航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

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第146話~錯乱とお見送り!そして………~

俺がナターシャさんに、『娘さんを嫁にください』発言をした事が原因で、ラリーや他の冒険者達からの冷やかしパーティーへと発展した、俺の完全復活&ギムレーの歓迎パーティー。

ソブリナ達が対抗心を燃やして迫ってきたり、それを見た他の冒険者達から拍手喝采や冷やかしを受けたりしながら大騒ぎしている内に、気づけば夜も明けていた。

 

「………………まさか、夜通しドンチャン騒ぎする事になるとは思わなかったな」

「ああ。コレばっかりは僕も予想外だったよ」

 

騒ぎ疲れて雑魚寝している冒険者や住人達を見ながら、俺とラリーはそう言った。

 

「それにしても、他の皆が寝てる中で起きてる僕達って……………何か凄いと思わない?色々な意味で」

 

そう言うラリーに、俺は相槌を打った。

思い返してみれば、こう言うぶっ続けのパーティーの後は毎回、俺等2人以外全員が騒ぎ疲れて雑魚寝していた。

 

俺とラリー以外のガルム隊メンバーは、他の冒険者達と同じように床で雑魚寝しており、エミリアやナターシャさんは、椅子に座り、机に突っ伏して寝ている。

まるで、バーで酔い潰れた客みたいだ。

「…………少なくとも、この2人の寝相は王族がやるようなモンじゃねぇよな。居酒屋の酔っ払いみたいな寝相しちまって…………」

 

俺がそう言うと、ラリーは苦笑を浮かべた。

 

「まあ、仕方無いよ。此処、そもそも王宮じゃないからね」

「そうだけどさ………」

「じゃあ相棒、君は女王陛下や姫さんに、他の冒険者みたいに雑魚寝しろと言うのかい?それも彼処で寝てるオッチャンみたいに」

 

ラリーはそう言って、カウンター席付近で寝ているオッチャン冒険者達を指差した。

オッチャン達は、腹を出してゴーゴーと鼾をかいている。

 

「………………うん、そうだな。少なくとも、あれよりマシだ」

「そうだろ?」

 

ウンウンと頷きながら言う俺に、ラリーはそう返した。

 

「まあ、他の皆は後から起こすって事で良いとしても、この2人は早めに起こして帰さないと駄目だろうな。何せ隣国の王族なんだから、下手に長居させる訳にもいかねぇし」

「そうだね……………あっ」

 

俺の呟きに、頷いたラリーは、何かを思い付いたような表情を浮かべた。

 

「ねえ、相棒。僕、良い事を思い付いたんだけど」

「……………一応、聞くだけ聞いてやるよ。何だ?」

 

ニヤニヤしながら言うラリーに何と無く嫌な予感を感じながら、俺はそう言った。

 

「姫さんを起こすのは、君からの熱くて濃厚なキス………………と言うのでどうだろう?」

「はぁ………………そんな事だろうと思ったぜ」

 

俺は溜め息混じりにそう言った。

コイツ、俺に恋人が出来てから時折冷やかしてくるからな。

 

「何だよ相棒、愛しの姫さんにキスするのが嫌なのかい?」

「いや、別にそう言う訳じゃないんだが……………つーかお前、俺をからかって楽しんでないか?」

 

ホラホラと言わんばかりの表情を浮かべているラリーに、俺はそう言う。

 

「"からかう"なんて人聞き悪いなぁ、そんな訳無いじゃないか。僕は、ただ提案してるだけなのさ」

 

ラリーはそう返してきたが、そんなニヤニヤしながら言われても、説得力は皆無に等しい。

 

「それで相棒、姫さんにキスするの?しないの?」

「はぁ………………はいはい、分かったよ。やりますよ」

 

コイツに上手く乗せられているのが癪だが、キスしたくないと言う訳ではない。

 

溜め息混じりに返事を返した俺は、テーブルに突っ伏して寝ているエミリアに近づくと、その可愛らしい寝顔を覗き込む。

 

「んっ………すぅ………」

 

肩を小さく上下させ、これまた小さく寝息を立てているエミリア。

その横で寝ているナターシャさんも、エミリアと同様に寝息を立てているのだが……………

 

「んっ、んぅ………んぁ…………」

 

