航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

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第32話~囚われた僚機達~

王都に遊びに来ている事を奏に見破られた神影が、ラリーと共に王都から逃げ出した頃、人気の無い森の中を、1台の馬車と、数人の男達が下卑た笑みを浮かべながら歩いていた。

 

「ククッ……まさか、こんな森の中に女が居るとは思わなかったなぁ」

「ああ、それに、あんな美女と来たモンだ」

男の1人はそう言うと、馬車に載せられている檻の中で、首輪をつけられた上に、手錠で拘束されて横たわっている3人の少女に目を向けた。

その3人とは、エメルとファルケン、そしてアドラーである。

彼女等は元々戦闘機である上に、レーダーによる索敵も出来るため、普通なら、こうやって捕まる筈が無い。

なら、彼女等は何故捕まったのか?答えは簡単、不意打ちを受けたためだ。

 

ルージュの町を出た3人は、先ずルビーンの町に向かい、ラリーの家の前で、エメルが神影やラリーと初めて会った時の話をした。

その後、今度はファルケンとアドラーが何処で人間の姿になったのかと言う話になり、彼女等はエリージュ王国の南西にある森の中へとやって来たのだが、其所で2人の思出話に花を咲かせていた時、不運にも、盗賊団に見つかり、奇襲されたのだ。

応戦しようとする3人だったが、不意打ちだったために対応しきれず、盗賊の1人が放った電撃をエメルが受けてしまい、気絶する。

それによって出来た一瞬の隙を突かれ、ファルケンとアドラーも気絶させられてしまい、拘束されて檻に入れられたのだ。

 

「さて、今夜は中々楽しめそうだな」

「ああ。それに、あの赤い髪の女、メイド服着てたろ?せっかくだから、奉仕させてやんなきゃな!」

「俺は銀髪の強気な女にしようかな。抵抗する女がヒイヒイ言うようになるのは見物だぜ」

 

黒雲と変わらない程に下卑た話で盛り上がりながら、男達は、彼等のアジトへと戻っていった。

 

この後、仲間を拐われた事に怒り狂った2匹の番犬によって、彼等全員が虐殺されるとも知らず…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ルージュよ!我々は帰ってきたぁぁぁああああっ!!」

「いや、そのテンション何なのさ?」

 

王都から無事に帰還し、両腕を空高く突き上げて叫んだ俺に、ラリーが苦笑混じりにツッコミを入れた。

 

「いやぁ、何か言わなきゃいけないような気がしてさ……まさか、コレが噂に聞く電波と言うヤツか?」

「僕に聞かれても分からないよ。それに電波って何?」

 

そんな大した意味も無い会話を交わしながら、俺達は宿に戻ってきた。

 

「『夜までには帰る』って、結構遅くまで遊んでくる的な事言っておいて、夕方前に帰ってきちゃったね」

 

部屋に戻ると、ラリーがベッドに腰掛けてそう言った。

 

「ああ、そうだな」

 

それにしても、まさか白銀が、影で俺の存在を見破ってくるとは予想外だったな………

 

「あっ、そうだ。魔法解かないとね」

 

そう言うと、ラリーは徐に立ち上がって、俺の体に軽く触れる。

 

「はい、これで君に掛けた魔法は解除されたよ」

 

そう言うと、ラリーも自身に掛けた魔法を解除する。

 

「そう言えば、3人は帰ってきたのかな?」

「さあ、どうだろうな………そもそも、あの2人が何処で人の姿になったのか知らねぇからな、俺等」

 

3人の所在が気になった俺達は、3人が泊まっている隣の部屋を訪れた。

念のために、ドアをノックして呼び掛ける。

 

「おーい、お前等帰ってるか~?」

 

そう声を掛けてみるものの、返事は返されない。

 

「………居ないのか?」

 

そう呟いてドアノブを動かしてみると、普通に開いた。

どうやら、鍵は掛かっていないようだ。

中を覗いてみるものの、もぬけの殻だ。

 

「それにしても不用心だなぁ、彼奴等。鍵掛けずに出掛けるなんてさ」

「まあ、そうだけど………よく考えたら、盗られて困るようなものなんて持ってないでしょ?」

「……言われてみれば、確かに」

 

部屋を見た俺がそう呟くと、ラリーがツッコミを入れてくる。

 

「まあ、兎に角。3人も夕方には帰ってくるだろうから、気長に待っていようよ」

「そうするか」

 

そう言って、俺達は部屋に戻ると、部屋で適当に待つ事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………遅ぇ!」

