航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

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第59話~零戦の刀がチート武器だった件について~

翌朝、体の両サイドと腹部に感じる柔らかい感触と陽射しによって、俺は夢の世界から引き戻される。

 

「……………知らない天井だ」

 

この台詞、言うの何回目なんだうか?かれこれ数十回は言ってるような気がする。

 

目を擦りながら起き上がり、部屋を見渡す。

今まで宿で泊まる際に利用したものよりも、一回り広い部屋だった。

ベッドが3つ……………3人部屋のようだ。

 

「んぅ………ミカゲ、様ぁ……」

「……お慕い、していますぅ……」

 

俺の横では、ゾーイとアドリアが抱きついて寝ている。

……………ああ、そう言えば昨日、2人にこの部屋に連れてこられて、そのままキス攻めに遭ったんだっけな。

 

「おい、2人共起き…………ん?」

 

2人からの拘束を解き、揺すって起こそうとした時、何故か耳に違和感を感じる。

 

「……何か、湿ってる………?」

 

試しに、片方の耳に触れてみる。

 

「うわっ、ベトベト!?」

 

何故か、耳がベトベトになっているのだ。

枕にもシミが出来ている。

……………コイツ等、キスだけじゃ足らないからって耳まで舐めやがったな?

 

「やれやれ、どんどん過激になっていきますなぁ」

 

そう呟き、俺はベッドから起き上がると、洗面所に行って、顔を洗うついでに耳も洗う。

それにしてもこの2人、"耳を舐める"なんて行為を何処で習ってきたのやら……………

 

「あっ、そういやラリー達ってどうしてるかな………?」

 

ギルドに置いてきてしまったラリー達の事が気になり、僚機念話で呼び掛けようとした時だった。

 

《よう相棒、もう起きてるか?》

それを見越していたかのように、ラリーが僚機念話で話し掛けてきた。

 

《おう、ちゃんと起きてるよ》

 

俺はそう答える。

 

《ちょうど連絡入れようとしてたんだが…………お前等、今何処に居るんだ?》

《隣の部屋だよ》

 

ラリーが即答する。

曰く、ゾーイとアドリアが宿で部屋を取っている事は、エメルが知っていたらしく、宿に来て鍵を受け取ろうとしたのだが、鍵が閉まっていたため、ラリーの転移魔法で部屋の中に転移して、鍵だけ持って外に出ると、それを使って部屋に入って休んだのだと言う。

 

《"転移魔法で入る"って、お前…………それ、ある意味不法侵入じゃねぇか?》

《そうは言うけど、仕方無いだろ?だって鍵が無かったら部屋に入れないんだから》

 

若干引き気味になっていると、ラリーがそう言い訳した。

まあ、間違ってはいないので、これ以上は何も言わない事にしよう。

 

《ところで、そっちはどうなの?もう2人共起きてる?》

 

そう言われ、俺は洗面所から顔を出してベッドの方を見る。

2人は未だ、夢の中のようだ。

 

《いや、未だ2人共寝てるよ……………そっちは?》

《同じだよ。今起きてるのは僕だけだ》

 

前々から、考える事が合うと思っていたが、状況までピッタリ合うとはな……………コレ、テレパシー的な何かがあるのだろうか?

 

《まあ、時計を見たところ、未だ6時ぐらいだからね、暫くのんびりさせてもらうよ。それじゃ、また2人が起きたら連絡するね》

 

そう言って、ラリーは念話を切った。

俺はベッドに腰掛け、未だ寝ている2人を見ながら時間を潰す事にしたのだが……………

 

「ベッドのシーツとか枕とか、変えてもらえたりするかなぁ…………」

 

ゾーイとアドリアからの耳舐め攻撃で、枕や、枕元のシーツにはシミが出来てしまっている。

暫く此処に滞在する訳だから、そんな不衛生な状態では居たくない。

取り敢えず、シーツと枕の交換を娘さんに頼んでみようと密かに決め、後は2人が起きるのを待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても相棒、昨晩はお楽しみだったねぇ」

 

今は7時。

ゾーイとアドリアが眠い目を擦りながら起きてくると、ちょうどエメルとリーアが起きたとラリーから連絡があったのもあり、俺達は食堂に来ている。

此処に来るついでに、この宿の娘さんに、枕とシーツの交換を頼んでみたら、あっさり頷かれた。

てっきり無理だったり、金が掛かったりするのではないかと心配していたが、どうやら杞憂だったようだ。

娘さん曰く、俺達が朝食を摂っている間に変えてくれるらしい。

いやぁ~、助かった。娘さんマジ天使。

 

「部屋に入った時、ゾーイとアドリアが満足そうな顔で君に抱きついてたよ~?昨日、何したのさ?」

 

そんな訳で、現在ご機嫌で朝食を摂っているのだが、ラリーが昨日の事で冷やかしてくる。

俺の両隣に座っているゾーイとアドリアは、顔を真っ赤にして縮こまっている。

 

「別に?ただキス攻めされた事しか覚えてねぇな…………まあ、耳も舐められたらしいが」

「ちょっ、ミカゲ様!」

 

俺が言うと、ゾーイが声を上げる。余程恥ずかしいようだ。

 

「成る程ねぇ…………」

 

ラリーはそう言って、ゾーイとアドリアに視線を向ける。

2人は恥ずかしがって、俺に抱きついてラリーの視線から逃れようとする。

 

「それもそうだがラリー、お前の方はどうだったんだ?」

 

俺はそう訊ねた。

 

「ん?僕?」

 

ラリーが自身を指差して聞き返す。

 