………………何と無く色っぽい。

コレが人妻の色気と言うヤツなのか。それに、エミリアの寝息も、可愛らしさの中から僅かに色気も感じて………………

 

「(………………って、馬鹿!何考えてるんだ俺は!?こんな馬鹿な考えが許される訳ねぇだろうが!己の愚かさを知れ!!俺!!)」

 

思いっきり頭を振ると、俺は詠唱破棄を使って雷属性の魔法を発動させ、その強力な電流を俺に向けて流した。

 

「ァァアアアバババババババァァァァアアアッ!!?」

『『『『『『『『『『ッ!?』』』』』』』』』』

 

自分のステータスの高さ故に異常な威力の電流を受けた俺が奇声を響かせると、雑魚寝していたギルド内の連中全員が跳ね起きた。

それは、エミリアやナターシャさんも例外ではなく、俺の叫び声に驚いて目を覚ましてから立ち上がるまでの動きは、何処ぞの黄色いタコ型生物もビックリな速さだった。

「ちょちょちょちょっ、一体何してるんだよ相棒!?ただでさえステータス高いのに自分で雷属性の魔法浴びるなんて、自殺行為も良いところだよ!?」

 

自分でも予想外と言える程に高い威力の電流を浴びた俺が、黒焦げになった身体中から黒煙を噴き上げながら倒れると、ラリーが駆け寄ってきた。

他の冒険者達も、何事かとばかりに集まってくる。

 

「ちょ、ちょっと相棒!まさかとは思うけど死んだりしてないよね!?こんな間抜けな死に方するような君じゃないよねぇ!?」

 

俺を抱き起こしたラリーが、体を揺さぶりながら声を掛けてくる。

「だっ………大丈夫、だよ…………ちょっと、自分を………お仕置きした、だけさ………」

「ちょぉ~っと何言ってるのか分からないよ!?お、おい相棒!気絶してんじゃねぇよ、さっさと起きろって!変な事言ったのは謝るからさぁ!ちょっと相棒!?相棒ぉぉぉぉおおおおおおっ!!?」

 

薄れ行く意識の中で俺が見たのは、必死の形相で俺を揺さぶるラリーと、その場の状況についていけずにオロオロしている、他の冒険者や住人達の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ………全く君って奴は………呆れるべきなのか、尊敬するべきなのか…………」

「いやはや、面目無い」

 

さて、あれから暫く経って支部長室のソファーの上で目を覚ました俺は、あのような奇行に走った原因を問い質されていた。

どうせ隠しても仕方無いので、俺は包み隠さず全て話し、それを聞いたラリーは盛大な溜め息をつき、右手を額に当ててヤレヤレとばかりに首を左右に振っていた。

どうやら、心底呆れているようだ。

 

「まあ、ミー君が女性に対して誠実な人だと言うのは、前々から知っていたけど……………まさか、ちょっとイヤラシイ妄想したぐらいであんな事をするとは思わなかったね」

 

アリさんが苦笑を浮かべながらそう言った。

 

「ミカゲ………女の子に対して、堅すぎ………」

 

ニコルが、アリさんの言葉に相槌を打ちながら言葉を続けた。

 

「まあ、この世界の風潮に乗じて手当たり次第に手を出そうとするような連中よりかは好感を持てるけど…………………流石にコレは、ちょっとやり過ぎよね」

 

ソブリナがそう言い、エリスも頷いている。

 

「もう、ミカゲ様ったら……そんなの、我慢せずに言ってくだされば………幾らでも、お相手するのに…………」

 

頬を赤らめたエミリアが体をくねらせながら、何やらトンでもない事を呟いているようだが、取り敢えずスルーさせていただこう。

 

「あらあら……………ミカゲ殿も、年頃の男の子ですね」

「そ、その………ホント、すんません」

 

ナターシャは笑って許してくれているようだが、流石にあんな失礼極まりない事をしたんだから、ちゃんと謝らなければならない。

俺は立ち上がってナターシャさんの方を向くと、深々と頭を下げた。

 

「フフッ、別に気にしていませんから、そんなに謝らないでください。若い男性なのですから、こう言う事の1度や2度はあるものですわ」

 

ナターシャさんはそう言った。

未だ宣言しただけとは言え、エミリアと婚約した事で、俺がナターシャさんの義理の息子になるからなのか、矢鱈と俺に優しくしてくれているような気がするが………………

 

……………………いや、そんな考え方では駄目だ。コレは、1つの執行猶予みたいなものなんだ。

これ以上下手な事をして、ナターシャさんの信頼を失うような事が、決して起こらないようにしなければ………………ッ!