 

あれから結構経ち、もう午後6時になったと言うのに3人が戻らないと言う事態に、俺はそう言った。

 

「なあ、ラリーよ。遅すぎるとは思わねぇか?思い出の場所に行くと言っても、流石にこんなには掛からねぇだろうよ」

 

そう言うと、ベッドで寝転がっていたラリーが起き上がる。

 

「う~ん、確かにその通りだね。ファルケンとアドラーが人間の姿を得た場所が違うとしても、流石にこんなに掛かるとは思えない」

 

そう言うと、ラリーは顎に手を当てて暫く考えるような素振りを見せる。

 

「ねえ、相棒。"僚機念話"で声を掛けてみたらどうかな?」

 

ラリーがそんな提案をしてきた。

 

「おっ、その手があったか」

「もしかして、忘れていたのかい?」

 

苦笑混じりに訊ねてくるラリーを無視して返事をはぐらかし、俺はエメルに念話を繋げた。

 

《おい、エメル。お前等何処に居るんだ?もう6時だぜ?》

《………………》

 

だが、返事は返されない。

 

《エメル?おい、返事しろ》

《………………》

 

もう一度声を掛けてみるものの、反応は同じだ。

 

「………駄目だな、全く反応しねぇ」

 

念話を止め、俺は首を横に振りながら言った。

 

「それは妙な話だね。まさか、エメルまでもが君を無視するなんて……」

 

そう言って、今度はラリーが試すものの、反応は俺と同じだった。

 

「駄目だね、僕でも応答しない…………もしかして、僚機念話が使えないような所にでも行ったのかな?」

「いやいや、能力の説明に『何処でも通信出来る』ってあったんだぜ?流石にそれはねぇだろ」

 

ラリーが不安そうに言った事を、俺は即座に否定した。

 

「それなら、どうして僚機念話に出ないのかな………?」

 

そう言って、2人で頭を悩ませていた。

 

「………ギルドに居たり、しないかな?」

「どうだろうな…………行ってみるか」

 

そうして、俺達は部屋を出てギルドに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……こ………此処は………?」

 

気がつくと、私ことエメラリアは、薄暗い空間に横たわっていた。

私の直ぐ傍には、私を"姉"と呼んだ2人、ファルケンとアドラーが同じように横たわっている。

 

「……ッ!ファルケン!アドラー!」

 

2人の名前を叫び、駆け寄ろうとするものの、上手く動けない。

体を見ると、手足を縛られている。

おまけに、さっきまで着ていた服は剥ぎ取られていて、今は、胸と腰にボロ布を巻き付けられただけと言う、何ともはしたない姿にされている。

機体を展開して、縄を無理矢理引きちぎろうとするが、それすら出来ない。

 

「多分、この首輪のせいね………」

 

私は、首に冷たくて固いものを感じながら、そう呟いた。

 

ファルケンとアドラーが人間の姿を得たと言う森の中で、2人の思出話を聞いていた時に、薄汚い格好をした男達からの襲撃を受けた私達は応戦しようとしたものの、対応しきれず、私が最初にやられてしまった。

この2人に"姉"と呼ばれた者として、情けないったらないわね………

 

私は、ボロ布が取れないように注意しながら、未だに横たわっている2人に近づく。

やはり、2人も私と同じように服を剥ぎ取られていて、胸と腰にボロ布を巻き付けられただけな状態になっている。

 

「2人共、起きて」

 

そう言って、2人に体をすり付けて揺さぶる。

そう言えば思ったけど、2人って本当に胸大きいわね。揺すったらポヨンポヨンと揺れてるし………

「んっ……?」

 

すると、先にファルケンが目を覚ました。

 

「気がついた?」

「………………ッ!?」

 

暫く呆然と私を見ていたファルケンは、意識がはっきりすると、ハッとした表情を浮かべた。

 

「お、お姉様!お気づきになられ……いっつ!?」

 

慌てて起き上がろうとするファルケンは、表情を苦痛に歪めた。

 

「無理に動こうとしては駄目よ。私達は今、手足を縛られて自由に動けないんだから」

「は、はい………」

「ホラ、アドラーも」

 

すまなさそうに返事を返すファルケンを他所に、私はアドラーに体を押し付け、揺さぶる。

 

「んぅ………?」

 

少し揺すっていると、漸くアドラーが目を覚ました。

そして、ファルケンと同じように取り乱して、無理に起きようとして痛がっていたのは余談だ。

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