航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

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第55話~ルージュよ、我々は帰ってきた!!~

神影達ガルム隊の面々がルージュに向かっている頃、冒険者ギルドの前に3人の女性が立っていた。

彼女等は其々、ソブリナ、エリス、そしてニコル。

盗賊団、黒雲に捕まっていたところを神影とラリーに助けられた冒険者パーティー"アルディア"のメンバーである。

 

「此処に来るのも、随分久し振りね…………」

 

ギルドを見ながら、紫色の髪に蒼い瞳を持つ女性、ソブリナが呟いた。

 

「ええ。ギルドにお金を返して、ちゃんとしたギルドカードを作り直してもらってからは、町や村を転々として、依頼をこなしていたからね」

 

彼女に続ける形で、エリスが言う。

 

「ミカゲ達……帰ってる、かな………?」

「さあ、どうかしらね」

 

期待の込められた眼差しでギルドを見るニコルに、ソブリナはそう返した。

 

神影達ガルム隊がルージュを去る日、運悪く依頼で別の町に居たために彼等を見送る事が出来ず、後になって、神影達がクルゼレイ皇国に向かった事を知らされたアルディアの3人は、町や村を行き来して依頼をこなしながら、神影達がルージュに帰っていないかと、ちょくちょく様子を見に来ているのだ。

 

「取り敢えず、入ってみないと分からないわね………行きましょう」

 

そう言って、ソブリナはギルドの扉を開けて中に入り、2人も追従する。

「あっ!アルディアの皆さん、お久し振りです!」

 

彼女等がギルドに入ると、何時ものように受付カウンターに立っているエスリアが気づき、声を掛けてきた。

 

「ええ、久し振りね」

「相変わらず元気そうで、安心したわ」

 

受付カウンターに近寄りながら、ソブリナとエリスが言った。

 

「エスリア……ご無沙汰………」

 

ニコルも小さく言った。

 

「今日も、ミカゲさん達を探しに?」

「ええ、そうなんだけど………」

 

エスリアの質問に頷き、ギルド内を見渡すソブリナ。

だが、其所に神影の姿は無かった。

 

「どうやら、未だ帰ってないみたいね」

「はい」

 

ソブリナが呟くと、エスリアは残念そうに頷いた。

 

「ミカゲ達、何時になったら帰ってくるのかしらね………」

 

カウンターに凭れ掛かり、エリスがそう呟いた。

 

「ミカゲに、会いたい………」

「私だって会いたいわよ、ニコル」

 

寂しそうに呟くニコルに、ソブリナはそう返した。

エリスも2人と同意見なのか、複雑そうな表情を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「現在、高度2000フィート。進路、3-1-5。速度、280ノット………」

 

クルゼレイ皇国を出発した俺達ガルム隊は、ガルム隊発足の地であるルージュへと向かっていた。

 

「相棒、それ本当に好きだね」

 

隣を飛んでいるラリーが、苦笑混じりに話し掛けてきた。

コイツ、俺が数値を読んでいると、何時もこんな事を言うんだよな。

 

「まあ、コレ言うのが癖になっちまったからな………もう今更、何言われようが止める気はねぇぞ?」

 

俺はラリーの方を向き、軽く笑いながらそう返した。

 

「はいはい、お好きなように」

 

ラリーも笑いながら言う。

 

「それにしても、ルージュの町は久し振りだね………皆、元気にしてるかな?」

「元気だろうよ。何せ、オッチャン等が何時も居るからな」

 

俺は、何かと俺達に話し掛けてくれたオッチャン冒険者達の事を思い出す。

異世界転移ものでは、大抵の作品で噛ませ犬として登場するような荒くれ者の成りをしているが、実際は凄く気が良くて、陽気な人達だ。

彼等の事だ。今日も何時もと変わらず、ギルドの食事スペースで酒を飲んでいるだろう。

 

「ミカゲ様、ルージュには何れ程滞在する予定ですか?」

 

なんて考えていると、寄り添うようにして隣にやって来たゾーイが、そんな事を聞いてきた。

 

「ああ、そうだなぁ………」

 