「あ~あ………」

「この様子だとミカゲ、絶対に変な方向で考えてるわね…………」

「やれやれ。慎重と言うべきか、堅すぎると言うべきか………」

 

ラリー達が呆れているのも知らず、俺は、何時か来るであろう我が恋人達との"初めて"について、もっと慎重に考えようと意気込むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まあ、そんなこんなあって、一先ず俺の容態が落ち着いたのもあり、昨日のパーティーの片付けをするべく1階に降りたのだが、既に片付けは終わっていた。

どうやら、俺が支部長室に運ばれてから、残されたギルドのメンバーや住人達で片付けを終わらせてくれていたようだ。

 

そうして、エミリアとナターシャさんはルージュの人達に挨拶した後、ラリーの転移魔法で、クルゼレイ皇国へと帰っていった。

 

 

 

 

 

『では、ミカゲ様……………改めて、貴方からプロポーズしていただける日を、お待ちしています』

『フフッ……………それではミカゲ殿、エミリアの事、よろしくお願いします………………ああ、何ならエミリアのついでに、私にもしてくれて良いんですからね?それに、貴方が望んでくださるなら、その後の…………夜のお相手だって、してあげますわ……………』

 

頬をほんのり赤く染めたエミリアや、彼女と同じように頬を赤く染めて、誘うような表情を浮かべたナターシャさんの2人からの言葉&キスと言う、何とも甘い置き土産を残して。

 

……………………因みにその後、ナターシャさんからのお言葉には、全力でツッコミを入れさせていただきました。

 

 

 

 

「それにしても、まさか外国の王族までやって来るなんて………………なあ、神影。お前マジで何者なんだ?」

2人がラリーと共に消えると、ギルド内に居た冒険者達は、俺に祝福の言葉やら冷やかしの言葉やらを投げ掛けながら解散していった。

 

それからボーッと突っ立っていると、近寄ってきたギムレーがそんな事を訊ねてきた。

 

「"何者"、ねぇ………………ただの冒険者パーティーのリーダーだよ」

「いやいや、そんなのが外国の王族に気に入られる上に婚約出来る訳ねぇだろ」

 

彼女の質問に答えると、直ぐ様ツッコミを入れられる。

 

「まあ良いや………………それよか神影」

 

そう言うと、ギムレーは俺やエメル、そして、ちょうど帰ってきたラリーに目を向けた。

 

「お前等3人って、俺やピクシーの名前使ってるだろ?称号にもそれっぽいのあるじゃねぇか。おまけに機体も」

「…………そう、だな………」

 

ギムレーにそう言われた俺は、微妙な返事を返した。

そう。今の俺は、冒険者パーティーとは言えガルム隊の1番機であり、TACネーム"サイファー"を名乗っている。

"円卓の鬼神(Demon Lord of The Round Table)"の称号もあるし、F-15Cもサイファー仕様だ。

そうなれば、ラリーの場合は言うまでもなく、ラリー・フォルクのコールサインやTACネームを持ち、称号は彼の二つ名である"片羽の妖精(Solo Wing Pixy)"。

そしてF-15Cも、右主翼が赤くペイントされている。

最後にエメルは、機体がADFX-01/02。つまり、最終決戦でラリー・フォルクが乗っていた機体だ。

そして称号の1つとして、"戦う理由"がある。

 

やはり、実際に様々な戦場を潜り抜けてきた者として、その辺りについては良く思っていないのだろうか………………?

