航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

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第95話~相棒、コレ本来なら君の仕事だよね!? (by ラリー)~

こうして僕視点で語るのも、結構久し振りだね。

と言う訳で、ガルム隊2番機、TACネーム"Pixy"こと、ラリー・トヴァルカインです。

 

さて、突然だけど、僕は今、何処で何をしていると思う?

ヒントは、第三者の視線から見れば羨ましいけど、実際は非常に気まずい事だ。

 

「ラリー様、久々の城のお風呂は如何ですか?」

「え、ええ………極楽……ですよ………?」

 

この会話で、一部の人は悟ってくれたと思う。

……………そう、"混浴"だ。

僕は今、クルゼレイ皇国宰相、クレアさんと共に入浴中なのだ。

 

2人で入るには広すぎる浴槽に浸かる僕の直ぐ隣に、クレアさんが寄り添って……………と言うより、密着している。

 

「そんなに縮こまっては、せっかくのお風呂を楽しめませんよ?もっとリラックスしてください」

 

優しい声音で言うクレアさんだが、そもそも僕がこうして縮こまってる原因が、彼女にあると言う事を自覚してもらいたい。

タオルも巻いていない、一糸纏わぬ姿で密着されたら、彼女の柔らかな肌が密着して、豊満な胸が僕の腕に押し付けられて卑猥にひしゃげる訳で……………

 

「(り、理性がヤバい…………)」

 

ぶっちゃけて言うと、クレアさんは美人だ。それも、"絶世の美女"とも言えるぐらいに。

おまけにスタイル抜群で優しく、落ち着いている。

お淑やかな雰囲気を纏い、包容力をも感じさせる。

そんな女性と混浴で、しかも一糸纏わぬ姿で密着されて平気で居られるか?いや、無理だろ。普通に考えて。

 

そんな訳で、僕は理性崩壊一歩手前の段階で、何とか踏み留まっているのだ。

頭の中では、理性と、男としての欲望が、相棒とのガチバトル並みの戦いを繰り広げている。

 

「(それにしても…………)」

 

内心そう呟き、僕は隣に居るクレアさんにチラリと視線を向ける。

視界に映るクレアさんは、風呂に浸かっていたために頬が上気していて、それが色気を醸し出している。

「ふぅ~………」

 

クレアさんは浴槽の壁に凭れ、気持ち良さそうに息をつく。

その仕草に一々色っぽさを感じ、つい見入ってしまう。

この人、色々な意味で僕を殺す気なのではないだろうか……………?

 

「あの、ラリー様………?」

 

なんて考えていると、クレアさんが話し掛けてくる。

 

「そんなにまじまじ見られると、その………恥ずかしいです…………」

 

そう言って、クレアさんは体を縮こまらせる。

上気していた頬をさらに赤くして俯いているのだが、チラチラと此方に視線を向けてくるのが………何と言うか、凄く可愛らしい。

 

「………あ、コレは失礼」

 

そんな感情を悟られないようにしながら謝り、クレアさんから視線を外す。

 

「「……………」」

 

それからは、気まずい沈黙が浴場に流れる。

何か話そうにも、彼女が乗ってくるような話題が見当たらない。

「(何か、何か良い案は無いのか……………!?)」

 

そう思い、僕は幾つかの案を頭に思い浮かべる。

 

 

1、告る

2、口説く

3、歌う

4、い た だ き ま す

 

 

「(………何この馬鹿げに馬鹿げた選択肢は?)」

 

どうやら僕の頭は、マトモな答えすら出せなくなる程に混乱してしまっているようだ。

てか、3番の"歌う"って何だよ?何歌えっての?

相棒から向こうの世界の曲を幾つか教えてもらったけど、それ此処で歌えってのか?無理だろ。

 

それから3番以外の選択肢は……………問答無用で却下だ。

そもそも、こんな事するのは僕には似合わない。こう言うのは相棒の仕事だろ。

てか、先ず1番の"告る"ってのが意味不明だし。

僕とクレアさんって今日会ったばかりだろ。そんなのに告られてOKなんて貰えるかっつーの。

 

まあ取り敢えず、何か打開策がある筈だ。

考えろ、考えるんだ。ラリー・トヴァルカイン!