よく考えたら、その辺りの事を全く決めてなかったな。

まあ少なくとも、ルージュの人達に顔見せて、直ぐにクルゼレイへ帰る、なんて事にはならないだろう。

てか、『帰る』と言うのは今の状況だ。

このルージュが、俺等ガルム隊発足の地であり、故郷みたいなモンなんだからな。

まあ、ルビーン出身のラリーは、その辺についてどう考えているのかは分からんが…………まあ、『第2の故郷』とは思っているだろう。

コイツも、あの町には居心地の良さを感じていたみたいだからな。

 

「(俺としては、1~2週間ぐらいは居たいな。エスリアさんやオッチャン達と騒ぎたいし、出来ればアルディアの3人にも会いたいしな)」

 

盗賊達から助けて、一旦ルビーンに戻る時に別れて以来、彼女等とは1回も会ってない上に、クルゼレイ皇国に行く時も会ってないからな。

元気にしてると良いんだが…………

 

「ミカゲ様、ルージュの町が見えてきました」

 

そう考えていると、今度はアドリアが近寄ってきて、前方を指差す。

アドリアが指差した方を見ると、ルージュの町が見えた。

 

「………数ヵ月経っても変わらねぇなぁ、あの町は」

 

俺はそう呟いた。

数ヵ月しか離れていなかったのに、何年も来ていなかったような、そんな不思議な感じがする。

 

「良し、そろそろ降りるか」

 

そう言って高度を下げると、他の皆もついてくる。

地面に降り立ち、機体を解除すると、町の門へ向かって歩みを進める。

門番の1人が俺達に気づいて此方を向く。

そして、その目が見開かれた。

 

「お、お前等は………」

「どうも、お久し振りです」

 

その門番に、俺は声を掛けた。

 

「おお、やっぱりお前等か!久し振りだな!」

 

そう言って、俺の肩をバンバン叩いてくる門番。

ラリーやエメル、ゾーイやアドリアにも気づき、其々に声を掛けていった。

 

「………ん?」

 

そして、門番はリーアに気づいた。

 

「何だ、クルゼレイに行ってから、また仲間が出来たのか?」

「ええ、色々ありましてね」

「そうかそうか」

 

笑顔で言う門番に、俺はギルドカードを見せる。

ランクが最高のSSSになっていた事に、門番は大層驚いた。

 

「信じられん………まさか、SSSになって帰ってくるなんてな」

「向こうに行ってからも、依頼をこなしまくってたんですよ」

「成る程、お前等がやりそうな事だな」

 

笑いながら言うと、町への門が開いた。

 

「んじゃ、ちゃんとギルドの連中に顔見せてやれよ?連中、結構寂しがってたからな」

「了解ッス」

 

そう言って、俺達は門を潜り………

 

「あ、ちょっと待った」

 

…………抜けようとしたところで、門番に呼び止められる。

 

「アルディアの3人が此処に来てるんだ、多分ギルドに居ると思うから、彼女等にも会ってやんな。あの娘等、時々来てはお前を探してたんだぜ?」

「あの3人が?」

 

俺が聞き返すと、門番はニヤニヤしながら頷いた。

 

「ああ、そうさ。いやぁ~、モテるねぇ。羨ましいぞ、この色男め」

 

からかってくる門番に、俺は苦笑いで返した。

 

「何はともあれ、お帰り!ガルム!!」

「はい、ただいま!」

 

そう返して、俺達はギルドへ向かって歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「つ、疲れた………」

「まさか、あんなにも囲まれるなんて思わなかったわね………」

「町の人達、恐かったですぅ………」

 

ギルドに着く頃には、俺達はヘトヘトになっていた。

 

ギルドへの道中、町の人達に囲まれて、立て続けに声を掛けられまくっていたのだ。

前後左右から声を掛けられ、対応するのが大変だった。

新メンバーであるリーアも人気者になり、町の人達(特に男性)から声を掛けられまくっていた。

 

「ラリーに、不可視化と気配遮断の魔法掛けてもらえば良かったかもしれねぇな」

「いやいや、そんな事しても意味無いよ、相棒。この前王都に行った時、影でバレたのを忘れたのかい?」

 

ラリーが苦笑混じりにツッコミを入れる。

 

