航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

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試行錯誤の末、やっと書けた……………


第117話~魔神の目覚めと、謎の女性~

ラリーを包んでいた禍々しいオーラの塊が大きな音を立てて弾けると、強烈な衝撃波が巻き起こった。

吹き荒れる強風が砂埃を伴い、ブルーム達に襲い掛かる。

彼等は口を固く閉ざして目を固く瞑り、目や鼻を両腕で覆った。

 

「(クソッ、何て強烈な衝撃波だ……………ッ!)」

 

吹っ飛ばされないように踏ん張りながら、ブルームは内心悪態をついた。

隣に居るドロワットも辛うじて踏ん張っているが、数人の騎士は耐えきれずに吹っ飛ばされたり、仰向けに倒れたりしている。

彼等が乗ってきた馬は言うまでもなく吹っ飛ばされており、立ち上がろうと必死に脚をバタバタ動かしてもがいているが、中には打ち所が悪かったのか、そのまま動かなくなる馬もあった。

 

それから暫くすると、漸く衝撃波が収まり、ブルームやドロワットは恐る恐る腕を退け、吹っ飛ばされた騎士達もゆっくりと起き上がった。

 

「………やっと、収まったみたいだな……」

「ええ、そのようね…………」

 

ブルームが呟くと、ドロワットが答えた。

それから2人は、近づいてきた他の騎士達の無事を確認すると、再びラリーの方へと顔を向け……………

 

「なっ……!?」

「あ、あれは…………!?」

『『『『ッ!?』』』』

 

……………驚きのあまりに目を見開いた。

 

彼等の視線の先には、禍々しいオーラを纏ったラリーが目を瞑った状態で立っていた。

 

「……………………」

 

無言で佇むラリーは、先程までとは姿が若干変わっていた。

 

彼の両耳は長さをそのままに、先端が若干尖っており、手の甲や腕、頬にはライン状の赤い紋様が浮かび上がっていた。

 

「な、何なんだ………あれは………?」

 

驚きのあまりに硬直するブルーム達を他所に、ラリーはゆっくりと目を開けた。

普段の優しげな雰囲気を感じさせるエメラルドグリーンの瞳は、鮮血のような赤に染まっていた。

 

「(何だ?この溢れるような力は…………?それに、この手や腕の紋様も……)」

 

どうやら、この変化には本人も戸惑っているらしく、手の甲や腕を見ている。

 

「そうだ、こう言う時こそ…………」

 

そう小さく呟き、ラリーは自分のステータスを開いた。

 

 

 

名前:ラリー・トヴァルカイン

種族:半人半魔(ハーフ・デーモン)(魔神)

年齢:19歳

性別:男

称号:追いやられし者、片羽の妖精(Solo Wing Pixy)伝説となりし魔術師(レジェンダリー・ウィザード)、人の域を破りし者、自重知らず、狼殺し、人型兵器、人間失格、人の皮を被った化物、魔術の鬼、最後の魔神

天職:航空傭兵

レベル:355

体力:100000

筋力:98000

防御:99500

魔力:1000000

魔耐:1030000

敏捷性:120000

特殊能力:詠唱破棄、全属性適性、魔力感知、空中戦闘技能、僚機念話、魅了・催淫無効化、錬成『アレスティング・ワイヤー』、錬成『カタパルト』、拡声、アルコール耐性、気配察知、魔法威力増加(マジック・ブースト)制限解除(リミット・ブレイク)、鑑定

 

 

 

 

 

 

「…………What the hell is this?(何だこりゃ?)」

 

其処に記されていたのは、ヒューマン族としては考えられないようなステータスだった。

あまりにも高いステータスに、ラリーは盛大に表情をひきつらせた。

 

特に彼が驚いたのは、自分の種族だった。

 

「僕が、半人半魔…………………それも、大昔に滅んだ筈の魔神って…………ッ!?」

 

ラリーがそう呟いた瞬間、彼を頭痛が襲った。

表情をしかめ、両手で頭を押さえる彼の脳裏に、様々な記憶が流れてくる。

 

「………グラディス、おじさん……」

 

ラリーはポツリと、グラディスの名を呟いた。

 

「そうだ…………なんで、今まで忘れていたんだ………あの人の事を…………」

 

ラリーはそう呟いた。

 

「お、おい!貴様!」

 

すると、前方から何やら怒鳴り声が聞こえた。

ラリーが顔を上げると、其所にはブルーム達の姿があった。

 

「先程から、何をごちゃごちゃと訳の分からない事を呟いている!?それに、その変な姿は何だ!?説明しろ!」

 

鋭い目で睨み、ラリーの身に起きた変化について説明するように命令するブルーム。

そんな彼を、ラリーは冷たい目で見返した。

 

「答えるつもりは無いね。僕にメリットが無いし、そもそも言う義理も無い」

 

その返答を受けて青筋を立てるブルームだが、ドロワットが口を開いた。

 

「私達は、説明するかしないかを聞いているのではないわ。『説明しろ』と言っているのよ」

 

どうやら彼女等は、"説明する"以外の選択肢を与えるつもりは無いらしい。

 

「だからどうした?」

 

だが、ラリーの態度は変わらなかった。

 

「そのように言えば、僕が大人しく話すとでも思っているのかい?だとしたら大間違いだよ。何を言われたって説明する気は無い。君達に、そんな価値は無い」

「何だと!?」

 

すると、1人の騎士が顔を真っ赤にして怒鳴った。

 

「さっきから黙って聞いてりゃ言いたい放題しやがって!」

 

その騎士は剣を抜くと、ラリー目掛けて走り出した。

 

「……………………」

 

