航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

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第143話~神影の完全復活!そして………!?~

「………………知っている天井だ」

 

ゾーイと仲直りして、宿に戻ってきてから一夜が明け、朝日を感じて目を覚ました俺は、天井を見つめてそう言った。

 

「んっ………んぅん……」

「すぅ………むにゃ……………」

 

両サイドには、我が恋人であるゾーイとアドリアがスヤスヤと寝息を立てている。

楽しい夢でも見ているのか、2人共幸せそうな表情を浮かべている。

因みに俺は………………そもそも夢を見ていたのかも分からん。

多分内容を忘れたか、そもそも夢を見ていなかったかのどちらかだろうな。

 

「……………っと、そういや今は何時だ?」

 

そう呟き、俺は2人を起こさないように注意して体を起こすと、壁に掛けられている時計へと目を向ける。

時計の針は、ちょうど朝8時を指していた。

 

本来なら、この辺りの時間帯になるとラリーが僚機念話で話し掛けてくるのだが、今回はそれが無い。

まあ、彼奴にも寝坊する時の1回や2回はあると言う事だろうな。

 

「(そう言う事なら、俺も思いっきりのんびりさせてもらおうかな)」

内心そう呟くと、俺は再びベッドに寝転がった。

すると、それを感じ取ったのか、ゾーイとアドリアが抱きついてくる。

 

「えへへぇ………ミカゲ様ぁ……ちゅかまえた……」

「もぉ……逃がしましぇ~ん…………」

 

幸せそうな表情で、そんな寝言を呟く2人。どうやら2人の夢には俺が出ているようだ。

つーかゾーイ、『ちゅかまえた』ってお前………………めっちゃ可愛すぎるぞ。

おまけにアドリアの寝言も可愛すぎる。何この超絶可愛い生き物は?

 

「(コイツ等………まさかとは思うが、本気で俺を悶え死にさせるつもりじゃないよな……………!?)」

 

鼻から大量の愛が流れ出てくるような気分になりながら、俺は内心そう呟いた。

そんな俺の事などお構い無しに、俺に抱きついた2人は頬擦りし始める。

 

「……………………」

 

そんな2人を見ていると、今まで感じていた愛しさが、さらに増してくる。

おまけに、俺の腕が2人の豊満な胸に挟まれているので、つい、冷静さを失いそうになる。

だが、此処で感情に流されて2人を襲う訳にはいかない。

こう言うのはムードも大事だし、双方共にちゃんと了承し合った上でするべきだからな。

別にヘタレだからこんな事を言っているのではない。俺は断じてヘタレではないのだ。

この辺、大事な。テストに出るぞ…………………はい、嘘です。出ません。

 

 

「んっ…………」

 

なんて考えていると、ゾーイの瞼が僅かに揺れた。

それから可愛らしく欠伸すると、目をうっすら開く。

 

「あっ………おはようございます、ミカゲ様………」

 

眠そうに目を擦りながら、ゾーイはそう言った。

 

「おはよう、ゾーイ。随分と幸せそうだったじゃねぇか」

「ッ!?そ、それは………………」

 

からかい気味に言ってやると、ゾーイは頬を真っ赤に染める。

うわっ、ヤバい。可愛すぎるだろ。

 

「ゆ、夢の中で…………貴方が、あんなに激しく………私達を、求めt………「よぉ~し、ゾーイ、其処でストップ!もう十分だ!もうその辺りで止めておこう!それからアドリアも、そろそろ起きような~!」…………ひゃあっ!?」

 

何やらゴニョゴニョ呟き始めたゾーイから危ない雰囲気を感じ取った俺は、態と大声を出して掛け布団を蹴っ飛ばし、その勢いで跳ね起きた。

その拍子に、ゾーイが可愛らしい声と共に飛び上がる。

 

「ふわぁ………おはようございます、ミカゲ様………」

 

そんな俺とゾーイの事など気にも留めず、アドリアが目を擦りながら起きた。

「よお、アドリア!今日も良い天気だなぁ!HAHAHAh…………ゲホッゴホッ!」

「………………?」

 

