サイファーや、チート化した神影達のステータスは如何に!?
──注意──
サイファーの本名はオリジナルです。
「さて……………それじゃあ始めるぞ?」
「おう、よろしく頼むぜ」
サイファーのガルム隊加入が決まったのもあり、俺は彼女に僚機勧誘を使おうとしていた。
僚機勧誘を使った際のラリーの反応からして、恐らく彼女も頭痛を起こしかねない。
そのため、一旦サイファーをベッドに座らせてから能力を使う事にしたのだ。
まあ、能力を使う際、エメル達人型戦闘機の場合は何故か頭痛を起こさなかったから不思議なんだけどな。
「さて、自分から誘っといて言うのも変な話だが………………本当に良いんだな?この世界では戦闘機なんてオーバーテクノロジーの塊でしかないから、この先かなり面倒な事に巻き込まれるかもしれないぜ?」
念のために訊ねると、サイファーは鼻で笑った。
「ハンッ!面倒事なんて俺に言わせりゃ今更だぜ。軍人時代はドンだけ大変な目に遭ってきたか……………お前も、俺の事を知ってるなら分かるだろ?」
「まあ、そうだな」
そんな彼女の言葉にラリー達が首を傾げている中、俺はただ1人、苦笑を浮かべていた。
エースコンバットシリーズで、サイファーと言う人物が登場した作品──『ACE COMBAT ZERO THE BELKAN WAR』──。
この作品において、サイファーが1番機を務めたガルム隊が、どんなミッションを乗り越えてきたかについては、プレイ経験のある俺がよく知っている。
度々襲い掛かってくる敵のエース部隊、"円卓"と言う別名を持つB7Rでの激戦や、レーザー兵器"エクスキャリバー"、相棒だったピクシーの離反、そして、V2再突入を巡るピクシーとの激戦……………………これ等を潜り抜けてきた彼女からすれば、確かに今更だな。
「アンタの言う通りだよ、サイファー。確かに今更な事だ」
そう言って、俺は彼女の額に右手を翳した。
「それじゃあ、始めるか」
「おう、よろしく頼むぜ」
サイファーからの了承を改めて得た俺は、能力を発動させる。
すると、様々な色を含んだオーラのようなものが、腕を伝って手に移動し、そのままサイファーの額に吸い込まれていった。
「…………ッ!?」
すると、彼女の表情が苦痛に歪んだ。
「何だよ、コレ…………めっちゃ、痛いじゃねぇかよ………………ッ!」
頭を抱え、あの時のラリーと同じ反応を見せるサイファー。
恐らくだが、コレが普通の反応で、能力使っても頭痛を起こさないのは、人型戦闘機だけなんじゃないだろうか?
人型戦闘機なら、元々が戦闘機だから空を飛ぶノウハウだって当然知ってるだろうし、それ故に能力を使っても頭痛が起きないんだと説明出来る。
そして、人型戦闘機以外の種族を持つ者に使うと、それがたとえ戦闘機のパイロットだったとしても、操縦して飛ぶのと機体を纏って飛ぶのでは訳が違うから、その感覚とかを一気に叩き込むために、このような頭痛を引き起こすのだろう。
「サイファー、取り敢えず今は動くな。多分その頭痛は、機体を纏って飛ぶ事の感覚とかを一気に叩き込んでるから起こってるんだ。暫くすれば収まるから、先ずは痛みが引くのを待て」
俺がそう言うと、サイファーは頷いた。
それから暫くの間、俺達は彼女の頭痛が収まるのを待ち続けた。
「……………落ち着いたか?」
「ああ、何とかな」
あれから数分程経ち、サイファーの頭痛は収まった。
俺の質問に頷いたサイファーは、ゆっくりと立ち上がる。
「あ~、クソ痛かった……………それにしても、まさかいきなり頭痛が起こるとは思わなかったな………あんな痛いのは2度と御免だぜ」
サイファーがそう言うと、ラリーが相槌を打った。
同じ痛みを経験した者として、彼女に共感しているんだろうな。
「まあ何はともあれ、今からサイファーと、立派なガルム隊メンバーになった筈だ………一応確認しておきたいから、ちょっとステータスを見せてもらっても良いか?」
「ああ、別に良いぜ」
許可を貰い、俺は鑑定を使って彼女のステータスを確認した。
表示された彼女のステータスは、以下の通りだ。
名前:ギムレー・オールダム
種族:Unknown
年齢:26歳
性別:女
称号:異世界人、不死身のエース、歴史の闇に消えた者、天空の女王、イレギュラー、戦友、
天職:航空傭兵
レベル:300
体力:75000
筋力:70000
防御:69000
魔力:68000
魔耐:67000
俊敏性:70000
特殊能力:言語理解、空中戦闘技能、僚機念話、魅了・催淫無効化、錬成『アレスティング・ワイヤー』、錬成『カタパルト』、対G耐性、機体回復速度向上(極)、魔力応用、高速回復、成長速度向上(極)、兵装制限解除
「………………………」
What the hell is this?(何だこりゃ?)
