航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

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第26話~初めての指名依頼!空飛ぶ化け物を討伐せよ!~

俺達ガルム隊が、ワイバーンの群れ討伐の依頼を達成してから、早いもので2週間ーーつまり、俺がこの世界に来てから1ヶ月ーーが経った。

あれからも俺達は、冒険者ギルドに赴いては依頼を受けていたのもあり、俺とラリー、そしてエメルは、3人仲良くAランクへの昇格を果たした。勿論、今のパーティーランクもAランクだ。

エスリアさんは、依頼場所がどんなに離れていても毎回1日で終わらせる俺達を見て諦めたのか、もう、ワイバーンの群れを討伐した時のようなツッコミはしなくなった。

 

そして俺達は、今日も今日とて、依頼を受けるためにルージュの町に赴いていた。

 

「おっ!ガルムの奴等のお出ましだぜ!」

「よっす!」

「今日もサクッと依頼達成か?」

 

俺達がギルドに入ると、相変わらず酒場で飲んでいるオッチャン冒険者達が、陽気に声を掛けてくれる。

世間一般ではゴロツキと呼ばれるような身なりをしている彼等だが、皆気の良い人達で、直ぐに仲良くなった。

まあ、相変わらず酒を勧めてくるのが玉に瑕なんだけどな……

 

そんな彼等に挨拶を返しながら、俺達は受付カウンターへと向かう。

其所には何時ものように、受付嬢のエスリアさんが立っていた。

 

「おはようございます、ガルムの皆さん」

 

何時ものように、おっとりした笑顔で挨拶してくれるエスリアさん。

うんうん、やはり癒し系受付嬢はこうでなくちゃな。

 

「おはようございます、エスリアさん」

 

俺が3人を代表する形で挨拶を返すと、ラリーとエメルも、其々軽く会釈する。

 

「今日は何か、良さそうな依頼ってありますか?」

 

俺はそう訊ねた。

最近、俺達が高ランクの依頼を受けようとして掲示板の前にかじりついていたため、それを見ていたエスリアさんが、俺達に合うような依頼を見繕ってくれるようになったのだ。

それで、何時ものように良さそうな依頼が無いかを訊ねる。

普段なら、癒しオーラをたっぷり含んだ笑みと共に依頼書を見せてくれるエスリアさんだが、今日は、そんな笑みを浮かべてはいなかった。

 

「う~ん、あるにはあるんですけど………」

 

何やらパッとしない言い方をしながら、エスリアさんは依頼書らしき封筒を取り出した。

封筒には"ガルム"と書かれていた。

 

「コレって………指名依頼じゃないですか!」

封筒を見たラリーが、目を見開いて声を上げる。

 

「凄いよ相棒!まさか、指名依頼が来る程になったなんて!」

 

そう言って、ラリーが子供のようにピョンピョン跳ね回る。

因みに、ラリーはあの日の夜の語らいから、俺の事を"相棒"と呼ぶようになった。

段々と、ラリー・フォルクに近づきつつある。

 

「へぇ~、指名依頼なんて来たのか」

 

すると、オッチャン冒険者の1人が歩み寄ってきた。

 

「やるなぁ、ガルム。流石、どんな依頼も1日で達成して戻ってくるだけの事はあるぜ!」

そう言って、そのオッチャン冒険者は俺の肩をバシバシ叩いてくる。

嬉しいんだけど、叩かれてる肩がスッゲー痛いです。力入れすぎだろアンタ。

 

「んで?その依頼書には何て書いてあるんだ?」

 

そのオッチャン冒険者がそう言うと、会話を聞いていた他の冒険者達の視線が集中する。

冒険者が指名依頼を受けるところなんて滅多に見られないと言うのもあり、皆して"指名依頼"と言うものに興味津々だ。

俺はエスリアさんから封筒を受け取り、封を開けて中にある依頼書を取り出し、広げる。

 

「え~っと、依頼の内容は………"化け物の討伐"?」

「また討伐依頼かい?最近、そう言う依頼多いね」

「いや、多いって言うよりお前さん等がそう言う系の依頼ばっか受けてるんじゃねぇか」

依頼書を見ながら呟いたラリーに、オッチャン冒険者がツッコミを入れた。

 

「場所は………タロン?何処だ?」

「ああ、タロンか。それなら、この国の南端にある田舎町だな。南にあるルビーンみてぇなモンだ」

 

初めて聞く町の名前に首を傾げていると、オッチャン冒険者が教えてくれた。

俺が礼を言うと、その冒険者は軽く笑って、手をヒラヒラ振りながら酒場に戻っていった。

相変わらず気の良い人だ。

それにしても、南にあるルビーンみたいな町、か………

 

