航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

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第21話~新たな仲間、GETだぜ!~

「ら、ラリー!?何をするのよ!?」

 

落下するエメラリアの体を抱き留めると、彼女は酷く動揺し、逃れようと暴れ出す。

僕の足に彼女の足が当たるから、僕の飛行も不安定になる。

これでは、彼女はおろか、僕すら危うくなる。

彼女を助けるためには、兎に角、大人しくしてもらわなければならない。

多少口がキツくなっても、僕の腕の中で今も暴れているエメラリアを、どうにかして黙らせなければ、彼女を助ける事は出来ない。

 

「(…………仕方無い、か……)」

 

あまり気乗りしないが、この際そんな事は言ってられない。

「……ッ!大人しくしろ!!このまま墜ちて死にたいのか!?」

「ッ!」

 

尚も暴れる彼女に、僕は声を張り上げる。

その瞬間、腕の中でもがいていた彼女の動きがピタリと止まり、まさか僕が怒鳴るとは思わなかったのか、心底驚いた表情で僕を見ている。

 

「此処でお前が騒いでも意味は無い!寧ろ、死ぬ確率を上げるだけだ!死にたくないなら大人しくしろ!絶対助けるから!」

 

さっきも言った言葉を繰り返すと、僕はエメラリアが何か言うより先に、彼女を抱き締めた。

 

「……!………!」

 

何やら喚いているようだが、そんなのに構ってる暇は無い。

 

僕はエメラリアに負担を掛けないように、かと言って角度を緩めすぎて地面に衝突しないように注意しながら体を起こし、水平飛行に移る。

そして、そのままゆっくり体を起こして着陸態勢に入る。

 

「(地面まで、残り5メートル……4……3……2……1……0!)」

 

そして、足の裏から出てきた車輪が、軽く地面を叩いた。

 

「(良し!上手くいったぞ!)」

 

心の中でそう言って、僕は徐々に速度を落としていく。

そして動きが完全に止まった時、ミカゲが駆け寄ってきた。

 

「ラリー!無事だったか!」

 

そういうミカゲに、僕は軽く微笑んで返した。

 

「ああ、ミカゲ。僕等なら大丈夫だよ。ホラ、エメラリアもちゃんと助けたから、心配は要らないよ」

「そ、そうか……良かったぁ~……お前等がスゲー勢いで落下してくるのを見た時は、マジでどうなるかと思ったぜ」

 

額の汗を拭いながら、ミカゲはそう言った。

「にしてもラリー、すまねぇな。何もしてやれなくて」

 

"何もしてやれなくて"と言うのは、僕とエメラリアが落下していた時の事だろう。

 

「ううん、気にしなくて良いよ。あの場面は、寧ろ自分1人の方がやりやすかったからね………でも、心配してくれてありがとう」

「止せや、照れる」

 

そう言って、ミカゲは照れ臭そうに頬を掻いた。

 

「あ、あのぉ~……」

「「ん?」」

 

不意に、僕の腕の中から声が聞こえる。

「そろそろ…………放してもらえると、助かるんだけど……」

 

その声の主は、顔を真っ赤にしたエメラリアだった。

 

「…………あ、ゴメン」

 

此処で、僕がエメラリアを抱き締めたままだと言う事に気づき、僕はエメラリアを放した。

 

 

 

 

…………僕の顔、真っ赤になってないよね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いやぁ~、何か結構久し振りに俺目線になった気がするなぁ~………

 

と言う訳で、皆さんこんにちは、古代神影でございます。

 

さてさて、思わぬアクシデントに見舞われた、ラリーとエメラリアの空中模擬戦だが、ラリーが何とかエメラリアを助けたので、大事にならずに済んだ。

それは喜ぶべき事なのだが………

 

「…………」

「「…………」」

 

今、俺の目の前では、お互い逆方向に目線を向けたラリーとエメラリアが、顔を真っ赤にして立っている。

その理由は言うまでもなく、ラリーが着陸に成功してからも、エメラリアをずっと抱き締めていたからだろう。

「……あ~………お二人さん?」

「「ッ!?な、何?」」

 

おっ、2人同時に言った。こんなのアニメやラノベでしか見られないと思ってた。

 

「取り敢えずさ、2人の機体の損傷率見せてくれよ。一応勝負してたんだから、結果だけは出さなきゃならん」

 

そう言うと、2人は相変わらず顔を真っ赤にしたまま、機体情報を見せてくれた。

最初辺りは目で追えていたんだが、途中から遥か上空まで上がっていったからな、この2人。

 

さて、それでは勝負の結果は……………

 

「ラリーが損傷率7%で、エメラリアは損傷率47%………50には到達してないし、エメラリアが続行不可だからな………損傷率的にはラリーの勝ちだが、実質的には白紙って事で良いか?また今度、しっかり決着を着けようぜ」

 

何とも言えない雰囲気の中でそう言った俺だが、反対の意見は出されなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、俺達3人はルビーンの町に戻り、ラリーの家で休んでいた。

エメラリアが人間の姿になる際に目映い光を放っていたが、驚いた事に、町では大した騒ぎにはなっていなかった。

精々町に入る時、門番さんに『さっき光ってたけど、何があったか知らないか?』と聞かれた程度だったのだ。

 

