航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

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 神影達の制服を学ランに変えました。


第6話~あばよF組!こんにちは、航空傭兵ライフ!~

 翌朝、何時ものようにセレーネさんに起こされた俺は、用意されていた新しい服に着替えて身支度を済ませると、何食わぬ顔で食堂にやって来た。

 食堂に着くと、待ってましたとばかりに天野と雪倉が雪崩れ込んできて、『もう動いても大丈夫なのか?』とか、『未だ何処か辛くはないか?』とか色々質問責めにされた。

 2人が回復魔法を掛けてくれたお陰で何時もの調子に戻っている俺は、軽く腕を回して完治している事をアピールし、傷の手当てをしてくれた事について礼を言った後、遅れて歩み寄ってきた白銀や先生にも、部屋へ運んでくれた事について礼を言った。

 

 天野や雪倉は心底安心したとばかりに安堵の溜め息をつき、白銀や先生も、また何かされたら言うようにと言ってくれた。

 あのクールな白銀も、流石にあんなズタボロにされたとなれば結構焦ったらしく、俺が回復している事を喜んでくれた。

まあ、天野や雪倉程ではないにせよ、それなりの交流があったからな。

 

 だがな、白銀、先生。悪いが、俺が2人に相談する事なんて、する前から無いんだ。

 何せ俺は今日、此処を離れるつもりなのだから………………

 

 

 

 それから4人に話を聞いたのだが、昨日セレーネさんも言っていたように、俺を集団リンチした富永一味は今、其々の部屋で謹慎処分を受けているらしく、朝食も皆と食べるのではなく、其々の部屋に運ぶ形となっているようだ。

 

 その後、朝食を終えて訓練場に集まり、フランクさんから今日の訓練の内容を聞く。

 今日は午前に座学で、昼食後から此処で訓練をするらしい。

 

 俺としては、出来れば座学が終わった後に此処を出たい。

 座学の授業で出来る限り情報を集め、授業終了後、宰相に話をつけて、この居心地悪い空間とおさらばすると言う寸法だ。

 男女で分かれての座学だから、出来れば女子より早く終わってほしいものだ。

 ステータスの事もあるから、流石に『残れ』とは言われないと思うが、『自分勝手な真似はするな』と非難されそうだ。

 その点、男子なら俺の離脱に文句は言わないだろう。いや、寧ろ喜びそうだ。

 そうして、男女で其々、行くように伝えられた部屋へと向かい、(俺にとっては)今日で最後の座学の授業を受けるのだった。

 

 

 

 

 

「(良し、女子は未だ帰ってきてないみたいだな……計画通りだぜ)」

 

 座学の授業を終え、他の男子と謁見の間に戻ってきた俺は、女子が未だ帰ってきていない事に、内心ほくそ笑んでいた。

 謁見の間には、俺等F組の男子を除けば宰相しか居ない。俺のF組離脱計画も、実行に向けて、順調に進んでいるようだ。

 

「(計画を実行するのは、今が絶好のチャンスだな)」

 

 そうとなれば即実行。俺は手を上げて言った。

 

「宰相さん、ちょっとお話が」

「何だ、さっさと言え」

 

 うへぇ~、聞きましたか皆さん?スッゲー口悪くなってますよ。

 

「前々から思っていましたが、俺はどうも、この集団で足を引っ張り過ぎているようです。俺の事を良く思っていない人も居るようですし、この辺で別行動に移りたいと思うのですが、如何でしょう?」

「ほう………」

 

 そう言うと、宰相は顎に手を当てて、何か考えるような仕草を見せた。

 数秒そのポーズで固まっていたが、一瞬ニヤリと笑んでから此方を向いた。

 

「良いだろう。だが、勇者の方々の意見を聞いてからだな」

 

 宰相はそう言って、他の男子達に視線を向ける。

 男子達は、俺の発言に目を丸くしていたが、状況が飲み込めたのか、ニヤニヤと笑みを浮かべた。

 

「別に良いと思いますよ~?」

 

 先陣を切る形で、黒縁眼鏡で細身の男子生徒--中宮 慎也(なかみや しんや)--が言った。

 