「あ~、確かにそんな事もあったなぁ………」

 

誤魔化し笑いをしながら、俺はそう言った。

 

「まあ、何はともあれギルドに着いたんだ。それで良しとしようではないか」

 

俺はそう言って、ギルドのドアに手を触れる。

そして、後ろに控えているメンバーに視線を向けた。

 

「さて………お前等、準備は良いか?」

 

そう訊ねると、全員が一斉に頷いた。

こういう時、何故か緊張してしまうのは俺達だけではない筈だ。

この、教室のドアの前に立った、留学から帰って来た生徒や転校生にでもなったような、不思議な感覚……………経験のある人なら、分かってくれるだろう。

 

「それじゃ………行くぞ!」

 

そう言って、俺はギルドのドアを勢い良く開け放った。

それによって、大きな音がギルド内に響き渡る。

何事かと振り向いた冒険者達の表情が、驚愕に染まる。

何時ものように受付カウンターに立っているエスリアさんも、口を手で覆って驚いている。

門番さんが言ってた通り、ギルド内にはアルディアの3人が居て、ちょうどエスリアさんと話していたらしく、受付カウンターに居た。

 

「み……ミカゲ……なの………?」

 

そんな中で、ソブリナの小さな声が聞こえてきた。

エスリアさんと同じように口を両手で覆っていても、この静まり返ったギルド内では、彼女の声もしっかり聞こえた。

 

「あ~、その………」

 

何とも言えない気分になりながらも、取り敢えず言葉を絞り出す。

 

「久し振りだな」

「~~~ッ!ミカゲ!!」

 

感極まったように駆け出したソブリナが、俺に飛び込んできた。

 

「うわっと!?」

 

いきなりの行動に驚きながらも、何とか彼女を受け止める。

 

「ミカゲ………ミカゲぇ………ッ!」

 

俺の胸に顔を埋め、ソブリナは嗚咽を漏らす。

そんなに俺を思ってくれていたのか…………嬉しいような、面映ゆいような………

 

「………ミカゲ」

「ん?」

 

すると、何時の間にか、俺の直ぐ前にニコルが立っていた。

 

「よぉ、ニコル。久し振りだな」

「………うん、久し振り」

 

そう言って、ニコルも抱きついてくる。

左手でソブリナの頭を撫でながら、ニコルを右腕で抱き留める。

 

「わーお、モテモテだねぇ、相棒」

 

ニヤニヤと笑みを浮かべたラリーが、からかうように言ってくる。

コイツ、ギルドに着く前まで魔術師の女の子達に囲まれてあたふたしてやがった癖に………ッ!

 

「「……………」」

 

つーか、ゾーイとアドリアの視線が恐い!

何か目が光を失ってる上に、背後からドス黒いオーラが出てるんですけど!

今の2人、和解する前より恐いぞ!冗談抜きで!

 

「久し振りね、ミカゲ」

 

ゾーイとアドリアからの視線に怯えていると、エリスが歩み寄ってきた。

 

「お、おお。エリス。久し振りだな、元気にしてたか?」

 

背後から2人の視線を浴びながら、俺はエリスに向き直った。

 

「ええ、お陰様でね。また会えて嬉しいわ」

 

エリスは笑みを浮かべて微笑んだ。

 

「ラリーも久し振り。相変わらず元気そうね」

「ああ、エリス。お陰様でね」

 

エリスに声を掛けられたラリーも、笑みを浮かべて言った。

 

「おう、坊主!お前等やっと帰って来たか!待ちくたびれたぜ!」

 

すると、何時ものオッチャン冒険者が声を掛けてきた。

 

「オッチャン、お久し振りッス」

「おう!ラリーも久し振りだな!」

「はい、お久し振りです」

 

そうして、ギルド内の他の冒険者もワラワラやって来て、俺達ガルム隊は、自然とギルド内に移動していた。

 

相変わらずソブリナとニコルに抱きつかれ、何故かエリスも寄り添うように歩き、ゾーイとアドリアからのジト目を背後から浴びつつ、ワイワイ騒ぐ冒険者達を見ながら、俺は小さく呟いた。

 

 

 

「ただいま、ルージュ」

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