航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

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今回、F組ヒロインズ救出の明るさから180度回って暗い話になります。


第133話~暗い話し合いと、突きつけられる請求書~

さてさて、クラスメイトや担任との感動の再会を邪魔してくれやがったローブの男をEW1(トリニティ)で消し飛ばした俺は、あの砦の跡地に戻ってきた。

 

着陸までの距離や侵入角度、速度を調節しながら地面に降り、ゆっくりと動きを止めて機体を解除すると、アリさん達に歩み寄った。

 

「お帰り、ミー君。お疲れ様」

 

俺がやって来ると、アリさんが一番に労いの言葉を掛けてくれる。

 

「あのローブの男は?」

 

その問いに、俺は首を横に振って答えた。

 

「そうか、了解」

 

深く追求する気は無いらしく、アリさんはそう言った。

 

「え~っと、白銀。お前さっき何か質問しようとしてたよな?」

「え、ええ」

 

いきなり話し掛けたからか、白銀は若干戸惑いを見せながらも頷いた。

 

「貴方が、どうやって生き返ったのかを知りたいのだけど……………聞かせてくれる?」

 

白銀がそう言うと、他の3人も俺を見る。

 

「おう、別に良いぜ」

 

特に断る理由も無いため、俺は頷くと、死後の世界で何があったのかを4人に語った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………とまあ、こんな事があって、俺はこうして生き返ったって訳なのさ」

『『……………………』』

俺が話を終えると、4人は目を皿のように丸くして俺を見ていた。

 

「す、凄いわね……まさか、そんな事が起こるなんて…………」

 

目をぱちくりさせながら、先生がそう言った。

 

「ゲームの中の人に会うなんて、信じられません…………」

「それに、サイファーとか言う人が女の人って……………確か神影君、そのゲームの話をした時に、サイファーは男の人って言ってたよね?」

 

唖然としている雪倉の隣で、天野が訊ねてきた。

 

「いや、まあ………確かにそう言ったけど、女の人だったらしいんだよ。本人もそう言ってたし」

 

俺はそう答えた。

 

「まあ、実際にそれを体験したのは古代君なのだから、それを信じるしかないわね」

 

先生がそう言うと、天野は渋々ながら納得してくれた。

 

「それより、早く此処から移動しよう。流石に、ずっと留まる訳にもいかないからね」

 

アリさんが話題を変えてくれた。

 

「取り敢えず皆、今晩は私の家に泊まると良いよ……………ミー君、ルージュまでお願い出来るかな?」

「了解ッス」

 

俺はそう言うと、ブラックホークを展開する。

 

体のあちこちを黒い装甲が覆い、右腕にはM134が装着される。

そして何よりも目を引くのが、背負うような形で装着された、巨大なコンテナだ。

 

「コレ、確か王都に向かう際に乗った…………」

「そう、ブラックホークだ」

 

目を丸くして言う白銀に、俺は頷いた。

そしてエンジンを掛け、メインローターとテールローターを回転させる。

 

「さあ、皆!早くコンテナに乗って!さもないと置いていくよ!」

アリさんの言葉を受け、4人がコンテナに乗り込んでいく。

そして、最後に乗り込むアリさんが出した合図で、俺はエンジンの出力を上げ、ルージュへ向けて飛び立つのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………さて、コレで女だけになれたね」

『『えっ?』』

 

離陸して直ぐ、アリステラはそんな事を言い出し、4人は間の抜けた声を出した。

 

「えっと、支部長さん?何をするつもりで……………」

 

警戒心を含んだ眼差しを向けて言うシロナに、アリステラは笑みを浮かべた。

 

「ああ、そんなに身構えなくても良いよ。君達に、ちょっと聞きたい事があるだけさ」

『『……………?』』

 

アリステラがそう言うと、4人は首を傾げる。

 

「単刀直入に聞くけど…………君達は、ミー君が………同郷の人間が()()()()()事について、どう思っているんだい?」

『『ッ!?』』

 

そう聞かれた4人は、目を見開いた。

 

「一応言っておくけど、ミー君が人を殺したのは、コレが初めてではない。今回のを含めて人を殺すのは3回目だ。私の予想だけど、100人近く殺していると思う」

「ひゃ……100人…………!?」

 