「確かに。コイツ訓練の時は一番最初にバテるし、動きも俺等よりトロいから、正直邪魔だったんですよね~」

「コイツの天職も大して役に立ってないしな~。ったく、何のための天職なんだっつーの」

「おまけに迷宮攻略の時は後ろをコソコソついてくるだけだし、役立たずにも程があるって感じだし」

「マジで同感だわ、それ」

 

 色々ムカつく事を言われ放題だが、そんな生活も今日で最後なんだ、好きなだけ言わせてやるさ。

 

「………と、言っているようですが?」

 

 未だ飽き足らず悪口を言う連中を無視して宰相に言った。

 

「それなら良いだろう、何処へでも行くが良い」

「では、お言葉に甘えて」

 

 そう言うと、俺は踵を返して謁見の間から立ち去ろうとする。

 

「あばよ、無能。2度と帰ってくんじゃねぇぞ」

「キモオタ~、大変だろうけど頑張れよ~!“1人で”、な!」

 

 そうして起こる嘲笑の嵐を聞き流しながら、俺は謁見の間を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 謁見の間を後にした俺は、一旦部屋に戻り、セレーネさんに旅に出る事を伝えた。

 驚くかと思っていたが、俺が時々、セレーネさんに愚痴を溢していたためか、『薄々、そうしそうな感じがしていました』と言われた。

 

「では、ミカゲ様。ご出発の前に」

 

 そう言って、セレーネさんはクローゼットから何かを取り出すと、それを両手に抱えて持ってくると、俺に差し出した。

 

「ッ!?セレーネさん、これって………」

 

 差し出されたのは、この世界に召喚された時に着ていた制服一式だった。

 此方の世界で支給される服に着替えた後、制服を綺麗に整え、クローゼットの中に保管しておいてくれたらしい。

 それらを受け取り、礼を言おうとした俺だが、見慣れないものが目に留まった。

 

 下からズボン、カッターシャツ、セーター、学ランの順で積まれて、その上にズボンのベルトが置かれているのだが、その隣に腕輪らしきものがあったのだ。

 

「あの、セレーネさん?この腕輪みたいなのは何ですか?」

「収納腕輪です。ミカゲ様はリュックをお持ちでないようなので、それをお使いください」

「あ、ありがとうございます!」

 

 まさか、こんなアイテムをもくれるとは………やべぇ、セレーネさんマジ女神。俺がチョロい男だったら、惚れた直後に告白してフラれるところだった。って、フラれちゃうのかよ。

 

 その後、収納腕輪の使い方を教えてもらった。どうやら、装着した後で対象となるものに触れ、軽く念じるだけで良いらしい。

 因みに、何故そんなものを持っているのかと聞いてみたのだが、どうやら、収納腕輪には階級的なものが存在しており、今渡されたのは、その中でも下級のもの。

 勇者の連中には配られていたらしい。

 

 チッ!コレ絶対あの宰相がやりやがったな。

 

 

 知らない間にあった差別に苛立ちながらも、それを右腕に装着する。

 そして、制服を収納すると、今度こそ部屋のドアへと向かう。

 ドアを開けて1歩踏み出すと、セレーネさんに振り返った。

 

「それじゃあセレーネさん、短い間ですが、お世話になりました。お達者で」

 

 そう言うと、俺は恭しく頭を下げて見送ってくれるセレーネさんに手を振りながらドアを閉めた。

 

 

 

 

 

 

「さてと…………」

 

 王宮を出て、王都北側の門から外に出た俺は、目の前に広がる広大な世界を見据える。 

 それから1歩1歩歩みを進めて、王都から離れていく。

 

 門番をしている衛兵の姿が見えなくなると、俺は、これから長い付き合いとなる相棒との対面式を行う事にした。

 最初に出すのは、もう既に決めている。

 

「来い!『零戦』!」

 

 そう叫ぶと、俺の体が強い光を放ったのだが、俺は、その光のあまりの眩しさに、つい目を瞑ってしまう。

 やがて光が消え、俺はゆっくり目を開ける。今のところ、体が思いとかの違和感は無い。

 

 試しに自分の手を目の前に持ってくると、俺は目を見張った。

 腕と一体化する形で、其々の腕に7,7㎜機関銃がつけられており、両手が其々のトリガーに掛けられているのだ。

 