エメラリアの事も、大して気にしていないようだった。

 

「何つーか………色々な意味でスゲーよな、この町は」

 

テーブルに頬杖をついて、俺はそう言った。

 

「まあ、何と言えば良いのか分からないけど………まあ、此処はルビーンだからね」

「何よそれ………」

 

ラリーの意味不明な返答に、エメラリアが呆れ半分にツッコミを入れる。

 

「この町って、王都では"終わりの町"って言われていてね、若い人も殆んど居ないから、騒ぎを起こすような余力も無いんだよ。どんな盗賊団だって、こんな町狙いやしないさ。寧ろ、来れるモンなら何時でも来やがれって感じだよ」

 

投げ遣りな事を平然と言うラリー。

そんな町の出なのに魔族クラスの魔力を持ち、王都の士官学校に特待生として入学したんだから、また驚きだ。

 

「さて、そんな事は置いといて………ねぇ、エメラリア」

 

勝手に話を切り上げると、ラリーはエメラリアに話し掛けた。

 

「な、何?」

 

急に話し掛けられたエメラリアは、一瞬ピクリと体を震わせてから聞き返した。

 

「君はこれから、どうするつもりなの?」

「……………」

 

ラリーの問いに、エメラリアは俯いて黙り込んでしまう。

まあ、何れだけの間なのかは知らんが、今日まであの模型だった訳だから、はっきり言えば、行く宛なんて無いんだろう。

 

「…………」

 

そんなエメラリアを暫く見つめた後、ラリーは俺の方を向いた。

 

「ねえ、ミカゲ」

 

ラリーが声を掛けてくる。

コイツの言いたい事は、もう分かってる。エメラリアを、俺達"ガルム隊"に引き入れたいのだろう。

 

「分かってるよ、ラリー」

 

俺はそう言うと、エメラリアに向き直った。

 

「なあ、エメラリア」

 

そう声を掛けると、エメラリアが顔を上げて俺を見た。

 

「行く宛が無いなら、俺等と一緒に来ないか?」

「……え?」

 

キョトンとした表情を浮かべるエメラリアに、俺は言葉を続ける。

 

「今のところ、この世界でお前と同類なのは、分かってるだけでも俺とラリーしか居ない。それに、お前が積んでる武器は非常に強力だ。何れ何処かの国にバレて、目をつけられる」

「………それ、貴方達も同じなんじゃないの?」

 

見事な言葉のブーメランが、俺に直撃する。

 

「ああ、その通りだ。それに俺とラリーの場合は、元の立場が立場だからな………はっきり言えば、お前より危ない」

「それじゃ駄目じゃない………」

 

額に手を当てて、エメラリアはそう言った。

 

「だからこそ、俺とラリーは力を付けようとしてるんだよ。別に戦争を起こす訳じゃない。少なくとも何かあった時に、単独でも敵を叩き潰せる程度にな」

 

こう言う異世界では、"戦闘機"と言うのは、それ自体がオーバーテクノロジーの塊だが、だからって無敵とは言えない。

被弾したらダメージを受けるし、それによって墜落する事も十分有り得る。

なら、万が一撃墜されたり、新たな敵が現れたりしても対抗出来る程には強くならなければならない。

 

「それに………」

 

俺が言葉を続けようとすると、ラリーが手で制してきた。

『最後ぐらい、自分にも言わせろ』と言いたげな視線を向けてくる。

 

「(はいはい、分かりましたよ)」

 

俺は肩を竦めながら小さく笑って、引き下がった。

 

「こう言うのって、仲間が居た方が良いからね」

 

最後にそう言うと、ラリーは身を乗り出してエメラリアに体を近づけると、徐に右手を差し出した。

 

「エメラリア………僕等"ガルム隊"の3番機になってくれないかな?」

「………」

 

そう言われたエメラリアは、暫くラリーとラリーの右手を交互に見ていたが、やがて、こんな事をラリーに聞いた。

 

「その"ガルム隊"とやらには、貴方も居るのよね?」

 

そう訊ねられたラリーは、コクりと頷いた。

 

「そりゃそうだよ。何せ僕は、冒険者パーティー"ガルム隊"の2番機なんだからね。あっ、因みに1番機はミカゲだよ」

 

そう言うと、ラリーは俺の肩をポンポン叩いた。

 

「そう………ラリーも居るのね……」

 

エメラリアはそう言って、少し考えた後、頷いてからラリーの手を取った。

 

「その話、喜んで受けさせてもらうわ」

 

あっ、エメラリアの奴絶対ラリーが居るから決めたな。

 

そう思った俺は、自然と頬を緩ませる。それを見たのか、エメラリアは顔を真っ赤にしてラリーを指差した。

 

「か、勘違いしないでよ!?別に私は、ラリーが居るから決めた訳じゃないわ!あの時助けてもらったんだから、その借りを返すだけなんだからね!」

「典型的なツンデレ台詞ですね、あざっしたー!」

 

ついついそんな事を言ってしまった俺は悪くない…………筈だ。

 

まあ何はともあれ、こうして俺達"ガルム隊"に、新たな仲間が加わった。

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