いや、ホント。ちょっと待とうぜ?
何コレ?此方の世界に来て1日も経ってないのに強すぎるだろ。おまけに称号も矢鱈持ってるし。
おまけに"対G耐性"除けば、俺が持ってる能力全部表示されてるじゃねぇかよ。
「何つーか…………スゲェな」
驚きのあまり、俺にはそう言う事しか出来なかった。
ラリー達も同じようにして彼女のステータスを見たらしく、唖然とした様子で、俺と同じようなコメントを呟いた。
「え~っと…………ありがとう……?」
何故か疑問形で、彼女はそう言った。
まあ、何だかんだ言っても、彼女はこの世界では初心者。
天国から見ていたのかもしれないが、実際に来たとなれば右も左も分からないような状態だろうから、こうなるのも仕方無いか。
それから何と無く、部屋は微妙な雰囲気に包まれる。
何と言えば良いのか分からず、全員が口を閉ざしていた。
「そ、それよりさぁ!」
そんな雰囲気が流れて少しすると、急に声を上げる。
「お前等のステータスも見せてくれよ。俺だけ見せるなんて不公平だし!」
その提案を断る理由は無いし、最近は色々あって全員のステータスを見せ合う機会など無かったため、俺達は彼女の提案を呑み、其々のステータスを見せ合う事にした。
俺達のステータスは、其々以下の通りだ。
名前:古代 神影
種族:Unknown
年齢:18歳
性別:男
称号:異世界人、
天職:航空傭兵
レベル:420
体力:212500
筋力:206800
防御:208400
魔力:166000
魔耐:170000
俊敏性:265000
特殊能力:言語理解、僚機勧誘、空中戦闘技能、僚機念話、魅了・催淫無効化、錬成『アレスティング・ワイヤー』、錬成『カタパルト』、拡声、アルコール耐性、気配察知、馬鹿力、
名前:ラリー・トヴァルカイン
種族:
年齢:19歳
性別:男
称号:追いやられし者、
天職:航空傭兵
レベル:400
体力:200000
筋力:197000
防御:199000
魔力:1950000
魔耐:2100000
俊敏性:230000
特殊能力:詠唱破棄、全属性適性、魔力感知、空中戦闘技能、僚機念話、魅了・催淫無効化、錬成『アレスティング・ワイヤー』、錬成『カタパルト』、拡声、アルコール耐性、
名前:エメラリア・モルガネード
種族:人型戦闘機(ADFX-01/02 Morgan)
年齢:18歳
性別:女
称号:戦う理由、背徳の妖精、戦烏、妖精の女王、第二の太陽、自重知らず
天職:航空傭兵
レベル:370
体力:120000
筋力:115000
防御:110000
魔力:114000
魔耐:112000
俊敏性:150000
特殊能力:言語理解、空中戦闘技能、僚機念話、魅了・催淫無効化、魔力応用、成長速度向上(極)、兵装制限解除、
名前:ゾーイ・ファルケン
種族:人型戦闘機(ADF-01 Falken)
年齢:17歳
性別:女
称号:機械仕掛けの女神、アルゴスの目、雷鳥、一条の光明、Z.O.E、自重知らず
天職:航空傭兵
レベル:365
体力:100000
筋力:96000
防御:96000
魔力:95000
