航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

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第129話~暗殺者は敵を狩り、ワルキューレは死を撒き散らす~

沙那達4人が牢屋に閉じ込められている頃、神影とアリステラは砦近くの上空に来ていた。

 

「さて、一旦降りるか」

 

アリステラを抱いている神影は、空中に居る状態でアパッチを解除して落下する。

だが、そのまま落ちて生い茂る木に串刺しになるような神影ではなく、機体を解除する際に勢いをつけていたのもあり、砦の前の地面に降り立った。

いきなりの落下だが、神影との空中散歩で慣れているアリステラは、この間に悲鳴1つ上げなかった。

 

「アリさん、着きましたよ」

「うん、ご苦労様…………………それにしても、相変わらず無茶な降り方するよね、ミー君は。まあ、今に始まった事じゃないけど」

 

地面に下ろされたアリステラがそう言った。

 

「仕方無いですよ。だってアリさん抱いてたら、コレ撃てませんからね」

 

そう言って、神影は右腕に装着されている30㎜機関砲、M230A1を見せる。

 

「成る程、そう言う考えをしてきますか…………………まあ、正論なんだけどね」

 

そう言って、アリステラは目の前に聳え立つ巨大な門を見据えた。

 

「あの中に、カナデちゃん達が囚われているんだね…………」

「…………………」

 

そう呟いたアリステラに、神影は無言で頷いた。

 

「それでアリさん、俺は連中をブッ殺しに行きますが……………アンタはどうしますか?何なら、どっか安全な所で待ってても良いですけど」

 

神影がそう言うと、アリステラは人差し指を立てて左右に振った。

 

「おいおい、ミー君。まさか君が戦ってる間、私だけ安全地帯で高見の見物をしてろとでも言うつもりかい?」

 

アリステラはそう言った。

 

「コレでも私はレベル100だし、天職は"暗殺者"からね。気配を消すのはお手の物だし、姿だって消せる。現役の頃は結構ブイブイ言わせてたんだ。それなりに君の役に立てると自負してるよ?」

 

何処からともなく短剣を取り出して軽く振り回し、アリステラはそう言った。

それから上着を翻すと、腰に数本のナイフを備えているのが見えた。

 

「ほぉ~う…………」

 

彼女の意外な一面に、神影は感嘆の息を漏らす。

 

「(前々から神出鬼没な人だと思ってたが……………成る程、そう言う事だったんだな)」

 

内心そう呟くと、神影は頷いた。

 

「分かりました…………それじゃあアリさん、手を貸してください」

「フフッ…………その言葉を待ってたよ、ミー君」

 

神影の言葉に、アリステラは不敵な笑みを浮かべる。

 

「それじゃあ、俺は先にアパッチで乗り込んで暴れますので、アリさんはその辺の奴を潰しながら、天野達の方に行ってください」

「了解」

 

神影から作戦を伝えられたアリステラは、短剣を構えて言った。

 

「それじゃあ…………始めますか」

 

そう言うと、神影は再びアパッチを展開してエンジンを始動させると、そのまま一気に出力を上げて離陸すると、砦に向けてロケット弾を撃ち出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、牢屋に閉じ込められている奏達に、運命の時が訪れた。

 

「総大将、コイツ等が今日の獲物です。何と、あの噂の勇者ですぜ?」

 

ディオンや他の男数人に連れられてやって来た1人の男が、奏達が居る牢屋の前に立った。

若干色の濃い肌を持ち、右の眉に刻まれた傷跡や服の上からでも分かる引き締まった筋肉から、それなりに戦いの経験がある者だと見られる男だった。

 

「ほぉ~う……………まさか、砦を完成させて早々、こんな獲物が手に入るとは思わなかったな………んで、コイツ等を俺が最初にヤるのか」

 

奏達を舐め回すように見ながら、総大将と呼ばれた男はそう言った。

そして、改めて彼女等を真っ直ぐ見て名乗る。

 

「我等、蛇の尾の砦にようこそ、異世界の勇者達。俺の名はロバート。コイツ等の長をやってる者だ」

「さっきも言ったけど、アンタ等の名前なんてどうでも良いわよ!」

 

奏が真っ向から食って掛かった。

 

「おやおや、こんな状態なのに随分と元気だな……………まあ、この宴会が終わる頃には、その強気な表情が発情しきった雌の表情に変わるだろうな……………」

 

そう言うと、ロバートはディオン達に視線で合図した。

 

「へい!」

 

その意図を理解したディオン達は、牢屋を開けて中に入ると、足を縛っているロープと、手と天井を繋いでいるロープを切ると、奏達を外に連れ出す。

 

「ッ!ちょっと、触らないでよ!」

「い、嫌!離して!」

 

沙那と桜花が抵抗し、男の1人を体当たりで弾き飛ばした。

 

