航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

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第58話~嫉妬からのキス攻め~

さてさて、終盤でアルディアの3人とエスリアさん(酔っ払い共)に絡まれ、あまりにもロマンの無いファーストキスの奪われ方をした、あのお帰りなさいパーティーから一夜が明けたのだが…………

 

 

「…………コイツ等、未だ寝てやがる」

 

何と無く目が覚めた俺の耳に、昨日まで思いっきり騒ぎまくっていたギルドのメンバーの寝息(一部は鼾)が聞こえてくる。

 

向かいの席には、エメルとリーアに抱きつかれて魘されているラリーの姿があった。

アルディアの3人とエスリアさんの相手でそれどころじゃなかったが、コイツもかなり苦労させられたようだな。

 

「あっ、そう言えばゾーイとアドリアは………………?」

 

昨日は全く絡んでこなかった2人が気になり、俺はギルド内を軽く見回してみる。

 

「…………あっ、居た」

 

2人は直ぐに見つかった。

奥の方にあるテーブル席で突っ伏して寝ている。

傍に幾つもの酒の瓶が転がっているのを見る限り、かなり飲みまくったようだ。

 

「彼奴等、アルコール中毒で死んだりしてねぇよな?」

 

そんな縁起でもない事を呟きつつ、俺は床に転がって寝ている連中を跨ぎながら2人に近づき、様子を見る。

「………うん、ちゃんと息はあるな」

 

それを確認してから、念のためにラリー達の様子も見る。

結果は2人と同じく、異常無し。

安堵の溜め息をつきながら、俺は席に座る。

 

「あっ。そういや、今の時刻は…………」

 

そう呟き、俺は壁に掛けられた時計に目を向ける。

 

「6時45分か…………」

 

日本に居た頃、俺が家を出る時間帯だ。

そう言えば、ギルドが開くのって何時だったかな……………

 

「んっ…………」

 

すると、エリスの瞼が僅かに動いた。

因みに言っておくが、俺に絡んできた4人の酔っ払いは、全員床で寝ている。

エスリアさんは椅子の後ろで横になっていて、ニコルは何と、テーブルの下で猫みたいに丸くなっている。

ソブリナやエリスの場合は椅子に足を置いて寝ていた。

恐らく眠った時に後ろに倒れたのだろうが、それぐらいでは起きなかったようだ。

てか、俺としては、2人には一刻も早く起きてもらいたい。

2人共寝相が寝相だから、服が捲れて引き締まったお腹や、胸も若干見えている上に、スカートも捲れて、下着が見えている。

……………コレ、起きてたのが俺で良かったのではないだろうか?

ゾーイやアドリアからの過激なアピールもあってか、この程度では、変な気が起こったりはしなくなっている。

 

「はぁ…………やれやれ、世話の掛かる奴等だな、マジで」

 

溜め息混じりにそう呟き、俺は2人を引っ張って足を椅子から下ろし、衣類を整える。

2人と同じような女性冒険者はチラホラ居たため、同様に床に寝かせ、衣類を整えておいた。

 

「つーか、コレ依頼人が来たりしたらどうすんのさ?俺1人で全部対処しろとか言われるのは嫌だからな?」

 

そう呟いた時だった。

 

「んっ……ふわぁ……あっ………」

 

さっき床に寝かせたばかりのエリスがゆっくりと起き上がったのだ。

 

「あれ……此処は………?」

両手で目を擦っている姿は可愛らしいが、それはそれだ。

 

「よお、エリス」

 

エリスの方を向いて、声を掛ける。

 

「あら、ミカゲ………起きてたの…………?」

「ああ、前からな」

 

呆然として聞いてくるエリスに、俺はそう言った。

「つーか、お前後ろ向きに倒れたのに起きなかったのか?余程眠りが深かったんだな」

「えっ…………?」

 

俺の言葉に、エリスはキョトンとした表情で聞き返してくる。

 

「いやな?お前とソブリナ、後ろ向きにブッ倒れてたんだよ。この椅子に両足を引っ掻けた状態でな」

 

