航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

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第3話~出会い~

 俺達、2年F組がエリージュ王国に召喚されてから、早いもので2週間が経った。

 流石に異世界での生活になれてきたのか、『日本に送還しろ』とか、『戦争になんて行きたくない』とか言い出す生徒は、今となっては居らず、全員が今の状況を受け入れ、訓練や座学に日々励んでいる。

座学の授業では、主に、この国の事や、ヒューマン族と、それ以外の種族との関係について聞かされたり、この世界の風潮についても聞かされた。

どうやら、この世界には『強き者はハーレムを作るべきだ』と言う風潮があるらしく、それを聞いた男子達の目は輝いていた。

因みに、その時でも俺への嫌がらせは行われ、俺のステータスがクラス最弱であるため、風潮的にハーレムは作れないだろうとか何とか言って、男子共で笑ってやがった。

それから訓練では、体育の授業でやっていたような体力作り、剣の素振り、魔物の討伐訓練をした。

何だかんだ言いつつ、皆、日々出される授業や訓練をこなしている。

 

 当然ながら、俺もその1人なのだが、如何せん最弱ステータスのせいで、ほぼ期待されてないと言うのが現状だ。

 2日前に、全員でとある迷宮に潜ったのだが、俺を除いた全員が、チートスキルを生かして次々出てくる魔物を葬っていた。

 俺は勇者ではない上にステータスもロクなものじゃなかったため、基本的に列の最後尾をトコトコ歩くだけだった。

 だが、護衛としてついてくる騎士団の人が、時折俺の方に弱った魔物を放り投げてくる事が何度もあった。

 恐らく、一番後ろで出番無さげにしている俺に、気を遣ってくれたのだろう。

 その時は支給された短剣で、その魔物に止めを刺した。

 

 迷宮から出てきた時には、クラスの殆んどがレベル10を超えているのに比べ、俺は5でしかない。それに、各能力値の伸びがクラスの連中と比べると非常に悪いため、俺は最早、クラスのお荷物でしかなくなっていった。

 だが、『航空傭兵』と言う天職について調べた結果、エースコンバットに登場する航空兵器(オリジナル機や爆撃機、ドアガンナーを除く)を使える事が分かった。

 何故か、最初から使用出来る零戦のみ刀身がかなり長い日本刀らしきブレードを2本装備しているらしいのだが………………もう気にしない事にした。

 まぁ、何はともあれ、こう言った異世界においては、戦闘機などの現代兵器はオーバーテクノロジーの塊だ。

 流石にミサイルやバルカン砲を使うのは憚られるが、ブレードなら話は別になる筈。

 コレで、少しはクラスの連中に追いつけるかもしれないと淡い期待を抱いていたのだが、クラスの連中(特に男子)は勿論、騎士団団員の殆んどが俺に期待していないため、何処へ行っても居ない者として扱われる毎日だった。

 まぁ、天野達3人組や先生は気遣ってくれたのだが……………

 

 

 

 そんなある日、何やら王宮内が若干バタついているのを疑問に思いつつ、何時ものように朝食を終え、今日の予定を聞くために謁見の間に集まった俺達だが、今日は様子が違った。普段はフランクさんが居て、今日の予定を言うのだが、今日はフランクさんの代わりに、宰相さんが今日の予定を言うからだ。

 

「えー、おはようございます。皆さん。先日の迷宮探索では、本当にご苦労様でした。話に聞きましたが、殆んどの方がレベル10を超えたとか………」

 

 宰相さんがそう言うと、全員嬉しそうな表情を浮かべる。

 

「まぁ、どうやら例外も居るようですがな…………」

 

 小馬鹿にするように、宰相さんが続けて言うと、男子からの視線が、ある一点に集中する。その一点とは……………言うまでもなく俺だ。

 

 ここ最近、宰相さんが俺に接する時の態度が日に日に悪くなっているような気がしていたが、最早クラスメイトの前で嫌みを言う程になったとは…………

 

 そう思っていると、宰相さんは咳払いを1つして言った。

 

「今日の訓練ですが………本来は魔法の訓練を行う予定でしたが、中止となりました」

 

 突然の事に、クラスがざわめき出す。こんな言は今まで1度も無かったからだ。

 

「因みに、それは何故でしょうか?」

 

 全員を代表するかのように御劔が訊ねると、宰相さんは答えた。

 

 

 曰く、この王都にある学校--王立騎士・魔術師士官学校--での卒業証書授与式が行われるらしい。

 騎士・魔術師士官学校の生徒はそれなりに多く、生徒達の両親に加えて、その学校の卒業生、此方の世界で言うOB達も結構訪れる。

 おまけに、王都の騎士や魔術師は、9割以上が士官学校出身で、自分達の後輩を見るために出席する者もチラホラ居るらしい。

 それに、俺達は今まで、迷宮探索や魔物の討伐、その他のハードな訓練をこなしてきたため、その息抜きも兼ねて、今日は自由行動となったと言うのだ。

 