魔耐:94000
俊敏性:99000
特殊能力:言語理解、空中戦闘技能、僚機念話、魅了・催淫無効化、魔力応用、成長速度向上(極)兵装制限解除、
名前:アドリア・アドラー
種族:人型戦闘機(ADA-01B Adler)
年齢:17歳
性別:女
称号:ロマンティックな愚か者、電動ノコギリ、二人鷹、アンズー、自重知らず
天職:航空傭兵
レベル:365
体力:140000
筋力:128000
防御:130000
魔力:90000
魔耐:91500
俊敏性:100000
特殊能力:言語理解、空中戦闘技能、僚機念話、魅了・催淫無効化、魔力応用、成長速度向上(極)、兵装制限解除、
名前:ユリシア・フェリアーネ
種族:人型戦闘機(XFA-33 Fenrir)
年齢:13歳
性別:女
称号:寂しがりな一匹狼、群狼、世界喰らい、神々の黄昏、エリート様、ALECT、自重知らず
天職:航空傭兵
レベル:350
体力:70000
筋力:65000
防御:68000
魔力:64000
魔耐:69000
俊敏性:75000
特殊能力:言語理解、空中戦闘技能、僚機念話、魅了・催淫無効化、魔力応用、成長速度向上(極)、兵装制限解除、
名前:グラン・ノスト
種族:人型戦闘機(CFA-44 Nosferatu)
年齢:23歳
性別:女
称号:託すもの、ミサイルサーカス、レールガン、デイウォーカー、冥王、蝶使い、カーミラ、自重知らず
天職:航空傭兵
レベル:395
体力:180000
筋力:174000
防御:130000
魔力:142000
魔耐:150000
俊敏性:215000
特殊能力:言語理解、空中戦闘技能、僚機念話、魅了・催淫無効化、錬成『アレスティング・ワイヤー』、錬成『カタパルト』、魔力応用、成長速度向上(極)、無人機展開、
名前:ギャノン・レイフェル
種族:人型戦闘機(X-49 Night Raven)
年齢:21歳
性別:女
称号:濡烏、星の円蓋、闇夜の凶鳥、ネバーモア、決意、化け物、空を目指す翼、ARCHNEMESIS、自重知らず
天職:航空傭兵
レベル:395
体力:195000
筋力:190000
防御:186000
魔力:180000
魔耐:182000
俊敏性:220000
特殊能力:言語理解、空中戦闘技能、僚機念話、魅了・催淫無効化、魔力応用、成長速度向上(極)、兵装制限解除、
………………ふむ、以前の王都での戦いもあって、皆大きくレベルアップしたようだが…………
「(…………ちょっと成長しすぎじゃね?)」
俺以外のメンバーのステータスを見て、俺は内心そう呟いた。
王都での戦いがあったとしても、こんなにも大幅なレベルアップや称号の追加は流石に有り得ない。
そもそも、俺がサイファーの体を借りて復活した日に見たラリーのレベルは、確か355だった筈。
それが今日になって400にまで跳ね上がってるとか………………一体、この数日間に何があったんだ?
それに何か知らんが、俺のステータスに見た事も無い特殊能力が幾つか追加されてる。
一体全体、何がどうなっているのやら………………?