そう言って、俺は2人が座っていた所を軽く叩いた。

 

「足を、引っ掻けてた………?この、格好で……?」

「そう」

 

そう言うエリスに、俺は頷く。

 

「~~~ッ!?」

 

すると、エリスの顔が真っ赤に染まった。

 

「ば、馬鹿!エッチ!変態!」

「いや、なんでだよ!?」

 

突拍子も無い罵声の嵐に、俺は堪らずツッコミを入れる。

 

「だ、だってミカゲ…………私とソブリナの、見たんでしょ?」

「はあ?見たって何を………あっ」

 

其処で俺は、エリスが何を言おうとしているのかを悟った。

 

「……………サーセン」

 

こう言うしかないな、うん。

 

「やっぱり見たんじゃない!馬鹿!エッチ!」

 

やはり罵声の嵐だ。もう、俺にどうしろと……………?

 

「……………」

 

一通り叫ぶと、エリスは沈黙する。

ぶつける罵声が無くなってきたのか?

 

「………にん………………いよ」

「え?」

 

何やらブツブツ言い始めるエリスに、俺は聞き返した。

 

「せ、責任取りなさいよ!アンタ、私とソブリナの恥ずかしい姿を見たんだから!」

「未だ皆寝てるからって、んな事大声で言うんじゃねぇ!?」

 

外に居る連中に聞こえたらどうすんだよ!?

コレ、最早俺が性犯罪者になっちまうんじゃないのか!?嫌だぞマジで!

「つーか、今考えたら、今回の事については俺全然悪くねぇだろ!お前等の寝相が悪かっただけじゃねぇか!」

「う、五月蝿い五月蝿い五月蝿い!!アンタは黙って頷いてりゃ良いのよ!」

「そりゃ理不尽ってモンだろうが!?」

 

それからリミッターが外れた俺達は、ギルドの連中が起きて止めに入ってくるまで騒ぎまくっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ~………」

「お疲れ様、相棒」

 

さて、あれから何だかんだありつつ、ギルドの連中が次々に起きてきたのもあり、俺達は今、昨日のパーティーの後片付けをしていた。

床に散乱した瓶を片付けながら溜め息をついていると、ラリーが苦笑混じりに声を掛けてきた。

 

ギルドのメンバーが起きてから、またちょっとした騒ぎになったのだ。

昨日の出来事を覚えていたソブリナとエスリアさんが、俺を見た途端に顔を真っ赤にして叫び、何事かと冒険者の1人が訊ねると、酔った勢いで俺にキスした事を暴露して女性冒険者達が騒ぎ、その傍らで俺は、ゾーイとアドリアに捕まって質問攻めにされていたのだ。

 

もう活動どころではなくなってしまい、俺は次々と襲い掛かってくる質問の嵐に、目を回すしかなかったのだ。

 

 

「そう言ってるラリーも大変だったんじゃねぇのか?エメルとリーアの件で」

「ああ、それね………」

 

俺の言葉に、ラリーは苦笑混じりに返した。

目が覚めたエメルとリーアの反応は、ソブリナやエスリアさんと似たようなものだった。

2人共顔を真っ赤にして、今はギルドの受付の奥にある部屋に引き籠っている。

 

「後で慰めに行ってやれよ、ラリー」

「う、うん……そうだね………」

 

そんな会話を交わし、俺はギルド内を軽く見回す。

 

皆、せっせと後片付けをしているのだが………

 

「「………………」」

 

ソブリナとエスリアさんが、俺にキスした事を暴露した時から、ゾーイとアドリアが不機嫌だ。

 

ソブリナとエスリアさんの場合は、俺と目が合うと、顔を真っ赤にして俯いてしまう。

エリスとも目が合ったのだが、コレも同じだった。

 

「あ~あ…………」

 

顔を逸らされた俺は、苦笑混じりにそう呟いた。

 

「そう言えば」

 

すると、ラリーが何かを思い付いたような表情を浮かべた。

 

「どうした?」

「相棒、ステータスを見てみない?」

 