 宰相さんの話が終わると、既に朝食を終えていたのもあり、クラスの奴等は思い思いに行動を始めた。

 町へ繰り出してみる者、魔法に関する知識をつけようと、図書館へと向かう者、部屋で休もうとする者と、何をするかは人其々だ。

 俺も謁見の間を後にし、軽く延びをしながら廊下を歩く。

 

「さぁ~て、俺も町へと出てみようかな……」

 

 やりたい事もあるし………

 

「ねぇねぇ、神影君」

「ん?」

 

 とある目的を胸に町へ向かおうとした俺だが、後ろから呼び止められる。振り向くと、其所には天野がニコニコしながら立っており、傍らには雪倉と白銀が居た。

 

「神影君も町に行くんだよね?良かったら、私達と一緒に行かない?」

 

 そう誘いを掛けてくる天野。気持ちはありがたいのだが、もう少しタイミングを考えてほしいものだ。

 謁見の間を出たのが俺達が最後だったら良かったが、未だ他の男子もチラホラ残っているのだ。

 当然ながら、男子達の妬みの視線を一気に喰らう訳で…………

 

「(い、居心地悪い………)」

 

 段々と、自分の顔から血の気が引いていくのを感じる。

 今までこうなった事は無かったんだが…………ストレスでも溜まってきたかな?

 そんな考えをなるべく表情に出さないようにしながら、俺は手をヒラヒラ振った。

 

「ああ、誘ってくれてありがとな、天野……でも、良いよ。俺1人で適当に廻るから」

「そ、そっか………」

 

 そう言って残念そうに俯く天野に背を向け、俺は歩き出した。

 後ろから、男子達からの視線が尚もぶつけられる。恐らく、『何天野からの誘いを断ってんだコラァ』的な感じだろう。

…………ったく、受けたら受けたで妬むくせに、断ってもコレかよ。一体俺にどうしろってんだよ、彼奴等は………

 

 そんなやり場の無い怒りを感じながら、俺は町へと繰り出した。

 

 

 

 

 

 一言で言うと、王都は凄く賑わっていた。

 中世ヨーロッパ風の建物が立ち並び、人や馬車が絶えず行き来している。

 出店も多く出ており、やれリンゴがどうだ、梨がどうだと声が飛び交っている。

 この喧騒では、ちょっと囁く程度の声なら忽ち掻き消されてしまうだろうな。

 

「まぁ、俺には関係無い話だが………つーか、王様が呪い掛けられてるのにコレって……住民にその辺りを伝えているんだかいないんだか…………」

 

 そう独り言を溢し、俺は、王都の明るい雰囲気を無視して、ただひたすら歩き続けた。

 

 

 

 

 

 

「……………良し、此処なら誰にも邪魔されないな」

 

 やって来たのは図書館。

 日本の図書館と比べると、その大きさは雲泥の差だ。

 矢鱈と高く長い本棚に、分厚い本がビッシリ並んでいる。

 

 其所で何をするつもりなのかと言うと、この2習慣の訓練を終えた現段階でのステータスの確認だ。

 

「さて、何れぐらい強くなったのかな…………」

 

 そう呟きながら、俺は読書スペースの近くにあった本棚から適当に取った1冊を机に置いて広げ、読んでいるふりをしながらステータスを開いた。

 

 

 

 

 

名前:古代 神影

種族:ヒューマン族

年齢:17歳

性別:男

称号:異世界人

天職:航空傭兵

レベル:5

体力:80

筋力:70

防御:75

魔力:20

魔耐:25

俊敏性:95 

特殊能力:言語理解、空中戦闘技能、僚機勧誘

 

 

 

 其々の能力値の伸びの違いが表れるようになってきたようだ。

 それにしても、相変わらず俊敏性が一番高いな…………

 

 なんて思いながら、俺は別の欄を開いた。

 すると、頭の中に『ウェポンリスト』と言う文字が思い浮かぶ。

 これは、先週のある日の夜、俺が『航空傭兵』の天職について調べていた時に見つけた欄だ。

 どうやら、現段階で俺が使用出来る航空兵器を用途別に分けているらしいのだ。

 

 リストを開くと、上から順に『戦闘機(ファイター)』、『攻撃機(アタッカー)』、『多用途戦闘機(マルチロール)』、『レシプロ機』、そして『攻撃ヘリ』の文字が浮かぶ。

 

 俺は試しに、戦闘機の欄を開いた。

 

 

 

--使用可能機体、『戦闘機』--

 

F-16C Fighting Falcon

Mig-21-93

 

 

 

 

「(ふむ………まぁ、レベル5ぐらいなら大体こんな感じか……)」

 

 因みに、攻撃機は『対艦番長』の二つ名でお馴染みのF-2Aで、多用途戦闘機はF-4E。レシプロ機は、前述の通り零戦。そして攻撃ヘリだが、どういう訳か、未だ使えないらしい。

 『攻撃ヘリ』の欄を開いても、『規定レベルに達していないため、使用不可』との文字が出てきたのだ。

 一体何れ程上げたら使えるようになるのやら………………

 

 

