航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

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第23話~空中戦がしたいんですよ。だって俺やってないもん~

「…………と言った感じかな」

「ま、マジですか……」

 

あれから少し経ち、俺とエメルは、家に戻ってきたラリーから話を聞いていた。

F組の連中が此処に来た目的は、ラリーから俺の情報を聞き出す事だと言う。

 

「君に関する情報を聞き出してから追い掛けて、君を連れ戻すつもりだったらしいんだよ」

「成る程な………」

 

そう言って、俺は椅子の背凭れに凭れ掛かった。

「君が何処へ行ったのかって聞かれたけど、それについては『知らない』の一点張りで押し通しておいたよ」

「そっか、サンキューな」

 

俺についての情報を秘密にしてくれたラリーに、俺は礼を言った。

 

「気にしなくて良いよ。君がどんな目に遭っていたのかは聞いているからね。ただ………」

 

そう言うと、ラリーは表情を曇らせた。

 

「あの娘達には、結構キツい事を言ってしまったかな………」

「"あの娘達"?」

 

俺が聞き返すと、ラリーは小さく頷いた。

 

「ああ。黒髪の女の子2人と銀髪の女の子1人の3人組でね、君が何処に居るのかを教えてくれと、必死になって頼んできたんだよ………まあ、必死だったのは黒髪の娘2人だったけどね」

 

ラリーの話からすると、その3人組は間違いなく、天野と雪倉、そして白銀だな。

ラリーが言った特徴と一致する。

 

「追い返すためとは言え、言い方がキツかったかもしれないな………」

 

そう言って、ラリーは目を伏せた。

 

「まあ、過ぎた事をどうこう言っても仕方ねぇよ………それで、男子はどうだった?」

 

俺がそう言うと、ラリーはガバッ!と顔を上げた。

 

「それが酷いんだよ、聞いてくれよ!彼奴等ね………」

 

そうして、ラリーは捲し立てるように当時の事を語った。

古代神影()の事を天野達に喋ったら殺す』なんて脅しを掛けてくる男子が居たらしい。

 

「それに挙げ句の果てには、『女を犯してやる』なんて言い出したんだよ!?何なんだよ彼奴、信じられないよ!君、あんな人の風上にも置けない最低なクソ野郎共と一緒に居たのかい!?」

 

テーブルに身を乗り出して、ラリーはズイッと顔を近づけて捲し立ててくる。

余程腹が立ったのか、言葉遣いも若干乱暴になっている。

 

それにしても、そんな滅茶苦茶な事を言う奴が居たのか。誰がそんな事を言ったのやら………

まあ、俺を嫌ってるのはF組の男子全員だ。俺がF組の誰かに見つかるなんて事が起こらないように、俺と繋がりのあるラリーを脅そうと言う考えなんて、誰でも思いつく。

誰がラリーを脅したのかは検討もつかねぇな、候補多いし。

 

「取り敢えず、男子は嫌々この町に来てるんだな………他の女子の方はどうだった?」

「男子と比べると、遥かに良い方だね。純粋に君を探してる………、そうそう。君の先生も必死になって探してたよ」

 

マジかよ、夢弓先生まで俺を探してるのか………

まあ、夢弓先生ってスッゲー生徒思いな人だからな、1人で出ていった俺を心配してくれてるんだろう。

「(先生達には悪いが、俺は戻るつもり無いんだよな………現段階では)」

 

机に頬杖をつき、俺は内心そう呟いた。

 

「んで、連中はこの後どうするんだ?暫く滞在すんのか?」

 

そう訊ねると、ラリーは首を横に振った。

 

「いや、1人に聞いたんだけど、直ぐ帰るらしいよ」

 

そう言われ、俺は安堵の溜め息をつく。

 

「ホラ、あれ見てごらん」

 

窓から外を見ているラリーにそう言われ、俺は窓に近づく、外を見ると、F組の連中が馬車に乗り込むところが見えた。

どうやら、これから帰るらしい。

 