「(つまり、宿とかの期待は出来なさそうだな。何時ものようにサクッと終わらせて、さっさと戻るか)」

 

俺はそう思いながら、依頼の内容に目を通した。

 

曰く、1週間程前から、夜な夜な聞き慣れない轟音が聞こえるのだと言う。

町民からの頼みもあって、町の長官が守備兵達に調査させているのだが、全て昼に行っており、全く正体を掴めなかったらしい。

夜にも調査をさせるように町民が頼んだものの、長官は、『調査は日が出ている間しかしない』の一点張りで、おまけに『強い味方を呼ぶ』なんて意味不明な事を言って話をはぐらかしており、使い物にならないと言うのだ。

だが、そんなある日の事、用事で夜の町を歩いていた町人の1人が、その轟音の主を偶然にも見たと言う。

真っ暗闇なのでシルエットが辛うじて分かる程度だったが、何やら矢印のような形をしていたと言う。しかも、それが2つ。

また、其々が緑と赤の光の粒を付けており、それ等が点滅していたとも言っていた。

 

「(緑と赤の光の粒で、点滅していた……矢印みたいなシルエット………まさか!?)」

 

俺の脳裏に、1つの仮説が浮かび上がる。

 

ーーもしかしたら、エメルと同類なのではないか?ーー

 

そんな仮説が、俺の脳裏を過った。

 

「相棒、何か分かったの?」

 

隣に居るラリーが、俺の顔を覗き込んできた。

「ああ……未だ仮説の域を出ないが、俺の中では、コレが一番の有力説だ」

 

俺はそう言って、依頼書に書かれている場所を確認すると、依頼を受ける事をエスリアさんに伝え、踵を返してギルドの出口に向かう。

 

「取り敢えず、タロンに行こう。話はそれからだ」

「了解、相棒」

「私もお供するわ」

 

そうしてギルドを出ると、俺は加速力の高いF-15E(ストライクイーグル)を、ラリーはSu-33(Flanker-D)、そしてエメルは、お馴染みのADFX-01/02(モルガン)を展開し、ルージュの町の人々に見送られて、タロンへと飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで相棒、君の中での有力説って、どんなの?」

 

タロンへの道中、直ぐ右隣を飛んでいるラリーが、そんな事を訊ねてきた。

左隣を飛んでいるエメルも此方を向いて、話を聞こうとしている。

 

「ああ、それはな…………」

 

そう言って、俺は自分の中の仮説を話した。

 

 

 

 

 

 

 

「エメルと同類?それはつまり、相手は戦闘機って事かい?」

「まあ、概ねそんな感じだ」

 

目を丸くして聞き返してくるラリーに、俺は頷いた。

エメルも意外そうな表情を浮かべている。

 

「驚いたわ。まさか、この世界に私の同類が居るなんて……」

 

左手を口に当て、驚きを露にするエメル。

 

「まあ、コレはあくまでも"仮説"だ。お前の同類かもしれないし、別の魔物かもしれない」

「それじゃあ………もし、後者だったら?」

「取り敢えず撃墜して討伐だな。まあ今としては、轟音の主が前者で、尚且つ話の分かる奴である事を祈るだけだな………」

 

俺はそう言うと、タロンへ向けて速度を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

タロンの町に着くと、門番をしている兵士に一言掛けて、町に入れてもらった。

どうやら、この町もルビーンと同じように、町に入る時の通行料は要らないらしい。

そして、俺達は長官が住んでいると言う城の場所を教えてもらい、其所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

「この1週間、毎日毎日ゴオゴオ言わせて飛んでいくんですよ!?」

「魔物なんじゃないかと思うと、恐くておちおち眠れやしないわ!」

「昼だけじゃなくて、夜にも調査をさせてくれよ!」

「早く何とかしてくれよ!長官だろ!?」

 

城の入口前に着くと、其所は既に、押し寄せてきた町人達でごった返していた。

前が見えないため、長官の顔すら分からなかったが、ラリーが魔法で、俺を持ち上げてくれた。

長官の年齢は、多分60前半程度。その横には、小柄で何処と無く品の無さを感じさせる男が立っていた。

 

「ふむ、何ともならんな。それに、夜も兵を動かすような金などあるものか」

 

王都の宰相を思い出すような、偉そうな口調で、長官は言い返した。

 

「テメェふざけんなよ!」

「そうよ!何のために税金払ってると思ってんの!?」

「この税金泥棒が!払ってきた金返しやがれ!」

 

そんな長官の態度に激怒して罵声を浴びせる町人達だが、其処へ小柄な男が口を挟んだ。

 