「そう、お前だよ。エメルとリーアを慰めに行ってたろ?あれは上手くいったのか?」

俺はそう言うと、ラリーの両隣を陣取るエメルとリーアに視線を向ける。

まるで、さっきのラリーみたいだ。

 

「ああ、その事なら大丈夫。ちゃんと解決したから問題無いよ」

 

ラリーはそう言った。

エメルとリーアも、ゾーイとアドリア程恥ずかしがってはいないようだ。

 

「(…………見たところ、この3人は部屋に入ってから普通に寝ただけみたいだな)」

 

キス攻め喰らった上に耳を舐められた俺とは、全然違っている。

 

 

そんなこんなで朝食を終え、部屋に戻ろうと立ち上がる。

 

 

「…………あっ」

 

そんな中、俺の頭に、ある事が思い浮かんだ。

 

「…………?相棒、どうかしたの?」

 

動きを止めた俺に、ラリーがキョトンとした表情で訊ねる。

 

「ああ、ちょっとやりたい事があってな…………悪い、先に部屋に行っといてくれ」

「え?ちょっと、相棒!?」

 

ラリー達を置いて、俺は宿を飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良し、大体この辺りで良いだろ」

 

やって来たのは、ルージュの外に広がる平野。

日本に居た頃とは考えられないような、遥か遠くまで見渡せる、駄々っ広い平野だ。

 

「来い、零戦!」

 

そう言うと、俺の体が光に包まれ、その光が消えると、零戦が俺に装着されていた。

離着陸モードなので、20㎜機関砲が装備された主翼が地面に対して水平になっており、尾翼とセットになった、実機で言う機体後部が、尻尾のように生えている。

そして腰には、2本の刀が装備されていた。

 

俺がやろうとしている事は、この刀が何れ程の威力を持っているか、そして、コレを応用して、何かが出来ないかの実験だ。

リーアの一件で、この世界の剣を容易くブッ壊せる程頑丈である事は確認済みなので、コレを上手く応用して何かが出来ないかと、ふと思い付いたのだ。

今まで、魔物の討伐や盗賊の殲滅は、機銃やミサイル、爆弾やロケットランチャーで解決してきたが、この刀の世話になる時が、何時来るか分からない。

何も事件が起きていない内に、この刀に慣れておき、自分なりの戦い方を見つけておいても損は無いだろう。

 

「つか、こう言うのって白銀辺りが得意そうだよな………」

 

彼奴の天職って、確か"魔法剣士"だったと思うし。

御劔の場合は…………合わんな。彼奴のは"聖剣士"だから、普通の刀とはミスマッチだ。エクスカリバーでも振り回しとけば良い。

 

「…………っと、そろそろ始めるか」

 

そう呟き、俺は腰に提げられている刀の1本を抜いた。

刀身がかなり長いが、それ程重くはない。

俺のレベルが高いからか、それとも元から軽いのか…………いや、普通に考えて前者だろうな。

 

「それにしても俺、"剣術"とかのスキルって無いんだよなぁ~。天職を増やせるなら、"剣士"が欲しいや」

 

そんな贅沢な事を呟きながら、中学の頃に、体育の授業でやった剣道の素振りをしてみる。

 

「…………………」

 

だが、いまいちパッとしない。向いてないのかな、俺………

 

「はぁ………」

 

溜め息をつき、俺は素振りを止めた。

だが、せっかく刀を使えるんだ、何か使い道を見つけなければ、宝の持ち腐れになってしまう。

 

「何か無いか?コレを使った上手い戦い方は…………」

 

刀を腰についている鞘にしまい、俺は地面に胡座をかいて座る。

そして、暫く悩むこと数十分、1つ、思い付いた事がある。

 

「………アニメのやり方を真似てみるのはどうだろう?」

 

別に、無理に現実世界でのやり方に拘る必要は無い。

そもそも俺、剣道なんて中学の体育でやった程度だからそんなに上手くないし、剣術なんて全く知らない。

なら、アニメのやり方を真似た方が良いのではないか?

 

それなら、技の名前は知らないが、フォームを覚えているのが幾つかある。

 

「良し、早速やってみるか!」

 

取り敢えず、それなりに良さそうなのをやってみよう。何なら自己流でも良いからな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………何てこった」

 

それから10分後、俺は絶句していた。

目の前の地面が、数十メートル程抉られているのだ。

因みに、それをやったのは俺。

1度、ふざけて野球のバットの要領で思いっきり振ったら、斬撃の像が生じて、物凄い勢いで飛んで、地面をガリガリと抉ったのだ。

 

「……………冗談だよな?」

 

そう言うと、今度は腰を下ろして、刀を斜め上に振り上げる。

すると、生じた斬撃がプロペラのように回ったかと思うと、地面と水平になるように角度を変え、そのまま地面を抉りながら飛んでいった。

 

……………あっ、何か知らんけど、出てきたゴブリンの上半身と下半身がさよならした。

 

「………………」

 

今度は、2本の刀で試してみる。

左手に持っている刀は右肩の後ろ、右手に持っているのは左肩の後ろに構え、それを一気に振るう。

その後、俺は目を見張った。

斬撃の像がクロスを描き、ポケ◯ンの『だ◯も◯じ』の如く飛んでいったのだ。

 

「……………もう、何が何だか分からねぇ」

 

そう呟き、俺は刀を鞘にしまうと、そのままルージュの町へと戻っていった。

 

 

その後ラリーに、刀がトンでもない武器だったと言う事を話し、大層驚かれたのは余談である。

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