 でもまぁ、現段階では少なくとも5機使える。コレだけでも結構心強いものだ。

 ステータスのチェックを終えた俺は、本を本棚に戻すと、ウキウキ気分で図書館を後にし、城へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 城へ戻ってくると、もう授与式が終わったのか、士官学校の生徒と思わしき人と何度も擦れ違った。

 勇者召喚の話を聞いていたのか、士官学校の生徒は、クラスの連中にしきりに話し掛けていた。

 俺もその1人だが、話に入ろうとはしなかった。態々ひけらかす必要も無いだろうしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから暫く経つと、士官学校卒業生や、その両親、はたまたOBの数も減っていき、今では数人見掛ける程度になった。

 再び町に繰り出したくなった俺は城門へと続く道を歩いていたのだが…………

 

 

「何故、貴様が此処に居るのだ!!」

「ヴェッ!?」

 

 突然、何処からか声が聞こえてきて、俺は変な声を上げてしまう。直ぐ様歩みを止めて辺りを見回すものの、声の主は見当たらない。 

 気のせいかと思って歩き出そうとしたが、またしても声が響いてきた。

 

「黙れ!貴様のような没落魔術師と同期だと言う事が、俺の一生の不覚だ!!」

「………………言い争い、か?」

 

 何と無く気になり、俺は声が聞こえた方へと歩みを進めた。

 

 その声が聞こえてきた所へ辿り着くと、身長180㎝はありそうな銀髪のイケメン男が、金髪で中性的な顔をした男を掴み上げていた。

 左手で金髪の男の胸倉を掴んでいるが、右手は器用にも、腰の短剣の柄に添えられている。

 

「(おいおい、流石にアレは不味いだろ!)」

 

 そう思った俺は、衝動的に駆け出していた。

 

「おい!止めろよ!」

 

 大声を張り上げてやる。

 銀髪の男が、ぎょっとした表情で此方を向いた。

 

 だが、俺の姿を視界に捉えるや否や、見下すような視線を向けてきた。

 

「何だ貴様は?俺は今、コイツと話をしているのだ。邪魔をするな」

 

 そう言って睨んでくる銀髪。若干怖いが、今はそれを気にしている場合じゃない。

 

「話?騎士・魔術師士官学校の生徒の間じゃ、相手の胸倉掴み上げて何時でも短剣抜けるような体勢で話すモンなのかよ?」

「………ッ」

 

 俺がそう言うと、銀髪男はギリッと悔しそうに歯軋りしながら、掴み上げていた手を離し、短剣を抜こうと構えていた手を下ろした。

 

「ゴホッゴホッ!」

 

 掴み上げられていた男は、地に膝をつき、胸を押さえながら噎せている。どうやら、かなり強い力で掴まれていたようだ。

 

「チッ!とんだ邪魔が入ったものだ…………だが、まぁ良い。もう2度と会わぬ輩だ。このくらいで済ませてやる」

 

 ウザったく言うと、銀髪男は立ち去っていった。

 

「(さっさと失せやがれ、クソ野郎)」

 

 その背中を精一杯睨んでやった後、俺は少しずつ落ち着きを取り戻した金髪の男に話し掛けた。

 よくよく見れば、『男』と言うより『少年』と言った方が良さそうな感じだな。声も結構高いみたいだし。

 

 そんな事を考えながら、俺は少年に話し掛ける。

 

「えーっと…………大丈夫か?」

「う、うん………ありがとう、お陰で助かったよ」

 

 そう言って、その少年は両足を投げ出して座った。俺も、彼の正面に腰を下ろす。

 

「んで、今更だが………あの銀髪野郎は何なんだ?」

「えっ、知らないの?」

 

 俺が聞くと、少年は意外だと言わんばかりに目を丸くして、エメラルドのように鮮やかな緑色の目をパチクリさせている。

 

「彼奴はブルームだよ、ブルーム・ド・デシール。この辺りじゃ有名な、デシール公爵の息子さ」

 

 さらに続ける少年曰く、父親は商人で、結構儲けているらしい。

 騎士・魔術師士官学校では騎士科に所属していて、騎士科では首席の卒業だと言う。

 

「腕は良いし、ルックスも悪くないんだけど、高飛車だからね。それに彼、婚約者が居るのに他の女の子にも手を出してるらしいよ」

「マジでトンでもねぇ奴だな、あの銀髪野郎」

 

 そう言ってやると、少年は苦笑混じりに言った。

 

「仕方無いよ。何せこの国では、強い男はハーレムを作るべきだって風潮が蔓延ってるからね。それに女の方も、カッコ良かったり強かったりする男や金持ちにはホイホイ靡くだろ?」

「まっ、そうだな」

 

 その少年に同意だとばかりに、俺は頷いた。

 

「あっ、そう言えば…………」

 

 突然、少年は何かを思い出したような表情を浮かべると、言葉を続けた。

 

「未だ僕達、お互いの名前知らなかったね」

「あ、確かに…………」

 

 そう言うと、互いに暫く見つめ合った後、どちらともなく笑い出すのだった。

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