だが、ラリーはその騎士を正面から見据えたまま微動だにしない。

その騎士が、自分に斬り伏せられるラリーの姿を想像してニヤリと笑みを浮かべた時……………

 

「…………吹っ飛べ」

 

ラリーが、彼の足元を指差してそう言った。

すると、騎士の足元に小さな魔法陣が現れ、次の瞬間には爆発し、砂埃を巻き上げた。

 

「ぐぁぁああああぁぁぁっ!?」

 

そして、苦悶に満ちた悲鳴を上げた騎士が、砂埃の中から放り出され、鎧の破片を撒き散らしながら宙を舞い、仰向けにグシャリと叩きつけられた。

 

「お、おい!大丈夫か!?」

 

仲間の騎士の1人が、慌てて駆け寄る。

 

「あ、足が……ゲホッゴホッ!………お、俺の……足、がぁぁ…………」

「ッ!?こ、コレは……………」

 

煤まみれになって咳き込む騎士は、両足を失っていた。

右は付け根から、左は膝から下が消えており、爆発によって失われた部分が、まるで乱暴に引きちぎられたような痛々しさを見せている。

断面から血が流れ出ており、何ともグロテスクな状態になっていた。

 

「クソッ、何て事だ………………………おい、取り敢えずコイツを王都に連れて………ッ!」

 

重傷を負わされた騎士を連れて王都に戻るように言おうとしたブルームだが、肝心の馬が1頭も居なかった。

おまけに、神影の遺体を積むために持ってきた荷車も、先程の衝撃波で吹っ飛ばされた事によって壊れている。

 

「……………………」

 

それを暫く無言で見ていたラリーは、魔法でその騎士を浮かび上がらせると、断面から地面に叩きつけた。

 

「あがぁぁああああっっ!?」

 

騎士が表情を苦痛に歪める。

 

「おい、ラリー!コレは何の真似だ!?今直ぐ止めろ!」

 

他の騎士がそう言った。

 

「つーか、お前確か魔術師だったよな!?なら、さっさとコイツに治療魔法掛けて傷口を塞げ!それぐらいなら出来るんだろ!?」

「ああ、勿論出来るよ?その気になれば、欠損部分を元通りにする事だって出来る」

 

ラリーはそう言った。

「でも、ソイツは放置するよ?」

「なっ、なんでだよ!?」

 

狼狽した様子で言う騎士に、ラリーが呆れたように溜め息をついた。

 

「あのねぇ、散々"没落魔術師"だの"落ちこぼれ"だの罵ってきた相手を、態々助けると思う?僕、其処までお人好しじゃないんだけど」

「で、でも。コイツはお前がやったんだろ?なら…………」

「『責任取って治せ』とでも言いたいのかい?」

 

その問いに、騎士は頷いた。

 

「じゃあ聞くけど………………君は、君を殺そうとした敵を叩きのめして重傷を負わせた時、その敵を態々助けるのかい?」

「…………………」

 

ラリーの質問に、騎士は答えられなかった。

 

「それと同じだよ」

 

そう言って、ラリーは鋭い目を向けた。

 

「君達が何もしてこないなら、僕だって何もしない。する価値も無い。でも、君達の方から何か仕掛けてくると言うのなら……………」

 

そう言うと、ラリーは少しの間を開けてから再び口を開いた。

 

「君達を"敵"と見なして殺す」

『『『『『ッ!』』』』』

 

そう言われたブルーム達は、表情を強張らせながらも剣を抜き、ラリーに向けて臨戦態勢を取った。

 

「でも………」

『『『『『…………?』』』』』

「今の君達には、殺す価値すら無いんだよね。僕の第2の故郷を、君達の汚い血で汚す訳にはいかないし」

「何だとぉ!?」

 

ラリーの言葉に、ブルームが激怒する。

ドロワットや他の騎士達も、同様の反応を見せていた。

 

だが、ラリーは彼等の反応など全く気にしなかった。

 

「適当に始末して、王宮に落っことしてやるよ……………まあ、取り敢えず数人には……………………死んでもらうけどね」

 

そう言うと、ラリーの赤い瞳がギラリと光った。

駆け出そうと構えている両足が、地面に若干めり込む。

そしてラリーが飛び出そうとした、その時だった。

 

「………………ん?」

 

突然、ラリーが力を抜いて上を見る。

その行動を疑問に思ったブルーム達は顔を見合わせ、ラリーにつられるように上を向いた。

 

彼等は、小さく光る何かが物凄い勢いで落ちてくるのを目にした。

 

「……………何あれ?」

 

ラリーがそう呟いた次の瞬間には、謎の落下物は急激に速度を上げ、ラリーとブルーム達の間に落ちた。

轟音が響き渡ると共に、突風が砂埃を纏って彼等に襲い掛かる。

ブルーム達は、先程のように腕を交差させて顔を覆い、ラリーは防御魔法で砂埃から身を守った。

 

少しして突風が止み、巻き上げられた砂がサラサラと落ちる。

そして、その中から1人の女性が現れた。

 

紫色の髪をポニーテールに纏め、つり目に赤い瞳を持ち、深緑のパイロットスーツらしき服に身を包み、凛とした雰囲気を醸し出している、整ったスタイルを持つ美女だった。

 

そして、その女性は大きく伸びをして、辺りを見回しながら口を開いた。

 

「あ~、此処に来るのも久し振りだな……………それにしても彼奴、何時の間に落としたんだ?いや、そもそも落とすんじゃねぇよって話だが」

 

男性口調でそう呟いた女性は、呆然とするラリーを視界に捉える。

 

「まあ、今はどうでも良いか」

嬉しそうに笑みを浮かべてそう言うと、彼女は右手を軽く上げてこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Yo,buddy.You still alive?(よう相棒、未だ生きてるか?)」

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