突拍子も無く、ラリーはそんな事を言い出した。

 

「なんで?」

「いや、これといって理由は無いんだけど………何と無く、ね」

「……………?」

 

そんなラリーに首を傾げながら、俺はステータスを開いた。

 

「レベルもステータス値も、何も変わってねぇぞ?」

 

ステータスをサラッと眺めてそう言った俺だが、ある項目に目が留まった。

 

「…………ん?」

 

その項目は、『特殊能力』だった。

 

確か、俺の今までの特殊能力は……………

 

 

言語理解、空中戦闘技能、僚機勧誘、僚機念話、魅了・催淫無効化、錬成『アレスティング・ワイヤー』、錬成『カタパルト』、拡声

 

 

この8つだけだったのだが、新たな特殊能力が加わっている。

その能力は……………

 

 

 

 

 

『アルコール耐性』

 

 

 

 

 

「「こんな特殊能力要らねぇよ!!」」

 

俺は盛大にツッコミを入れた。

ラリーも同意見だったらしく、俺と声が重なっている。

冒険者達からの視線が集まるが、そんなもの気にしていられない。

 

「はぁ………」

 

俺は盛大に溜め息をつきながら、床にどっかりと腰を下ろした。

 

いや、もう。ホントに何なのコレ?

『アルコール耐性』とか訳分かんねぇよ。こんなの持ってて、将来何の役に立つって言うんだ?

もっとさぁ、他に役に立つような能力あるんじゃないの?『鑑定』とか、何かのネット小説で見た『限界突破』とかさぁ。

他にも、『詠唱破棄』ぐらいあっても罰は当たらねぇぞマジで。

ラリーや御劔はコレ持ってたし。

 

「お、おい坊主…………どうした?」

「あ、いや…………何でもないッス」

 

心配そうに声を掛けてきたオッチャンに、俺はそう返した。

 

「ミカゲ様」

「うおっ!?」

 

そして片付けを再開しようとすると、何時から居たのか、目の前でしゃがんでいるゾーイが話し掛けてきた。

 

「な、何だ、ゾーイか………どうかしたのか?」

「お話があります。後片付けが終わったら、少し、お時間をいただけますか?」

「…………?まあ、別に良いぜ」

 

俺がそう言うと、ゾーイは一礼してから片付けに戻っていった。

 

「にしても、話って一体何だろ…………ん?ラリー、どうしたのさ?十字架なんて切って」

「いや、その…………何と無く、ね」

「……………?」

 

そんなラリーの返答に、俺はただ、首を傾げるだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、そんなこんなありつつ片付けも無事に終わったのだが、時刻は既に昼になっていた。

昨日のパーティーで食材を使いすぎてしまったため、ギルドの職員や冒険者の何人かが買い出しに出ていった。

ラリーは、奥の部屋で引き籠っているエメルとリーアを慰めに行っており、俺は前後をゾーイとアドリアに挟まれて歩いている。

 

「なあ、ゾーイ」

 

俺は、前を歩くゾーイに話し掛けた。

 

「はい、何でしょうか?」

 

此方を向かぬまま、ゾーイが答える。

 

「話があるって言ってたけど、移動する必要ってあるのか?」

 

そう言うと、一瞬ピクリと反応したゾーイだが、声色を全く変えずに言った。

 

「それは、ミカゲ様が気にする事ではありません」

「さ、さいでっか………」

 

そんなゾーイの返答に、俺は関西弁で返してしまう。

 

後ろに居るアドリアをチラリと見るが、顔色1つ変えずに歩いている。

さて、この2人は俺を何処に連れていくつもりなのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「着きました」

「…………宿?」

 

連れてこられたのは、アルディアの3人を救出した日や、ルージュに戻ってからクルゼレイ皇国に行く前までの間に利用していた宿だった。

そのまま入っていった2人に、俺も続く。

少し歩くと、ある部屋の前に来ていた。宿の廊下の奥にある部屋だった。

其所で、アドリアが懐から鍵を取り出して、鍵穴に差し込んで鍵を開ける。

 

