航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

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第102話~堕ちる勇者と、出される提案~

魔人族幹部であるセレーネとゲルブからの誘いを正義が蹴った事によって起こった、王都前での戦い。

2人が差し向けた魔物も勇者と騎士団の活躍によって全滅し、ヒューマン族の勝利を確信したのも束の間、慎也の行いに怒ったセレーネによる報復攻撃が始まり、勇者と騎士団はダメージを負わされた上に、セレーネが使った催淫魔法、"淫靡の霧"によって、全員が戦闘不能に追い込まれてしまう。

しかも、それは霧を吸い込んだ相手を発情させると言うトンでもない効果を持っており、耐性を持たない勇者達は、守るべき王都住人と、敵である2人の魔人族の目の前で痴態を晒す事になるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そ、そんな………嘘、だろ…………」

「……騎士団と……勇者様が………」

「ぜ………全、滅…………?」

「や、やだ………なんで…………」

 

倒れ伏す勇者達を目の当たりにした民衆は、考えもしなかった結末に立ち尽くす。

多くの者の顔が青ざめており、中には失神する者も居た。

絶望に染まった表情を浮かべる彼等を無視して、セレーネは勇者達を見下ろしていた。

 

「(それにしても、拍子抜けもいいところよ。こんな簡単にやられるなんて…………正直ガッカリしたわ)」

 

セレーネは内心そう呟いた。

 

「(まあ、訓練も城の訓練場やその辺の迷宮で済ませてただけの連中だから、こうなるのも当然と言ったら当然だけど)」

 

魔法で姿や身分を変えて王宮にメイドとして仕え、勇者召喚後は神影の専属メイドとして、神影のF組離脱後は他のメイドの補佐をしながら勇者達の訓練の様子を見ていたセレーネからすれば、舐められているのではないかとすら思えていた。

それこそ先程、不覚を取って慎也に追い詰められ、危うく彼の玩具にされそうになったのが恥ずかしく思えてくる程に。

 

「やれやれ、ヒューマン族の希望である勇者ともあろう者が……………この国の騎士共々情けないわね。まさか、全員行動不能になるなんて」

 

地面に倒れ伏し、全身を駆け巡る快楽に身悶えする勇者達に向けて、セレーネはそう言い放つ。

彼女にとって今の勇者達は、最早"発情した雄と雌"でしかなかった。

元からあまり高くなかった勇者達への敬意が、一気に最底辺まで落ちた瞬間だった。

 

「ねえねえ、守るべき人々の前で……………それも、敵が見ている状態で発情させられるのって、どんな気分かしら?」

 

勇者達に訊ねるセレーネの表情には、まるで死体蹴りをするゲームプレイヤーのように歪な笑みが浮かんでいた。

 

当然ながら、勇者達は答えられない。

先程は、辛うじて正義がセレーネに問い掛けていたが、今では催淫効果が体の隅々に染み渡り、喋る事すらままならない状態だった。

 

「ホラホラ、誰か答えないよ。寂しいじゃない」

 

セレーネが無理難題を突きつける。

 

「まあ良いわ。此方は貴方達の凌辱ショーで楽しませてもらうから」

 

そう言うと、セレーネは指を鳴らす。

すると、結界内に魔法陣が現れ、サキュバスやラミア、アラクネと言った女性型の魔物が何十体も出てきた。

 

「(そ、そんな…………嘘でしょ………さっきので全てじゃ、なかったと言うの………!?)」

 

まさかの新手の登場に、奏では豊満な体を抱き締めて喘ぎながら、内心そう呟いた。

 

「さて、先ずは………」

 

セレーネはそう言いかけて、倒れている勇者達を見回す。

「コイツ等にしましょうか」

 

目標(ターゲット)を決めたのか、セレーネは早速指示を出した。

 

「さあ、貴女達!その辺で転がってる男共を骨抜きにしてやりなさい!」

 

すると、魔物達は一斉に走り出し、男性陣に襲い掛かる。

 

淫靡の霧の中に解き放たれた女性型の魔物がやる事など、この場では言うまでもないだろう。

抵抗しようとする男性陣だが、催淫によってロクに動けない状態で魔物に対抗出来る筈が無く、瞬く間に、魔物の波に飲み込まれていった。

 

「そ、そんな…………」

 