「このクソアマ!騒ぐんじゃねぇよ!」

 

それに怒った別の男が、2人に電撃魔法を放つ。

 

「「~~~~~~ッ!?」」

「天野さん!雪倉さん!」

 

電撃を受け、声にならない悲鳴を上げながら痙攣する2人に、シロナが叫んだ。

 

「こうなりたくなければ、大人しくついてくるんだな。特に、そっちの嬢ちゃんは」

「くっ……………!」

 

暗に自分の事を言われていると悟った奏は、悔しそうに歯軋りした。

その後、男に連れられて蓙の上に胡座をかいて座る男達の前移動させられる4人。

彼女等が歩みを進める度に、彼女等の豊満な胸がユサユサと揺れる。

それを見た男達は歓声を上げ、4人は羞恥のあまりに頬を赤らめた。

 

そして遂に、彼女等は男達の前に立たされた。

 

「うひょ~!こうして見ると、コイツ等マジでエロい体してるよな!」

「ああ、全くだ!」

「全員揃いも揃って巨乳とか、何のご褒美だって話だよな!」

「こんな奴等を手に入れられるなんて、今日の俺等、超ツイてるんじゃねぇのか?」

「俺、一生分の運使い果たしたような気がするぜ」

「くぅ~~ッ!早くヤりてぇなあ!」

「あの銀髪の嬢ちゃん、強気な態度で、その上4人の中で一番エロい体してんじゃねぇか 」

「彼奴は犯し甲斐がありそうだな!」

「乳揺らしながらヒィヒィ言うのが見物だぜ!」

『『…………………』』

 

 

頬を染めながら立たされる彼女等の裸体を見た男達が盛り上がり、卑猥な会話を交わす。

 

「さて、テメェ等!何時もは1人だけヤって終わってる俺だが、今日は徹底的にヤりまくるぞ!朝まで………………いや、全員ダウンするまでノンストップだ!」

 

前に立ったロバートがそう言うと、男達は歓声を上げた。

どうやら、彼が1人だけで終わらせないのは滅多に無い事のようだ。

 

「そんじゃ……………先ずはこの女だ!」

 

そう言ってロバートは、シロナの手を掴む。

 

衣類は勿論、武器も無い。おまけに弱体化する首輪までつけられて縛られている今、抵抗のしようが無いシロナは、涙を浮かべた両目を固く瞑り、奏達も、痛々しげな眼差しをシロナに向けている。

 

「それじゃあ…………早速始めるぜ!」

「ッ!嫌ぁぁぁああああっ!!」

 

ロバートの両手が胸に迫り、シロナが最後に叫んだ時だった。

 

 

突如、門の方で立て続けに爆発が起き、門があった場所が煙に包まれる。

そして煙の中から、破壊された門の破片が飛んできた。

 

「ッ!?な、何だ?何が起こった!?」

 

ロバートは反射的に手を引っ込めてそう言った。

 

「ちょ、おい。どうなってんだ?」

「お、俺に聞くなよ!知る訳ねぇだろうが!」

 

突然の出来事に状況の把握が追い付かず、男達はパニックに陥る。

 

「な、何?」

「何が起きたの…………?」

 

それは沙那達も同じようで、あちこち見回している。

 

「お、おい!誰か早く確認してこい!」

 

ロバートが指示を出すと、数人の男が煙の方へと走っていく。

 

だが、次の瞬間……………

 

「ぎゃあ!?」

「ぐああぁぁぁああっ!?」

 

煙に近づいていった男達が、体から血を噴いて倒れる。

それに間髪入れず、4つの物体が飛来し、牢屋や見張りのための塔、そして、彼等の寝床なのであろう簡易的な小屋の真上に到達するや否や垂直に落下し、木っ端微塵に吹き飛ばした。

 

「きゃあっ!?」

 

あちこちで建物が破壊された事によって起こる砂嵐が、その場に居る者へ無差別に襲い掛かる。

 

沙那達は思わず固く目を瞑り、その場にしゃがみ込んだ。

 

「クソッ!何なんだよいきなr──ッ!?」

「………?お、おい。どうし──ッ!」

 

すると、今度は男達が独りでに倒れ始めた。

煙の中から飛んでくる謎の飛来物や、勝手に次々と倒れていく仲間達に、盗賊達は何が何だか分からず、その場で右往左往するばかりだ。

 

「うぅ………み、皆……無事……………?」

 

砂埃が晴れると、シロナが沙那達に呼び掛ける。

 

「は、はい……」

「私も、何とか大丈夫です………」

 

沙那と桜花から返事が返された。

 

「し、白銀さんは………?」

「わ、私も………大丈夫、です………ケホッケホッ!」

 