 

「………フフッ」

「………………ん?」

 

不意に、横から小さな笑い声が聞こえてくる。

その声の主の方を向くと、クレアさんが口を手で軽く覆い、クスクス笑っていた。

 

「えっと………クレアさん……………?」

 

そんなクレアさんに、おずおずと声を掛けてみる。

僕に気づいたクレアさんは、ハッとした表情を浮かべた。

 

「ああ、すみません。悩んでいるラリー様が面白くて、つい」

 

笑っていた事がバレて恥ずかしいのか、微笑を残しながらも頬を赤く染めるクレアさん。

こう言う仕草を見ていると、狙ってやってるのではないかと思ってしまう。

 

「と、取り敢えず、さっさと体洗って上がりましょうか。あまり長居すると逆上せますし」

 

僕はそう言って、傍に置いていたタオルを腰に巻いて立ち上がり、体を洗うスペースに移動すると、備え付けの小さな椅子に腰掛ける。

そして、体を洗うためにソープが入った容器に手を伸ば…………

 

「お待ちください、ラリー様」

 

…………そうとしたところで、クレアさんに呼び止められる。

 

「何ですか?」

 

そう聞き返すと、クレアさんはタオルで前を隠しながら浴槽から出てくると、僕の方へと歩み寄ってくる。

その意図が分からず首を傾げる僕を他所に、僕の背後にやって来たクレアさんは、容器を取ってソープを手につける。

 

「あのぉ~、クレアさん?まさかとは思うけど…………」

 

そう言う僕に、クレアさんは妖艶な笑みを向ける。

 

「お身体、私が洗いますね」

「(やっぱり、そう来ましたか………)」

 

予想通りの返答に、僕は内心そう呟いた。

そうしてクレアさんは、僕の返事も聞かず、鼻歌を歌いながら僕の背中に泡を塗り広げていく。

 

「(それにしても、女性と風呂に入って、その上体を洗ってもらうなんて………幼い頃に、母さんと一緒に入って以来だな………)」

 

内心そう呟いていると、クレアさんが小さく笑う。

 

「ラリー様、男性にしては随分と細いのですね。女である私からすれば、羨ましい体型です」

 

僕の腕や胸、腰にも泡を広げながら、クレアさんはそう言った。

 

「まあ僕としては、もう少しガッチリした体型の方が良かったんですけどね………何か、頼りないと言うか」

「そんな事はありませんわ。ラリー様は、十分頼もしいお方です」

 

そう言うと、クレアさんは背中に体を押し付けてきた。

 

「………………ッ!?」

 

クレアさんが密着してきた事により、背中に感じる柔らかな感触と、ごく一部に感じる固い感触……………

それらが何なのかを瞬時に理解してしまい、顔が熱くなる。

そんな僕の事など気にも留めず、クレアさんは口を開いた。

「確かにラリー様は、男性にしては細い体つきをしています。でも、それが"頼りない"と評される理由にはなりません」

 

そう言って、クレアさんは抱きつく力を強める。

それにより、彼女の豊満な胸が卑猥にひしゃげているのが想像出来る。

 

「自覚していないのかもしれませんが……………貴方は、とても魅力的な方です」

 

何処にその根拠があるのかは分からないが、取り敢えず話を聞く。

「レベルがヒューマン族の比ではない程高いと言うのもあるでしょうが、それだけではありません。レベルが高いだけの人間など、其処らに幾らでも居ますから」

 

確かにその通りだ。力があるだけの人間なんて、腐る程居る。

アルディアの3人と相棒のデートを邪魔したラミーって連中も、それなりに高いレベルだったと相棒から聞いたし、エリージュ王国の騎士や勇者共も、力だけ見ればエリージュ王国トップレベルだからね。

 

「ですが…………」

 

そう言って、一旦区切ってから、クレアさんは改めて口を開く。

 

「貴方から感じるのは、力だけではありません。その膨大な力を正しく使える度量や、人望。そして、数々の困難を乗り越えてきたと言う貫禄が、感じられるのです」

 

大袈裟ではないかと言えるような称賛の嵐に、僕は戸惑う。

学生の頃だって、こんなに言われた事は無かった。

 

「そして、何よりも私を惹き付けるのが……………」

 

そう言うと、クレアさんは一旦背中から離れると、僕の隣に移動する。

そして、僕の頬に両手を添えて彼女の方へと向かせる。

 

「その目です」

「………"目"?」

 

思わず自分の目を指差して聞き返す僕に、クレアさんは頷いた。

 

「一切の穢れが無く、真っ直ぐな目……………それに、私は強く惹かれています………この胸の鼓動が、抑えきれなくなる程に………」

「………………」

 

頬を赤く染め、潤んだ瞳で見つめながら、その豊満な胸に両手を添えて言うクレアさん。

 