その言葉に、シロナは驚きのあまりに目を見開き、沙那、桜花、奏の3人もショックを受けたような表情を浮かべた。

 

「で、でも………どうして古代さんは、そんな事を……………?」

「それは簡単、相手が盗賊だからだよ」

 

おずおずと訊ねた桜花に、アリステラはそう答えた。

 

「流石に、ミー君や他のガルムのメンバーは、何の罪も無い一般人を殺すような事はしない」

「………だから、罪のある盗賊が相手なら、殺しても良い………………と言う事………ですか…………?」

 

そう訊ねる桜花に、アリステラは肩を竦めた。

 

「さあ、どうだろうね……………少なくともミー君達は、相手が盗賊でも、殺す事に快感を味わってはいないだろう」

「だったら……………だったら、どうしてですか!?」

 

其処で、沙那が声を張り上げた。

 

「神影君は、人殺しをするような人じゃないのに!優しい人なのに!どうして、そんな事をしなければならないんですか!?」

「…………………」

 

アリステラは、そんな沙那を暫し見つめると、小さく溜め息をついてから言った。

 

「……………必要だからだよ」

「えっ…………?」

 

その答えに、沙那が思わず聞き返す。

 

「君達が、元々住んでいた世界……………きっと其所では、君達は人殺しとは無縁な生活を送っていたんだと思う」

 

静かに語るアリステラの話を、4人は黙って聞いていた。

 

「でもね……………………残念ながら、この世界では、君達の世界の考え方は通用しないんだよ」

 

アリステラはそう言った。

 

「君達も見ただろう?盗賊達の、舐め回すような眼差しを……………そして感じただろう?自分達が……………」

 

アリステラは、其処で言葉を一旦区切る。

そして、その目に絶対零度とも言える冷たさを宿して沙那達を見据えた。

 

()()()()()()()()()()()感覚を」

『『ッ!』』

 

その言葉は沙那達に、裸で牢屋に入れられていた時や、男達の前に立たされ、"蛇の尾"のリーダーであるロバートに犯されそうになった時の事を思い出させた。

 

「この世界ではね……………君達が思っている以上に、人間の命は軽いものなんだよ」

 

再び、アリステラが話を始める。

 

「幾ら君達が勇者でも、ボーッとしていたら、何時の間にか誰かに殺されたり、女なら、その辺のゴロツキや盗賊に連れ去られて、慰み者にされたりする、そんな世界なんだよ」

 

此方側の世界では、4人よりアリステラの方が先輩と言える。

そんな彼女の言葉は、説得力と共に重みがあった。

 

「現役時代の私もそうだけど……………ミー君だって、最初は戸惑っていたよ。『盗賊に捕まった女性達を助けたい。でも、そのためには、盗賊を……………"人"を殺さなければならない』ってね。でも、この世界で生き抜くためには、たとえ許されない事でもやらなければならない……………だからミー君は、この世界で暮らす以上、それを受け入れる事を決意したんだよ」

 

アリステラはそう言うと、ある疑問を投げ掛けた。

 

「そもそも君達には、人を殺す事への覚悟はあるのかい?」

「ッ!?そ、それは…………」

 

シロナが言葉を詰まらせた。

 

「確か君達は、国王に呪いを掛けた魔王を倒し、国王の呪いを解くために召喚されたとミー君から聞いているんだけど……………合ってるよね?」

「…………ええ、そうです」

 

シロナは頷いた。

 

「つまり君達は、今は睨み合い状態になっている種族間戦争に参加し、魔人族や、他の亜人族と戦い、彼等を殺す事になる………そうだよね?」「ええ」

「それなら勿論、覚悟は出来てるよね?何たって、魔人族も亜人族も、私達と同じ"人"なんだから」

『『……………………』』

 

その質問に答えられる者は、誰1人として居なかった。

全員、顔を伏せている。

 

「はぁ………」

 

それを見たアリステラは、小さく溜め息をついてから言った。

 

「こんな事を言うのも悪いけど…………………君達、そんなのでよく今まで生きてこられたね?」

 

アリステラの言葉が、彼女等の心に突き刺さった。

 