どうやら煙を吸い込んだらしく、奏は咳き込みながら返事を返した。

 

何はともあれ、シロナは生徒達が無事だった事に安堵の溜め息をついた。

 

「ところで先生、さっきの爆発は…………?」

「それが、私にも分からな…………へっ?」

 

おずおず訊ねてきた桜花に答えようとしたシロナは、両手に感じた解放感に、思わず間の抜けた声を発した。

それに驚き、思わず立ち上がろうとする沙那だが、いきなり押さえつけられる。

 

「ホラ、動かないで。直ぐロープを切ってあげるから」

「だ、誰なの…………?」

 

辺りを見回しながら、沙那はその声の主に訊ねる。

 

だが、その声の主は答える代わりに、沙那のロープを切った。

それから瞬く間に桜花と奏のロープも切られ、彼女等は再び、自由な体になった。

 

「良し、コレで全員のようだね」

 

その声が聞こえた次の瞬間、アリステラが姿を現した。

 

『『きゃあっ!?』』

 

沙那、桜花、シロナの3人は、いきなりの登場に驚いて尻餅をつく。

そんな中で奏は、驚きのあまりに目を見開いていた。

 

「し、支部長さん!?」

「やあ、カナデちゃん。久し振りだね」

 

アリステラは何時も通りの笑みを浮かべて答えた。

 

「ど、どうして此処に……………?」

「そんなの、君達を助けるために決まってるじゃないか」

 

腰のホルダーから抜いたナイフを軽く回し、アリステラはそう言った。

 

「で、でも。あの中をどうやって……………?」

「ああ、それなら簡単だよ」

 

そう言って、アリステラは少しの間を空けてから再び口を開いた。

 

「地獄から帰ってきた狂犬の活躍あってのものだね」

 

アリステラがそう答えた時だった。

 

「おい、お前等!其所で動くんじゃねぇぞ!」

「ん?」

 

怒りや焦燥、戸惑いなど、様々な感情が入り交じった怒鳴り声を受け、アリステラは振り向いた。

彼女の視線の先には、生き残っていた蛇の尾の男達が居た。

先程の騒ぎで数は減っているものな、未だ数十人居る。

 

「おい、お前!何者だ!」

 

坊主頭の男が、アリステラを指差して叫ぶ。

 

「私はアリステラ・リューズ。趣味でギルド支部長をしている暗殺者だよ」

「"ギルド支部長の暗殺者"だと……………?お前、ふざけてんのか!?」

「いやいや、真面目に答えてるんだけど?」

 

何処までもおどけた話し方をするアリステラ。

「畜生………舐めやがって、この女!」

「まあ待て。よく見ればコイツも中々良い女じゃねぇかよ。見たところ1人だけっぽいし、コイツも勇者達と一緒に犯してやろうや」

 

その男を宥めた紫色の髪を持つ別の男が、アリステラを見て舌舐めずりをする。

 

確かに状況だけ見れば、奏達勇者が弱体化させられた今、数十人の盗賊を相手取れるのはアリステラ1人だけ。

コレで彼女が不利だと思わない者は居ないだろう。

 

「支部長さん、私達はどうすれば……………?」

 

桜花がおずおず訊ねる。

 

「どうもこうも、終わりだよ…………………そうだろ?ミー君!」

 

そう言って、アリステラは煙の方へと呼び掛けた。

 

「ああ、その通りですよ。アリさん」

 

すると、煙の中から女性の声が響いてくる。

改めて耳を澄ませると、バリバリと大きな音も聞こえていた。

 

絶妙なタイミングで吹いた風が砂埃を取り払うと、アパッチを展開してホバリングしている神影が姿を現した。

 

「それにしても盗賊共。俺のクラスメイトや恩師のみならずアリさんにも手ぇ出そうとするとは、随分と良い度胸してやがるな……………コレ程不愉快な話はねぇよ」

 

そう言って、神影は右腕のM230A1を構える。

 

「そんなクソッタレなテメェ等には、テメェ等に相応しい、惨たらしい死を与えてやるよ………」

 

そう言うと、神影は一旦目を閉じる。

そして、目をカッと見開いた。

 

「……この曲と共になぁ!」

 

神影が怒号が響き渡ると、今の時間帯など知った事かと言わんばかりに"ワルキューレの騎行"が大音量で響き渡る。

その不気味さを感じさせる音色に、盗賊達は戦慄の表情を浮かべて1歩退く。

 

「"ワルキューレの騎行"だ……………さあテメェ等!恐れ戦け!絶望を感じて、何も出来ぬまま散っていけぇぇぇぇえええええっ!!!」

 

まるで、地獄の底から響いてくるような怒鳴り声を響かせ、神影はエンジンの出力を上げて爆音を轟かせながら、盗賊達に襲い掛かった。

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