目の前で広がる光景に、シロナは言葉を失う。

 

その光景を結界の外から見ていた民衆は、最初こそ、勇者や騎士団が催淫に臆さず立ち上がり、再び戦ってくれる事を信じていたのだが、それが見られず、次第に視線に冷たさが含まれるようになっていった。

 

「き、騎士団が……魔物と、あんな事を…………」

「それに、勇者様まで…………」

「ふ、不潔よ…………!」

「あんなのが………ヒューマン族の、希望だと言うの……………!?」

 

両手で口を覆った女性陣の視線は、汚物を見るような目に変わっていった。

 

「ふ、ふざけんなよ……………勇者召喚する時って俺等、スッゲー大金払わされたんだぜ?税率がドンだけ跳ね上がったか……」

「そ、そうだよ。なのに、魔物に良いようにされるとか……」

「此方は何時、魔物に襲われるのかも分からねぇんだぞ………ッ!」

 

男性陣からもそんな声が上がり、ゲルブも嫌悪感を覚えたのか、表情をしかめていた。

 

「クソッ!もうこんなの見てられるか!俺は逃げるぞ!」

「わ、私も!」

 

そうして、勇者達を見ていた王都住人は、避難場所として開放されているであろう王宮へと走っていった。

 

「(うっげぇ~…………こりゃ何と言うか、見るに耐えんな…………マジ気持ち悪い…………)」

 

そんな彼等の事など気にも留めないゲルブがそう思っている中、F組女子生徒達は自分達にも訪れかねない未来を予想して顔を青ざめさせていた。

泣き喚く者、友人と抱き合って恐怖に震える者、もう駄目だと諦める者……………色々な意味での阿鼻驚嘆の地獄絵図が出来上がっていた。

 

「さて、次は女の子達にもやってあげましょうかねぇ…………」

『『『『『『『ヒッ!?』』』』』』』

 

セレーネの金色の瞳が女子生徒達の方へと向けられ、彼女等は震え上がる。

 

「(おいおいおい、もう陵辱シーン見せるのは勘弁してくれよ。気まずいったらないっつーの)」

 

流石に耐えかねたのか、ゲルブは待ったを掛ける事にした。

 

「なあ、セレーネ。もう、その辺りで良くねぇか?」

 

そう言うと、セレーネは他の魔物を召喚しようとしていた手を止めてゲルブの方を向いた。

 

「何を言うのよゲルブ?私としては、未だ全然足りないんだけど?」

 

どうやら1度スイッチが入ればとことんやるタイプらしく、セレーネは止めようとしない。

 

「気持ちは分かるが、そうも言ってらんねぇだろ。俺等のもう1つの目的、忘れたのか?」

「……………ッ!」

 

ゲルブにそう言われ、セレーネはハッとした表情を浮かべた。

 

「そ、そうだったわね…………ごめんなさい、少し自分を見失っていたわ」

 

『"少し"どころか盛大に見失ってたろ』と言いたくなるのを、ゲルブは何とか堪えた。

 

「まあ取り敢えず、彼処の魔物を全部撤退させて、それから霧も消せ。次の段階に移る」

「ええ」

 

セレーネは頷き、男性陣を襲っていた魔物に指示を出し、再び展開した魔法陣へと戻らせた後、淫靡の霧を消した。

それと共に催淫効果も段々と薄くなっていき、勇者と騎士団は、乱れた衣類や呼吸を整えていた。

 

「やれやれ…………お前、スイッチ入ったからってやり過ぎだろ………」

 

そう言って、ゲルブは呼吸を整えている勇者達の方を向いた。

未だ息が乱れている上に、衣類もはだけている者が多かった。

 

「………………」

 

それを見たセレーネは、気まずそうに肩を竦めた。

 

「まあ、過ぎちまった事についてとやかく言っても仕方ねぇけどさ………それに、お前が怒った理由も、トンでもねぇものだったんだし」

 

そう言葉を続け、ゲルブは結界へと近づいた。

 

「(取り敢えず、彼奴等がミカゲ・コダイを呼ばなければならなくなるように上手く誘導しないとな……………しっかし、こう言う話し合いっぽいの、苦手なんだけどなぁ…………)」

 

そんな事を思いながら結界の直ぐ前に到着したゲルブは、未だ結界の中に閉じ込められている勇者達に話し掛けた。

 