起きた直後に無理してテンション上げまくった事に体がついてこれなくなったようで、俺は盛大に咳き込んだ。

 

………………まあ、こんなプチ騒ぎもあったものの、俺は、ゾーイのブッ飛び激甘ドリーム暴露事件を、何とか未遂で済ませる事に成功するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、それから暫くして他のガルム隊メンバーやアルディアの3人が起きたのもあり、俺達は合流して、食堂で朝食を摂っていた。

そうして食べ進めて全員が食事を終え、後は、俺が最後のパンを食べるだけとなった、そんな時だった。

 

「ねえ、相棒。今日って空いてるかな?」

「ん?」

 

最後のパンを頬張っていると、不意にラリーがそんな事を聞いてきた。

 

「ひょうはら、ひはひういひゃかr………「ミカゲ、行儀悪いわよ。ちゃんと飲み込んでからにしなさい」………ふぁい」

 

パンを口に詰め込んだ状態で答えようとすると、エリスに注意されてしまった。

 

「あははは……………まあ、いきなり聞いた僕も悪かったよ。取り敢えず相棒、エリスが言うように、ちゃんと飲み込んでからね」

「ん~………………んくっ」

 

苦笑を浮かべながら言うラリーに頷き、俺はパンを飲み込んだ。

 

「まあ、そうだな…………………久し振りだから、何か適当に依頼でも受けようと思ってんだが…………なんで、そんな事聞くんだ?」

 

俺は、空になった食器を積みながら聞き返した。

 

「あっ、もしかして、また手合わせしたいってのか?良いぜ、受けてやるよ」

「いや、まあ………それも確かにしたいんだけど…………………僕が言いたいのは、それじゃないんだ」

 

食器を積み終えた俺が手をボキボキ鳴らしながら言うと、ラリーは首を横に振った。

そして、いつになく真剣な眼差しを向けてくる。

「実はね…………」

『『『『『『……………………』』』』』』

 

そう言ったきり、口を閉ざして目を瞑ってしまったラリーに、俺達の視線が集中する。

気づけば、俺等が出している重苦しい雰囲気が食堂全体に充満しており、先程まで賑やかに喋っていた他の宿泊客も、俺達に視線を向けていた。

 

『『『『『『『『『『……………………』』』』』』』』』』

 

時間が経つに連れて重さを増していく場の雰囲気の影響か、額から汗が流れてくるのを感じる。

それは、つうっと頬を伝い、顎に到達すると、そのまま落ちる。

誰もが、この重苦しい雰囲気に限界を感じ始めた時、ラリーの目がカッと見開かれた。

そしてラリーは、椅子を後ろに蹴っ飛ばして立ち上がった。

 

「相棒!」

「は、はいっ!?」

 

急に呼ばれた俺は、驚きのあまりに勢い良く立ち上がる。

そして直立不動の状態で、次に出てくる言葉を待つ。

 

「すぅ…………はぁ………………」

 

ラリーは、その場で大きく深呼吸してから、この食堂全体に響き渡る大声を張り上げた。

 

「君の体の修理が、遂に終わったんだッ!!」

『『『『『『『『『『………………は?』』』』』』』』』』』

 

あまりにも唐突な発言に、食堂に居る全員からの、間の抜けた声が重なる。

 

「………………」

 

そんな中、俺は目を丸くしてラリーを見ていた。

 

「…………あ、あれ?どうしたの相棒?そんな、キョトンとしちゃって」

 

呆然とする俺に、ラリーが戸惑いながら声を掛けてくる。

肩を叩かれたり、目の前で手を振られたり、ユサユサと揺さぶられたりするが、それすら気にならない。

今の俺は、先程のラリーの言葉を必死に分析していた。

 

 

 

Q1、先程、ラリーは何と言った?

A、『修理が終わった』と言った。

Q2、何の修理?

A、体の。

Q3、誰の体?