「魔人族や亜人族も、私達ヒューマン族と同じ生活を送ってる。それってつまり、彼等も"人"だと私は思うけど……………君達はどう思う?魔人族や亜人族は、その辺のゴブリンやオークみたいな魔物と同じ?そんな彼等との共存を掲げているクルゼレイ皇国は、滅ぼさなければならない害悪かな?」

『『………………………』』

 

情け容赦が一切無いアリステラの言葉が、コンテナの中の雰囲気を暗いものにする。

 

「………………まあ、その辺りについてどう思うかは、君達に任せるよ。ミー君が人を殺した事についてどう思っているのかも、ね」

 

そう言って、アリステラは話の1つを終えた。

 

「さて、今から別の話になるんだけど……………カナデちゃん」

「は、はい!?」

 

先程話していた時、アリステラから感じた威圧感もあり、奏は声を上ずらせた。

だがアリステラは、それを気にした様子も見せず、懐から、谷折りにされた1枚の羊皮紙を取り出して彼女に渡した。

 

「あ、あの…………コレは…………?」

「まあ、見てごらんよ」

 

アリステラにそう言われ、奏は羊皮紙を開いた。

 

「ッ!?こ、コレは…………」

「そう。コレは以前、君が持ち掛けてきた勇者と騎士団の救出依頼への請求書だ。ミー君が殺されてから色々あって、渡すのが大幅に遅れてしまったけどね…………それについては謝罪するよ。申し訳無かった」

 

そう言うアリステラだが、今の奏には、謝罪の言葉などどうでも良かった。

彼女の視線は、羊皮紙に書かれている内容に注がれていたのだ。

 

「な、何なのよ…………この、報酬額は……………!?」

 

羊皮紙を掴んでいる両手を震わせると共に、青ざめた顔から冷や汗を流す奏。

 

「か、奏?一体、どうしたの?」

 

そんな彼女に、沙那が声を掛けた。

 

「奏さん。その、報酬とやらの内容は、どのようなものですか?」

「ねえ、白銀さん。私達にも見せてくれない?」

 

沙那、桜花、シロナの3人がそう言う。

奏は手を震わせながら、沙那に羊皮紙を渡す。

 

「ッ!?こ、コレは…………」

「「………………」」

 

内容を見た3人は、奏と同じように顔を青ざめさせた。

 

「報酬の内容は、金貨800枚と高位ポーション36個だ。支払い期間は……まあ、その辺りはミー君と相談すれば良いけど、あまり長引かせるのはお勧めしないね…………ああ、それから一応言っておくけど、ビタ一文もまけないからね?」

 

そう言うと、アリステラは胸の前で腕を組んだ。

 

「で、でも!こんな大金、今の私達には払えません!」

 

奏が叫ぶが、アリステラは素知らぬ顔だ。

 

「そんなの私の知った事じゃないね。払えないなら等価交換だ。君達が持っている貴重品でも渡せば良い。何なら……………体で払うかい?」

「そ、そんな…………」

 

アリステラにそう言われ、奏は狼狽える。

 

「と言うか君達、ずっと王宮で暮らしていたんだろ?なら、お小遣い的な感じのを貰っていたんじゃないのかい?ミー君からも、そう聞いているんだが…………」

 

何処までも情報を話している神影に文句を言いたくなる奏だが、彼は恩人である上に、その報酬を受け入れたのは自分なのだと、内心言い聞かせる。

 

「アリさ~ん!そろそろ着きますよ~!!後、騒音とかの関係もあるので、ルージュから少し離れた所に降りま~す!!」

 

すると、メインローターの音に混じって、神影の声が聞こえる。

 

アリステラはコンテナのドアを開けると、神影に大声で言った。

 

「了解だよ、ミー君!此処までご苦労様!!」

 

そう言って、アリステラはドアを閉めた。

 

「さあ、着くよ。ちょっと早いけど、ルージュへようこそ」

 

先程までの冷酷な雰囲気が嘘のような笑みを浮かべて、アリステラはそう言った。

 

 

そして神影は、ルージュから数百メートル離れた場所に着陸し、アリステラ達が降りたのを確認すると、機体を解除した。

そして6人は、ルージュの町へ向けて歩みを進めるのであった。

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