「す、スッゲー…………」

 

 思わず、そんな声が漏れる。

 体の方に目を向けると、またもや目を見張った。

 

 背中からは、まるで鳥の翼のように零戦の主翼が生えており、主翼には20㎜機関砲が装備されている。

 尻からは、実機の機体後部にあたる部分が尻尾のように生えている。

 腰の装甲につけられたホルダーらしきものには、刀身がかなり長めの刀が、左右1本ずつ装備されている。

 

 航空傭兵としての本領が発揮出来る感動的瞬間だったが、此処で1つ、問題が起きた。

 

「…………コレさぁ、プロペラねぇのにどうやって飛ぶの?」

 

 そう、飛び方である。

 ジェット機なら、腰とか足辺りからノズルが出ているだろうから、其所からの噴射で滑走、離陸、飛行が出来るだろうが、零戦はレシプロ機。即ち、プロペラが無ければ飛べないのだ。

 

「おいおい、マジでどうすりゃ良いんだよぉ………」

 

 旅に出て早々大問題にぶち当たった俺。軽くパニック状態になり、その場で暫く立ち往生する…………かと思ったら、その問題は意外にも直ぐに解決した。

 ひたすらにプロペラが出るように念じると、両足其々の付け根から、小さなプロペラが現れたのだ。

 それと同時に、足の裏からローラースケートの要領で車輪が競り出してくる。

 どうやら、この状態で発進し、離陸しろと言う事らしい。

 

「よっしゃあ!問題解決!!」

 

 あまりの嬉しさに、俺は思わずガッツポーズを決めながら叫んでしまう。

 周りに誰も居ない事を確認してから、安堵の溜め息を1つ。

 

 それでは、気を取り直して………………

 

「エンジン、始動!」

 

 そう叫ぶと、足の付け根に出ているプロペラが回り始める。脚の排気口から一瞬火を噴き出して、プロペラが本格的に回り、それによって起こる風により、小さく砂煙が舞っている。

 背中から生えている主翼も、どんなギミックが仕組まれているのか、地面に対して平行になるように角度を変える。恐らく、この状態が離着陸する体勢なのだろう。

 よし、今度からこの状態を『離着陸モード』としよう。

 そうして、脳内に浮かび上がってくるステータスのチェックも済ませる。

 

--A6M5 零式艦上戦闘機52型--

 

タイプ:戦闘機(ファイター)

操縦者:古代 神影

機体損傷率:0%

使用可能武装:Gun(7,7㎜機関銃、20㎜機関砲)、UGB(無誘導爆弾)、RKTL(ロケットランチャー)、ECMジャミング

 

 マジかよ………コレ、エースコンバット・インフィニティに置き換えると、全武装使用可能って事じゃん。うわっ、テンション上がってきた。

 自然と沸き起こる興奮を何とか抑え、俺は果てしなく続く平野を見据えた後、空を見上げた。

 

 準備は万端で、機体状態は勿論、天気も良好、絶好のフライト日和だ。

 

「それでは……発進!」

 

 そう叫び、足のプロペラに意識を強く向ける。

 すると、俺の体がゆっくり前に動き出し、徐々に加速していく。

 十分に飛び立てる速度に達すると、俺は体がフワリと浮き上がるような感覚を味わう。

 ふと下を向くと、俺の足が地面から離れていたのだ。離陸成功だ!

 

「ッ!いよっしゃああああッ!!!」

 

 俺は歓喜の雄叫びを上げて上昇する。

 ある程度の高度(と言っても地上から10m程度)に達すると、足の裏から出ていた車輪が収納され、離着陸モードになっていた主翼が、初めて展開した時の角度に戻る。

 すると、エースコンバットで言うオートパイロットの機能が作動したのか、自然に俺の体も地面に対して水平になった。成る程、コレが所謂『飛行モード』と言うヤツだな。

 

「さぁ、始まるぞ………俺の航空傭兵生活が!」

 

 これからの生活への期待に胸を膨らませながら、俺はスロットルに意識を向け、スロットルを開いて一気に加速し、異世界の空をかっ飛ばすのであった。

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