航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

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第17話~旅館で1泊!そして別れ~

「此処が、エスリアさんが言っていた宿か…………」

「うん、そうみたいだね」

さて、ギルドを出た俺達は、エスリアさんに教えてもらった宿に到着した。

エスリアさん曰く、この宿は見た目は何処にでもある普通の宿だが、料理が非常に美味く、さらに風呂に入れる事で有名らしい。

風呂なんて何処の宿でもあるのではないかと思っていたが、実際はそうでもないらしい。

 

「殆んどの宿は個室のシャワーしか無いからね。お風呂がある宿は、結構珍しいんだよ」

「そうなのか…………」

 

隣に居るラリーが、そう付け加える。

 

城で生活していた時は普通に風呂があったのだが………まあ、アレか。

この世界では、風呂はこう言った一部の宿や、金持ちしか持てないって事か。

そう考えると、今まで日常的に使ってきたものの、ありがたさを感じるなぁ。

 

「まあ、何はともあれ宿に着いたんだ。早く入ろうぜ」

 

そう言って、俺達は宿に入っていく。

 

宿に入って一番に見えるのは、当然ながら受付カウンターだ。

俺達がカウンターに近づくと、この宿の看板娘なのであろう青髪の女の子が微笑みかけてきた。

 

「いらっしゃいませ!」

 

ニパッ!と癒される笑みを浮かべてくれる女の子。何か、エスリアさんみたいだな。マジで癒やされるわ~………

 

「ミカゲ、ニヨニヨしてないで用件言わないと」

 

ラリーに小突かれ、俺はハッとする。

 

「ああ、そうだった。えー、一泊したいんですけど。風呂付きで」

「はい。お部屋の方は……」

「2人部屋で」

「はい、分かりました。では、お二人様の宿泊なので、お一人様あたり銀貨8枚………合計、銀貨16枚になります」

 

そう言われ、俺とラリーで金貨を1枚ずつ出す。つか、何か料金高いような気がするのだが………まあ、風呂付きであるが故、かな?

因みに言い忘れていたが、銀貨10枚で金貨1枚になる。

そのため、俺とラリーで、其々銀貨2枚ずつのお釣りを受け取る。

 

「さてと………ホラ、俺等は済ませたから3人も………あれ?」

 

部屋の鍵を貰った俺は、後ろに居るアルディアの3人に声を掛けるのだが、3人は気まずそうな表情で立ち尽くしていた。

 

「お金………足りない…………」

「「ですよね~」」

 

恐る恐る言うニコルに、俺とラリーの声が被る。

 

「俺とラリーのお釣りをやっても、1人泊まるのが限界だからな……」

 

そう言っていると、俺に1つの案が浮かんだ。

俺はキョトンとした表情で成り行きを見ている女の子に近づき、声を掛ける。

 

「この宿って、今人手不足だったりしませんかね?」

「う~ん、そうですねぇ…………人手不足………とまではいきませんが、やはり、人手はあった方が良いですね」

 

女の子がそう答えると、俺は心の中でガッツポーズする。

 

「了解ッス」

 

そう言って、俺はどうしようかとオロオロしているアルディアの3人に近づいた。

 

「なあ、俺に考えがあるんだが………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい!此方に酒持ってきてくれ!」

「パン、もう1個追加で!」

「おーい!シチュー遅いぞ!」

「は、はーい!」

「今、持っていく………!」

 

さて、この宿の食堂では今、アルディアの3人が忙しなく動き回っている。

俺が3人に提案したのは、宿代をツケにしてもらう代わりに、宿の手伝いをする事だ。

3人には、頼まれてないとは言え服代を払ったりしたんだから、流石に宿代まで出す事は出来ない。

そのため、この案を持ち掛けたのだ。

 

宿側は料理を早く運べるし、3人も、一応金を払っている事になる訳だから、ちゃんと泊まる事が出来る。

うん、正にWin-Winな関係だな。

 

 

「いやぁ~、ミカゲも中々考えたね。ツケにする代わりに、3人に宿の手伝いをさせるなんて」

 