「よお、中々に大変だったようだな」

 

そう話し掛けると、全員から鋭い眼差しが向けられる。

「あの催淫状態から解放されて早々悪いが、未だ戦いは終わってないんだよ…………どっかの騎士が言ってたみたいにな」

 

そう言って、騎士団の方へチラリと目を向けるゲルブ。

心当たりがあるのか、数人の騎士が気まずそうに目を逸らした。

 

「それに此方には、未だ手下の魔物が居るんだよ」

『『『『『『『『ッ!?』』』』』』』』

 

ゲルブの言葉に、一行は目を見開いた。

「それに、さっきは大して参加しなかったが、今度は本格的に参戦するつもりだ」

「ッ!そ、そんな…………」

 

ゲルブの言葉にシロナが狼狽え、他の生徒達も動揺を見せた。

自分達は、先程の戦いで酷く疲労している上に、セレーネの"淫靡の霧"によって、精神的にも深いダメージを負っている。

そんな状態で、再び魔物の群れを差し向けられる上に、今度は魔人族幹部の2人が本格参戦すると言う始末。

自分達が全滅するのは、最早分かりきった事だった。

 

「だがな」

 

其処で、ゲルブが口を開く。

 

「ああも簡単にブッ倒れるような連中とやるのも面白くない……………其処で1つ提案なんだが…………」

 

そう言って、ゲルブはニヤリと笑みを浮かべた。

 

「お前等の中で1人だけ解放してやるから、ソイツに助けを呼びに行かせると言うのはどうだ?少しはマシな戦いが出来るかもよ?そう、例えば……………ミカゲ・コダイが率いるガルムだな。俺は彼奴等を呼ぶ事をお勧めするぜ」

 

ゲルブはそう言った。

 

それは、神影達ガルム隊との接触を望んでいるグラディスの頼みを叶えるために考えた、彼の計画だった。

 

「(この計画に連中が乗ってきたら、取り敢えずガルムの連中とそれなりに戦って、後はグラディス様がタイミング良く出てきてくだされば、全て解決…………良し、コレなら行けるぞ!)」

 

内心ガッツポーズを決めるゲルブだが、それに水を差す輩と言うのは何処にでも居るもので……………

 

「ふざけるな!」

 

調子を取り戻した正義が立ち上がり、怒鳴った。

 

「さっきから黙って聞いていれば、訳の分からない事をペラペラと………それに、さっきは不覚を取ったが、あの魔法を消したのが運の尽きだ!古代なんて呼ばなくても、お前達の相手は俺達だけで十b……「ふざけるんじゃないわよ馬鹿!」…………あぶっ!?」

 

正義の言葉を遮るようにして真っ正面に現れた奏が、平手打ちを喰らわせた。

 

「訳の分からない事をペラペラ言ってるのはアンタよ!後先考えず勝手に全部1人で決めて!それでアンタ、何かあったら責任取れるの!?私達だけで戦って負けでもしたら、どうしてくれるって言うのよ!?」

 

何時ものクールビューティーな雰囲気などかなぐり捨てた奏は、正義の胸倉を掴んで叫んだ。

 

「でも奏、古代はこの国に協力する事を拒んでいたんだろう?今回の事を彼奴に話したって意味は無い。それに、そもそも彼奴が何処に居るのかも分からないんだ。仮に古代に助けを求めるにしても、居場所が分からなければ意味が………」

「彼の居場所なら知ってるわよ!ルージュよ、ルージュ!」

 

奏が声を張り上げる。

 

「(何か、まぁ~たこの勇者君のせいで話が面倒な方向に進みそうだな……………やれやれ、せっかく上手くいきそうだったのに、一々水差さないでくれよなぁ~…………)」

 

何とも言えない表情で2人のやり取りを見ていたゲルブは、溜め息をついた。

 

「あ~、ちょっと良いか?」

 

直ぐには決まらないだろうと悟ったゲルブは、おずおずと話し掛けた。

 

「取り敢えずその辺に居るから、決まったら教えてくれ」

「え、ええ………」

 

呆れの眼差しを向けながら言うゲルブに、奏は頷いた。

 

それから、見るからに疲れた様子でセレーネの元へ戻っていくゲルブの後ろ姿は、本当に敵なのか疑問に感じてしまう程のものだったのは余談である。

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