「まあまあ。強い味方は、ちゃんと呼んでありますから」

 

ふむ………どうやら、依頼書に書かれていた文の内容は本当だったらしいな。

 

「デューイ!そんな適当な事言って、またお茶を濁そうって考えてるんじゃねぇだろうな!?」

「そ、それは………」

 

町人達からの剣幕に圧されて、デューイと呼ばれた小柄な男が怯む。

そんな時だった。

 

「申し上げます!!」

 

何時の間にか俺達の傍に来ていた兵の1人が、声を張り上げた。

町人達が一斉に此方を向き、気づけば、長官の元までの一本道が出来上がっていた。

 

「ルージュの町より、Aランク冒険者パーティー、"ガルム"の3人が到着されました!」

 

そう言うと、兵は俺達に、長官の元に歩み寄るように促してくる。

まあ依頼を受けた手前、此処で『人違いだ』なんて嘘を言う訳にはいかず、俺達は促されるままに、長官達の元へと歩みを進めた。

 

「うむ」

「よくぞ参られた!」

 

長官は満足そうに頷き、デューイは芝居のような手振りで声を上げた。

 

「皆の者、コレでもう安心だ!彼等こそが、今回の化け物討伐の依頼を受けてくださった偉大な方々だ!」

 

そう言うと、町人達が歓声を上げる。

普通なら疑うだろうが、そうも言ってはいられない程切羽詰まっているらしい。

 

「何か、話がややこしくなっちゃったね………」

「…………ああ、そうだな」

 

苦笑混じりにそんな事を言うラリーに、俺は、ただ頷く事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから長官の部屋へと通された俺達は、長官達からの軽い自己紹介を受けた。

長官の名前はスマージャで、実は、王都の騎士・魔術師士官学校の卒業生らしい。

そしてデューイは、この城の家令をしていると言う。

その後、俺達は依頼の正確な内容を改めて聞かされた。

 

「約1週間前から、夜な夜なゴオゴオ言わせて飛んでいくってモンで、魔物なんじゃないかと、皆疑心暗鬼になってましてねぇ。ああやって詰め掛けてくるのも、今日で何度目やら…………いやぁ~ホント、良いタイミングで来てくれましたよ」

 

媚びへつらうような態度で、デューイはそう言った。

 

「やれやれ………この町がルビーンと同じく貧乏で、あまり闇雲に兵を動かせるようなものではないと言うのも知っておろうに、町の連中は喧しく喚きおる」

 

長官はそう言った。

話し方や態度からして、長官(スマージャ)家令(デューイ)も、あまり生理的に好ましくない連中だ。

さっさと依頼を終わらせて帰ろう。

 

「あのぉ~、質問なんですけど」

「何だ?」

 

俺が話を切り出すと、長官が鬱陶しそうに此方を向いた。

 

「その化け物とやらを討伐した曉には、報酬はキッチリ貰えるんですよね?」

 

そう訊ねると、長官とデューイは目を見開いた。

 

「な、何だその言い方は?まさか、出来ると言うのか!?」

「逆に聞きますが、出来ないのにこんな依頼出したんですか?」

「うっ………」

 

依頼書をヒラヒラ揺らしながら聞き返してやると、長官は言葉を詰まらせた。

「それに、兵もロクに動かせない状態だとか言ってましたが、そんな状態で報酬なんて払えるんですか?」

 

さらにラリーが言うと、2人は黙り込んでしまった。

コレ、ただで依頼を受けさせようとしてたんじゃねぇだろうな?

 

「「…………」」

 

相変わらず黙り込んでいる2人。このまま睨み合いしていても意味は無いため、俺は、ある条件を提示する事にした。

 

「それじゃあ、こうしましょう」

 

俺が話を切り出すと、全員の視線が俺に向けられた。

 

「依頼の報酬として、化け物の処分を全て俺等に一任し、口出ししない事………つまり、その化け物を殺そうが(しもべ)にしようが、全て俺等の勝手。2人は勿論、町の人々にも口出しさせない………コレなら如何です?そちらは金を出さなくて良いし、此方としては、生かせば僕が出来るし、討伐すれば経験値を得られる。お互いWin-Winな、悪くない条件だと思うのですが?」

 

『これ以上の譲歩はしねぇぞ』と言う意思を含ませて、俺は2人を見つめる。

 

「……わ、分かった。その条件で良い」

 

俺の視線に圧されたのか、長官は条件を受け入れた。

そして俺達は、一旦外に出て、町人達から化け物に関する情報を、彼等が知っている限り徹底的に聞き出した後、用意してくれていたと言う部屋に戻り、夜を待った。

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