航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

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第137話~王都に到着!~

ルージュの町での一悶着も何とか解決し、報酬についての詳しい話を終わらせた俺は、ガルム隊メンバーと共に王都へと向かっていた。

その理由は、先ず何よりも、天野達4人は俺等ガルム隊メンバーではなく、王都に居る連中側だからだ。

そして2つ目に、報酬の話を他のF組生徒達に知らせる事が目的だ。

 

そんな訳で俺は、展開したブラックホークに天野達4人とアリさんを乗せ、ラリー達と共に王都に向かっていると言う訳なのだ。

 

「現在、高度3500フィート。進路、2-2-5。速度、240ノット……………」

「おっ、その台詞を聞くのは結構久し振りだね」

 

俺が数値を読み上げていると、ラリーが話し掛けてきた。

 

「まあ、最近はコレ言わなかったし、そもそも俺、ちょっと前まで死人だったからな」

「確かにそうだね」

 

そう言うと、ラリーは前方を睨み付けた。

 

「あのクソッタレ勇者共……………もし誰かが僕の呪い解いてたら、もっと強力な呪い掛けてやる」

「……………お前の魔法に対抗出来る奴なんて、そんなに居ないと思うけどな」

 

俺は苦笑混じりにそう言った。

 

「(それにしても他の皆、何か暇そうだな…………)」

 

内心そう呟き、俺は周囲を見渡した。

ガルム隊女性メンバーは、俺とラリーの周囲を退屈そうに飛び回っており、時折、先に進んでは戻ったり、右へ左へと行き来したりを繰り返している。

 

「皆、暇そうだね………」

 

ラリーが話し掛けてきた。

 

「まあ、基本的に超音速で飛び回ってたが、俺等が今使ってる機体では、そうも出来ないからな」

 

俺が纏っているブラックホークは、最高速度が時速295㎞。ラリーが纏っているアパッチは、時速293㎞だ。

因みに、エスコンシリーズの中でヘリコプターが使えるAH(アサルト・ホライゾン)で使えるヘリコプターは、ブラックホークやアパッチだけではない。

ロシア軍の戦闘ヘリ、Mi-24──NATOコードネーム"Hind(ハインド)"──や、ダウンロードコンテンツで追加される、同じくロシア軍の戦闘ヘリ、Ka-50──NATOコードネーム"Hokum(ホーカム)"──も使えるのだ。

因みに、この2機は最高速度が時速300㎞を超えており、ハインドで時速335㎞、ホーカムで315㎞だ。

 

まあ、だからと言って、仮にどちらかが機体を変更しても、ゾーイ達のような速度を出せない事は変わらないし、そもそも俺が機体を変えたら、コンテナの中に居る5人はどうなるんだって話になる。

 

「ゾーイ達には申し訳無いが、我慢してもらうしかなさそうだな………」

「ああ、そうだね……………」

 

そう言って、俺達は互いに苦笑を浮かべた。

 

「ところで相棒、話は変わるんだけど………」

「ん?何だ?」

 

いつになく真面目な表情で言うラリーに、俺は聞き返した。

 

「ゾーイの事……………あれからどう?」

「いや……………まあ、前みたいに避けられたりはしなくなったが、結局、悩みの内容は話してもらえてない」

「そうか………まあ、此方も同じなんだけどね」

 

ラリーは目を伏せた。

 

「はぁ……………全く、ゾーイは…………………何か悩んでいるなら、正直に打ち明けてしまえば良いのに」

「まあ、ゾーイも色々思う事があるんだろうよ」

 

そう言う俺だが、ラリーは首を横に振った。

 

「そうだとしても、あれじゃ問題は解決しない。ただ問題に蓋をするだけじゃ駄目だ。ゾーイも、1歩踏み出す勇気を持たなきゃ駄目なんだ」

 

ラリーはそう言った。

まあコイツも、今まで100%ヒューマン族だと思っていたのに、実は大昔に滅んだとされている魔族の頂点、魔神と、ヒューマン族とのハーフだったと言う事に葛藤してたからな。

それから勇気を出して、俺やルージュの住人達にそれを打ち明けた。

ゾーイの悩みの内容は分からないが、同じように葛藤を経験した者として、見過ごせないんだろう。

 

「ねえ、相棒」

 

なんて考えていると、ラリーが話し掛けてきた。

 

「もし、ゾーイが君に悩みを打ち明けようとしたら……………その時は、ちゃんと聞いてあげてね?」

「当たり前だ」

 

俺はそう言った。

 

「ミカゲさ~ん!ラリーさ~ん!」

 

すると、リーアが近づいてきた。

 

「前方に、王都が小さく見えてきました!」

「了解。報告ありがとね、リーア」

 

ラリーがそう言って微笑むと、リーアは顔を赤くした。

無意識の内に女を惚れさせている我が相棒に苦笑を浮かべながら、俺は王都を見据えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神影達が向かっている頃、王都ではF組勇者やユミール、そして数人の騎士達による、沙那達4人の捜索が行われていた。

昨日から行われているこの作業だが、目撃情報も無い上に、近隣の村に行って情報を集めようにも、マトモに取り合ってくれない。

そのため、彼女等の失踪に関するロクな手懸かりも掴めていなかった。

 

「皆………一体、何処へ行ったんだ………?」

 

王都を歩き回りながら、正義はそう呟いた。

 

「此処から例の洞窟ってそこそこ距離あるけど、遅くても昨日の昼ぐらいには帰ってこれてるよな?」

 

彼の隣を歩く航が言う。

 

「ああ、ユミールもそう言っていたんだけど…………」

 

そう言って、正義があちこち見回し始めた時だった。

 