A、俺の。

 

 

 

「………………ッ!」

 

そんな、あまりにも単純な情報処理を終えると、俺は目を見開く。

恐らく、第三者から見た俺は、まるで待ち望んでいたプレゼントを受け取った子供みたいに目を輝かせているかもしれない。

 

「お、おいラリー!」

「は、はいっ!?」

 

今度は俺が声を張り上げ、ラリーが背筋をピンと伸ばすと言う、先程とは真逆の光景が広がった。

俺は、向かいの席に居るラリーの元へ、ズカズカと足音を立てながら移動すると、俺はラリーの両肩に手を置き、顔を思いっきり近づけた。

「今の話、本当なんだな?」

「えっ?」

俺がそう言うと、ラリーは目をぱちくりさせながら聞き返した。

 

「だから、俺の体の修理が終わったって話だよ!本当に終わったんだな!?」

「あ、ああ!その通りだよ、相棒!」

 

そう言うと、ラリーは俺とラリーの食器の片付けをエメルに任せ、俺の体の修理のために新たに借りていた部屋へと引っ張る。

そして、部屋のドアを開け放ち、放り込むような勢いで俺を引き入れると、収納腕輪に入れられている氷漬けになった俺の体をベッドの上に出現させ、それから魔法で氷の部分だけを砕いた。

 

「おお…………ッ!」

 

砕け散った氷の中から現れた元の体を目の当たりにして、俺の口から感嘆の息が漏れた。

 

復活した時に見せられた、あの見るも無惨な死体。

首から下の左半身を抉られ、未だ残っていた臓物や骨が丸見えで、其処らの連中なら顔面蒼白で逃げ出すような、痛々しさを通り越した、おぞましいナニカを感じさせた俺の体は、まるで新品のようだった。

あの時着ていた冒険者の服も直っている。

 

「な、なあ……………触ってみても良いか?」

「勿論だよ。それに、君の体なんだから」

 

ラリーがそう言うと、俺は、元の体に触れる。

冒険者の服を捲ってみると、抉られた左半身が完全に復活していた。

 

「どう?お気に召したかな?」

 

隣に来たラリーが、そう問い掛けてくる。

 

「ああ…………完璧だよ、ラリー……」

 

そう言って、俺はラリーの手を握り、ブンブン振った。

 

「ホントにありがとな!やっぱりお前は、最高の相棒だ!」

「どういたしまして、相棒」

 

ラリーは苦笑を浮かべながらそう言った。

そして俺は、嬉しさのあまりに泣いてしまい、食堂に置き去りにしたエメル達が、食器を返して部屋に来るまで泣き続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで、これからラリーの魔法で、俺の魂を元の体に移し替える事になったのだが…………………

 

「……………コレ、どういう状況?」

 

何故か俺達は、ゾーイ達に告白された広場に来ていた。

ギルドから持ってきた大きめのテーブルを台代わりにして、1つに元の体が乗せられ、もう1つには、俺が乗っていた。

そして目の前には、まるで初日の出を拝みに来た参拝客みたいに、ルージュの住人達が立っていた。

そして、その最前列には、ラリーを除いたガルム隊メンバーと、ソブリナ達アルディアの3人。エスリア、そしてアリさんが居た。

 

そんな光景を見て思わず溢した俺の呟きに答えてくれたのは、グランさんとギャノンさんだった。

 

「だって、ミカゲ君が完全復活するって話だからね…………皆、それを見に来たんだよ」

「コレ、多分この町の住人全員来てるぜ……………うひょ~!こんなに慕われてるなんて、やっぱスゲーなぁ!」

 

グランさんに続いて、ギャノンさんが肩を組んできた。

それに苦笑を浮かべていると………………

 

「「ミカゲ様(殿)!」」

 

何やら聞き覚えのある声がハモって聞こえてきた。

 

その声の主の方へ目を向けると、其所には先程まで姿を消していたラリーと、その両サイドに立つ、クルゼレイ皇国王女にして、俺の恋人の1人であるエミリアと、クルゼレイ皇国女王………………即ちエミリアの母である、ナターシャさんが居た。

 

2人は俺の姿を視界に捉えると、パタパタと駆け寄ってきた。

 

「来てくれたのか…………」

 

俺はそう呟いた。

 

「はい!ラリー様から聞いたんです!ミカゲ様の体の修理が終わって、今日、復活されると!」

 