女子は肩を落としているが、男子達は何処と無く嬉しそうだ。

 

「(彼奴等、余程俺が見つかるのが嫌だったんだな………)」

 

そう思いながら、俺は何台もの馬車が動き出し、Uターンして町の外に出ていくのを見送った。

 

「さてと………それじゃあ、改めて行こうか、ルージュに!」

「あいよ」

「ええ」

 

ラリーにそう言われ、俺達はルージュ目指して飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、ミカゲさん!ラリーさん!」

 

ルージュに着くと、俺達は真っ直ぐ冒険者ギルドに向かう。

そして中に入ると、何時ものように受付カウンターに居たエスリアさんが手を振ってきた。

「ちわーっす、エスリアさん」

俺も右手を軽く上げて挨拶を返す。

昨日も会ったのに、何か凄く久し振りに会ったような気がする。

 

受付まで数メートル程度の距離なのだが、それまでに色々な冒険者に話し掛けられた。

黒雲を殲滅してから、俺とラリーは、この辺りの冒険者の中ではかなり有名になっているようだ。

大柄で目付きも鋭く、一見すれば柄の悪そうな冒険者も、『ガルムの坊主』とか言って気さくに話し掛けてくれる。

彼等に酒に誘われた事もあったが、流石に飲めないので別の飲み物で勘弁してもらったりもした。

 

さて、そんなこんなありつつ、俺達は漸く受付に辿り着く。

 

「お二人共、人気者ですねぇ」

 

エスリアさんが、ニヤニヤしながらそう言ってくる。

俺等としては、戦闘機で何から何まで焼き払っただけなんだけどな……

 

「あれ?そちらの方は?」

 

そうしていると、エスリアさんがエメルに気づく。

 

「ああ、彼女は新しくガルムのメンバーに加わる娘なんですよ。それで、パーティー再編成の申請をしようと思いまして……」

「成る程、そう言う事でしたか………」

 

エスリアさんはそう言うと、俺とラリー、そしてエメルを交互に見てから頷いて言った。

 

「分かりました、お任せください!」

 

そう言って、直ぐにパーティー再編成の準備をしてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから細かい事は省くが、パーティー再編成は意外とスムーズに済んだ。

先ずエメルのステータスを表示させ、それをエスリアさんに代筆してもらい、冒険者としての登録費用を支払う。

そうして初めて、パーティー再編成の申請をする。

ネット小説では、こう言う描写はあまり見ないから、時間が掛かるのではないかと思っていたが、案外早く終わったので拍子抜けしてしまったのはここだけの話だ。

 

「コレで良しっと………はい、登録終わりました!」

 

エメルのギルドカードを持ってきたエスリアさんが、笑みを浮かべてそう言った。

 

「ありがとうございます」

 

そう言ってギルドカードを受け取ったエメルが、まるで長年欲しがってた玩具を買ってもらった子供のように目を輝かせて、ギルドカードを眺めていた。

それを見ていた俺は、思わず頬を緩ませる。

ラリーも同じようで温かな眼差しを向けていた。

 

「それで?エメラリアさんはどちらの彼女なんですか?」

 

俺とラリーがエメルを見ていると、エスリアさんがニヤニヤしながら話し掛けてきた。

 

「コイツです」

 

俺はそう言って、ラリーを指差す。

 

「ちょっ、ミカゲ!?何言ってるのさ!?」

「うわぁ~、そうなんですね?ラリーさん、おめでとうございます!」

「違うんですよエスリアさん!?」

 

俺の言葉に反応するラリーだが、すかさずエスリアさんの冷やかしが入り、今度はエスリアさんに弁明し始める。

 

「おっ、何だ何だ?金髪坊主に春が来たのか?」

「ヒューヒュー!ラリー、幸せにしてやれよ!」

 

話を聞いていた他の冒険者達も乗ってきて、ギルド内が軽いお祭り騒ぎになった。

 

「ち、違うんだってばーーッ!!」

 

顔を真っ赤にしながら叫ぶラリーだが、冷やかしは止まらなかった。

ん?エメルはどうなんだって?

