航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

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第53話~女の子とは、難しいものだ~

俺とラリーがロイクと出会ってから、早いもので1ヶ月が過ぎた。

あれから俺達は、ちょくちょく会っては世間話をしている。

夕食に誘われる事もあり、その時はエメル達もついてきた。

 

他にも、ルージュに居た頃のように、依頼をこなしたり、迷宮を攻略したりした。

依頼をこなしまくっていたため、この国でもガルム隊の知名度は上がり、さらに迷宮を幾つも攻略したため、強力なポーションや薬草も、大量に手に入った。

武器もあったが、正直な話、それらの使い道は無い。

それらは売ったり、武器を失って困っている他の冒険者に譲ったりした。

そうしている内に、俺等の所持金は数えるのも億劫になる程貯まり、パーティーランクは最高のSSSに上がった。

その際、イリナさんが驚きのあまりにぶっ倒れたのはよく覚えている。

レベルも、全員150を超えてしまった。

ユリシアも、加入当初はメンバーの中でレベルが一番低かった(それでもレベルは70だった)が、依頼で魔物の討伐をしたり、迷宮を攻略したりしている内に、俺等のレベルに追い付いてきた。

 

こうしてレベルアップを重ね、使用可能な機体が増えていく中で確信したのだが…………どうやら俺とラリーは、エースコンバットにおける架空機は使えないようだ。

何れだけレベルを上げても、それらが使えるようになるような気配は全く無い。なら、そのように考えるのが妥当と言うものだ。

 

残念と言ったら残念だが、その辺りについては、どうこう言っても仕方が無い。潔く諦めるしかないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで、俺は今、Su-33(シュトリゴン仕様)を纏って、王都の外れにある平野を飛び回っている。

その理由は、レベルアップで新たに取得した、ある特殊能力を使いこなせるようにするためだ。

 

体の向きを整えながら、俺は地面のある点を睨む。

すると、俺が睨んだ所に黒くて細い線が見える。

それが、レベルアップで新たに取得した特殊能力、『アレスティング・ワイヤー』だ。

 

知ってる人も多いだろうが、Su-33は艦上戦闘機だ。

そのため、空母から発艦し、戻ってくる。

それもあって、このような特殊能力を得たのだ。

 

まあ、艦上戦闘機なら、既にF-14やF/A-18、零戦とかがあるんだから、能力を得るタイミングが遅いと言ったら遅いんだが………それについては、もう気にしない事にした。

そして、俺は着陸体制に入り、高度と速度を下げつつフック(アレスティング・フック)を下ろし、ワイヤーに向かっていく。

そして、フックをワイヤーに引っ掛けると、俺は、後ろにグイッと引っ張られるような感覚に襲われる。

それで後ろに転ばないように注意してブレーキを掛け、停止する。

 

「良し、着艦成功!」

 

完全に停まったのを確認してから、俺はそう言った。

 

実を言うと、この練習は今日始めたばかりで、今成功するまで何度も失敗していた。

因みに現実では、着艦に失敗した時(所謂ボルター)に備えて、エンジンを着艦と同時にフルスロットルにしておくと言うのは覚えているので、それも練習に含めている。

 

「通算24回目………やっと成功だな」

 

ワイヤーを消してフックを折り畳み、機体を解除して地面に腰を下ろして、俺はそう言った。

練習している時から思っていたが、やはりゲームでやるのと実際にやるのとでは難易度が違う。

今後、何時この能力を使う事になるかは分からない。大してやる事が無い今の間に慣れておいた方が良いだろう。

「んじゃ、もう少しやるか」

 

そう言って立ち上がり、今度はF-14Dを纏うと、エンジンを掛けて離陸する。

そうして、全ての機体で、着艦の練習を慣れるまで繰り返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ~、遅くなっちまった………」

 

練習が終わる頃には、もう午後6時になっていた。

城に戻り、部屋へと入る。

 

「やあ、相棒。遅かったね」

 

部屋では、ラリーがベッドに寝転んでいた。

 

「ああ。ちょっくら着艦の練習をしてたんだよ」

 

ソファーに腰掛けて、俺は今日の事を話した。

 

「成る程ね………でも相棒、思ったんだけど………」

「ん?」

「着艦って、空母って船にやるから着艦なんでしょ?陸で使ってるのに着艦って言っても良いの?」

「…………」

 

コイツ思いっきり正論言ってきやがった。

いや、合ってるよ?言ってる事は合ってるんだけどさぁ…………

 

「(雰囲気壊さないでくれよなぁ……)」

 

内心そう呟き、俺は肩を落とした。

 

「…………?」

 

そんな俺に、ラリーは首を傾げている。

 

「まあ、あれだよラリー」

 