「………………相棒?ねえ、相棒ったら!」
「ヘァアッ!?」
ラリーに声を掛けられた俺は、何処ぞの伝説の戦闘民族みたいな声を上げて驚いてしまう。
「どうしたの?僕等のステータスをじっと見ちゃって………………何か変な部分でもあった?」
ラリーが怪訝そうな表情を浮かべて聞いてくる。
「いや、その…………お前、俺が復活した日と比べて強くなってねぇか?それにエメル達も、あの戦いがあったとは言え、何か強くなりすぎてるような気がするし……………」
「……………ああ、その事か」
ラリーはそう言うと、納得したと言わんばかりの表情を浮かべて両手を合わせた。
「……………?何かやってたのか?」
俺が訊ねると、ラリーは何故か恥ずかしそうに頷いた。
「うん、それがね………………」
「………………と言う訳なんだよ」
そう言って、ラリーは話を終えた。
その内容は以下の通りだ。
どうやらラリー達は、俺が復活するまでの数日間や、アリさんと共に、白銀に請求書を渡すために出掛けている間を利用して、迷宮の攻略や模擬空戦でトレーニングをしていたらしいのだ。
それで、迷宮攻略の際には、初っぱなからレベルの高い魔物が出てくるようなハイレベルの迷宮を荒らし回ったり、群れで行動している魔物を殲滅したりしている内に、こんなに強くなっていたと言うのだ。
「成る程な………………でも、なんで今まで秘密にしてたんだ?それぐらい言ってくれたって良いじゃねぇかよ。俺だって久し振りに、お前等と迷宮攻略したかったのに…………」
『『『『……………………』』』』
俺がそう言うと、ラリー達は黙り込んでしまった。
「それには、何か理由があるんじゃねぇのか?」
すると、ずっと黙っていたサイファーが突然口を開いた。
「まあ、神影が復活するまでの期間は言いようが無いから置いとくとして………………お前に秘密でトレーニングをするなら、それなりの理由があるんだろうよ」
そう言うと、サイファーはラリー達に目を向ける。
「そうなのか?」
試しに訊ねてみると、ラリーは頷いた。
「相棒…………王都での戦いで現れた泥人形の事、覚えてる?」
ラリーが突然、そんな事を訊ねてきた。
「ああ。それで俺が、王都住人やら御劔やらに急かされて、回復無しで飛び出したっけ」
あの時は何も言わずに出たけど、彼奴等の言い方は不満だったな。
思いっきり今更だが、怪我してるんだから回復する時間ぐらいくれよって話だよ、全く。
「それで……………1人で出ていく相棒を見て、思ったんだ」
「…………何を?」
俺は、過去の事に向いていた意識を現実に引き戻し、ラリーに訊ねる。
「…………結局僕達は、肝心な場面で相棒に頼りっぱなしだったって事だよ」
ラリーはそう言った。
「相棒、何でもかんでも1人で背負い込もうとするだろ?リーアの一件と言い、王都での戦いと言い………だから………………」
「………………俺が1人で抱え込まなくても良いように、トレーニングして強くなろうとしたって事か?」
その問いに、ラリーは頷いた。
「へぇ~、中々愛されてるじゃねぇかよ。神影」
それを見たサイファーがそう言った。
「ですから、ミカゲ様………」
「ん?何だよゾーイ………………うおっ!?」
急に声を掛けてきたゾーイに聞き返そうとしたのだが、俺が最後まで言い終えるのも聞かず、ゾーイが迫ってきた。
「あのような無茶を、2度としないって約束してください」
「え、えっt………「今後、一切ですからね?」………は、はい」
さらに顔を近づけ、強い口調で言うゾーイの気迫に圧されて、俺は頷いた。
それを見たラリー達は、満足そうに頷いた。
その直後に部屋のドアがノックされて、宿の娘さんが入ってくると、ギルドでパーティーの準備が出来た事を伝えられ、俺達は部屋を出てギルドへと向かった。
さて、それからギルドに到着した俺達は、先ずエスリアに声を掛けて、サイファーのガルム隊加入を伝えてパーティー再編成の手続きをしてもらった。
その際、彼女からギムレーと呼ぶように言われたため、今後はその名前で呼ばせてもらおう。
そんなこんなで、今はギルド内に居る冒険者や職員達は、ジュース入りのグラスを持っていた。
開け放たれたギルドのドアの向こうには、住人達の姿も見える。