「居なくなったって言う4人の勇者って、未だ見つかってねぇのか?」

「ああ、そうらしいぜ。昨日は皆して1日中探してたし、今日だって、朝から勇者も騎士も…………おまけに王女様も、4人を探し回ってるって話だよ」

 

瓦礫の山に腰掛けた、住人と思わしき3人の男が、世間話をしていた。

 

「もしかしてその4人、作業が嫌で逃げたんじゃねぇのか?」

「ああ、それ有り得る」

「ったく…………あんなので逃げるとか、ドンだけ根性無しなんだよ」

好き放題喋っている住人達に、正義は鋭い目を向けた。

 

「ッ!おい、お前等!勝手に何でもかんでも決めつけるな!未だ沙那達が逃げたって決まった訳じゃないだろ!!」

 

ズカズカと足音を立てて、住人達に詰め寄る正義。

 

「な、何だよ?彼奴等、1日以上経っても戻ってこないんだぜ?」

「そうそう。勇者だから、少なくとも盗賊程度には勝てるだろうし」

「なら答えは、『作業が嫌だから逃げる』以外に何も無いじゃないか」

「~~~~ッ!こ、コイツ等……………ッ!」

「お、おい正義……………」

 

怒りで我を忘れ、住人達に殴り掛かろうとした正義を、航が必死に止めようとする。

そんな時だった。

 

「………………ん?何だこの音は?」

航が、遠くから近づいてくる音に耳を傾ける。

それに気づいた正義も、何事かと辺りを見回し始めた。

 

「おい、何か音が聞こえないか?」

「ああ、何だろうな?」

 

呑気に話す住人2人だが、残りの1人は目を見開いていた。

 

「この音、まさか…………いや、絶対そうだ!」

 

そう言って、その男は突然走り出した。

 

「ちょ、おい!何処行くんだよ!?」

「おい!待てっての!」

 

残された2人も、その男を追い始める。

 

「「…………………」」

 

その場に残された正義と航は、互いに見合ってから、3人が向かった方向へと走り出す。

 

そして彼等は、気づけば王宮に来ていた。

 

あの音を聞き付けたのは彼等だけではないらしく、他の住人やF組生徒達が集まっていた。

 

「うわぁ~、めっちゃ集まってるじゃねぇか」

 

その人だかりを見た航がそう呟いた。

 

「皆、あの音が気になって来たのかな……………?」

 

正義がそう呟いた時、轟音と共に何かが彼等の頭上を通り過ぎていった。

しかも、それは1つだけではなく、6つだ。

 

「(まさか、あの時とはまた別の敵か来たのか………………?)」

 

正義は何時でも迎え撃てるように構えるが、それらは降りてくる気配を見せない。

その代わりに、バリバリと爆音を轟かせている2つの影が、彼等の頭上に現れた。

その2つは、ゆっくりと地面に近づいてくる。

 

「やっぱり……………あれはガルムの奴等だ!」

 

先程、真っ先に駆け出した男が叫んだ。

 

それに驚いた住人達が、降りてくる2つに目を向ける。

「ガルムが………?」

「でも、なんで今になって来たの?」

「まさかとは思うけど…………………今になって、あのガルムのリーダーが殺された報復をしに来たとか………………?」

 

住人達が怯える中、その2つは地面に降り立った。

 

「ねえ、あの大きなコンテナ背負ってる女の人って…………」

「うん、この前別の女の人と来てたよね」

「まさか、ガルムの新しいメンバーだったなんて………」

 

女子生徒達がそんな言葉を交わしている間に、2人が纏っているヘリのメインローターやテールローターの動きが止まる。

「さて……………着きましたよ!」

 

F組生徒や住人達からの視線が突き刺さる中、その女性はコンテナの中に向けて呼び掛けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…………」

 

無事に王都に到着し、着陸してエンジンを切ってからアリさん達に呼び掛けた俺は、フッと溜め息をついた。

 

「お疲れ、相棒」

 

アパッチを解除したラリーがそう言った。

 

「それにしても、此処に来るのは久し振りだね」

「ああ。魔人族の連中と戦って以来だ」

 

そんな会話を交わしていると、コンテナのドアが開き、パタパタと足音が聞こえる。

そして、天野達が俺の前に駆け出してきた。

 

「皆、ただいま!」

 

F組の連中に、天野がそう言った。

それに続いて、雪倉や白銀、そして先生が出てくると、F組の連中が住人達を押し退けて、天野達を囲んだ。

 

それから連中は、今まで何をしていたのかと、天野達を質問攻めにする。

 

「お疲れ様、ミー君。君には毎回、世話を掛けるね」

 

それを見ていると、ゆっくり歩み寄ってきたアリさんがそう言った。

 

「いやいや、お気になさらず」

 

俺は手をヒラヒラ振りながらそう返した。

それから僚機念話を使い、上空を旋回しているゾーイ達に、降りてくるよう指示を出す。

 

「さて……………今は彼女等との再会を喜んでるみたいだけど、それが終わってからは……………」

「ええ、分かってますよ。アリさん」

「僕も、それぐらいは予想してますから」

 

アリさんの言葉を途中で遮り、俺とラリーはそう言った。

 

あの喜びムードが終わって連中が俺等に気づき、報酬の話をすれば、間違いなく一悶着起こるだろう。

それに、その時に俺が、古代神影である事がバレる可能性が高い…………いや、今回の一件で、ほぼ確実にバレるだろう。

 

「(まあ、それを承知の上で此処に来たんだからな……………………やる気なら、何時でも来やがれってんだ)」

 

ゾーイ達が次々に着陸していく音をBGMに、再会を喜ぶ天野達を見ながら、俺は内心そう呟くのだった。

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