祥太、俺の打った『レッド・エンジェル・オブ・デス』で魔王をぶっ倒してくれよ。」
『「「「「「「長い・・・」」」」」」』
雪那も含めて一斉に口にした。
「ほら、雪那も挨拶しろよ。」
「ぐすっ、皆さん今までありがどうございまじた。皆さんと過ごした時間を忘れません・・・」
多分一昨日のノーツより泣いてる。
「え、あの・・・今目の前で凄いことが起こったんですが・・・」
レイがポカンと口を開けて言った。
「説明はあの人たちに聞いてな。では、皆。さよなら!『テレポート』」
涙を目に浮かべながら紅魔の里に飛んだ。
王都で会ったエリス様。
どうかこの素晴らしい友人達に祝福を!
へーい、ねこたつむりである。
えーっと、少し遅れたのは理由がありまして・・・
まず絵を描いてましたねはい。
次にタブレットが不調子だったんです。
最後に丸四日ぐらいベットから動いてません。
これらの理由によりいつもより投稿が遅れました。
あ、どうでもいいですねはい。
主人公がいよいよ紅魔の里に帰ります!
紅魔組を待ち遠しにしてた皆さん。お待たせしました!(居たのかな?)
まぁ、ぶっちゃけ『爆焔』の時系列にショウタを乗っけるだけなんであまり大したことがない気もします。まぁ、書かないことには分かんないって感じです。何て言ったって僕は予想外の創造主ですから・・・
今回も予想外がありましたよ。『死神』やらレイ君やら魔石等々・・・
くそっ、一度も予定通りにいったことがない!
では、今回も読んでくださりありがとうございます。
次回も読んでくださるとありがたいです。