相変わらずギルドカード眺めてましたよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、君と言う人は……」

「わ、悪かったってば……」

 

さて、あの騒ぎが収まった後、ラリーからの拳骨を受けて頭にたん瘤を拵えた俺は、隣で膨れっ面してるラリーのご機嫌を取っていた。

 

その隣では、エメルがキョトンとしている。どうやら全然気づいてないらしい。

 

「ねぇ、何があったの?」

「あー、それが…………いや、別に何も」

 

不思議そうに訊ねてくるエメルに答えようとした俺だが、ラリーから殺気全開の眼差しを向けられ、言うのを止める。

 

「そ、それより!せっかくこうやってパーティー組み直したんだから、何か依頼受けようぜ!」

 

俺はそう言って、話題をすり替えそうとした。

 

「依頼か………そう言えば僕等、黒雲のを受けて以来何も受けてなかったよね」

「だろ?冒険者である以上、やっぱ何かしら受けとかないとな」

 

ラリーが話に食いついてきたので、俺は言葉を続けた。

そうして立ち上がると、俺は以来の紙が貼られている掲示板へと近づいた。

 

「さて、どの依頼を受けようかな………」

 

掲示板に貼られている依頼には様々な種類があった。

 

引っ越しや孤児院の手伝い、店番、子守り、隣町への移動の護衛、薬草の採集、魔物の討伐等、やはり異世界ものの小説でよく見掛けるものだった。

 

「う~ん………やっぱり航空傭兵なんだから、何かそれらしい依頼を………ん?」

 

上から順に貼り紙を眺めていた俺の目に、1枚の依頼書が留まった。

その依頼書には、こう書かれてある。

 

ーーワイバーンの群れの討伐ーー

 

「………キタコレだな、正に」

 

小さく呟いた俺は、直ぐ様その依頼書を引っ剥がしてラリー達の元に駆け寄った。

 

「コレ受けようぜ!」

 

そう言って、テーブルに依頼書を叩きつける。

 

「ワイバーンの群れの討伐、か………」

 

ラリーは、俺が持ってきた依頼書をまじまじ見ていたが、やがて此方を向いて、こんな事を聞いてきた。

 

「ミカゲ………もしかして君、空中戦(ドッグファイト)やりたさにコレ選んだんじゃないだろうね?」

 

ギクッ!

 

な、何故分かった!?取り敢えず誤魔化さねば!

 

「そ、そそそ、そのような事があろう筈がございません」

 

何処ぞの『シュワット!』な人みたいな言い方をして、俺は目を逸らした。

 

「やれやれ、君と言う人は………」

 

そう言って、ラリーは肩を竦める。

 

「まあまあ、別に良いじゃない。戦闘機の力を持つ者として、やはり空での戦いには慣れておくべきだと思うわ」

 

そんなラリーに、エメルが口添えをしてくれた。

 

「それに、今のところ空中戦を経験していないのって、ミカゲだけでしょ?私とラリーの都合に巻き込んじゃったんだから、此方もミカゲのやりたい事に付き合うべきだわ」

「うっ………そう言われれば、確かにその通りだ……」

 

エメルの言葉に、ラリーは頷いた。

 

つーかエメルよ、さっき『私とラリーの都合』って言ってたが、正確にはエメルの都合だからな?

 

「………分かった。じゃあ、この依頼を受けようか」

 

……………まあ、それがこの依頼を受けるのに繋がったんだから、結果オーライとしようじゃないか。

 

「よっしゃ!それじゃあ早速行こうぜ!」

「はいはい」

 

こうして俺達はギルドを出て、俺はサイファー仕様のF-15cを、ラリーはピクシー仕様のF-15c、そしてエメルは、ADFX-01/02を纏い、依頼書に書いてあった場所を目指して飛び立った。

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