向かい側の席で食べているラリーが、食堂内を忙しなく動き回っている3人を見ながらそう言った。

 

「まあ、あのまま放置するってのは、流石に可哀想だからな………女将さんが受け入れてくれて良かったよ」

 

そう返して、おかずのシチューを口に運ぶ。

うん、美味い。日本に居た頃、母さんが作ってくれたシチューを思い出す。

ラリーも俺と似たような気持ちなのか、懐かしむような表情を浮かべて食べていた。

 

あっという間に平らげてしまったので、俺はおかわりを頼む。

 

「すんませーん!シチューおかわり!」

「はーい!」

 

返事を返したのはソブリナだった。

食事を終えて食堂を出ていった客の席の食器を片付けて厨房へと持っていき、少しすると、俺が頼んだおかわりのシチューを持ってくる。

 

「はい、お待たせ!」

「サンキュー、ソブリナ。それからお疲れ。大変ですねぇ」

「そう思うなら手伝ってよ」

「それは無理だな、お前等の仕事だから」

「むぅ………」

 

そう言ってやると、ソブリナは不満げに頬を膨らませながら、仕事に戻っていった。

 

軽く笑いながらそれを見送った後、俺は、ソブリナが持ってきてくれたおかわりのシチューを平らげ、ラリーが食べ終えると、一旦部屋に戻って風呂の用意を済ませ、風呂場へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お~、これはこれは………」

 

浴場に入った俺は、感嘆の息を漏らす。浴場は、日本に居た頃の銭湯そのものだ。

「こんなに大きな浴場は初めて見たよ……ミカゲはどうだい?」

「ああ、俺は此処に召喚される前に何度か見たから、初めてって訳じゃないが………って、え?」

 

後ろから話し掛けてきた人物に、俺は振り向く。

其所にはラリーが立っていた。

 

「ラリー、お前………」

「ん?何?」

キョトンとした表情で、ラリーは首を傾げる。

 

「お前、男だったんだな……」

「今更何言ってるの!?と言うかミカゲ、今まで僕を女だと思ってたの!?」

「いや、そう言う訳じゃないんだけど……なぁ」

 

浴場で声が響くのも構わず、ラリーが盛大なツッコミを入れてきた。

いや、仕方無いだろ。髪長いし、顔つきだって中性的だから、下ろしたらマジで女みたいだし、年齢にしては声高いし。

 

「はぁ………もっとカッコいい顔だったらなぁ」

 

余程ショックだったのか、ラリーは項垂れる。

 

まあコイツの場合、カッコいいにはカッコいいのだが、"イケメン"と言うより、"貴公子(プリンス)"の顔だからな。

一人称もあるし、今の顔の方が、俺としては良い。

 

「まあ、何だ。悪かったよ。今度、何でも好きなの奢ってやるから」

「………じゃあ、ミノタウロスのステーキ」

「分かった分かった、ミノタウロスのステーキ奢ってやるよ」

 

そう言うと、ラリーはスッと背筋を伸ばした。

どうやら立ち直ったようだ。

 

「良し、それじゃあ早く体洗って入ろうよ」

 

そう言って、ラリーはさっさと歩いていく。

 

「(ラリーの奴、演技してたんじゃないだろうな?)」

 

そんな事を思いながら、俺はラリーの後に続いた。

 

そして、体を洗って風呂に入ったのだが、つい長湯してしまったためにラリーが逆上せたので、俺がラリーの体を拭いて服を着せ、部屋まで運ぶ羽目になり、部屋に戻ってラリーをベッドに寝かせた後、俺も自分のベッドにダイブして夢の世界へと旅立った。

 

 

 

 

 

 

翌朝、ベッドでぐっすり眠った俺達は、朝食を摂りに食堂へとやって来た。

 

「あら、2人共おはよう」

 