一応褒められてるんだろうけど、僕としては、別に珍しくも何ともない、普通の緑色の目なんだけどなぁ…………

まあ、取り敢えず………

 

「お褒めに預かり、光栄です」

 

褒められてるんだから、お礼を言っておく。

それからクレアさんはクスッと微笑み、再び僕の背後へと移動した。

そして、僕の体を洗う手を再び動かす……………

 

 

 

……………と、僕はそう思っていたのだが、それが甘かった。

 

 

「……………んっ」

「ッ!?」

 

あろうことか、クレアさんは再び抱きついてきたのだ。

 

「ちょ、ちょっとクレアさん!何してるんですか!?」

 

声がよく響く浴場なのも気にせず、僕は声を張り上げる。

 

「何って…………そんなの、決まってるじゃ、ないですか……んくっ……お身体を、洗って………差し上げているのです………」

「いやいや!背中洗うならタオルとか使えば良いじゃないですか!?」

 

そう言って、傍らに放置されているクレアさんのタオルを指差す僕だが、彼女は首を横に振るばかりだ。

 

「お疲れの殿方を……んあっ………癒す、なら……………こうして、私自身の、体で………あんっ!……洗って、差し上げた方が良いと、言われて……ああっ!」

「おい、誰だ!この人にこんな支離滅裂な事教えた奴は!?」

 

僕とクレアさん以外には誰も居ないのに、僕は思わず叫んでしまう。

 

「てか、仮にそれが本当だとしても、こう言うのは誰にでもやるモンじゃないでしょ!好きな人にやってください!」

 

そう言い放ってやると、クレアさんの動きが止まる。

 

「あら、それなら問題ありませんわ」

 

その言葉に、僕は首を傾げる。

「………どういう事ですか?」

 

そう聞き返すと、クレアさんはまた、僕の隣に移動する。

そして、僕の首の後ろに両腕を回してしなだれ掛かり、胸を押し付けて口を開いた。

「こう言う事です……………んうっ」

「ッ!?」

 

そうして、クレアさんは唇を僕の口に押し付けた。

何と、キスを始めたのだ。

 

「んっ、んん………くちゅ………んはぁ………んっ、ちゅる………」

 

しかも、強引に舌を捩じ込んでくる、深いキス……………

彼女の突拍子も無い行動に、脳内処理がついていかない。

 

僕が混乱している間にも、この浴場には、僕の胸に泡まみれになった彼女の豊満な胸が擦り付けられる事による泡の音や、キスの淫靡な音が響き渡る。

 

「んんっ………んあっ。んふっ、んっ………ちゅぱぁ………あぁ……」

 

長く、濃厚なキスを終え、漸くクレアさんの唇が離れる。

 

「はぁ、はぁ………ラリー様…………」

 

恍惚とした表情を浮かべ、熱を帯びた視線を向けて、クレアさんが僕の名を呼ぶ。

 

「初めて会った時から、ずっと…………お慕い、しておりました…………」

 

そう言って、クレアさんは僕の胸に顔を埋める。

 

「どうか、私を………貴方の女に、してください……………」

 

熱に浮かされているのか、トンでもない事を宣うクレアさん。

 

いやいや、ちょっと待とう。一旦落ち着くんだ、ラリー・トヴァルカイン。

さっきの言葉からすると、つまり彼女は、僕に一目惚れしたって事になる。

この混浴も、僕の気を引こうとしたものなのかもしれない…………いや、ほぼ確実にそうだろう。

でも、だからっていきなり過激なスキンシップは無理があるだろ。

相棒すら、最初からこんなアプローチはされていなかった筈だ。

それに、どうして僕なんだ?

穢れが無くて真っ直ぐな瞳を持つ男が好きなら、相棒も対象になる筈なのに、何故、僕が選ばれた?

 

それに『ずっと』とか言ってたけど、僕とクレアさんは今日会ったばかりだ。

会った時から今までの間に、彼女が僕に惚れるような場面なんて無かった筈。

なら、何故……………?

 

頭をフル回転させても、全く思いつかない。

 

「……………きゅう」

 

クレアさんの突拍子も無い行動や、いきなりの告白、そして様々な疑問の嵐によって、遂に脳がパンクしたようで、僕は情けない声と共に意識を失った。

 

 

 

 

 

 

ねえ、相棒………コレ、本来なら君の仕事だよね……………?




最近、戦闘機要素が少なくなってきた本作ですが、その分、魔人族コンビによる威力偵察の際には盛大に大暴れしてもらうのでご安心を。
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