「え~……………んじゃ、ボウズの完全復活と、サイファー改めギムレーの仲間入りを祝して、乾杯!」
『『『『『『『『『『乾杯!!!』』』』』』』』』』
何時ものように、オッチャンの音頭で全員がグラスを掲げ、パーティーが始まった。
パーティーが始まると、冒険者や町の住人達は、完全復活を果たした俺に祝いの言葉を掛けてくれたり、ギムレーに声を掛けたりしていた。
「ギムレーの奴、すっかり人気者になったな」
冒険者達に囲まれているギムレーを見ていると、ギャノンさんが話し掛けてきた。
「まあ、ガルム隊の新人ですからね。こうなるのも当然ですよ。それに、ギャノンさんやグランさんの時だって、同じような反応だったじゃないですか」
「まっ、確かにそうだな」
そう言って、ギャノンさんはグラスに入ったジュースを飲み干した。
「それもそうだがミカゲ、そろそろオレやグランに"さん"付けるのと敬語止めようぜ?何か他人行儀だから嫌なんだが」
空になったグラスをテーブルに置いて、彼女はそう言った。
「……………何と言うか、2人には敬語で話すのが染み付いてまして」
「でもお前、ギムレーは年上なのにタメ口で話してるじゃねぇかよ。おまけに、人型戦闘機の中ではオレとグランだけTACネーム貰ってねぇし」
口を尖らせて、如何にも『私、不機嫌です』と言わんばかりの表情を浮かべるギャノンさん。
「(あ~、そう言えば2人のTACネーム、未だ考えてなかったな………最近色々あったから考える暇も無かったぜ……………)」
内心そう呟き、俺は後頭部を掻いた。
「まあ、TACネームについては追々考えてくれや。取り敢えず今後、オレやグランの"さん"付けと敬語は無し。良いな?」
「お、おう……………了解」
俺がそう言うと、ギャノンさん改めギャノンは満足そうに頷いた。
そして席を立つと、ソブリナ達に絡みに行った。
多分、さっきのやり取りの事を自慢するつもりなんだろう。
「ミカゲ殿」
ギャノンの後ろ姿を見ていると、今度は落ち着き払った女性の声が聞こえてきた。
「ああ、ナターシャさん」
振り向くと、其所に居たのは我が恋人の1人であるエミリアの母にしてクルゼレイ皇国の女王、ナターシャさんだった。
「お隣、よろしいですか?」
「ええ。どうぞ」
俺がそう言うと、ナターシャさんはゆっくり腰を下ろした。
「それにしても、此処は本当に良い町ですね。住人の皆様は、この国からは敵として見られている国の王族である私やエミリアでも受け入れてくださるのですから」
柔らかな笑みを浮かべてそう言うと、ナターシャさんは他の冒険者達と談笑しているエミリアに視線を向けた。
「まあ、この町の人達は、ゾーイ達みたいなヒューマン族以外の連中でも受け入れてくれますからね。一言で言えば、この国唯一の良心でしょう」
「確かに、その通りですね」
俺の言葉に、ナターシャさんは相槌を打った。
俺は微笑んで、グラスに入ったジュースを口に含み………………
「ところでミカゲ殿、何時になったら娘を貰ってくださるのですか?」
「ぶふぉあっ!?」
………………盛大に吹いた。もう、アニメみたいに思いっきり。
「ゲホッ!ゴホッ!………ちょ、いきなり何を……………!?」
「あら、貰ってくださらないのですか?娘は何時も、貴方に求められる日を妄想している程、貴方に恋い焦がれているのですよ?そう、例えば………………私が部屋を訪ねた時には、ベッドに潜って艶かしい声で貴方の名を呼びながら、1人で……………」
「お、お母様!ミカゲ様に何言ってるんですか!?」
ナターシャさんによるエミリアのプライベート大暴露大会が始まろうとしたが、其処で、話を聞き付けたらしく、エミリアが割り込んできた。
ネット小説を読んでいた際、R-18版ではなくても、それっぽさを思わせるような描写があったので、ナターシャさんが言おうとしていたような事に関する知識は、決して皆無と言う訳ではない。
そのため、俺は何と無く気まずくなってしまう。
「み、ミカゲ様!私は決して、お母様が言っていたようなふしだらな女ではありませんからね!?勘違いしないでくださいね!?」
「お、おう…………分かったよ……………」
エミリアの気迫に圧倒されながら返事を返すと、今度はナターシャさんに矛先を向ける。