俺は話を切り出した。

 

「お前の言う通り、着艦ってのは空母にやってこそ着艦だ」

「うん」

 

俺の言う事に、ラリーが相槌を打つ。

 

「でもな、肝心の空母が無いなら…………」

「『無いなら』?」

 

聞き返してくるラリー。

俺は少しの間を空け、目を閉じて深く息を吸い、カッと見開いて言った。

 

「せめて、着艦すると言う気分だけでも味わいたいんだよッ!!」

「……………」

 

思いっきり言ってやると、ラリーは口をあんぐりと開けている。

 

「あ、相棒………」

 

そう言ってソファーに近づいてくると、ラリーは俺の頭にポンと手を置いた。

 

「ゴメン、相棒………もう、何も言わないよ」

 

ラリーはそう言って、頭を優しく撫でてきた。

それから夕食まで、何とも言えない空気が流れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、そんなこんなありつつ、夕食の時間になった。

部屋を出て食堂へと向かうのだが…………

 

「なあ、2人共、少し近すぎやしませんかね?」

「気のせいですよ、ミカゲ様」

「そうです、気のせいです」

 

ゾーイとアドリアの2人が、俺に寄り添うようにして歩いている。

…………いや、この場合は『寄り添う』と言うより、『密着している』と言った方が適切かな。

あまり言うべきではないかもしれんが…………結構歩きにくい。

 

今思えば、最近、2人からのスキンシップが激しくなってきている。

移動する時に密着してくるなんて当たり前だし、朝起きたら、ネグリジェ姿の2人が抱きついて寝ている。

他にも、ロイクと夕食を食べに行った際には、普段は俺の隣にラリーが座っていたのだが、何時の間にか、2人が俺を挟む形で座るようになった。

 

何?この2人って、俺の事好きなの?仮にそうだとして、何処で惚れた?

2人に惚れられるようなイベントなんて…………まあ、盗賊から助けたりはしたけど、拐われた仲間を助けるのは当たり前の事だし………

 

「(う~ん、分からん…………)」

 

頭を悩ませながら、俺は2人に挟まれた状態で食堂へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、ラリー」

「ん?」

 

食事を終えて部屋に戻り、俺はラリーに話を持ち掛けた。

 

「いや、その……最近、ゾーイとアドリアが矢鱈くっついたりしてくるんだけどさ…………あの2人、俺の事好きなの?」

「今更何言ってるんだい?それ以外に無いじゃないか」

 

まさかの即答でした。

てか、この言い方からすると、ラリーは既に気づいてたのか?

 

「と言うか相棒、今まで気づかなかったのかい?彼女等、結構アピールしてたんだよ?」

「さっきみたいに密着してきたり、飯食う時に『あーん』してきたりした事か?」

 

俺がそう訊ねると、ラリーは頷いた。

 

「そうそう。後、君のベッドにネグリジェ姿で潜り込んだりしてたのもね」

「……………」

 

その後も語られる2人からのアピールに、俺は言葉を失っていた。

 

「それから相棒、あれからどうなの?」

「………?どういう事だ?」

 

ラリーの質問に、俺は聞き返す。

 

「ホラ、ルージュの町を出発する時、2人がエスリアさんに嫉妬してるって話をしただろ?」

「………あ~、あれか」

 

確か、エスリアさんが俺に抱きついてきた事だよな。

 

「それで、2人を抱き締めてあげたの?」

「…………やってない」

 

そう言うと、ラリーは盛大に溜め息をついた。

 

「やれやれ…………君の鈍感さには、呆れるのを通り越して尊敬するよ」

そう言って、ラリーは言葉を続ける。

 

「良いかい?あの2人は君に好意を抱いているんだ。さっきみたいに密着したり、ベッドにネグリジェ姿で潜り込んだりするような性的アピールも、その好意の表れなんだよ」

「お、おう…………」

 

力説するラリーの気迫に怯みながら、俺は頷いた。

 

「なら君は、彼女等の気持ちに答えてあげるべきではないのかい?何時までも反応を返さないから、彼女等も焦って、あんな大胆な行動を取るようになってるんだよ」

「は、はあ…………」

 

どうやら、あの2人の行動は俺のせいらしい。

 

「兎に角、コレ前にも言ったけど、機会を見つけて2人を抱き締めてあげること。後、ちゃんとした反応を見せてあげること。Got it(良いね)?」

「…………Gotcha.」

 

俺はそう返した。

 

 

エリージュ王国に残してきたF組の面々、種族間戦争に加えて、新たな悩みが生まれた瞬間であった。




遂に、ゾーイとアドリアから異性として好かれている事を知った神影。
はてさて、どうなるのやら?
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