 

「そう身構えるなよ、別に文句つけたい訳じゃねぇんだからさ」

 

ギムレーは苦笑を浮かべながら、手をヒラヒラ振った。

 

「お前やラリー達がどうしようもないクズだったら反対してたし、そもそもお前が死んだ時、お前に会おうと思わなかったが…………お前等は人柄も良いし、自分達の強さをひけらかしたりしないから、少なくとも俺やピクシーの名を名乗る事については、文句言うつもりはねぇよ………………まあ神影の場合、何でも1人で抱え込もうとするのが問題だけどな」

 

そう言われた俺は頬を掻いた。

 

「まあ、その辺については追々改善していけば良いさ」

「お、おう」

 

何だかよく分からないままに、俺は頷いた。

 

「それよか神影、ちょっとやりたい事があるんだが」

「………………?」

 

いきなり話題を変えたギムレーに、俺は首を傾げた。

そしてギムレーは、ずいっと顔を近づけてこう言った。

 

「俺と、1回………………空中戦(ドッグファイト)してくれねぇか?同じ仕様の機体を使い、同じ称号を…………"円卓の鬼神(Demon Lord of The Round Table)"を持つ者同士でさ」

「ほう…………」

 

その提案を受けた俺は、自分でも分かる程に笑みを浮かべていた。

 

コレはまたとない機会だ。是非とも受けさせてもらおうじゃないか。

 

「良いぜ………………その勝負、乗った!」

「そう来ねぇとな!」

 

そうして俺達は、ラリーが帰ってくるのも待たず、ガラッと変わった雰囲気に戸惑う我が恋人達や他の冒険者達の間を縫うようにすり抜け、外へ飛び出すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、お二人共。僕はこの辺で」

「はい、ラリー様!」

「ごきげんよう、ラリー殿」

 

私とエミリアがそう言うと、ラリーは転移魔法で帰っていった。

 

「それもそうですが、お母様。ミカゲ様が婚約してくださったのは私ですからね?」

 

彼の姿が消えると、エミリアが直ぐ様そう言った。

 

「分かってるわよ、エミリア。でも、あのような反応をするミカゲ殿が、可愛くて………」

 

ジト目を向けてくるエミリアに、私はそう返した。

 

「もう、お母様は………………私、部屋に戻ります」

 

そう言って立ち去るエミリアを見送り、私も自室に戻った。

ドアを閉めるとベッドに腰掛け、先程のミカゲ殿とのやり取りを振り返る。

 

「それにしても、まさかミカゲ殿があんな事をするとは思わなかったわね……………」

 

私や娘のエミリアで、少しエッチな妄想をした程度で自分に電流を流したミカゲ殿。

別に妄想する程度なら、私としても文句は無かったのに……………寧ろ、嬉しいと言うか…………

 

そう思った時、私は、ある違和感を覚えた。

それは、ミカゲ殿への認識だった。

以前は、エリージュ王国において、冒険者登録を済ませた初日に黒雲を壊滅させ、最短期間で冒険者ランクの頂点、SSSランクに上り詰めた凄腕冒険者パーティーのリーダーであり、異世界から召喚された勇者メンバーの1人。

そして、娘や護衛騎士団の命の恩人として認識していた。

娘達の窮地を救ってくれたと言う点でも、メンバーの個々の戦力としても、彼等は是が非でも欲しい逸材だった。

 

完全な人間主義者であり、野心家である宰相、グリーツ・ボーアンが実権を握っているあの国からすれば、共存主義を掲げている我が国は、魔人族や他の亜人族並みに邪魔な存在。

彼の魔の手が我が国に及ばないようにするためにも、ミカゲ殿や、彼が率いるガルムを、エリージュ王国への牽制のための戦力として我が国に引き込む事が目的だった。

 

つまり、当時の私から見たミカゲ殿は、"娘達の恩人"であり、"貴重な戦力(になり得る存在)"程度だった。

 

でも日が経つに連れて、その認識は変わっていった。

きっかけは、同盟に関する話をするためにガルムの方々を呼び出した日の夜、エミリアがミカゲ殿に告白し、彼の7番目の恋人になったと言う事だ。

 

最初、エミリアからミカゲ殿と恋人になりたいとの相談を受けた時、私自身、彼と恋人関係になる事について反対する気は無かった。

娘の幸せを祈っていたのもあるし、ガルムとの繋がりを深めるチャンスだと思っていたのもあったからだ。

彼等を利用する事についての負い目は確かにあるが、この国の未来を思えば、こうする以外に方法は無い。

なので私は、このままエミリアがミカゲ殿と関係を深めてくれる事を期待した。

2人が仲を深めていけば、必然的にガルムと我が国の関係は一層深まる筈。

それによって、ガルムとの同盟の話も上手く進むようになるだろうと、私は感じていた。

でも、それから日が経つに連れて、その気持ちを塗り替えるような、また別の気持ちが生まれた。

当時、その気持ちが一体何なのか、はっきりとは理解出来なかったが、ミカゲ殿に、今までのものとは違う、特別な感情を抱いている事は分かっていた。

 