「お母様も、あまり変な事は言わないでください!ミカゲ様に、私がイヤラシイ女だと思われちゃうじゃないですか!!」
「本当の事でしょうに…………」
エミリアが必死になって言うが、ナターシャさんは、未だボソボソと何かを呟いている。
「お・か・あ・さ・ま!!」
「フフッ……………はいはい、分かったわよ」
ナターシャさんが苦笑を浮かべながら返事を返すと、エミリアはプンスカしながら戻っていった。
「やれやれ、全くあの娘ときたら……………ねえ、ミカゲ殿?」
「いやいや、普通、自分の恥ずかしい事暴露されそうになったら、誰でもエミリアみたいになりますよ……………ナターシャさん、自分の娘に対してマジで容赦無いッスね……………」
クスクス笑いながら言うナターシャさんに、俺はひきつった笑みを浮かべてそう返した。
取り敢えず、この人を敵に回したら色々な意味でヤバい目に遭わされかねないと言うのがよく分かった。今後は気を付けよう。
「ま、まあ取り敢えず…………」
俺はそう言って、話題を変える。
「ナターシャさんは、俺がエミリアを嫁に貰う事については…………」
「ええ、賛成ですよ?」
彼女はあっさり答えた。
「……………一応言いますが、俺の恋人はエミリアだけではないんですよ?」
「存じています。それらを知った上で、賛成しているのです」
「そ、そうですか………………」
どうやらナターシャさんは、俺がエミリア以外に恋人が居る事を承知の上で、俺がエミリアを嫁に貰う事に賛成しているらしい。
なら、後は俺次第って事か……………………
「ナターシャさん」
俺は彼女に向き直った。
「娘さんを、自分にください。自分の恋人達共々、必ず幸せにしてみせます」
そう言うと、ナターシャさんは一瞬面食らったような表情を浮かべたが、次の瞬間には、またさっきのような柔らかな笑みを浮かべた。
「ええ、此方こそ………………不出来な娘ですが、よろしくお願いします」
そう言って、ナターシャさんが頭を下げた時だった。
『『『『『『『『『『うおおおぉぉぉぉおおおおおおおおおおぉぉおおおっ!!!』』』』』』』』』』
『『『『『『『『『『キマシタワーーーーッ!!!』』』』』』』』』』
ギルド内に歓声が響き渡った。
「やりやがった!遂にミカゲがやりやがったぜ!!」
「こんな場面で嫁にくれ宣言とは、見せつけてくれるじゃねぇか!」
「おい!今直ぐ赤飯炊け!!暫くは祭りが続くぞ!」
「式場の準備とかも忘れんなよ!?」
「私、ちょっと周辺の村や町に行って食材買い足してくるわ!」
「じゃあ私は花束の準備を!」
「私、宿に戻ってミカゲさん達専用の特別な部屋の増築依頼出してきます!」
「いいや、部屋なんかじゃ駄目だ!この際だからミカゲ達の家を建てるんだよ!それも、思いっきり豪勢なのをね!」
「ミー君、私はルージュ冒険者ギルド支部長として鼻が高いぞ!まさか、私のギルドの冒険者が王族と結婚するなんて夢にも思わなかった!!」
「おめでとう、相棒!!」
「ちゃんと幸せにしてやるのよ、ミカゲ!」
「はわわわ………………お、おめでとうございますぅ~~!!」
何か凄い事になってるぅぅぅぅうううううううっ!!?
それと宿の娘さん!?一個人のために其処までしなくて良いから!?
「ちょっとミカゲ!エミリアにしたんだから、私達にもプロポーズしなさいよ!!」
「み、ミカゲ様…………わ、私にも……」
「ミカゲ…………私達にもプロポーズ、して……………?」
「ミカゲさん!私にもしてください!私なんて最近、ミカゲさんと話す描写すら無かったんですから!」
「ちょっ、エスリア!メタ発言するんじゃありません!!」
「あらあら、皆元気だね…………それじゃあ、私も仲間に入れてもらおうかな?」
「あっ、お前だけズルいぞグラン!おい、ミカゲ!オレも交ぜてもらうからな!」
「いや、なんでやねん!?」
こうして、昼から始まった俺の復活&ギムレーの歓迎パーティーは驚くべき方向に進んでしまい、俺は恋人達からは抱きつかれ、何故かグランやギャノンにも抱きつかれ、ギムレーには生暖かい目で見られ、他の冒険者や住人達、アリさんやラリー、エメルやリーアからの拍手喝采や冷やかし大会へとシフトしていた。
まあ、そんなこんなで、このドンチャン騒ぎは翌朝まで続いた。