「どうぞ、ミカゲ様」

 

ドアを開けて、中に入るように促してくる。

 

「お、おう」

 

促されるままに、俺は部屋に入る。

どうやら3人部屋らしく、前に泊まったものより広い部屋に、ベッドが3つ置かれている。

 

「お前等、部屋なんて取ってたのか?」

 

後に続いて入ってきたゾーイ達の方を向いて、俺はそう言った。

 

「ええ。何日かは、此処に滞在する予定だったのでしょう?」

 

ゾーイがそう聞いてくる。

 

「まあ、そうだがな」

 

そう答えると、俺はベッドに腰掛けた。

 

「因みに、部屋はもう1つ取ってあります」

 

そう言って、ゾーイが別の鍵を見せてくる。

鍵に書かれた番号からして、隣の部屋のようだ。

 

「もしかして、態々取ってくれたのか?」

「はい。ミカゲ様が片付けをしている内に、私達の方で取っておきました」

「そっか………2人共、態々ありがとな」

「い、いえ………」

「……………」

 

礼を言うと、2人は頬を赤く染めた。

 

「(それにしても、3人部屋を2つか…………)」

 

ガルム隊のメンバーは6人だから、ちょうど良いと言えばちょうど良いんだが、別に2人部屋を3つ取っても良かったのではないかと、失礼ながら思ってしまう。

 

「(まあ、それを口に出したりはしないけどさ)」

 

内心そう呟き、俺は2人に向き直った。

 

「それで、確か話があるんだっけ?」

「…………ええ」

 

俺が訊ねると、ゾーイが声のトーンを落として答えた。

「ですが、その前に…………」

 

そう言って、ゾーイはアドリアの方に目を向ける。

アドリアは頷いてドアの方へと歩いていき……………

 

 

……………ガチャリと鍵を閉めた。

 

「ちょ、おい!?」

 

堪らず立ち上がり、俺はツッコミを入れる。

 

「何でしょう?」

 

振り返ったアドリアが聞いてくる。

 

「いや、『何でしょう?』じゃなくて、何故にドアを閉める!?」

「何故って…………そんなの、決まってるじゃないですか」

 

今度はゾーイが答える。

てか、交代交代で答えてきますねぇ君達は!

 

「此処で、上書きをするためですよ」

「………"上書き"?」

 

ゲームデータじゃあるまいし、そもそも何を上書きするってのさ?

 

「先日のパーティーで、ミカゲ様はソブリナ様とエスリア様にキスをされていましたね?」

「ま、まあ確かにされたが…………でも、あれは2人が酔ってたからであっt………「ですが、"キスをされた"と言う事実は変わりません」……おわっ!?」

ゾーイが俺の言葉を遮り、ベッドに押し倒してきた。

 

「………それを見せられた私達の気持ちを、考えた事がありますか?」

 

俺に覆い被さり、ゾーイは言葉を続ける。

 

「幾らお酒に酔っていたとしても、それを見せられる私達は堪ったものではありません。ミカゲ様は、もう少し女心と言うものを理解するべきです」

ベッドに這い上がってきたアドリアが続けた。

 

「「私達をこんなにした責任……………取ってくださいね?」」

「お、お前等までエリスと似たようなこt………ッ!?」

 

俺が最後まで言い終える事は無かった。

その理由は簡単だ。

 

「「んっ……ちゅ……んぅ」」

「~~~ッ!?」

 

何と、ゾーイとアドリアが同時にキスをしてきたからだ。

 

「「ちゅっ………んっ、んん……ぷはっ」」

 

同時に唇を離す2人。その顔は赤く染まり、息も荒れていた。

 

「「さあ、ミカゲ様…………お覚悟を…………」」

「いや、ちょ、まっ…………」

 

 

 

 

 

 

 

その後どうなったのかは、俺も全く覚えていない。

ただ、1つだけ辛うじて言える事は…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………何とか、俺の"初めて"だけは守られた、と言う事だ。

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