ミカゲ殿が勇者に殺された事を伝えられた日の夜は、ベッドに潜って一晩中泣いていたし、彼が仮の体を得て復活し、その姿を見せに来た日には、柄にもなく彼に駆け寄り、抱き締めていた。

そして今日の一件。

ミカゲ殿があのような行動をした事には驚いたが、私も女性として意識されているとなると、少し嬉しさを感じて、心臓も早鐘を打っていた。

そして別れ際には、『エミリアのついでに、自分も貰ってくれて良い』なんて事を言ってしまった。

しかも、"夜のお相手"なんて………………

 

「~~~~~~ッ!?」

 

思い返して恥ずかしくなった私は、自分がドレスを着ている事など気にせずベッドに飛び込んで、足をバタバタさせる。

この姿をエミリアが見れば、『お母様が壊れた!?』とか叫びそうだが、其処まで気にしていられるような余裕は無い。

 

それから数分程悶えると、少しずつ落ち着きを取り戻す。

そして寝返りを打って仰向けになると、ゆっくりと目を瞑る。

視界が真っ暗になるが、少しすると、まるで走馬灯のようにミカゲ殿と過ごした日々が映し出される。

 

私と世間話をして、笑っているミカゲ殿。未だ告白する前のエミリアに懐かれて、苦笑を浮かべているミカゲ殿。昨日のパーティーで、ルージュの方々に冷やかされているミカゲ殿………………

兎に角彼の事が、頭から離れなかった。

 

「ミカゲ殿………」

 

そう呟くと、心臓の鼓動が突然強くなって、体が、かぁっと熱くなる。

「ミカゲ殿………ミカゲ殿………!」

 

何故こんなにも、彼の事が頭に浮かぶのかは分からない。

だが私は、衝動のままに彼の名を呼び、火照った体をどうにか鎮めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お母様と別れ、自分の部屋に戻った私は、ベッドに腰掛けていた。

 

「(やっぱりミカゲ様は、凄い人でした…………)」

 

内心そう呟き、私はルージュでの事を思い出していた。

 

ミカゲ様は、常に大勢の人に囲まれている。

彼が何かを成し遂げた時には、ルージュの方々は自分の事のように喜び、ミカゲ様を祝っていた。

本来の体に戻り、完全に復活された時には、泣いて喜ぶ人だって居た。

 

その後のパーティーで、ミカゲ様がお母様に話していた時だってそうだ。

お母様が、ミカゲ様と私の結婚を許してくださった時は、その話を聞いていた冒険者や住人の方々が、ミカゲ様を冷やかしつつも、祝っていた。

 

強くて、優しくて、あんなに多くの人から慕われている………………………そんな方が、私の旦那様になるんだと思うと、凄く嬉しくて、誇らしい。

「でも、彼の妻になるのは…………私だけじゃないんですよね……………」

 

ミカゲ様がリーダーを務める冒険者パーティー"ガルム"のメンバーである、ゾーイ様やアドリア様。

冒険者パーティー"アルディア"の、ソブリナ様やニコル様、そしてエリス様。

最後に、ルージュ冒険者ギルドの受付嬢をしているエスリア様。

 

この6人と私が、ミカゲ様の妻になるんだ。

 

「えへ…………えへへへ……………」

 

そう思うと、自然と頬が緩んでしまう。

それと同時に、ミカゲ様との営みを想像して、体が熱くなってくる。

 

指輪を貰う日が………………式を挙げて、"初めて"を捧げる日が、今から楽しみで仕方無い。

今までは、あの時危うくお母様に暴露されそうになったように、ミカゲ様に会えない寂しさを1人で慰める夜を過ごしていたが、彼の妻になれば、そんな事は無くなるだろう。

それに、仮にミカゲ様が、何時か旅に出られるとしても、何かしらの連絡手段を用意してくださる筈。

そして、ミカゲ様が元の世界にお帰りになる日は、私も………………

 

「ミカゲ様………」

 

愛しい人の名を呼び、私は、火照った体に手を伸ばした。

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