エミリアが目を輝かせて言う。

 

「そっか…………ありがとな、エミリア」

 

そう言って、今度はナターシャさんに視線を向ける。

 

「ナターシャさんも、俺なんかのために、態々ありがとうございます」

「あら、そんな事仰有らないでくださいな。義理の息子のちゃんとした姿を見たいと思うのは、義母として当然の事ですわ」

 

柔らかな笑みを浮かべてそう言ってくれるナターシャさんに、俺は再度礼を言った。

それから、エミリア達がエメル達の方へと下がり、代わりにラリーがやって来た。

そして、ラリーと視線を交わした俺は、目を瞑って仰向けに寝転がった。

 

「それでは、始めます 」

 

そう言うと、ラリーは俺に右手を、元の体に左手を向けて詠唱を始めた。

因みに余談だが、今からラリーが使うのは、"魂に干渉する"と言う、非常に難易度が高く、どんな精鋭魔術師でも不可能とされている魔法………………魂魄魔法だ。

 

「仮初めの肉体に宿りし彼の者の魂よ。我が導きに従い、元の肉体へと返り咲け………………"魂入替(ソウル・スワップ)"!」

 

すると、俺はフワリと浮き上がるような、不思議な感覚に襲われる。

ふと目を開けてみると、真下にサイファーの体が見えた。

そのままフワフワと、元の体の真上に移動させられると、ゆっくり下ろされる。

そして、下ろされる直前に閉じた目を再び開け、起き上がる。

 

『『『『『『『『『『オオーーーーッ!!』』』』』』』』』』

 

すると、住人達から歓声が上がった。

 

「成功だ!ミカゲが復活したぞ!」

「ミカゲが復活したのもそうだけど、あんな魔法を使えるラリーも凄いわ!」

「き、奇跡だ…………あの魔法も、この出来事も……」

「イテテテッ!コレは夢じゃねぇ!夢じゃねぇんだ!」

「エリージュ王国最強の英雄が!俺等の家族が!遂に!!帰ってきたぞぉぉおおおおッ!!!」

 

耳をつんざくような歓声が町一帯に響き渡る。

 

俺も、身体中に手を這わせて、元の体に戻った事を確認し、テーブルから飛び降りて歓喜の声を上げる。

それから少しすると、7人の女性達が………………俺の恋人達が近づいてきた。

皆して涙を浮かべながらも、笑顔で俺を見ている。

 

そして、声を揃えて言った。

 

『『『『お帰りなさい!私達の旦那様!!』』』』

 

未だあの指輪も渡してないのに旦那様呼びに昇格した事に、俺はずっこけそうになる。

だが、それを何とか堪え、此方も笑顔を浮かべた。

 

「ただいま!」

 

そう返すと、7人は激情に任せて一気に抱きついてきた。

その勢いで後ろ向きに押し倒されそうになるが、其処は上手く持ち直す。

 

そして、住人達からの歓喜の声に口笛や拍手が加わり、若干の恥ずかしさを覚えながらも、手を振って返す。

 

「(今度サイファーに会ったら、ちゃんと礼を言わないといけないな……そういや俺がこうして復活したら、あの体はどうなるんだ?アニメみたいに、光になって消える…………とか?)」

 

天国で見ているであろうサイファーの事を頭に思い浮かべた時、歓声や拍手がピタリと止んだ。

 

「………………ん?」

 

急に止んだ事を疑問に思った俺は、住人達が向いている、ある方向へと視線を向ける。

その方向は、俺の右後ろ………………ちょうど、サイファーから借りた体が置かれているテーブルの方だった。

 

「う~んッ!………あ~、やっと元の体に戻れたぜ………」

『『『『『『『『『『……………………』』』』』』』』』』

 

俺達の視線の先では、本来なら動かない筈のサイファーの体が動いていた。

気持ち良さそうに言いながら上体を起こし、大きく伸びをすると、テーブルから飛び降りて俺の元へと歩み寄ってくる。

そして、俺に笑みを浮かべて言うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっ、神影。また会ったな」

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