其処へ、エリスが声を掛けてきた。

それに気づいたソブリナとニコルも、声を掛けてくる。

「よぉ、今日も朝から大変だな」

「もう慣れたわよ。それに、夕飯の時と比べたらお客さんも少ないからやりやすいわ」

「そっか」

 

達観したような表情で言うソブリナに、俺はそう返す。

それからソブリナは、俺とラリーが食堂を出た後の事を話してくれた。

客が全員出ていくまで食堂内を動き回り、出ていったら出ていったで、テーブルを拭いたり食器を洗ったりしていたらしい。

賄いもあったが、その後も仕事があったので直ぐに腹が減ったらしい。

それを聞いた俺は何とも言えない表情を浮かべ、ラリーは苦笑いしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、2人はこれからどうするの?」

 

俺とラリーが座った席に朝食を並べながら、ソブリナが訊ねてきた。

 

「これから、か………そういや決めてなかったな」

 

俺がそう呟くと、ラリーが提案してきた。

 

「それじゃあ、一旦僕の家に戻って、黒雲の所から持ってきた宝箱を開けるってのはどうだい?収納腕輪に入れてから、ずっとほったらかしにしてるだろ?」

「ああ、確かにそうだな……そうするか」

 

ラリーに言われ、俺は賛同する。

つか、ラリーに言われるまで宝箱の事すっかり忘れてた。

 

「そう………それじゃあ、この町でお別れなのね」

 

ソブリナが、何処と無く寂しそうに言った。

 

「まあ、そう落ち込むなよ。2度と会えないって訳じゃないんだからさ。また会ったら、色々話したりしようぜ」

「ええ」

 

俺がそう言うと、ソブリナは頷いた。

 

そうして、俺とラリーは朝食を済ませ、少し部屋でリラックスした後、受付へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、遅かったわね」

 

受付にやって来ると、アルディアの3人が昨日の女の子と話をしていた。

そして、俺とラリーに気づいたソブリナが声を掛けてくる。

 

「おっ、仕事は終わったのか」

 

そう訊ねると、3人は頷いた。

 

「旅館の仕事って、結構キツいのね。初めて知ったわ」

「……明日………筋肉痛に、なりそう……」

「今まで舐めてたわ、旅館の仕事ってヤツを」

 

自棄にゲッソリした表情で言う3人に、俺とラリーは苦笑を浮かべた。

 

「ああ、そうだ」

 

そう呟き、俺はカウンターに向かう。

 

「はい、部屋の鍵です。お世話になりました」

 

昨日の女の子に鍵を渡してそう言うと、その子はニパッと笑みを浮かべた。

 

「はい、確かに受け取りました。またのご利用をお待ちしております!」

 

そんな声を背に受け、俺達は宿を出て町の門へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて……此処でお別れだな」

 

町を出て、零戦を展開してからそう言うと、アルディアの3人が寂しそうな表情を浮かべた。

 

「……もう、行くの?」

 

そう聞いてくるニコルに、俺は頷く。

 

「そう……残念ね」

 

そう言って俯くエリスの肩に、俺は手を置いた。

 

「コレはソブリナにも言ったが、別に一生の別れって訳じゃないんだ。また会ったら、色々話したりしよう」

 

そう言うと、エリスはコクりと頷いた。

 

そうしている内にラリーも零戦を展開し、離陸準備を始めている。

最後にソブリナの方を向くと、俺が口を開くより先に、ソブリナが抱きついてきた。

 

「……今まで、本当にありがとう………貴方達にしてもらった事は、絶対に忘れないわ」

「……ああ」

 

そう言って頷くと、ソブリナは名残惜しそうに離れた。

 

「それじゃあ、皆。またな」

 

そう言って、俺はラリーの隣に並び立つと、足首のプロペラに意識を向ける。

プロペラが回り出して離陸準備が整うと、俺はラリーの方を向いて言った。

 

「それじゃ、行くぞ」

「了解」

 

そうして俺達は離陸し、ルビーンの町へと向かった。

 

 

 

アルディアの3人と、また何処かで会える事を祈りながら。




パーティー名ですが、やはりガルムに変更しました。
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